会社法:「業務」

国際私法専攻する者は、常に実質法の勉強を怠らないように心掛けなければならない…」
(池原季雄『国際私法(総論)〔法律学全集〕』(有斐閣,1973)「執筆を終りて」)

【留意点】

【総則】

【商号(8条)】
〇「不正の目的」(8条1項)の意義が問題となる。この点、同項の趣旨は、他の会社による営業と誤認させ利益を上げる行為を防止する点にある。よって、一般人をして他の会社の営業と誤信させる目的と解される。

【名板貸(9条)】
(補足:廃業した場合、又はそもそも商人ではない者(芸能人)等、適宜類推適用の余地あり。)
〇趣旨:同条の趣旨は、他人が事業(・営業)主であるとの外観に対する第三者の信頼保護にある。
〇趣旨⇒「商号」の範囲は、一般人が事業・営業主体を誤認しうる以上、同一であることを要しない。
(補足:商号ではないが、芸能人の芸名等にも類推可能。)
〇「許諾」に黙示のものが含まれるか問題となる。この点、趣旨。そこで、「許諾」には広く黙示のもの含む。
〇重過失は悪意と同視されることから、「誤認」は善意・無重過失によることを要する。
〇趣旨⇒「当該事業」は、特段の事情ない限り、「許諾した会社」と同種の事業(・営業)であることを要する。
(補足:特段の事情として、店舗・商号・看板・印章・小切手帳等が同じで、以前の使用人が営業主体。その他、タレント・ショップ(業種は何でもあり)等。手形振出のみの許諾には適用なし。文言から。)
〇論点:「取引」である以上、取引的不法行為には適用される(民法の適用)が、事実的不法行為には適用なし。

【支配人(11条・13条)】
〇定義:支配人とは、営業の主任者として選任された者(形式説)
〇条文:13条(表見支配人)
(補足:13条は908条1項の例外規定ゆえ優先的に適用されると解される。)
〇趣旨:支配人としての外観に対する第三者の信頼保護
〇趣旨⇒重過失は悪意と同視されることから、「悪意」は悪意・重過失と解される。
〇趣旨⇒事業所としての実質(例:人・組織・金)を備えることを要する。

【事業譲渡(21条―24条)】
〇注意:「事業によって生じた債務」のあてはめも。
〇趣旨:商号続用による事業主体の同一性(や債務引受)に対する第三者の信頼保護
〇論点:類似商号にも適用される。●確認:類推適用?
〇論点:商号ではない「名称」の続用であっても、事業主体の表示としても用いられていれば趣旨が妥当することから、特段の事情なき限り類推適用されると解される。
〇論点:現物出資にも適用される。●確認:類推適用?
〇論点:会社分割にも適用される。●確認:類推適用?
〇論点:「広告」(23条1項)。具体例:挨拶状等。

【設立】
〇募集設立(57条~103条)●認識:発起設立との比較において、出難いだろう(∵実務上レアかと。)。

【現物出資(28条1号)】
〇趣旨:出資財産の過大評価による会社財産棄損の防止
〇知識:発起人のみ可(34条1項。63条1項参照)。不足額支払義務(52条1項)の履行確保の便宜上。
〇知識:失権手続(36条3項)により「最低額」(27条4号)未満となる場合、又は発起人による株式取得(25条2項)がない場合、設立無効(828条1項1号)。

【発起人の権限範囲】
〇問題:…行為の効果が設立後の会社に帰属するか、発起人の権限範囲が問題となる。
〇理由:①設立中の会社は、設立登記(49条)を経て会社となる存在(25条以下参照)であり、設立後の会社と実質的に同一である。そして、②発起人は設立中の会社の業務執行機関である。よって、発起人の行為の効果は、特段の手続を経ず、設立後の会社に帰属することとなる。
〇結論:そこで、成立後の会社の財産的基礎を保護するため、①設立中の会社の実質的権利能力、及び②発起人の権限範囲は、原則として、設立に法律上・経済上必要な行為に限定される。
〇展開:よって、原則として、開業準備行為は、発起人の権限範囲外の行為として、会社に効果帰属しない。

【財産引受(28条2号)】
〇前提:【発起人の権限範囲】
〇趣旨:しかし、財産引受けについては、その実際上の必要性がある。
〇結論:そこで、引受財産の過大評価による現物出資規制の潜脱防止のため、定款への記載等の厳格な要件の下、例外的に認められた。
〇帰結:よって、定款に記載のない財産引受は、絶対的無効と解される(「効力を生じない」(28条柱書))。
〇帰結(判例):①相手方の履行請求不可、②相手方の無効主張可、③会社の追認(民法116条類推)不可(誰も手続を踏まなくなるので。)。
〇救済:①事後設立(467条1項5号本文、309条2項11号)、②重要な業務執行(362条4項1号)

【開業準備行為(財産引受以外(明文なし))】
〇前提:例外的に認められた財産引受以外の行為として、原則通り無効。会社には効果帰属しない。
〇問題:相手方から発起人・会社(別理論)に対する請求
〇原則:「他人」(民法117条)は存在しない。〇指摘MUST
〇問題:類推適用可(最判S.33.10.24)。趣旨妥当。
〇展開:相手方が「知っていた」(民法117条2項1号・2号類推)場合、責任なし。〇2号但書はありうる。
〇救済:(1)対会社:民法703条等、(2)対発起人:53条2項・民法709条(但し722条2項の%)。

【見せ金】
〇問題:…かかる「払い込み」(34条1項本文)も有効か。預合い(64条2項、965条)と異なり、現実の資金移動があることから問題となる。
〇理由:この点、外観上は問題ないものの、会社に資金が残らない点で資本充実の観点から問題がありうる。
〇要件:そこで、①会社成立後、借入金返済までの期間の長短、②会社資金としての運用の有無、③借入金返済による会社資本への影響等を考慮し、当初より仕組まれた仮装払込みといえるのであれば、「払い込み」にあたらず無効と解される(判例)。〇メモ:発起設立の場合、③は大きい。それだけ、なので。
〇展開:もっとも、仮装払込みに係る責任(102条の2、103条2項、(52条の2第1項・3項))あり。
〇結論:そこで、義務履行あれば、払込み有効。払込み無効により「…最低額」(27条4号)未達なら設立無効(828条1項1号)
〇補足:その他に損害があれば、発起人等の責任:対会社(53条1項)、対第三者(53条2項)
〇参考:通常、銀行は事情不知。趣旨(禁反言)妥当せず。悪意・重過失の場合のみ(64条2項類推)。
〇注意:①払込無効、②失権(36条3項、63条3項参照)、③設立無効の3つを区別
〇参考:会社財産を危うくする罪(963条1項)、業務上横領罪(刑法253条)、公正証書原本不実記載罪(同157条1項)等
〇参考:預合いによる払込みの効力(論点):無効。理由:実質なし。刑事罰(965条)。
(なお、発起設立の場合も(会社法64条2項参照)、有効とする必要はなく、信義則(1条2項)で説明可能。)

【設立費用】
〇問題:定款に記載・記録された額を超過する未払設立費用の負担者
〇理由:定款の記載等の内部事情によることは、第三者を法的に不安定にする。
〇結論:対外的には会社が負担。体内的には定款に記載・記録された額のみ会社負担。超過部分は発起人負担。
〇参考:設立事務所の賃料、設立事務員の給与は、設立費用(28条4号)に含まれる(通説)。
〇私見:会社・発起人(資力あるかも)の連帯債務。内部関係は判例に沿って清算。理由:第三者保護、公平。

【各種責任(発起設立)】
〇出資財産等の価格不足の場合の責任(52条)
〇仮装払込み責任(52条の2第1項・2項)、仮装した者は無過失責任(2項かっこ書き)、連帯(3項)
〇損害賠償責任:対会社(53条1項)、対第三者(同2項)、連帯(54条)、免除(55条)、不成立(56条)
〇参考:見せ金:設立後の取締役による払戻しの責任(423・429)。発起人の責任(民117条類推)。も。
〇補足:発起設立:設立手続等の特則(102条)、仮装引受人(102条の2)、発起人(103条 )

【株式】
〇剰余金配当請求権(105条1項1号)、残余財産分配請求権(同項2号)、株主総会議決権(同項3号)
〇「譲渡制限株式」(2条17号、107条1項1号、同条2項1号)●株式の一部の譲渡制限もあるが。
〇株式の譲渡(127条~144条)・承認手続き(136条~145条)一読
〇子会社による親会社株式取得(135条)cf.308条1項括弧書き
(∵①資本充実を害する、②株主平等、③経営の保身予防、④インサイダー取引予防)
〇譲渡承認決議(139条1項)
〇特別支配株主の株式等売渡請求(179条~179条の10)
〇株式併合の反対株主の株式買取請求権(182条の4第1項)〇確認:名義書換え中で行使不能の場合
〇同価格決定の申立て(182条の5第1項、2項)〇同上
〇株券(総則)(214条~218条)一読

【株式の共有】(106条)
〇趣旨:会社の事務処理上の便宜(106条)
〇知識:株式の共同相続は、相続額に応じた準共有(民法898条)。

〇問題:権利行使者(106条本文)の決定方法
〇結論:特段の事情のない限り、持分価格に従い過半数で決する。
〇理由:①趣旨から全員一致は不可、②管理行為(民法252条1項本文)
〇補足:内部合意は会社に対抗不可
〇補足:訴訟提起も原則として106条本文の適用あり。(反対説:民法252条ただし書きの保存行為)

〇問題:会社の同意(106条ただし書き)は万能か?
〇理由:106条本文は権利行使の方法についての「特別の定め」(民法264条ただし書き)であり、106条ただし書きは、その点についてのみ例外を認める趣旨である。
〇結論:よって、民法の共有規定による制限は避けられず、過半数の意思が必要。

【株主平等の原則】(109条1項)
〇趣旨:株式投資の合理性・予測可能性を高める。
〇効果:違反の場合、株式投資の本質を害することから、無効。
〇要件:例外は、合理的必要性・相当性がある場合
〇具体例:株主総会議決権(308条1項)、剰余金配当(454条3項)、残余財産分配(504条3項)

【利益供与】(120条・970条)
〇問題:「権利の行使」(120条1項)の意義
〇趣旨:この点、同項による禁止の趣旨は、株主総会の決議の公正確保、及び会社財産浪費の防止にある。
〇結論:そこで、「権利の行使」には、権利行使の密接関連行為をも含むと解される。
〇具体例:株式買戻し(判例):形式的に該当。趣旨から、例外的に非該当。
〇具体例:委任状勧誘(裁判例):形式的に該当。①目的の正当性、②株主毎の金額の相当性、③総額が会社の財産的基礎に与える影響等を総合考慮し、趣旨から、例外的に非該当。なお、裁判例は、①を否定し、該当とした。
〇要件:「権利の行使」の他、①計算、②株主、③財産上の利益、についてもあてはめをする。
〇注意:文言上、利益供与の相手方に制限はない(「何人に対しても」(120条1項))。
〇展開:「第百二十条第三項の利益の返還を求める訴え」(847条1項)として、代表訴訟の対象となる。
〇参照:「利益の供与をすることに関与した取締役」(120条4項、施行規則21条1号)

【株式譲渡自由の原則(127条)】
株主有限責任(104条)の下、会社債権者の引き当ては会社財産のみであることから、その確保の必要性がある。そのため、原則として、株式の払戻しは禁止され、株主の投下資本回収は譲渡によることとなる。そこで、株式譲渡自由の原則(127条)が認められている。
しかし、会社にとり好ましくない者が株主となることを防止し、会社経営の安定を図る(判例)必要性もある。●補足:公開会社では株主の個性は希薄であり、問題となり難い。
そこで、株式の譲渡の制限として、会社の承認を要する旨を定款で定めること(107条1項1号、466条、309条3項1号)等ができる。●補足:134条4号(一般承継の場合には譲渡制限が適用されない。)→174条(趣旨:会社にとり好ましくないものが株主となることを防止する。)●補足:株式買取請求権(116条1項1号)あり。●補足:譲渡承認(139条1項本文)を得れば、株式譲渡は許される。原則株主総会、例外(取締役会設置会社)取締役会。「定款に別段の定め」(同項但書):取締役会設置会社でも株主総会承認事項とできる。
そして、当該制限に違反した場合、①当事者間では有効(137条1項、138条2号ハ)だが、譲渡制限の趣旨に照らし、②会社との間では無効と解される。●補足:一人会社では、会社との関係でも有効(判例)。株主保護問題なし(簡単に定款変更し、総会を承認機関に変更可能(139条1項ただし書)。134条1号類推。)。
もっとも、株主の不在が生じないよう、会社は譲受人を株主として扱う義務を負うと解される。

〇問題:会社側から積極的に譲渡承認することは許されるか。
〇理由:①承認手続に関する詳細な規定(136条以下)を設けていることから、個別の事案では代表者の裁量なし。②「要する」(2条17号)(130条1項参照)。(●無効(民法119条本文)なので追認不可、とも。)
〇結論:不可(判例)●参考:認めるとしても、歯止め(109条違反ではないこと)を。
●参考:名義書換未了の株主(130条)の場合には可(判例)とすることとの整合性
(①事務処理上の便宜を図るに過ぎない、②「対抗」(130条1項)の問題に過ぎない。)

〇制度:権利株(35条、50条2項、63条2項、208条4項)の譲渡制限
〇趣旨:多数かつ変動しうる株主についての事務処理に関する会社の便宜
〇効果:よって、当事者間では有効だが、会社に対抗不可 ●確認:128条2項との整合性

〇問題:株券発行前の譲渡(「効力を生じない」(128条2項)の意義)
〇趣旨:この点、同項の趣旨は、会社による株券発行の円滑性・正確性確保にある。
〇結論:そこで、当事者間では譲渡は有効。
〇展開:もっとも、通常必要な合理的期間を超え発行遅滞(215条1項違反)していた場合、会社は信義則(民法1条2項)上、無効主張不可。
〇展開:そこで、譲受人は実質的権利を証明して名義書換請求可。

〇問題:契約による譲渡制限
〇趣旨:譲渡自由の原則(127条)に反する。
〇結論:原則として、無効
〇理由:①(従業員持株会の運営等)必要性はあり、②第三者効はなく、取引の安全を害さない。
〇要件:そこで、公序良俗(民法90条)違反でない限り、
〇結論:有効
〇参考:持株会の場合、形式的には理事長名義であっても、実質的な株主は誰か?が問題となる。

〇問題:譲渡担保の場合の承認の要否(「株式の譲渡」(136条以下)にあたるか)
〇理由:譲渡承認を要する趣旨が妥当する。
〇結論:あたる(判例)。
〇参考:非該当説においても、担保権実行時には要承認(137条1項)

【名義書き換え(130)】
〇前提:株主名簿制度(121条以下)。対抗できず(130条2項・1項) ●126条1項参照
〇前提:139条1項の承認等がない場合、会社の拒絶可能の原則(134条柱書本文)
〇知識:株券発行会社では、株券呈示により単独で名義書換請求可能(133条2項、施行規則22条2項1号)
〇参考:株主名簿の権利推定的効力(131条1項、133条2項、施行規則22条2項1号)
根拠規定に照らし、株券発行会社・株式振替制度を利用する会社でない限り、認められない。
当事者間の譲渡が、取消し(民法9条本文等)により遡及的無効(同121条本文)なら?(小論点)
原則、会社側は保護されず。が、共同請求等による書換があった場合、(権利推定効(131条1項)に基づかないが)会社保護の必要性有。そこで、民法478条・520条の10類推(or手形法40条3項類推)等検討。

〇問題:会社からの権利行使許容
〇理由:趣旨。「対抗することができない」(130条(●原則:1項、株券発行会社の場合:2項))
〇結論:可能(判例)
〇歯止:109条1項

〇問題:名義書換えの不当拒絶(133条1項に対し)
〇理由:権利推定(131条1項)による免責有。実質的無権利を立証しない限り信義則(民法1条2項)違反。
〇結論:株主として対抗可能(結論判例同旨)。
〇参考:株券喪失登録あり(230条1項)〇、盗難届×(真偽不明。善意取得(131条2項)%)。総会屋×

失念株
〇前提:基準日(124条1項)cf.権利推定(131条2項)
〇趣旨:多数かつ変動し得る株主につき、画一的処理により会社の事務処理上の便宜を図る。
〇帰結:対抗できない(130条1項)。
〇展開:会社が自己の危険において認めることは可能。

〇問題:譲渡人から譲受人に対する(何らかの)権利主張
〇理由:譲渡人が二重のプレミアム(増資含みの高値で譲渡し更に新株の割当)も受けるのは不当
〇歯止:他方、新株自体は譲渡人が払込みにより取得。譲受人の投機的請求等、譲渡人の保護に欠けうる。
〇結論:そこで、新株取得により得た利益につき、不当利得返還請求(民法703条・704条)⇒あ
〇参考:日証協は新株自体の不当利得返還請求権説(に近い)らしい。

〇参考:基準日後の譲受株主(名義書換未了)への剰余金支払い(会社裁量)
基準日制度の趣旨、及びそれを前提とした取引慣行(剰余金の配当分を控除した売買価格とする等)とのバランス
(配当は売主。その分控除?結論×(124条4項ただし書き参照)。規定なし。議決権〇(124条4項本文))

相続による株式取得
〇問題:「譲渡」(130条)か?
〇理由:名義株主の地位を含め、被相続人の地位を包括承継。特定承継と異なり、権利行使重複おそれなあし。等
〇結論:不要(立法担当者見解)●参考:反対説も有力?の模様

【自己株式の取得・処分】
〇構造:総則(155条)⇒株主との合意による取得(総則)(156条~)⇒特定の株主からの取得(160条~164条)
〇特定の株主からの取得(160条):唯一手続規制あり。
・特別決議(155条3号、156条1項、309条2項2号、160条1項)
〇条文:市場取引(161条)、相続人(162条)、子会社(163条)、定款(164条)、TOB(165条)

〇問題:手続規制違反の場合の効力(明文なし)
〇理由:①株主平等(109条)を害する。②利益供与の禁止(120条)に類する。
〇結論:無効
〇歯止:相手方善意(・無重過失)の場合、無効主張不可。

〇問題:相手方からの主張は?
〇理由:①相手方保護の趣旨での無効ではない。②相手方の投機的行為を防止すべき。
〇結論:(特段の事情がない限り)不可

〇問題:財源規制違反(461条1項違反)の場合の効力(明文なし)
〇理由:461条1項違反の決議は無効(830条2項参照)。
〇結論:当該決議に基づく株式買取り等も無効と解される。
〇帰結:462条1項は民法121条の2第1項・533条の特則(株主からの金銭返還を先履行義務化)。
〇参考:有効説(取締役等の義務が発生するのみ)では、同時履行ではないのは(特則ゆえではなく)当然。

〇問題:損害
〇理由:規制趣旨から、取得価額を基に算定すれば、株主・債権者の保護として必要十分。
〇結論:売却差額説(判例):①売却:取得価額-売却価額(売却損)、②保有:取得価額-算定時時価(評価損)

【株式併合】
「議決権を行使することができない株主」(182条の4第2項2号)
〇問題:基準日後株主
〇理由:①株主総会での議題・議案を知りえない株主の保護、②文言
〇結論:該当する。〇補足:反対説も有力
〇補足:名義書換未了株主は否定(東京地決)。名義書換をした基準日株主よりも厚く保護する合理性なし。

【募集株式の発行等】
〇前提:持株比率維持の利益は不保護(202条1項柱書前段)⇒4倍ルール(37条1項、同3項、98条)
〇問題:「特に有利な金額」についての株主総会特別決議(199条2項、201条1項、309条2項5号)
〇理由:有利発行規制(199条3項)の趣旨は、資金調達に際し、既存株主の経済的利益を保護する点にある。
〇結論:新株発行による資金調達が達成される限度で、既存株主にとり最も有利な価額と解される。
〇補足:有力説:株価下落しても会社には損害なし(あれば423・847)
〇参考:現物出資(207条)もありうる。
〇参考:総数引受契約(205条1項):通知(203条1項各号、同5項)、割当て(204条1項)の省略可
〇参考:株主となる時期(209条1項)

〇前提:授権資本制度(201条1項)の趣旨は、機動的な資金調達の便宜。
〇問題:「著しく不公正な方法」(210条2号)の意義
〇理由:新株発行等による資金調達の必要性と会社支配の公正との調和の見地から、
〇結論:①主要な目的が不当である方法、又は②必要性・相当性を欠く方法と解される。
〇補足:①について、支配権維持目的か否か(参考:360条は会社、210条は個人の損害)等。
〇補足:支配権維持(受任者たる取締役(330条、民法644条)が委任者たる会社の支配につき決するのは(機関権限の分配を定めた)会社法の趣旨に反する)だけではなく。会計帳簿の閲覧阻止も不当目的たりうる。
〇補足:②について、株主全体の利益保護という見地から、特段の正当化事由(必要性・相当性)があるか等。
〇参考:206条の2。違反は法令違反(210条1号)。適法であれば、2号において有利な事情となる。●か
〇注意:「株主が不利益を受けるおそれ」(210条柱書)のあてはめも失念しない。

募集に関する責任等(211条~213条の3)
〇条文:引受人の責任(212条1項1号)は、株主代表訴訟の対象(「二百十二条一項」(847条))。
〇補足:新株発行無効の訴え(828条1項2号、同2項2号):持株比率低下の不利益もカバーする固有の方法

【新株予約権】
〇条文:特別決議(238条2項、309条2項6号)、公開会社(2条5号)役会決議(238条2項、240条1項)
〇条文:特に有利な「条件」(238条3項1号)・「金額」(同2号)⇒公開会社(2条5号)でも要特別決議

〇問題:株主総会決議(募集新株予約権の発行)→取締役会決議(行使条件変更)→新株予約権行使→新株発行
〇判例:①細目的変更を除き、明示の委任(株主総会)がない限り、取締役会決議(行使条件変更)は無効
②重要な条件に反する行使による新株発行は、持株比率低下による影響を受ける既存株主の意思に反し、特別決議を経ない募集株式発行と同様である。
〇結論:よって、かかる新株発行は無効と解される。
〇補足:取締役会への委任自体は可能(239条)。株式(200条)と同様。

【無償割当】(敵対的買収の場合)
〇前提:①新株発行、新株予約権の②発行・③無償割当(277条)の3つ(特に後2者)を区別して検討。

〇問題①:新株予約権の無償割当(277条)の差止請求については明文なし。そこで、247条類推の可否。
〇理由:かかる明文がないのは、保有株式数に応じる割当については、株主の地位(持株比率・保有株式の経済的価値)に実質的変動がないため。不公正な条件により実質的変動が生じうる場合、247条の趣旨が妥当する。
〇結論:可能(247条類推適用)。
〇注意:「株主が不利益を受けるおそれ」(247条柱書)についても簡単にあてはめ。

〇問題②:差別的取扱いは、法令(247条1号)たる株主平等原則(109条1項)違反か。
〇原則:新株予約権無償割当てを受ける地位は、株式の内容等に直接関係しない契約上の地位に過ぎず、直ちに違反とはならない。
〇理由:しかし、株主資格に基づき割当を受け、かつ法も新株予約権の内容同一を前提(278条2項等参照)。
〇結論:よって、株主平等原則の趣旨は、新株予約権無償割当の場合にも及ぶと解される。
〇基準:そこで、差別的取扱いは、(1)企業価値の棄損により株主共同の利益が害されうる場合において、(2)衡平の理念に反し相当性を欠かない限度において、株主主平等原則の趣旨に反せず許されるものと解される。
〇展開:株主共同の利益が害されるか否かについては、重大な瑕疵がない限り、株主総会の決議が尊重される。

〇問題③:「著しく不公正な方法」(247条2号)の意義
〇論点:一般論
〇理由:新株予約権の特殊性(資金調達に限らず、様々な目的で発行)
〇結論:当該特殊性を考慮した必要性・相当性を個別具体的に検討
〇原則:経営支配維持が主要な目的の場合は該当。
〇例外:かかる目的があっても、取締役は善管注意義務(330条・民法644条)を負うことから、株主全体の利益保護の観点から特段の正当化事由がある場合、非該当。

【機関】
〇条文:公開会社は取締役会設置会社である(327条1項1号)。
〇条文:取締役の選任権(329条1項)
〇条文:取締役の解任(339条):趣旨は、株主の監督機能確保(1項)、及び任期に対する期待保護(2項)。そこで、「正当な理由」(同項)は、取締役に職務執行を委ねることができないと判断すべき客観的理由をいう。
〇論点:企業の実質的所有者たる株主が、自ら意思決定することを経営の効率性に優先させる場合、株式会社の本質に反しない限り、定款により取締役会の決議事項を株主総会に権限移譲することは295条2項に反しない。
〇条文:役員等の選解任手続(341条)
〇条文:計算書類・事業報告の提供(437条)●検討

【株主総会】
〇条文:株主による招集(297条)、招集権者等(298条)、総会の日時・場所(298条1項1号、規則63条)、議題の記載(298条1項2号)、期間の遵守(299条1項)、書面性(299条2項柱書)、招集通知の省略(300条)、株主総会参考書類(301条1項、規則65条)、議題提案権(303条)、議案提出権(304条)、議案要領通知請求権(305条)、一株一議決権(308条1項本文)、自己株式(議決権なし)(308条2項)、招集通知記載の議題(309条5項、298条1項2号)、定款による代理人資格制限(310条)、説明義務(314条、規則71条)、議長の権限(315条)(必要性・相当性次第)

定款による代理人資格制限
〇問題:310条1項前段は制限をしておらず、かかる制限は違法ではないか。
〇理由:同条の趣旨は、議決権行使機会の実質的保障にあるが、第三者の参画による混乱防止の要請も存する。
〇結論:そこで、①合理的理由があり、②相当な制限であれば、かかる定款の規定も適法と解される(判例)。
〇展開:もっとも、株主の権利行使の機会を事実上奪う事態を回避する等の合理的理由があれば、例外的に(役職員・弁護士等による)議決権行使を認めても定款違反とならないと解される。

説明義務(314条) cf.施行規則71条
〇理由:決議事項の内容、質問事項との関連の程度、説明内容等に加え、質問者が保有する資料等も総合的に考慮
〇結論:平均的株主が、議決権行使の前提として合理的な理解及び判断をしうる状態にあるかを総合的に判断
〇補足:一括説明も、質問の重複等の合理的理由があれば、許されると解される。

所有と経営の分離
〇原則:295条1項
〇理由:しかし、多くの株主には経営の意思・能力がない。
〇結論:そこで、所有と経営が分離した(331条2項本文)取締役会設置会社においては、株主総会は基本的事項の意思決定のみを行う(295条2項)。
〇展開:取締役会設置会社の場合、取締役会決議(362条4項)及び株主総会決議が必要(295条3項)。

【代表取締役】
〇問題:「善意」(349条5項)
〇趣旨:会社の内部的制限につき善意の第三者の信頼保護
〇結論:文言上、過失ある者も保護。重過失は悪意と同視され、保護しない。
〇展開:362条4項各号の検討は別途。
〇展開:その場合、決議を経ていない点につき善意無過失なら、民法110条類推の可能性あり。
〇補足:権限濫用は民法93条1項但書類推 ●検討:民法107条

〇条文:代表者の行為についての損害賠償責任(350条)

表見代表取締役(354条)
〇原則:…には代表権(349条4項)がなく、会社の追認(民法116条本文)がなければ、効果帰属しないのが原則である。
〇趣旨:しかし、外観作出につき帰責性ある会社の負担の下、外観を信頼した第三者の取引安全を図る必要性。
〇要件:そこで、①「取締役」、②「付した」、③「善意」という要件の下、会社の責任を定めた。

〇問題:「取締役」(使用人等への類推適用)
〇結論:肯定
〇理由:趣旨
〇補足:取引先の役職員については否定(裁判例) 〇認識:民法109条はあり。

〇問題:「付した」
〇理由:主旨
〇結論:黙認も含む。

〇問題「善意」
〇理由:商取引の迅速性から、無過失まで要求することは妥当ではない。他方、重過失は悪意と同視される。
〇結論:善意・無重過失

〇問題:「第三者」
〇理由:趣旨
〇結論:直接の相手方(判例)
〇参考:学説は反対

〇問題:代表取締役の登記(911条3項14号)により悪意が擬制されるか(908条1項後段)。
〇理由:「正当な事由」(908条1項後段)は限定的に解されるところ、354条は、商取引の反復性・迅速性から、逐一登記簿閲覧をせずとも保護する趣旨。
〇結論:354条は908条1項後段の特則と解される。
〇補足:辞任登記済みの場合等、他のケースでは原則通り(表見法理(民法112条)等でも保護されない。)。
●検討:旧代表取締役の登記が残りつつ、新代表取締役の登記がされた場合に限った論点なのか???

【取締役】
・取締役(348条以下)〇役会ない場合、取締役の報告義務(357条)、検査役選任請求権(358条)、株主による取締役の行為の差止め(360条3項・1項。監査役設置会社の場合)、招集権者(366条1項)、決議要件(369条1項、2項)

競業避止義務
〇条文:356条1項1号(・365条1項)
〇趣旨:取締役が、企業秘密等を知る地位を利用し、会社の犠牲の下、自己又は第三者の利益を図ることを防止

〇問題:「ために」
〇理由:損害額の推定規定(423条2項)に照らし、本来会社の計算によるべき行為の規制が趣旨
〇結論:計算説(通説)

〇問題:「会社の事業の部類に属する取引」
〇理由:趣旨
〇結論:広く会社の事業と市場において競合する可能性がある取引
〇補足:会社が準備段階・一時休止中でも該当。
〇補足:事後報告(365条2項)

〇問題:違反の効果
〇理由:無効としても損害回復はないこと。及び取引の相手方の信頼保護のため。
〇結論:(取引自体は)有効
〇補足:違反でなくとも、善管注意義務(330条、644条)・忠実義務(355条)違反の可能性はある。

〇問題:相手方からの無効主張
〇理由:趣旨。●確認:投機的行為を制限する。
〇結論:不可

利益相反取引
〇認識:相手方の代表者に着目
〇条文:356条1項2号・3号(・365条1項)
〇趣旨:取締役が、会社の犠牲の下、自己又は第三者の利益を図ることを防止
〇結論:趣旨に照らし、実質的に判断される。
〇参考:423条3項(・4項)、428条

〇問題:「ために」(1項2号)
〇理由:実質的な利益相反取引は間接取引(3号)として規制される。
〇結論:名義説

〇前提:まず、直接ではない(2号非該当)と認定する。
〇前提:「取締役の債務を保証」は明文で例示されている。
〇問題:「利益が相反する取引」(3号)
〇理由:趣旨、及び2号の存在
〇結論:計算説
〇理由:実質判断となるため、限定しなければ、あまりに取引の安全を害する(〇通説)。
(〇補足:相対的無効説(最高裁判例)によっても不十分となる。)●確認
〇結論:外形的・客観的に判断(通説)
〇展開:利益・不利益を具体的に認定する。
〇補足:事後報告(365条2項)

〇問題:効力
〇理由:会社の利益と第三者の取引の安全との調和の見地から
〇結論:会社と、取締役等の直接の相手方(356条2項の解釈)、及び悪意又は重過失の第三者との間では無効
〇参考:趣旨から会社不利益となりうるものは広く「取引」。手形行為(①原因関係とは別個の債務、②重い責任・危険の負担(立証責任・抗弁切断等))。よって特段の事情がない限り、「取引」該当。

取締役の違法行為差止請求権
〇条文:360条(監査者系:385条、399条の6、407条)
〇趣旨:違法行為は取締役が相互に予防すべきだが、取締役相互の馴れ合いの可能性があるため、株主自身が。
〇処理:1項・2項・3項(特に重要)全て見て、あてはめ。

取締役の報酬(退職慰労金)
〇問題:「報酬等」(361条1項)該当性(退職慰労金)
〇趣旨:この点、株主総会決議を要する趣旨は、取締役のお手盛りによる会社財産棄損を防止する点にある。
〇理由:①退職者以外の者も、将来の退職を想定し、高額でも承認しがち。②「職務執行の対価」の後払い的性格
〇結論:あたる。
〇参考:監査役の独立性を報酬面から確保する趣旨(387条1項)

〇前提:一般論として、総額・上限を定めての役会一任は有効。更に代表取締役への一任も可能。趣旨に反せず。
〇問題:「一 …確定しているものについては、『その額』」該当性(取締役会への上限なき一任(退職慰労金))
〇理由:退職慰労金は、一人又は少数につき決議することが多く、プライバシー保護の要請がある。
〇要件:そこで、お手盛りの危険を回避すべく、①一定の基準が慣行や内規で確立、②株主に推知可能、かつ③明示又は黙示にその基準に従う趣旨での総会決議があれば、
〇結論:「その額」を決議したものとして有効
〇補足:事後的に決議、も趣旨を没却する特段の事情がない限り、有効。

取締役の報酬(その他)
〇問題:使用人兼務取締役の使用人分給与
〇理由:給与体系が確立していれば、趣旨は達成される。(また、404条3項反対解釈)
〇結論:使用人分は必要ない。

〇問題:一方的な減額
〇理由:契約内容(330条・民法648条)となるため。
〇結論:原則として無効
〇理由:予め具体的な業務毎の金額が定めてあり、それを認識しつつ就任した場合には、黙示の同意あり。
〇結論:業務が変われば減額可能。有効。
〇補足:職務怠慢等の「正当な理由」(339条2項)があれば解任も可。よって、より軽い減額も可。とも。
〇注意:あくまで株主総会決議による。取締役会決議では不可。

〇問題:新株予約権(募集新株予約権を除く。)の発行の時期・方法の決定の一任(361条1項6号)
〇理由:趣旨
〇基準:例えば、株主総会決議により、①行使価格の総額、及び②目的たる株式数が決定されていれば、
〇結論:有効
〇参考:募集新株予約権(309条2項6号、239条1項)
●確認:(発行価額がいくらか?や)行使価額が会社に払い込まれることは、別問題。≒株価、という考えか?

取締役の監視義務
〇取締役には取締役会招集権限がある(366条)ことから、取締役会への非上程事項についても、監視義務(362条2項2号)を負う。

【取締役会】
・招集権者(366条1項)、株主による取締役会招集請求(367条1項)、招集手続(368条1項)(趣旨:取締役会での議論に参加する機会の保障。なお、目的記載不要。あらゆる問題を討議ゆえ。)、決議要件(369条1項)、決議賛成推定(369条5項)、持回り決議(370条参照)、招集通知に記載なき場合(問題なし。298条1項2号・299条1項・309条5項本文と同様の規定なし。)、取締役会議事録等(371条2項、4項)

「重要な財産」(362条4項1号)
〇趣旨:会社財産に影響する重要事項につき、取締役会による慎重な判断を経る。
〇理由:会社財産への影響の大きさは、会社毎に個別に判断する必要あり。
〇結論:財産の価額、会社総資産に占める割合、保有目的、処分態様、従来の取扱い等の事情を総合考慮し判断。

「多額の借財」(362条4項2号)
〇趣旨:会社財産に影響する重要事項につき、取締役会による慎重な判断を経る。
〇理由:会社財産への影響の大きさは、会社毎に個別判断する必要あり。
〇結論:金額・金利・返済期限、会社の業種・規模(財政状態・経営成績・資金繰り)、市場動向、従来の取扱い等の事情を総合考慮し判断。

「業務の適正を確保するために必要な…体制の整備」(362条4項6号)
〇問題:(1)構築、(2)運用の各々について検討
(1)経営判断原則(争いあるも)
(2)信頼の原則:構築につき問題なければ、信頼するのが合理的。体制の機能不全を疑うべき事情を検討。
〇補足:大会社(2条6号)の取締役会は決定義務あり(362条5項)。
〇補足:大会社でない場合、善管注意義務(330条・民法644条)の問題。

取締役会決議の瑕疵(招集手続等)
〇問題:明文なし。
〇理由:業務・職務執行についての「決定」(362条2項1号)、及び「監督」(同項2号)のため重要な手続
〇結論:原則として、無効。
〇理由:出席しても決議に影響がない特段の事情がある場合、会社の業務執行の円滑を優先し、
〇結論:例外的に、有効。
〇注意:取締役会決議自体の問題。無効だとしても、新株発行が無効かは別問題。
〇補足:取締役会決議無効・不存在確認訴訟:明文なし。一般的な確認訴訟によれば足りる。

取締役会決議の欠如(代表取締役の行為の効力)
〇問題:明文なし。
〇理由:包括的代表権(349条4項)に対する第三者の信頼保護。
〇結論:原則として、有効
〇理由:趣旨に照らし、相手方が悪意・有過失であれば(判例。法律構成明示なし。)
〇結論:例外的に、無効(民法93条1項但書類推)
〇補足:会社のみ無効主張可(判例)。
〇補足:直接の相手方ではない場合、相対的無効説まで展開が必要な場合も。

特別利害関係人(369条2項)
〇趣旨:取締役と会社の利益が対立する場合、会社の利益の犠牲の下、取締役が自己の利益を図るおそれがある。
〇結論:「特別の利害関係を有する」とは、かかるおそれが類型的に認められる場合を指すと解される。
〇展開:代表取締役の解職:一切の私心を去ることは期待できず。審議・議決への参加、及び議長就任も不可。
〇補足:明文上、定足数にも参入されず(369条1項)。

〇問題:違反の効果
〇理由:決議の適正と安定の調和の見地から
〇結論:例外的に、有効(831条2項類推)

【監査役】
〇選任及び解任の手続に関する特則
・選任に関する監査役(会)の同意等(343条1項、同条3項)
・選任に関する意見陳述の機会(345条1項、4項)cf.決議取消しの原告適格●
〇監査役
・適法性監査のみ(381条1項前段)
・報告要求権・調査権(381条2項)
・取締役(会)に対する報告義務(382条)
・取締役会出席義務・意見陳述義務(383条1項本文)
・取締役会招集請求権・招集権(383条2項、同条3項)
・株主総会に対する報告義務(384条)
・取締役の行為の差止め(385条)
・監査役設置会社と取締役との間の訴えにおける会社の代表等(386条)
〇監査役会
・独任制(390条2項但書)

監査役(業務監査の範囲)
〇問題:「職務の執行」(381条1項前段)の監査は、適法性のみか、妥当性まで及ぶか。
〇理由:所有と経営の分離(295条2項)から、適法性については必要性あり。他方、監査役は経営の専門家ではない。また、過重な責任は就任につき委縮の弊害を生じうる。
〇結論:妥当性には及ばず。
〇補足:「著しく不当な事項」(384条)は、善管注意義務(330条・民法644条)違反。よって支障なし。
〇参考:「取締役」・「使用人」(335条2項)の問題(横滑り監査役)●認識:年度途中交代も本質は同じ問題
自己監査か?兼任のみ禁止(355条2項)を反対解釈。任務懈怠の問題。cf.弁護士の訴訟受任(独立性あり)

【役員の損害賠償責任】
全体像
〇対会社(423条):注意:同条2項(356条1項1号)、3項(同項2号・3号)、4項(同項2号・3号)
〇免責:総株主(424条)、株主総会(425条)、定款・取締役(会)(426条)、契約(定款)(427条)(※)427条については、利益相反取引の承認が必要(356条1項2号(・365条1項))
〇特則:自己のためにした取引(428条):1項(356条1項2号)、2項(前3条の適用除外)
〇対第三者(429条)
〇連帯責任(430条)
〇補足:過失相殺・遅延損害金・消滅時効等が問題となる場合あり(民法によれば足りる。)。

423条(対会社)
〇趣旨:会社の利益保護のため、各種関連規定(民法415条の例外)を設け、取締役への責任追及を容易化。
〇問題:善管注意義務(330条、民法644条)違反、即ち「任務を怠った」(423条1項)の意義が問題
〇理由:不可避的にリスクを伴う企業経営において、経営専門家たる取締役の判断が過度に委縮することは、株式会社の制度趣旨に反する。他方、株主の危険の下、取締役が過度な危険を犯すことを許すことは妥当ではない。
〇要件:そこで、同業界における経営者の一般的な知見を基準として、①事実認識に不注意があるか、又は②当該事実に基づく判断の過程・内容に著しい不合理がある場合に限り、
〇結論:善管注意義務違反として、「任務を怠った」ことになると解される。
〇補足:任務懈怠あるも、過失なければ責任なし。会社法は両者を区別(428条1項参照)。無視(判例も)。
〇参考:「法令」(355条)には、会社自体を名宛人とするものをも含む。例:業法。
〇参考:法令違反は、それ自体が「任務を怠った」と言えるため、経営判断原則の適用はない。
〇参考:法令違反による損益相殺はない。違反した法令の趣旨を損なうため。

429条1項(対第三者)
〇参考:取締役の第三者責任については、経営判断原則の適用につき、肯定説・否定説がある。
〇趣旨:株式会社は経済社会において重要な地位を占め、かつその活動が取締役の職務に依存することから、第三者を保護する点にある(判例)。
〇結論:そこで、役員等に対し、厳格な法定責任を課した。具体的には、
〇展開:①任務懈怠について、「悪意又は重過失」があれば、第三者に対し責任を負う。
〇展開:②直接・間接の区別困難は困難であることから、「損害」には広く間接損害も含む。
〇展開:③「第三者」には株主をも含む。もっとも、直接損害との関係に限られ、間接損害との関係においては、847条で損害回復可能であることから、該当しないと解される。
〇要件:④損害の(発生及びその)数額、及び⑤(任務懈怠との)因果関係
〇注意:債権者の債権回収不能は「間接」損害の典型例
〇注意:任務懈怠と悪意・重過失は分ける。失念しがち。
〇短文:「趣旨。よって、「悪意又は重大な過失」は任務懈怠についてで足り、また「損害」は広く間接損害を、さらに「第三者」には株主をも含むと解される。」

429条2項(法的性質)
〇趣旨:第三者の直接損害保護
〇理由:①情報開示は必要だが、内容虚偽の場合の危険性あり、及び②各号行為は類型的な任務懈怠
〇結論:(429条1項とは異なり)証明責任が転換された過失責任
〇補足:計算書類を閲覧した場合限り(因果関係が必要ゆえ。)。四季報でも類推適用(取引実態⇔名古屋高判)。

【計算】
会計帳簿
〇前提:閲覧請求であることを認定
〇問題:「請求者が…実質的に競争関係にある事業」(433条2項3号)
〇理由:①競業者による情報利用を事後的・実効的に規制することは困難(必要性)、②「目的」(同1号)との文言との対比から、3号では主観的意図を問わないと解される(許容性)。
〇要件:客観的に競争関係にあれば、
〇結論:主観的意図を問わず、適用可能と解される。
〇補足:会計帳簿の提出命令(434条)等と共に、合併等の問題点チェックに活用される。
〇補足:「…営み、又はこれに従事するもの」の該当性も認定する。例:株式保有のみ、子が経営等
〇参考:計算書類の閲覧等請求(442条3項)とは異なる。

資本原則
(〇参考:資本確定は放棄)
〇条文:資本充実(34条1項、63条1項、52条、211条等)
(〇参考:失権(36条3項、63条3項、208条5項)
〇条文:資本維持(445条3項・4項、461条、462条、463条等)
〇条文:資本不変(447条1項・309条2項9号、449条等)

剰余金の違法配当(461条1項8号違反)
〇問題:効力 (〇前提:剰余金の額(446条))
〇理由:①資本的結集のため株主有限責任(104条)を採用したことに対応し、債権者保護の必要性がある。②法令違反の機関決議が無効であることとの整合性から。
〇結論:無効(訴え不要)(多数説)
〇帰結:株主は原状回復義務(民法121条の2第1項)を負担
〇参考:「効力を生じた日」(463条1項)との文言、及び無効の場合に相手方に同時履行の抗弁権(民法533条類推)が認められる不都合等から、有効説(立法担当者)も有力。〇反論:462条1項は民法533の特則。
〇補足:議論の実益があるのは、分配可能額規制違反の自己株式取得等に限られる。●理解:反対給付あり。
〇補足:手続規制違反は原状回復義務(民法121条の2第1項)を負担。●理解:民法533なし。

違法配当に関する責任(461条~465条)
〇「金銭等の交付を受けた者」(株主等)(462条1項柱書)
・対会社:善意でも。無過失責任(462条2項反対解釈)。全額免除可(462条3項本文反対解釈)。
・対債権者:会社債権者から直接支払請求されうる(463条2項)。
(「帳簿価額(当該額が当該債権者の株式会社に対して有する債権額を超える場合にあっては、当該債権額)」(463条2項))cf.対会社は単に「帳簿価額」であることと異なる。
〇「業務執行者」(462条1項柱書)
・趣旨:各株主への請求は事実上困難なので。〇補足:大株主の場合には妥当せずだが。
・対会社:過失責任(462条2項)。原則免除不可(462条3項本文)。例外:分配可能額限度・総株主同意(462条3項但書)●確認:一部免除なし(理由)
・対債権者:N/A(429条の問題)
・補足:業務執行者等から「善意の株主」(463条1項)への求償不可。〇趣旨:求償者が違法行為者ゆえ。
〇「各号に定める者」(462条1項柱書)
(例(剰余金配当):「議案提案取締役」(株主総会(462条1項6号イ)、取締役会(462条1項6号ロ)))
・趣旨:各株主への請求は事実上困難なので。〇補足:大株主の場合には妥当せずだが。
・対会社:過失責任(462条2項)。原則免除不可(462条3項本文)。例外:分配可能額限度・総株主同意(462条3項但書)●確認:一部免除なし(理由)
・対債権者:N/A(429条の問題)
〇参考:監査役・会計監査人(436条1項・2項参照)は一般的責任のみ(423条1項、429条1項)
〇注意:429条2項(1号ロ・2号・3号・4号)あり。
〇補足:欠損が生じた場合の責任(465条)・刑事罰(963条5項2号)
●認識:自己株式取得⇒履行⇒株式取戻し(民法422類推):帳簿価額を支払ったので株式はもらえる。か。

【組織再編】
〇条文:定義(2条27号~32の2号)
〇合併等(748条以下)のポイント(条文を探せれば終わり):
①目次から凡そのあたりをつける。
②実体(契約書記載事項・効力等)or手続(775条以下) 
〇視点:「組織変更」・「持分」・「吸収」(株式交換)・「新設」(株式移転)・「出す側」・「受ける側」
③吸収合併をシッカリやり、後は応用。
④新設(詐害的なものを除く。)は出難いか。取引というよりは、組織変更的側面が強いため。
〇参考:会計帳簿閲覧請求権(433条1項)・会計帳簿の提出命令(434条)等も、事前手段として、合併等の問題点チェックに活用される。

【事業譲渡】
〇条文:特別決議(467条1項柱書、309条2項11号)
〇問題:株主総会の特別決議が必要な「事業…の譲渡・全部の譲受け」(467条1項1号・2号・3号)とは?
〇理由:譲受人の取引安全や株主の保護のため明確化すべく、「事業…譲渡」(21条1項)と同義と解される。
〇結論:そこで、①一定の事業目的のために組織化された有機的一体として機能する財産の移転、②譲受会社が事業を承継し、③譲渡会社が法律上当然に競業避止義務(21条1項)を負うものと解される。
〇参考:②・(特に)③の要否につき争いあり。〇認識:両方不要(21条以下の問題に過ぎず。)が近時有力。
〇参考:一部の譲受には決議不要(467条1項3号参照)∵事業縮小ではない。影響が小さい。
〇補足:反対株主の株式買取請求権(469条)
〇補足:債権者保護手続なし(∵個別同意が必要)

〇問題:決議を経ない場合の効力
〇理由:会社の基礎的変更として株主保護が重要。取引の相手方に調査を要求しても酷ではない。
〇結論:無効
〇展開:相手方からも無効主張は可能。
〇歯止:ただし、投機的な行為は、信義則(民法1条2項)違反の可能性あり。

【合併】株式会社が存続する吸収合併等
〇条文:契約(749条)
〇条文:効力(750条1項)
≪以下、手続≫
〇条文:事前(決議前)開示(782条・794条)
〇条文:特別決議(783条1項・795条1項、309条2項12号)
〇条文:略式・簡易(784条・796条)
〇条文:差止請求(784条の2・796条の2)〇補足:後述
〇条文:株式買取請求権(785条・797条)〇補足:新株予約権(787条・788条)消滅会社のみ
〇条文:債権者保護(789条・799条)
〇条文:事後開示(801条)〇認識:存続会社のみ
〇条文:登記(921条)

吸収合併等差止め(784条の2・796条の2)
〇趣旨:合併前への原状回復は困難 〇参考:他方で違法行為差止めは要件が厳しい。
〇問題:差止事由
〇要件:①法令・定款違反(1号)(〇注意:善管注意義務違反は非該当)、②「株主が不利益を受けるおそれ」(柱書)(当事者適格)
〇理由:784条の2項2号反対解釈
〇結論:対価が著しく不相当、というだけでは不可。
〇補足:2号は、略式・簡易(784条・796条)の話なので、これ以上は立ち入らない。

【株式交換・株式移転】
〇条文:2条31号・32号
〇原則:債権者保護不要
〇例外:株式交換(789条1項3号・799条1項3号)・株式移転(810条1項3号)

【吸収分割・新設分割】
〇条文(履行請求):吸収分割(759条2項・3項)・新設分割(764条2項・3項)
〇条文(詐害行為):吸収分割(759条4項本文(から7項))・新設分割(764条4項(から7項))
〇補足:詐害行為取消権(民法424条)の論点は残る。らしい。〇後述。

【訴訟】
【雑則】
・マニュアル:原告・被告・管轄を認定する(全て書くかは別)。
・無効又は取消しの判決の効力(839条)も失念しない。

設立無効の訴え(828条1項1号)〇場面:仮装払込み等
〇問題:無効事由(明文なし) ●確認:828条柱書に規定がないという一般的な問題
〇理由:法は、提訴期間(828条1項1号)・原告適格(同2項1号)を限定し、法的安定性を重視している。
〇結論:よって、設立における重大な瑕疵ある場合に限定される。
〇具体例:会社の本質に反する。法の要求を満たさず。等。
例えば、(1)失権手続(36条3項)(〇失権により設立手続の続行困難を回避する趣旨)の結果、発起人引受けなし(25条2項)、(2)「最低額」(27条4号)未達、(3)発起人の全員同意なし(32条)等
〇具体例:仮装払込みに係る責任(52条の2第1項・2項・3項)履行⇒瑕疵治癒(同条4項)

新株株式発行無効の訴え(828条1項2号)●検討:830・831との関係
〇問題:無効事由(明文なし)
〇理由:株式引受人、及び事業規模拡大後の多数の債権者等の保護のため。
〇結論:法の趣旨を没却する重大な法令・定款違反の場合に限り、無効と解される。
〇補足:自己株式処分も同様(同3号)
〇補足:新株発行不存在確認の訴え(829条1号)あり cf.自己株式処分の場合も同様(同2号)

〇事例:公開会社(2条5号)で取締役会決議(201条1項、199条2項)を欠く場合、会社内部の意思決定に過ぎず、引受人等の保護を重視。有効。
〇事例:有利発行で株主総会決議(199条3項、201条1項、199条2項、309条2項5号)を欠く場合、会社内部の意思決定に過ぎず、引受人等の保護を重視。有効。既存株主の保護は423・429等による。
〇事例:「著しく不公正な方法」で発行された場合、上記2例と同様(公開会社(2条5号)か否か等により調整する。)
〇事例:差止め(210条)の仮処分があった場合。通知・公告(201条3項・4項)を欠く場合。無効。
事前の株主保護・その機会の付与という制度趣旨に反する。cf.民事保全法23条1項
ただ、通知・公告を欠く場合については、差止事由の不存在を会社が立証した場合、無効はむしろ不当。有効。
〇事例:非公開会社(2条5号参照)の場合、有利発行でなくとも、株主総会の特別決議(199条2項、309条2項5号)が必要。それを欠くと無効。譲渡制限があり、利害関係人が増えない。株式発行無効の訴えの提訴期間が1年間と長い(828条1項2号かっこ書き)(〇趣旨:通知(206条の2第1項)・公告(同条2項))がなく、株主総会で初めて知るため。)。既存株主の持株比率維持の利益を重視。
〇事例:通知(206条の2第1項)・公告(同条2項)を欠く場合、無効。業務執行につき知り得ない株主に対し、差止めの機会を保障する趣旨を没却するため。
〇事例:株主総会決議(206条の2第4項)(補足:普通決議)を欠く場合も、無効。支配株主の異動は会社の基礎の変更であり、通常の経済的利益保護を超える。通知(206条の2第1項)・公告(同条2項)のみでは、特定引受人が有することとなる議決権数が不明。反対通知が10分の1に達したことも不明。
〇事例:経済的不利益のみであれば、代表訴訟(212条1項1号、847条1項・3項)で足りる。否定。公開会社(2条5号)では、持株比率の低下についても、市場での買い増しによる復活が可能。否定。
〇判例:通知(206条の2第1項)・公告(同条2項)の欠如以外に差止原因がなかった場合、例外的に無効主張不可とする(判例)。●確認

吸収合併無効の訴え(828条1項7号)
〇問題:無効事由(明文なし)
〇理由:①利害関係者が多数に上るため、提訴期間(828条1項7号)・将来効(839条)等、法は法的安定性を重視している、また②株主が被りうる損失は、株式買取請求等で補充することも可能である。
〇結論:そこで、重大な法令・定款違法の場合に限り、無効となると解される。
〇事例(×):合併比率の不公正(①交渉による合理的価格形成、②役員責任追及(429条等)、③買取請求)
〇事例(〇):契約無効。契約書の必要的記載事項無。総会取消し。債権者異議手続無。開示無。不実記載。等。

〇問題:株主総会決議取消しの訴えとの関係
〇理由:①組織再編行為自体の問題といえる。②適宜訴えの変更(民訴法143条)が可能。●検討
〇結論:そこで、効力発生後は、無効確認の訴えのみ提起可能と解される(吸収説)。
〇留保:取消原因の存在を無効原因として主張する場合、3ヶ月間の期間制限に服する(831条1項柱書)。
〇注意:事前・事後の分水嶺は(決議ではなく)効力発生 〇吸収説ゆえ効力発生前後でも分ける。●検討
〇補足:決議取消しは、無効事由(※1)。 決議取消し前でも、取消事由は、無効事由(多数説)(※2)
(※1)・(※2):かく解さねば提訴期間の遵守不可能。但し、取消事由主張は3か月以内のみ(失念注意。)。
〇補足:効力発生前(831条1項3号、784条の2)

会社分割(吸収・新設)無効の訴え(828条1項9号・10号)
〇理由:①資本金0円の設立も許容されている。②債権者保護手続きの問題に過ぎない。
〇結論:債務の「履行の見込み」(法782条1項・規則183条6号、法794条1項・規則192条7号、法803条1項・規則205条7号)がないことは、無効事由とならず(立法担当者)。〇認識:無効説あるがOK

詐害行為取消権(新設分割無効の訴えとの関係)
〇問題:「財産権」を目的としない組織的行為(民424条2項参照)該当性
〇理由:①2面性があるのみ。②債権者保護の必要あり(810条1項2号参照)。
〇結論:対象となる。
〇問題:新設分割無効の訴え(828条1項10号)との関係
〇理由:設立会社が存続困難となる法的不安定は、無効の訴えが限定的に認められる(839条等)趣旨を阻害。
〇結論:価格賠償に留める。可分な場合でも、一部に限定する(東京高裁判決平成22年10月27日)。

株主総会決議取消しの訴え(831条) cf.株主総会決議不存在・無効の訴え(830条)
〇訴訟要件:①原告適格(831条1項柱書)、②被告適格(834条17号)、③出訴期間(831条1項柱書)、④管轄(835条1項)、⑤訴えの利益(本案判決の必要性・実効性)〇参考:遡及効(839条)

〇趣旨:重大ではない瑕疵につき、公正を図りつつ、決議の効力を早期に確定させる。
〇私見:決議の内容が著しく不公正は、規定されていない。●認識:きりがないから。

〇事例:他の株主に対する招集通知漏れ
〇問題:「株主等」(当事者適格)
〇理由:会社経営の公正確保という趣旨。「株主等」以外の制限文言なし。
〇結論:該当する。
〇発展:議決権制限株式(108条1項3号)・単元未満株式(189条1項)は、内容の定款違反(831条1項2号)・著しく不当な決議(同3号)のみ。他は必要性がない。〇認識:これで良い(I)。●検討

〇効果:遡及的無効(839条反対解釈)
〇展開:第三者保護(908条・354条類推・423類推・429類推)

〇問題:「特別の利害関係」(831条1項3号)
〇理由:会社法上決議への参加自体は原則として認められており、限定的な解釈は不要。●検討
〇結論:株主としての資格を離れた個人的な利害関係と解される。〇補足:取締役とは異なる。
〇補足:解任決議対象の取締役は非該当(判例)。資本的多数決の原則や854条の存在等から。●前者は不要?
〇参考:自己株式の譲渡人(140条3項本文、160条4項、175条2項本文)

〇問題:「著しく不当な決議」(831条1項3号)〇認識:重要
〇理由:多数決の濫用を抑制する趣旨
〇結論:少数株主にとり不当に不利な決議
〇注意:文言上、「著しく不当な決議」には裁量棄却なし。

〇注意:(取消事由がある場合)最後に、では裁量棄却されないか、を検討する。重大・影響の両方あてはめる。

〇問題:取消事由の追加
〇理由:趣旨
〇結論:同じく3ヶ月以内
〇参考:招集通知(299条1項)●検討

〇問題:訴えの利益(否決の決議(最高裁H28.3.4))
〇理由:成立した決議に法的安定性を付与する制度趣旨。否決の場合、そもそも従前の法律関係に何ら影響なし。
〇結論:訴えの利益なし。
〇参照:304条ただし書き

〇問題:訴えの利益(選任決議に争いある場合)
〇結論:全員退任の場合、特別の事情のないかぎり、訴えの利益を欠くこととなる(最判S45.4.2)。
〇展開:(選任決議に争いがある役員で構成される取締役会により招集された)株主総会において新たに選任されたとしても、(いわゆる全員出席総会においてされた等の)特段の事情がない限り、訴えの利益が存する(判例)。

〇参考:組織再編行為の承認決議については、本案を差止請求(●)・取消訴訟(831条1項1号)とし、効力発生前の差止め仮処分(民事保全法23条2項)の申立てが可能。

〇株式会社の解散の訴え(833条1項1号)
①「会社が業務の執行のおいて著しく困難な状況」とは、株主・取締役が等分に対立し、業務の停滞打破や取締役の改選決議が困難な場合、②「やむを得ない事由があるとき」とは、必要な意思決定や業務継続が不可能となり、会社の存続自体が無意味になるほどに達し、別の公正かつ相当な方法で状況打破できない場合、と解される。
(東京地判平成28年2月1日)

売渡株式等の取得無効の訴え(846条の2)
〇問題:無効事由(明文なし)
〇理由:一人に株式が集中するのみであり、新たな法律関係の積み重ねはない。
〇結論:他の訴えと比較し、広い。
〇理由:市場価格がなく、不適正になりがち。投下資本回収の機会の有無が重要。
〇結論:非公開会社(2条5号参照)の場合、より広い。

株主代表訴訟(847条・847条の2) cf.多重代表訴訟(847条の3)
〇方針:「訴訟提起の請求(847条1項)、及び適宜株主代表訴訟(同条3項・5項)の提起が考えられる。」。「株主代表訴訟(847条1項、3項、5項、423条1項)」。〇参考:「解任」(339条1項、854条)
〇趣旨:取締役等に対する責任追及は、会社が行うのが原則。しかし、取締役等と他の会社関係者等との関係性から、不十分になりがち。そこで、株主が自ら(〇キーワード:馴れ合い防止)。
〇補足:管轄(848条)

〇問題:「責任」
〇理由:①会社が責任追及を怠る可能性がある点において等しく趣旨が妥当。(②文言上「責任」に限定なし。)
〇結論:取引上の債務も含まれる(判例)。
〇補足:職務範囲外の不法行為責任は除く。「役員等…の責任」なので。
〇補足:847条5項

〇参考:「いわゆる株主代表訴訟による損害賠償請求(847条3項、423条1項)」と表現する。
〇参考:株主でなくなった者の訴訟追行(851条)→更に平成26年会社法改正→847条の2
〇参考:「悪意」(847条の4)は、不当・不法な目的(東京高裁裁判例・通説)。趣旨から制限は必要最小限。

〇補足:会社が被告取締役に補助参加する場合、決定・代表機関は代表取締役等(前提として、監査役等の同意(849条3項)があるので。)。〇注意:会社自身の訴え提起と区別
〇参考:単なる訴訟参加は緩やかな要件で可能(849条1項本文)。●検討:問題にならずも前提として確認?

取締役解任の訴え(854条)
〇趣旨:株主総会決議による多数派選任に係る役員解(339条1項、341条)は困難。少数株主保護として。
〇論点:「役員を解任する旨の議案が株主総会において否決されたとき」
〇理由:趣旨
〇結論:流会の場合でも該当。
〇補足:監査役が代表(386条1項)・管轄(856条)

【登記】
登記(908条1項後段)
〇定義:「正当な事由」とは、登記制度の信頼性保護のため、天変地異等の客観的障害を指すと解される。
〇参考:商法9条1項後段

〇選任決議を欠く
「…については、選任決議を欠いている以上、原則として、取締役としての責任を負わない。
しかし、そもそも908条2項の趣旨は、帰責性ある者の負担の下、不実登記に対する第三者の信頼保護にある。
そこで、…をした者について、就任登記について承諾した等の帰責性があれば、例外的に責任を負うと解される(「登記した者」たる会社自体ではないことから、908条2項類推。)。
●検討:429条等の責任を負う。黙示も含む。〇私見:就任OKなら登記もOKしているはず。議論意味なし?

〇退任(登記未了)
「…については、既に退任している以上、原則として、取締役としての責任を負わない。
しかし、そもそも908条2項の趣旨は、帰責性ある者の負担の下、不実登記に対する第三者の信頼保護にある。
そこで、…をした者について、退任登記を経ない点につき明示的に承諾した等の帰責性があれば、例外的に責任を負うと解される(「登記した者」たる会社自体ではないことから、908条2項類推。)。
〇補足:429条等の責任を負う。退任登記には関与しないのが通常なので、黙示では足りない。

〇事実上の取締役
「…については、事実上の取締役として行動しているが、使用人に過ぎないので、取締役としての責任を負わない。」〇補足:908条2項類推も不可。

〇名目的取締役
「…については、取締役に就任している以上、原則として、取締役としての責任を負う(366条1項、362条2項2号の適用あり。)。
〇補足:例外あるかを検討。

〇補足:監視義務の免除は、424条によっても不可。〇理解:会社の根本的仕組みを害する(法が予定せず。)。
〇判例:新商号で(商号変更未了時に)した法律行為:908条1項前段の問題ではない。対抗不能は、(商号変更の事実のみであり)会社の存在・同一性ではない。それらが、新商号で表現されているか法律行為の解釈問題。

【その他】
〇「子会社」(2条3号)・「親会社」(2条4号)、〇定款変更(466条、309条2項11号)

ワヴィニー

日本の会社法は「全く知らない」というのもマズイかと考えまして、試みに…

律子

「『全く知らない』訳ではない」ということだけは、かろうじて理解できました(笑)。