民事訴訟法:「司法」∴ONLY

国際私法専攻する者は、常に実質法の勉強を怠らないように心掛けなければならない…」
(池原季雄『国際私法(総論)〔法律学全集〕』(有斐閣,1973)「執筆を終りて」)

Table of Contents

【留意点】

・「訴訟経済」は、具体化しよう。

管轄(合意管轄等)

・条文:管轄違い(16条)・遅滞を避けるため等のための移送(17条)
・論証:管轄合意は、訴訟行為ではあるが、法廷外での取引行為に付随することから、その意思表示の瑕疵等については、民法の規定を類推適用すべきと解される。

当事者(当事者の確定等)

・定義:訴え又は訴えられることによって判決の名宛人となる者(形式的当事者)
・趣旨:裁判籍(4条)・既判力の主観的範囲(115条1項1号)等を決するため
・論証:基準の明確性及び具体的妥当性との調和の観点から、当事者欄の記載のみならず、請求の趣旨・原因等、訴状の一切の記載を合理的に解釈して決せられる(実質的表示説)。

氏名冒用訴訟

・前提:実質的表示説→当事者は被冒用者
・手順:①被冒用者が原告か被告か、②判明時点が判決前か後か。
・処理:
①原告・判決前:訴え却下(冒用者に当事者適格なし。)。ただし、任意的当事者変更の余地あり。
②原告・判決後:上訴(312条2項4号)・再審(338条1項3号)
③被告・判決前:冒用者の手続排除(当事者適格なし。)。被冒用者への訴状送達から開始。
④被告・判決後:上訴(312条2項4号)・再審(338条1項3号)

死者を被告とする訴え

・前提:実質的表示説→当事者は死者
・原則:訴え却下(判決前)・無効(判決後)。二当事者対立(124条参照)がなく、訴訟要件を欠く。
・例外:
①訴え提起前に死亡。相続人が死者名義で応訴
相続人への任意的当事者変更が可能。相続人は、信義則(2条)上、従前の手続結果を否定できない。また、既判力は相続人に及ぶ。
②訴状発送後、受領前に死亡。
相続人による承継(124条1項1号類推)

任意的当事者変更



組合の当事者能力

・定義:民事訴訟の当事者となり得る一般的資格
・趣旨(29条):①活動実態に着目した紛争解決の合理性、②相手方当事者の提訴の負担軽減
・参考:権利能力なき社団について、固有の財産を有していることは、強制執行可能性の問題ではあっても、成立要件ではない。
・論証(組合):①社団と組合との区別は実際上困難であるところ、②上記趣旨が妥当する。よって、組合にも当事者能力は認められる。●確認:29条類推?
・参考:組合に関する訴訟(被告):①組合員全員、②組合、③業務執行組合員(明文なき任意的訴訟担当)
・展開:当事者能力の欠缺を看過した本案判決:①確定前:上訴(理由:訴訟要件。本来訴え却下。)。②確定後:ある程度の実体が存し、かつ代表者が訴訟追行していた場合、当該訴訟に限って当事者能力肯定(理由:再審事由に非該当。判決は有効。通説。)。

訴訟能力

・定義:単独で有効に訴訟行為をなし、又は受けることができる能力
・趣旨:訴訟追行不能な者の保護 ●確認:訴訟手続きの安定等も?
・論証:訴訟能力の欠缺
①訴え提起時:補正(34条1項前段)、応じなければ訴え却下(140条)。理由:訴え提起が無効であり、訴訟要件を欠く。
②訴訟係属後:個々の訴訟行為が無効。しかし追認可能(34条2項)。理由:手続の安定・明確化(取消し可能ではない理由。)→中断(124条1項3号)
③看過した判決:有効(違法だが無効ではない。)→上訴(312条2項4号)・再審(338条1項3号類推)
④看過した一審判決に対する控訴:適法として受理。一審判決取り消し。原審に差し戻して補正の機会付与。理由:控訴自体を不適法却下すると、違法な原審判決が確定してしまう。

訴訟代理・代表

・定義:当事者に代わり、当事者の名において訴訟行為をなし、又は受ける者
・趣旨:訴訟無能力者の能力の拡充、②訴訟手続きの円滑・迅速性
・論証:訴訟代理権の欠缺
①訴え提起時:補正(59条、34条1項)に応じなければ訴え却下(140条)。理由:訴え提起が無効であり、訴訟要件を欠く。
②訴訟係属後:訴訟行為は無効。しかし追認可能(59条、34条1項)。⇒中断(法定代理人の場合)(124条1項3号)
③看過した判決:上訴(312条2項4号)・再審(338条1項3号) ●確認:上記③同様(「類推」等)?上記の④は?
・補足:弁護士資格なき訴訟代理人による訴訟行為の効力(判例):本人等により追認されない限り、本人には及ばない。なお、弁護士資格がない点についての善意・悪意を問うか否かについては不明。

法人の代表者(表見法理)

・理由:①民法109条・会社法354条等は、取引の安全保護のための規定であり、それとは性質を異にする訴訟行為には適用されない。②会社法13条・商法24条も、取引の安全を保護しつつ、訴訟行為については適用除外している。
・結論:類推適用否定

境界確定の訴え

・結論:形式的形成訴訟
・理由:土地は課税上の単位となる等、公法上の単位であるから、裁判所が合目的的裁量に基づき権利・法律関係を形成する必要があり、当事者の権限を広く認めることは妥当ではない。
・参考:その他の形式的形成訴訟:共有物分割の訴え(民法258条)(通説。反対説あり。)、父を定める訴え(民法773条)

二重起訴の禁止(142条)

・趣旨:①判決間の矛盾抵触回避、②被告応訴の負担回避、③訴訟経済
 (③の趣旨があること等から、職権調査事項である。)
・要件:趣旨から、①当事者の同一性、及び②審判対象の同一性
 (訴訟担当等、判決効を受ける点において当事者と同視される者についても、①は肯定される。)
・効果:後訴が不適法却下となる。
 (適宜、求釈明(149条)や弁論の併合(152条)をすべき。)
・論点:後訴が看過され、判決がされた場合、上訴で取消しを求める。しかし、確定すれば、確定した後訴判決が優先する。
・論点:前訴・後訴共に確定し、抵触する場合、(訴え提起の前後に関わらず)後に確定した判決について再審(338条1項10号)により取り消されうる。それまでは、後に確定した判決が優先する。

二重起訴の禁止と相殺の抗弁(抗弁先行型)

・問題:「継続する事件」(142条)ではない。
・理由:前訴で相殺の抗弁について審理・判断がされるかは未確定であり、判決相互の矛盾抵触が生じる可能性が高いとは言えない。
・結論:142条類推適用否定 ●検討
・他説:①相殺の抗弁についての判断には既判力が生じる(114条2項)ことから、判決の矛盾抵触を回避するという二重起訴の禁止(142条)の趣旨が妥当する。②前訴被告は、前訴において反訴を提起すれば足り、別訴を提起する必要性がない。よって、142条が類推適用される。

二重起訴の禁止と相殺の抗弁(抗弁後行型)

・問題:「訴えを提起」(142条)ではない。
・理由:①前訴において判断がされる。②相殺の抗弁についての判断には既判力が生じうる(142条2項)。
・結論:142条類推適用肯定(平成3年判例) ●検討
・補足:上記判例は、併合審理されていても、裁判所の裁量による弁論の分離(152条1項)の可能性がある以上、判決相互の矛盾抵触のおそれありとしている。cf.平成18年判例は、予備的反訴(※)という理解をし、当該おそれを払しょくする。令和2年判例は、当該おそれから、そもそも分離を許さない。
・他説:相殺の抗弁について審理判断されるかは未確定であり、判決相互の矛盾抵触が生じる可能性が高いとは言えない。よって、142条類推適用否定。
・判例(令和2年9月11日):相殺による清算の要請は強く、そのような場合に分離すると二重起訴の禁止の趣旨に反する。よって、弁論の分離禁止。

二重起訴の禁止と相殺の抗弁(抗弁併存型)

・問題:原告から被告に対し2つの債権について別訴提起。被告が、同一の反対債権を以て、各訴訟において相殺の抗弁を主張。
・理由:①いずれも予備的抗弁であり、審理判断されるかは未確定であり、判決相互の矛盾抵触が生じる可能性が高いとは言えない。②一方の訴訟において審理判断されれば、原告が他方で相殺済みであることを主張し、二重に抗弁が主張されることを防止できる。
・結論:142条類推適用否定 ●検討
・他説:肯定説(二重の審理判断の危険ある。)

反訴原告による相殺の抗弁

・問題:本訴・反訴係属中、反訴原告が反訴請求債権を自働債権とする相殺の抗弁を提出
・理由:反訴原告として、特段の意思表示なき限り、相殺の抗弁について審理判断された場合には反訴請求をしない、という趣旨の予備的反訴(※)に変更したものと解される。
・結論:適法(平成18年判例)
・補足:予備的反訴の特徴(※)
①弁論の分離がされない。
②抗弁について審理判断されれば、反訴については判決・債務名義は得られない。
③処分権主義には反しない(理由:趣旨に反しない。①簡易・迅速な決済が反訴原告の目的、②反訴被告も、反訴が相殺の抗弁に劣後することで不意打ちを受けることはない。)。

訴訟要件と本案審理

・定義:本案判決をするための要件
・知識:訴訟経済という公益的要請から、原則として、職権調査事項。例外として、抗弁事項(例:仲裁契約、不起訴の合意)。抗弁事項については、弁論主義が妥当。職権調査事項については、職権探知主義(例:代理権)と両方ありうる。例えば、当事者適格・訴えの利益については、本案審理との密接関連性から、(職権調査事項だが)弁論主義が妥当する。
・論点:訴訟要件について判断される前に、本案審理において棄却の判断に至った場合について。訴訟要件は本案判決をするための要件であることから、原則として、訴訟要件についての判断を待って、本案判決をするべき。しかし、被告の利益保護や訴訟経済を趣旨とする訴訟要件(例:当事者適格、訴えの利益)については、そもそも訴訟要件とされている趣旨に反しないよう、その判断を待たずに請求棄却判決をすべきと解される。もっとも、第三者に判決効が拡張されうる場合、その根拠としての当事者適格についての調査結果を待って、本案判決をすべきと解される。

訴えの利益

・定義:本案判決の必要性・実効性を個々の請求内容について吟味するための要件
・趣旨:訴訟の効率確保

将来給付の訴えの利益



確認の訴え

・趣旨:権利・法律関係の確定により、権利侵害・紛争拡大等を予防する。

当事者適格



法定訴訟担当



任意的訴訟担当(明文なき)



訴訟物



処分権主義



弁論主義



自白



文書提出義務



証明責任



訴えの取下げ(261条)



請求の放棄・認諾(266条)



訴訟上の和解(267条)



既判力(全体)

・趣旨:①紛争の蒸し返し防止(必要性)、及び②手続保障の存在を前提とした自己責任(許容性)
・効果:請求棄却
・手順:まず、前訴のどの判断に既判力が生じているのか、認定する。

既判力(時的限界)

・条文:遮断効(民執法35条2項)
・注意:事実審の口頭弁論終結時(1点)なので、それ以前の事由に基づき、それ以前の権利関係を争うことは許される(例:前訴における元本支払請求棄却後の利息支払請求)。
・注意:「無効」は遮断される点に争いなし(各種論点は形成権の話)。

既判力(客観的範囲)

・種類:①同一、②先決、③矛盾
    (②は、前訴の訴訟物についての判断内容(訴訟物の存在を確定させる要件事実も含む。)が、後訴の訴訟物を導く関係をいう。)

既判力(主観的範囲)

・補足:訴訟物たる権利・法律関係を承継した者が「承継人」(115条3項)にあたる点については争いなし。

固有の訴えの客観的併合(136条):単純・選択的・予備的



訴えの変更(143条)



反訴(146条)



中間確認の訴え(145条)



通常共同訴訟(38条、39条)

●趣旨:事実上の審判の統一

必要的共同訴訟(40条)

●趣旨:事実上の審判の統一

訴えの主観的併合:単純・予備的・選択的

●趣旨:事実上の審判の統一

同時審判申出共同訴訟(41条)

●趣旨:事実上の審判の統一

共同訴訟参加(52条)



訴訟承継(49条・50条・51条)



主観的追加的併合(明文なし)



補助参加(42条)



共同訴訟的補助参加



独立当事者参加(47条)



●●●債権者代位訴訟



【控訴審】

1.手続
(1)第一審裁判所
・控訴期間(285条)・控訴提起の方式(286条1項)
・第一審裁判所による控訴の却下(287条1項)
・訴訟記録の送付(規則174条)

(2)控訴裁判所
・裁判長の訴状審査(288条、137条1項)・控訴状却下命令(288条、137条2項)
・控訴状の送達(289条1項)
・口頭弁論を経ない控訴の却下判決(290条)
・口頭弁論(87条1項)

2.終局判決
(1)判決
ア.控訴却下判決
イ.控訴棄却判決(302条1項):不服に理由なしゆえ、原判決を維持する本案判決
  (第一審判決の理由が不当であっても、他の正当化理由がある場合、控訴棄却判決MUST(302条2項)。理由:判決理由中の判断には既判力生じず。)
ウ.控訴認容判決:不服に理由ありとする本案判決
  (次の場合、控訴認容・原判決取消しMUST:①第一審判決の判断が不当(305条)、②原判決の手続に法律違反(306条))

(2)訴えに対する措置
   (原判決取消しの場合、訴えに対する応答が必要ゆえ。)
ア.自判(原則。第一審に続く事実審ゆえ。)cf.原判決取消し+自判=第一審判決の「変更」
イ.差戻し
(ア)必要的差戻し:原判決が訴え却下の場合の原則的対応(307条本文)。例外として、第一審で弁論が尽くされた場合(307条ただし書き)、不要。
(イ)任意的差戻し:事件につき(審級の利益を踏まえ)更に弁論をする必要があるとき(308条1項)。訴訟手続きの法律違反を理由とする場合、第一審の訴訟手続きは当然取消しとみなされる(308条2項)。
ウ.移送:原判決を専属管轄違背で取り消す場合(299条1項参照)、原審へ差戻しせず、第一審管轄裁判所への移送が必要(309条)。

ワヴィニー

日本の民事訴訟法は「全く知らない」というのもマズイかと考えまして、試みに…

律子

「『全く知らない』訳ではない」ということだけは、かろうじて理解できました(笑)。