民事訴訟法:「司法」

国際私法専攻する者は、常に実質法の勉強を怠らないように心掛けなければならない…」
(池原季雄『国際私法(総論)〔法律学全集〕』(有斐閣,1973)「執筆を終りて」)

Table of Contents

【留意点】

・「訴訟経済」は、具体化しよう。
・「当事者」は、適宜原告・被告の別を明確にしよう。
・法定代理人(32条)・訴訟代理人(55条)
・定期金による賠償を命じた確定判決の変更を求める訴え(117条)とその類推適用 ●検討:一部請求の議論との関係、既判力(客観的範囲)との関係
・適時提出主義(156条)、時機に遅れた攻撃防禦方法の却下(157条)
・当事者の欠席:①一方:陳述擬制(158条)(初回のみ)、擬制自白(159条3項)、準備書面記載の事実のみ主張可(161条3項)、終局判決可(244条)、②双方:期日終了(183条)、判決言渡し可(251条2項)、取下げ擬制(263条)、終局判決可(244条)
・違法収集証拠:考慮要素を明示し、利益衡量でOK
・確定判決の不当騙取(救済):①上訴の追完(97条)、②再審、③(論点)別訴(無効確認・損害賠償請求)(前訴の法的安定性との調和の観点から書けば足りる。)
・証拠保全(234条)
・固有の訴えの客観的併合の一般的要件:①同種の訴訟手続き(136条)、②併合禁止でない(行訴法16条1項)、③管轄(7条、13条) ●認識:出ない。

管轄(合意管轄等)

・条文:管轄違い(16条)・遅滞を避けるため等のための移送(17条)
・論証:管轄合意は、訴訟行為ではあるが、法廷外での取引行為に付随することから、その意思表示の瑕疵等については、民法の規定を類推適用すべきと解される。

【当事者】

当事者(当事者の確定等)

・定義:訴え又は訴えられることによって判決の名宛人となる者(形式的当事者)
・趣旨:裁判籍(4条)・既判力の主観的範囲(115条1項1号)等を決するため
・論証:基準の明確性及び具体的妥当性との調和の観点から、当事者欄の記載のみならず、請求の趣旨・原因等、訴状の一切の記載を合理的に解釈して決せられる(実質的表示説)。

氏名冒用訴訟

・前提:実質的表示説→当事者は被冒用者
・手順:①被冒用者が原告か被告か、②判明時点が判決前か後か。
・処理:
①原告・判決前:訴え却下(冒用者に当事者適格なし。)。ただし、任意的当事者変更の余地あり。
②原告・判決後:上訴(312条2項4号)・再審(338条1項3号)
③被告・判決前:冒用者の手続排除(当事者適格なし。)。被冒用者への訴状送達から開始。
④被告・判決後:上訴(312条2項4号)・再審(338条1項3号)

死者を被告とする訴え

・前提:実質的表示説→当事者は死者
・原則:訴え却下(判決前)・無効(判決後)。二当事者対立(124条参照)がなく、訴訟要件を欠く。
・例外:
①訴え提起前に死亡。相続人が死者名義で応訴
相続人への任意的当事者変更が可能。相続人は、信義則(2条)上、従前の手続結果を否定できない。また、既判力は相続人に及ぶ。
②訴状発送後、受領前に死亡。
相続人による承継(124条1項1号類推)

組合の当事者能力

・定義:民事訴訟の当事者となり得る一般的資格
・趣旨(29条):①活動実態に着目した紛争解決の合理性、②相手方当事者の提訴の負担軽減
・参考:権利能力なき社団について、固有の財産を有していることは、強制執行可能性の問題ではあっても、成立要件ではない。
・論証(組合):①社団と組合との区別は実際上困難であるところ、②上記趣旨が妥当する。よって、組合にも当事者能力は認められる。●確認:29条類推?
・参考:組合に関する訴訟(被告):①組合員全員、②組合、③業務執行組合員(明文なき任意的訴訟担当)
・展開:当事者能力の欠缺を看過した本案判決:①確定前:上訴(理由:訴訟要件。本来訴え却下。)。②確定後:ある程度の実体が存し、かつ代表者が訴訟追行していた場合、当該訴訟に限って当事者能力肯定(理由:再審事由に非該当。判決は有効。通説。)。

訴訟能力

・定義:単独で有効に訴訟行為をなし、又は受けることができる能力
・趣旨:訴訟追行不能な者の保護 ●確認:訴訟手続きの安定等も?
・論証:訴訟能力の欠缺
①訴え提起時:補正(34条1項前段)、応じなければ訴え却下(140条)。理由:訴え提起が無効であり、訴訟要件を欠く。
②訴訟係属後:個々の訴訟行為が無効。しかし追認可能(34条2項)。理由:手続の安定・明確化(取消し可能ではない理由。)→中断(124条1項3号)
③看過した判決:有効(違法だが無効ではない。)→上訴(312条2項4号)・再審(338条1項3号類推)
④看過した一審判決に対する控訴:適法として受理。一審判決取り消し。原審に差し戻して補正の機会付与。理由:控訴自体を不適法却下すると、違法な原審判決が確定してしまう。

訴訟代理・代表

・定義:当事者に代わり、当事者の名において訴訟行為をなし、又は受ける者
・趣旨:訴訟無能力者の能力の拡充、②訴訟手続きの円滑・迅速性
・論証:訴訟代理権の欠缺
①訴え提起時:補正(59条、34条1項)に応じなければ訴え却下(140条)。理由:訴え提起が無効であり、訴訟要件を欠く。
②訴訟係属後:訴訟行為は無効。しかし追認可能(59条、34条1項)。⇒中断(法定代理人の場合)(124条1項3号)
③看過した判決:上訴(312条2項4号)・再審(338条1項3号) ●確認:上記③同様(「類推」等)?上記の④は?
・補足:弁護士資格なき訴訟代理人による訴訟行為の効力(判例):本人等により追認されない限り、本人には及ばない。なお、弁護士資格がない点についての善意・悪意を問うか否かについては不明。

法人の代表者(表見法理)

・理由:①民法109条・会社法354条等は、取引の安全保護のための規定であり、それとは性質を異にする訴訟行為には適用されない。②会社法13条・商法24条も、取引の安全を保護しつつ、訴訟行為については適用除外している。
・結論:類推適用否定

【訴訟の開始】

境界確定の訴え

・結論:形式的形成訴訟
・理由:土地は課税上の単位となる等、公法上の単位であるから、裁判所が合目的的裁量に基づき権利・法律関係を形成する必要があり、当事者の権限を広く認めることは妥当ではない。
・参考:その他の形式的形成訴訟:共有物分割の訴え(民法258条)(通説。反対説あり。)、父を定める訴え(民法773条)
・論点:原告適格:紛争の抜本的解決に資することから、隣接土地の所有者に認められる。よって、隣接地全体について時効取得がされた場合には、所有者で亡くなった者の当事者適格は失われる。

二重起訴の禁止(142条)

・趣旨:①判決間の矛盾抵触回避、②被告応訴の負担回避、③訴訟経済
 (③の趣旨があること等から、職権調査事項である。)
・要件:趣旨から、①当事者の同一性、及び②審判対象の同一性
 (訴訟担当等、判決効を受ける点において当事者と同視される者についても、①は肯定される。)
・効果:後訴が不適法却下となる。
 (適宜、求釈明(149条)や弁論の併合(152条)をすべき。)
・論点:後訴が看過され、判決がされた場合、上訴で取消しを求める。しかし、確定すれば、確定した後訴判決が優先する。
・論点:前訴・後訴共に確定し、抵触する場合、(訴え提起の前後に関わらず)後に確定した判決について再審(338条1項10号)により取り消されうる。それまでは、後に確定した判決が優先する。

二重起訴の禁止と相殺の抗弁(抗弁先行型)

・問題:「継続する事件」(142条)ではない。
・理由:前訴で相殺の抗弁について審理・判断がされるかは未確定であり、判決相互の矛盾抵触が生じる可能性が高いとは言えない。
・結論:142条類推適用否定 ●検討
・他説:①相殺の抗弁についての判断には既判力が生じる(114条2項)ことから、判決の矛盾抵触を回避するという二重起訴の禁止(142条)の趣旨が妥当する。②前訴被告は、前訴において反訴を提起すれば足り、別訴を提起する必要性がない。よって、142条が類推適用される。

二重起訴の禁止と相殺の抗弁(抗弁後行型)

・問題:「訴えを提起」(142条)ではない。
・理由:①前訴において判断がされる。②相殺の抗弁についての判断には既判力が生じうる(142条2項)。
・結論:142条類推適用肯定(平成3年判例) ●検討
・補足:上記判例は、併合審理されていても、裁判所の裁量による弁論の分離(152条1項)の可能性がある以上、判決相互の矛盾抵触のおそれありとしている。cf.平成18年判例は、予備的反訴(※)という理解をし、当該おそれを払しょくする。令和2年判例は、当該おそれから、そもそも分離を許さない。
・他説:相殺の抗弁について審理判断されるかは未確定であり、判決相互の矛盾抵触が生じる可能性が高いとは言えない。よって、142条類推適用否定。
・判例(令和2年9月11日):相殺による清算の要請は強く、そのような場合に分離すると二重起訴の禁止の趣旨に反する。よって、弁論の分離禁止。

二重起訴の禁止と相殺の抗弁(抗弁併存型)

・問題:原告から被告に対し2つの債権について別訴提起。被告が、同一の反対債権を以て、各訴訟において相殺の抗弁を主張。
・理由:①いずれも予備的抗弁であり、審理判断されるかは未確定であり、判決相互の矛盾抵触が生じる可能性が高いとは言えない。②一方の訴訟において審理判断されれば、原告が他方で相殺済みであることを主張し、二重に抗弁が主張されることを防止できる。
・結論:142条類推適用否定 ●検討
・他説:肯定説(二重の審理判断の危険ある。)

反訴原告による相殺の抗弁

・問題:本訴・反訴係属中、反訴原告が反訴請求債権を自働債権とする相殺の抗弁を提出
・理由:反訴原告として、特段の意思表示なき限り、相殺の抗弁について審理判断された場合には反訴請求をしない、という趣旨の予備的反訴(※)に変更したものと解される。
・結論:適法(平成18年判例)
・補足:予備的反訴の特徴(※)
①弁論の分離がされない。
②抗弁について審理判断されれば、反訴については判決・債務名義は得られない。
③処分権主義には反しない(理由:趣旨に反しない。①簡易・迅速な決済が反訴原告の目的、②反訴被告も、反訴が相殺の抗弁に劣後することで不意打ちを受けることはない。)。

訴訟要件と本案審理

・定義:本案判決をするための要件
・知識:訴訟経済という公益的要請から、原則として、職権調査事項。例外として、抗弁事項(例:仲裁契約、不起訴の合意)。抗弁事項については、弁論主義が妥当。職権調査事項については、職権探知主義(例:代理権)と両方ありうる。例えば、当事者適格・訴えの利益については、本案審理との密接関連性から、(職権調査事項だが)弁論主義が妥当する。
・論点:訴訟要件について判断される前に、本案審理において棄却の判断に至った場合について。訴訟要件は本案判決をするための要件であることから、原則として、訴訟要件についての判断を待って、本案判決をするべき。しかし、被告の利益保護や訴訟経済を趣旨とする訴訟要件(例:当事者適格、訴えの利益)については、そもそも訴訟要件とされている趣旨に反しないよう、その判断を待たずに請求棄却判決をすべきと解される。もっとも、第三者に判決効が拡張されうる場合、その根拠としての当事者適格についての調査結果を待って、本案判決をすべきと解される。

【訴えの利益】

訴えの利益

・定義:本案判決の必要性・実効性を個々の請求内容について吟味するための要件
・趣旨:訴訟の効率確保

将来給付の訴えの利益

・論点:「あらかじめその請求をする必要がある場合」(135条)については、義務者の態度、給付義務の目的・性質等を考慮し、紛争解決の必要性・実効性を吟味する。
・論点(継続的不法行為):将来における、①権利発生の蓋然性及び②被告の防御の負担との調和の見地から、①請求権の基礎となるべき事実関係・法律関係既に存在し、その継続が予想され、②請求権の成否・内容につき債務者に有利となりうる将来の事情変動予め明確に予測しうる事由に限られ、③請求異議の訴えによりその発生を証明してのみ執行阻止しうるという負担債務者に課して格別不当とは言えない場合には、認められる。

確認の訴え

・趣旨:権利・法律関係の確定により、権利侵害・紛争拡大等を予防する。
・理由:確認の訴えについては、①対象が無限定であり、②確認判決に執行力等がないことから紛争解決方法として迂遠であることから、その要件は厳格とすべき。
・要件:そこで、①対象選択の適否、②方法選択の適否、③即時確定の利益
・補足:旧説・新説で争いなし。実体法上の権利・法律関係が訴訟物。

・要件①:対象選択の適否:原則として、「自己の」●確認・「現在の」・「権利・法律関係」についての「積極的」確認
・論点:過去の権利・法律関係は、変化しうることから、原則として確認対象としては不適当。しかし、それにより、現在の紛争を抜本的に解決できる場合、例外的に対象として認められる。
・論点:将来の権利・法律関係は、発生するか否か不確定であることから、…。〇具体例:遺言無効確認の訴え(遺言者生存中)。〇判例:即時確定の利益も否定(死亡による効力発生までいつでも取消し可能ゆえ。)。
・論点:事実の確認は、法的解決とならないことから、…。〇具体例:証書真否確認の訴え(134条の2)
・論点:具体的相続分は、遺産分割・遺留分確定等の前提問題に過ぎず、実体のある権利・法律関係とはいえないことから、…。〇補足:例外なし。〇判例:即時確定の利益も否定。●検討

・要件②:方法選択の適否
・論点:債務不存在確認訴訟

・要件③:即時確定の利益
前述

【当事者適格】

当事者適格

・定義:ある訴訟物について、自ら訴訟追行し、本判決を求め得る資格
・趣旨:紛争解決の実効性確保、及び訴訟の効率
・基準:法的利益(原告)・不利益(被告)の帰属主体
・論点:権利能力なき社団についての登記請求:実体法上、社団名義の登記は認められず、登記手続請求権の主体とはなりえない。よって、代表者名義の登記のみ存する前提において、代表者にのみ当事者適格がある。
・判例(平成26年2月27日):権利能力なき社団は、代表者個人名義への登記手続請求の原告適格を有するか。この点、構成員全員に総有的に帰属する不動産であり、実質的には社団が所有しているとの実態がある。よって、社団に原告適格を認めることが、簡明かつ当事者の意識にも沿い、紛争解決の実効性確保に資する。

第三者の訴訟担当

・前提:当事者適格の話
・定義:実質的利益帰属主体に代わり、第三者に訴訟追行権が認められる場合をいう。
・種類:1:法定訴訟担当:(1)管理処分権付与に基づくもの(民法423条)、(2)職務上の当事者(人訴法上の検察官等)、2:任意的訴訟担当:(1)明文あり(選定当事者(30条))、(2)明文なし(論点)
・補足:選定当事者(30条):趣旨:審判の統一、訴訟経済。要件:①29条非該当、②「共同の利益」(※)
(※)請求について、同一の事実上又は法律上の原因に基づき、かつ、主要な争点ないし攻撃防御方法を共通にすることで足りる(最判昭和38年4月17日)

債権者代位訴訟

・論点:債務者が訴訟へ参加することの可否:債務者は被代位債権について処分権を失わず、当事者適格を有する。よって、参加は許される(民法423条の5)。●確認:現在では論点ではない。はず。●認識:では具体的に如何なる形態によるのか、が下記の論点。

・論点:債務者による独立当事者参加(47条)の可否:債務者が、債権者の有する被保全債権の存在を争う場合、債務者参加人による請求と本訴請求とが実体法上両立しえない関係にあることから、参加は許される。

・論点:債務者による独立当事者参加(47条)は二重起訴の禁止(142条)に触れないか。併合審理が確保されるため、二重起訴の禁止の趣旨、即ち①判決の矛盾抵触の回避、②被告応訴の煩、及び③訴訟経済に反しない。よって、参加は二重起訴の禁止に反しない。

・論点:他の債権者による訴訟への参加の可否:債権者間の平等を図る必要があることから、当事者適格が認められ、参加は許される。

相続・遺言関連

・論点:相続財産清算人の当事者適格:相続財産に関する訴訟においては、相続財産帰属主体たる相続人に当事者適格が存する。相続財産清算人が選任された場合においても、相続財産清算人は相続人全員の法定代理人として相続財産の管理・清算を行うに過ぎない(「相続人…に代わって」(民法936条2項))。よって、相続財産清算人には、固有の当事者適格は有しない。

・論点:遺言執行者:遺言執行者がある場合、遺言執行者は遺言執行に必要な一切の行為をする権利義務を有しており(民法1012条1項)、相続人は相続財産についての管理処分権を有しない(同1013条1項)。よって、受遺者による遺贈債務履行請求訴訟においては、相続人の法定訴訟担当としての遺言執行者が当事者(被告)適格を有する。
他方、相続人は、遺言無効及び相続財産についての自己の持分確認訴訟を提起する場合、遺言執行者に当事者(被告)適格が存する。
しかし、遺贈目的物についての遺言執行たる所有権移転登記が完了した後においては、①遺言執行者が登記について権利義務を有せず、②それにも関わらず遺言執行者を相続関連紛争から解放しないことは不当であることから、相続人による抹消請求については受遺者に当事者(被告)適格が存する。

任意的訴訟担当(明文なき)

・理由:訴訟関係の簡明性確保、及び法が明文ある選定当事者(30条)以外に認めないとする理由がない。
・要件:そこで、①認める合理的必要性があり、かつ②弁護士代理の原則(54条)及び訴訟信託禁止の原則(信託法10条)の趣旨潜脱のおそれがない場合には、認められると解される。
・具体例:業務執行組合員
・認識:被担当者のために一生懸命やるか。そのための義務・責任があるか。利害対立の内容・程度はどうか。

【訴訟物】

訴訟物

・論点:①実体法との調和、及び②基準の明確性から、実体法上の権利・法律関係が訴訟物であると解される。

【処分権主義】

処分権主義(246条)

・定義:訴訟の開始・対象・終了について当事者の権能とすること。
・趣旨:①実体法上の私的自治の原則の訴訟法上の反映として、原告の合理的意思を尊重し、かつ②被告に対する不意打ちを防止する。●理解:①が必要性、②が十分性(①限りであり、裁判所の権限ではない。)。

一部認容判決

・問題:「当事者が申し立てていない事項」(246条)ではないか可否が問題となるが、①原告の合理的意思に反せず、かつ②被告に対する不意打ちにもならないことから、処分権主義の趣旨に反せず、許されると解される。
・注意:量的は簡単。質的が問題。
・補足:立退料(借地借家法28条)は、原告が申し出ることにより、初めて正当事由の補完事情となる。

一部請求(残部請求)

・論点:処分権主義の趣旨である…から、また被告は残部の不存在確認の反訴提起が可能となることから、一部請求であることを明示すれば、前訴の訴訟物はその一部に限定され、後訴での残部請求は別の訴訟物として認められる。
・注意:平成10年判例(自説)の論理は、前訴の訴訟物は明示された一部であること、したがって前訴判決の既判力(客観的範囲)も当該訴訟物に限定されることを前提として、残部請求は実質的に不存在とされた残部についての蒸し返しであり信義則(2条)により制限される、とするもの。他説として、残部についても不存在が確定され残部請求は既判力により遮断される、とする説がある。しかし、当該他説に対しては、訴訟物・既判力(客観的範囲)が判決の結果を待って確定するのは妥当ではない、との批判がある。
・応用:後遺症による損害賠償請求も同様。明示、というよりは、(示していなくとも、①不可能だったのであり、②一部であることは)明らか、ということ(判例)。③前訴請求もその前提で判断している、ということもあり。●補足:時的限界の問題とする説も有力らしいが(不可能だったので主張を期待できなかった。と。)。

一部請求(相殺)

・論点:残部について他の訴訟での相殺の抗弁に供することの可否。一部であることの明示がある場合、訴訟物は当該一部に限定されることから、債権の分割行使が権利濫用(2条●確認)等にあたる等の特段の事情がない限り、許される。
・論点:一部請求と相殺:原告の合理的意思に適うことから、全額から過失相殺をし、①その残額が請求額を超える場合、全額につき認容し、②超えない場合には、残額につき認容すべき(外側説)。
・補足:相殺の抗弁か、過失相殺か。
・補足:過失相殺の場合、単なる相殺の抗弁とは異なり、外側説・内側説における各総額が決まっていないと両説による処理は不可能。しかし、按分説によれば可能。●認識:あくまで参考程度。

一部請求(消滅時効)

・論点:一部請求による時効の完成猶予:
明示がある場合、訴訟物は当該一部であることから、時効完成猶予の効果も当該部分に限定される。一部弁済の抗弁等が認められ、債権総額が認定された場合でも、それは判決理由中の判断に過ぎず、残部の存在が既判力を以て確定された訳ではないことから、同様。
明示ない場合、訴訟物は債権全部であることから、時効完成猶予の効果も全体に及ぶ。
・論点:裁判上の催告の効果:一部・残部は請求原因事実が同じであり、通常、残部を請求しない意思で一部請求している訳ではないと解される。●検討

不存在確認の訴え

・論点:金額を明示しない債務不存在確認の訴えについても、訴状の請求原因の記載により債務の発生原因が明らかになる以上、訴訟物の特定として足りる。
・論点:訴訟物:債務不存在確認訴訟は給付請求訴訟の反対形相であることから、債務の上限額と自認額と差額の債務不存在が、訴訟物となる。
(・補足:差額より低い金額の不存在を認定した場合、不存在と認められた差額部分についての一部認容判決となる。既判力は、当該差額部分の不存在(認容部分)、及び存在が認められてしまった差額部分の存在(棄却部分)について生じる。)
・論点:債務の上限を示さない一部認容判決の可否:請求の趣旨・原因、一件記録から、債務総額を確定した上で、一部認容判決をすべき。●検討
・論点:自認額と既判力:訴訟物は債務の上限額を自認額との差額の債務不存在であることから、自認額については訴訟物ではなく、既判力は生じない。
・債務不存在確認の本訴に対し、債権請求訴訟の反訴が提起された場合、本訴は訴えの利益を失い却下される(判例)。反訴の訴額が本訴の訴額に満たない場合には、反訴の訴額について訴え却下され、本訴の残額については本案判決がされる。

【弁論主義】

弁論主義

・定義:事実・証拠の収集・提出を当事者の権能・責任とする建前
・趣旨:実体法上の私的自治の訴訟法的反映
・種類:①第1テーゼ:裁判所は、当事者の主張しない事実を判決の基礎として採用してはならない。②第2テーゼ:裁判所は、当事者間に争いのない事実はそのまま判決の基礎としなければならない。③第3テーゼ:裁判所は、当事者間に争いのある事実を認定するには、当事者の提出した証拠によらなければならない(職権証拠調べの原則禁止)。
・論点(第1・2テーゼ):間接事実・補助事実に自白の拘束力を認めると自由心証主義(247条)に反するおそれがあることから、「事実」とは主張事実のみをいう。
・論点(抽象的概念・規範的要件):それら自体は法的事項として裁判所が職権で判断できるが、それを基礎付ける具体的事実は主要事実であり、当事者による主張・立証を要する。●注意:以下「立証」にも言及。
・論点(一般条項):公益的事項であることから、当事者による主張・立証は不要であり、裁判所が適宜採用・判断できる。●理解:すべき。
・論点(過失相殺):抽象的概念と同様でOK。●認識:単なる「過失」よりは公益性ありなので、その分、不意打ち防止の観点は弱まるのだろう。

釈明権(149条)

・意義:裁判所が、当事者に対し、事実上・法律上の事項について質問し、立証を促す権能
・趣旨:弁論主義による支障を是正し、適正・公平な裁判を行う。
・論点(積極的釈明):①適正な裁判を行うため行使の必要性が高く、かつ②当事者の公平を害さない場合には、認められる。●私見

【当事者の訴訟行為】

訴訟契約(明文なし)

・論点:この点、訴訟の適正・円滑等の観点から、原則として、当事者による手続の選択は許されない(任意訴訟禁止の原則)。そこで、①処分権主義・弁論主義の妥当する範囲内であり、かつ②合意による効果が明確に予測可能なものであれば、明文なき訴訟契約も認められると解される。
・論点:もっとも、訴訟外で締結されることから、その法的性質はあくまで私法契約である。
①よって、裁判所としては、当事者の抗弁等に応じ、適宜訴え却下・証拠申出却下等をすることとなる。
②よって、訴訟契約(明文なし)には、民法の意思表示に関する規定が適用される。

訴訟行為と表見法理

・論点(訴訟上の和解):この点、①互譲という取引的性質があり、私法上の和解と大差はない。②その後に訴訟行為が積み重ならず、手続の安定を害しない。③私法上の和解としては有効であり、結局別訴提起されることとなる。よって、訴訟上の和解については、表見法理の適用が認められる。

訴訟上の形成権の行使

・論点(相殺の抗弁等の形成権が157条等により却下された場合):この点、①訴訟上の形成権の行使は私法行為・訴訟行為の二面性を有するところ、相殺する者の合理的意思としては、訴訟行為としての実質を失った場合には私法上の効果も発生させない解除条件付きの行為と解される。よって、かかる形成権の行使については、私法上の効果も失われると解される。●確認:私法上の効果が失われないとすると、相殺済みなので実体法上改めて相殺できず、他方で訴訟上も既判力により遮断されるので不都合。だったかと。

相殺の再抗弁

・論点(相殺の再抗弁):この点、①仮定に仮定を積み重ね、審理を複雑化する、②他方、原告は訴えの追加的変更等によることが可能である。よって、許されない。
・論点(裁判外で相殺し裁判上主張):実体法上の効果が発生していることから、仮定に仮定を積み重ねることにはならない。よって、許される。もっとも、紛争の蒸し返し防止のため反対債権の不存在に既判力を付与すべく、114条2項は類推適用される。

【証拠】

自白

・定義・要件:①口頭弁論期日又は弁論準備手続期日における、②相手方の主張と一致する、③自己に不利益な、④事実の陳述
・論点(③):基準の明確性から、相手方が証明責任を負うことを意味すると解される。
・論点(④):間接事実・補助事実は、主要事実認定との関係において証拠と同様の機能を有することから、それらについてまで自白の拘束力を及ぼすと自由心証主義(247条)を害する。
・効果:①裁判所の審判排除効(弁論主義の第2テーゼ)、②自白当事者の不可撤回効(信義則・禁反言(2条))、③相手方の不要証効(179条)●検討:論理的関係(③⇒①⇒②か。)
・論点(撤回):この点、信義則・禁反言(2条)違反とならないことから、①相手方の同意がある場合、②刑事上罰すべき他人の行為により自白がなされた場合(338条1項5号参照)、③内容が反真実かつ錯誤に基づく場合においては、許されるものと解される。

権利自白

・定義:訴訟物たる権利・法律関係の前提となる権利・法律関係についての自白
・効果:③不要証効(179条)あり。①審判排除効(弁論主義の第2テーゼ)・②不可撤回効(信義則・禁反言(2条))
・論証:この点、法律判断は裁判所の専権事項であることから、原則として、審判排除効は認めれない。また、不可撤回効も認めらない。しかし、所有権・売買等の日常的な法律概念に関するものであり、その基礎にある事実の自白と認められる場合には、例外的に審判排除効・不可撤回効が認められると解される。

証明責任

・根拠:①実体法との調和、及び②基準の明確性
・参考:準消費貸借

文書提出義務

(文書提出義務)
第二百二十条 次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。
 一 当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するとき。
 二 挙証者が文書の所持者に対しその引渡し又は閲覧を求めることができるとき。
 三 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。
 四 前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。
  イ 文書の所持者又は文書の所持者と第百九十六条各号に掲げる関係を有する者についての同条に規定する事項が記載されている文書
  ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの
  ハ 第百九十七条第一項第二号に規定する事実又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書
  ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)
  ホ 刑事事件に係る訴訟に関する書類若しくは少年の保護事件の記録又はこれらの事件において押収されている文書

第百九十七条 次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。
一 第百九十一条第一項の場合
二 医師、歯科医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、弁護人、公証人、宗教、祈祷とう若しくは祭祀しの職にある者又はこれらの職にあった者が職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて尋問を受ける場合
三 技術又は職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合
2 前項の規定は、証人が黙秘の義務を免除された場合には、適用しない。

・趣旨:当事者の実質的公平を図る。
・論点(「公務員の職務上の秘密」(220条4号ロ前段):この点、同条項の趣旨は公務の公正・円滑な運営にある。よって、…とは、①公務員の所掌事項に属する秘密に限らず、②公務員が職務遂行上知った私人の秘密であって、公にされることにより当該私人との信頼関係が損なわれるものを含むと解される。
・論点(「その提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれ」(220条4号ロ後段):この点、文書提出義務を一般義務化した220条4号の趣旨から限定的に解釈すべく、…は、文書の性格・記載内容から具体的に認められるものに限られる。
・論点(「技術又は職業の秘密」(220条4号ハ、197条1項3号)):この点、文書提出義務を一般義務化した220条4号の趣旨から限定的に解釈すべく、…とは、それが公開されると、①当該技術の有する社会的価値が下落しこれによる活動が困難になるもの、又は②当該職業に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になるものを意味する。
・論点(「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」(220条4号ニ):この点、文書提出義務を一般義務化した220条4号の趣旨から限定的に解釈すべく、①専ら内部者の利用に供する目的で作成され、外部者に開示することが予定されていない文書であって、②開示により所持者に看過し難い不利益が生ずるおそれがあると認められる場合には、③特段の事情がない限り、ここにいう文書あたると解される。

【訴訟の終了】

訴えの取下げ(261条)

・趣旨:処分権主義(246条)の訴訟終了面における原告の意思の反映
・論点(意思表示に関する民法の規定の適用):この点、訴訟手続きの安定のため、否定される。しかし、刑事上罰すべき他人の行為による場合に限り、取下げ可能と解される(338条1項5号類推)
・補足:訴えの取下げに限らない話として。①訴訟前・外の合意、及び②訴訟を終了する合意(訴え取下げ)には民法の類推適用を肯定する見解も有力らしい。①訴訟手続きと関連なく、②手続の積み重ねないことから。
・論点(「同一の訴え」(262条2項)):この点、裁判を取ろうに帰せしめたことへの制裁という再訴禁止効(242条2項)の趣旨に照らし、①当事者、②訴訟物の同一の他、③訴えの利益も同一の場合に限定される。

請求の放棄・認諾(266条)

・趣旨:処分権主義(246条)の訴訟終了面における原告・被告の意思の反映
・論点(訴訟要件の具備):この点、既判力を生じる以上、本案判決同様、訴訟要件を具備する必要がある。
・論点(「確定判決と同一の効力」(267条1項)):この点、紛争の蒸し返し防止のため、文言通り、既判力が認められる。もっとも、私的自治に由来する処分権主義(246条)反映という制度趣旨に照らし、当事者の意思を考慮する必要性・許容性が認められる。そこで、意思表示に瑕疵がある場合、無効・取消しを主張し、期日指定を求めることができる。

訴訟上の和解(267条)

・趣旨:処分権主義(246条)の訴訟終了面における当事者の意思の反映
・論点(訴訟要件の具備):この点、起訴前和解(275条)が認められる等、請求の放棄・認諾と比較し、私的自治に由来する処分権主義(246条)による自主的紛争処理の要請が強い。よって、不要と解される。
・論点(「確定判決と同一の効力」(267条1項)):この点、紛争の蒸し返し防止のため、文言通り、既判力が認められる。もっとも、私的自治に由来する処分権主義(246条)反映という制度趣旨に照らし、当事者の意思を考慮する必要性・許容性が認められる。そこで、意思表示に瑕疵がある場合、無効・取消しを主張し、期日指定を求めることができる。
・論点(無効・取消しの主張方法):この点、①期日指定申立てによれば、旧訴の訴訟資料を流用できる点、当事者の公平や訴訟経済に適う、他方で、②和解に関連した別個の問題・紛争という側面もあり、別訴によることも合理的である。そこで、選択的にいずれの方法によることも可能と解される。〇補足:別訴は、和解無効確認の訴え・請求異議の訴え。
・論点(訴訟上の和解の内容をなす司法上の和解契約の解除がされた場合):この点、かかる解除は、訴訟上の和解成立後に生じる別個の紛争である。そこで、(旧訴復活はせず、かつ二重起訴の禁止には触れないことから、)新訴提起によるべきである。

【既判力】

既判力(全体)

・意義:確定判決の内容の後訴における通用性・拘束力
・趣旨:①紛争の蒸し返し防止(必要性)、及び②手続保障の付与を前提とした自己責任(許容性)●理解:①は、蒸し返し防止のため広げる場合と、蒸し返し防止の趣旨に適う範囲に限定する場合と、がある。
・種類:①同一、②先決、③矛盾(②は、前訴の訴訟物についての判断内容(訴訟物の存在を確定させる要件事実も含む。)が、後訴の訴訟物を導く関係をいう。)
・作用:①消極的作用(当事者は、既判力の生じた判断を争えない。後訴裁判所も、争う主張を排斥しなければならない。)、②積極的作用(後訴裁判所は、既判力を生じた判断に拘束される。)
・効果:請求棄却
・手順:まず、前訴のどの判断に既判力が生じているのか、認定する。当該既判力によっては、後訴における主張は遮断されないことを認定する。そこから解釈論や信義則(2条)の話にある。スタートライン。
・論点(訴訟判決の既判力):「主文に包含するもの」(114条1項)が存在しないことから、問題となる。この点、既判力の趣旨たる…が妥当することから、肯定される。もっとも、訴訟能力・代理権の存在は、個々の訴訟行為自体の有効要件であることから、既判力は生じない。●理解:別問題、ということ。だろう。
・参考:限定承認については、①客観的範囲(原告側の主張)、及び②時的限界(被告側の主張)が問題となる。
・参考:既判力の拡張・縮減 ●私見:あまり

既判力(時的限界)

・条文:遮断効(民執法35条2項)
・趣旨:既判力の趣旨たる①紛争の蒸し返し防止のため、限界を設ける必要がある一方、②自己責任を正当化する手続保障が当事者に及んでいる必要がある。そこで、(原則として、)事実審の口頭弁論終結時とされる。●理解:時的限界には例外なし。か。
・注意:事実審の口頭弁論終結時(1点)なので、それ以前の事由に基づき、それ以前の権利関係を争うことは許される(例:前訴における元本支払請求棄却後の利息支払請求)。
・注意:「無効」は遮断される点に争いなし(各種論点は形成権の話)。
・理解:各論点については、問題となっている権利の性質を踏まえ、趣旨から書けば足りる。

既判力(客観的範囲)

・条文:主文(114条1項)
・趣旨:既判力の趣旨たる①紛争の蒸し返し防止という趣旨から、それに応ずる範囲に限定する必要がある。他方で、②自己責任を正当化する手続保障が当事者に及んでいる必要がある。加えて、③弾力的・迅速な審理を可能とするためにも、判決理由中の判断に拘束力を認めるべきではない。そこで、原則として、判決の主文に限定して生じるものとされる。●理解:裁判所の判断が関係するので、③が追加的に加わる。
・理解:各論点については、問題となっている権利の性質を踏まえ、趣旨から書けば足りる。
・論点(引換給付判決):この点、反対債務も主文に記載されるものの、強制執行開始要件(民執法31条)に過ぎず、訴訟物ではない。また、②限定承認のような債務・責任の密接関連性はない。そこで、反対債務については、既判力は生じないと解される。
・補足:相殺の抗弁(114条2項)についても、既判力の趣旨①・②が妥当する。●理解:上記③は関係ない。①については、限定する方向ではなく、認める必要(拡張)の文脈で書く。②は、問題なし。
・論点(相殺の抗弁を容れた請求棄却判決の場合):この点、①主文における訴求債権の不存在についての既判力により、前訴原告が「反対債権は当初から不存在だった。」と主張する不当利得返還請求の後訴は排斥される。また、反対債権の不存在についての既判力により、前訴被告が「訴求債権は別の理由で不存在だった。」と主張する不当利得返還請求の後訴は排斥される。また、②114条2項の文言からも自然である。そこで、相殺によって消滅した反対債権の不存在について、既判力が生じると解される。●検討

既判力(主観的範囲)

・条文:当事者(115条1項1号)(相対効の原則)
・趣旨:既判力の趣旨たる①紛争の蒸し返し防止という趣旨から、それに応ずる範囲に限定する必要がある。他方で、②自己責任を正当化する手続保障が当事者に及んでいる必要がある。そこで、原則として、「当事者」に限定して生じるものとされる。
・補足:訴訟物たる権利・法律関係を承継した者が「承継人」(115条3項)にあたる点については争いなし。
・趣旨:訴訟担当(115条1項2号):実質的利益帰属主体については、①紛争の蒸し返し防止のため既判力を及ぼす必要性があり、他方で②担当者を通じた代替的手続保障が及んでいる。
・趣旨:口頭弁論終結後の承継人(115条1項3号):承継人については、①紛争の蒸し返し防止のため既判力を及ぼす必要性があり、他方で②被承継人を通じた代替的手続保障が及んでいる。
・論点(「承継人」):この点、紛争解決の実行性確保のため、前訴の訴訟物たる権利・法律関係から口頭弁論終結後に派生したもの(紛争の主体たる地位)の移転を受けた者と解される。〇判例(最判昭和41年3月22日)●方針:適当に当てはめれば足りる。
・論点(固有の抗弁を有する場合の該当性):この点、固有の抗弁について、被承継人による代替的手続保障が及んでいないことから、否定される(実質説)。〇判例(最判昭和48年6月21日)●方針:適当に当てはめれば足りる。
・趣旨:請求の目的物の所持者(115条1項4号):請求の目的物の所持者については、①紛争の(蒸し返し)繰り返し防止のため既判力を及ぼす必要性があり、他方で②固有の法的利益を有さず手続保障の必要性がない。

【複雑訴訟】

・趣旨:①紛争の一回的解決の要請、及び②訴訟の複雑化による遅延等防止の要請との調和
・多数当事者訴訟については、①「類型」(通常共同訴訟or必要的共同訴訟)の問題、及び②各種「発生原因」の問題とがある。●認識:②の全てについて、①が問題となる。はず。ただし、補助参加は除く。はず。
・弁論の併合(156条1項)は、裁判所主導での併合。

【客観的併合】

固有の訴えの客観的併合(136条):単純・選択的・予備的

(請求の併合)
第百三十六条 数個の請求は、同種の訴訟手続による場合に限り、一の訴えですることができる。

・趣旨:①審理の矛盾回避、②審理の重複回避、③紛争の一回的解決(●認識:④被告も助かる。) ●理解:二重起訴は禁止。ゆえに③まで。そこに当事者の観点から④が加わる。
・論点(予備的併合。主位請求認容判決。被告のみが上訴。審判対象は?):この点、主位請求・副位請求は非両立であり密接な関係が認められることから、原審においては、副位請求についても実質的に審理されていたといえる。よって、被告の審級の利益を害さないことから、副位請求についても、上訴審での審判対象となると解される。
・論点(予備的併合。主位請求棄却・副位請求認容。被告のみが上訴。審判対象は?):この点、①審判対象となるとすると被告について不利益変更禁止の原則(296条1項、304条)に反する。また、②原告は、主位請求棄却に対し、付帯控訴することができる。よって、主位請求については、上訴審での審判対象とならないと解される。

訴えの変更(143条)

(訴えの変更)
第百四十三条 原告は、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで、請求又は請求の原因を変更することができる。ただし、これにより著しく訴訟手続を遅滞させることとなるときは、この限りでない。
2 請求の変更は、書面でしなければならない。
3 前項の書面は、相手方に送達しなければならない。
4 裁判所は、請求又は請求の原因の変更を不当であると認めるときは、申立てにより又は職権で、その変更を許さない旨の決定をしなければならない。

・種類:訴えの追加的変更、訴えの交換的変更 ●認識:「削除」はない。即ち訴えの取下げなので。
・論点(訴えの交換的変更の法的性質):この点、旧請求については被告の既得的地位を保護する必要がある。そこで、新請求の追加的変更、及び被告の同意を要する訴えの変更の複合的行為と解される。
・要件:①「請求の基礎」に変更がないこと、②事実審の口頭弁論終結前であること、③著しく訴訟手続きを遅滞させないこと、④被告の同意(交換的変更の場合)
・論点(「請求の基礎」の同一性):この点、要件とされている趣旨は、被告の防御の不利益回避にある。そこで、①新旧両請求の利益関係が社会生活上共通であり、かつ②旧請求の裁判資料の継続利用が可能であること解される。もっとも、かかる趣旨に反しない場合、例外的に本要件は不要となると解される。

反訴(146条)

(反訴)
第百四十六条 被告は、本訴の目的である請求又は防御の方法と関連する請求を目的とする場合に限り、口頭弁論の終結に至るまで、本訴の係属する裁判所に反訴を提起することができる。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 反訴の目的である請求が他の裁判所の専属管轄(当事者が第十一条の規定により合意で定めたものを除く。)に属するとき。
二 反訴の提起により著しく訴訟手続を遅滞させることとなるとき。
2 本訴の係属する裁判所が第六条第一項各号に定める裁判所である場合において、反訴の目的である請求が同項の規定により他の裁判所の専属管轄に属するときは、前項第一号の規定は、適用しない。
3 日本の裁判所が反訴の目的である請求について管轄権を有しない場合には、被告は、本訴の目的である請求又は防御の方法と密接に関連する請求を目的とする場合に限り、第一項の規定による反訴を提起することができる。ただし、日本の裁判所が管轄権の専属に関する規定により反訴の目的である請求について管轄権を有しないときは、この限りでない。
4 反訴については、訴えに関する規定による。

・趣旨:原告に訴えの変更が認められていることとの公平
・種類:単純反訴、予備的反訴 ●検討:選択的反訴
・要件:(客観的併合の一般的要件を充たす他)①「本訴の目的である請求又は防御の方法と関連する請求を目的とする」こと、②事実審の口頭弁論終結前であること、③著しく訴訟的続きを遅滞させないこと、④(控訴審の場合)相手方の同意又は応訴(300条1項・2項)
・論点(「①本訴の目的である請求又は②防御の方法と関連する請求を目的とする」):この点、●…。よって、①については、両請求が権利内容又は発生原因において法律上又は事実上共通することをいう。また、②については、反訴請求が本訴請求を理由なしとする事実と内容又は発生原因において共通することをいう。

中間確認の訴え(145条)

(中間確認の訴え)
第百四十五条 裁判が訴訟の進行中に争いとなっている法律関係の成立又は不成立に係るときは、当事者は、請求を拡張して、その法律関係の確認の判決を求めることができる。ただし、その確認の請求が他の裁判所の専属管轄(当事者が第十一条の規定により合意で定めたものを除く。)に属するときは、この限りでない。
2 前項の訴訟が係属する裁判所が第六条第一項各号に定める裁判所である場合において、前項の確認の請求が同条第一項の規定により他の裁判所の専属管轄に属するときは、前項ただし書の規定は、適用しない。
3 日本の裁判所が管轄権の専属に関する規定により第一項の確認の請求について管轄権を有しないときは、当事者は、同項の確認の判決を求めることができない。
4 第百四十三条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定による請求の拡張について準用する。

・N/A

【主観的併合】

通常共同訴訟(38条、39条)

(共同訴訟の要件)
第三十八条 訴訟の目的である権利又は義務が数人について共通であるとき、又は同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、その数人は、共同訴訟人として訴え、又は訴えられることができる。訴訟の目的である権利又は義務が同種であって事実上及び法律上同種の原因に基づくときも、同様とする。

・趣旨:①審理の矛盾回避、②審理の重複回避、③事実上の審判の統一(●理解:④当事者も助かる。)
・要件:(客観的併合の一般的要件を充たす他)
①「訴訟の目的である権利又は義務が数人について共通であるとき」
訴訟物が同一、又は訴訟物の基礎となる法律関係が共通である場合
②「同一の事実上及び法律上の原因に基づくとき」(以上、1項前段)
・各請求を理由づける原因事実が、その主要部分において同一であり、かつ、その法的根拠も基本的に同一である場合
③「訴訟の目的である権利又は義務が同種であって事実上及び法律上同種の原因に基づくとき」(1項後段)

(共同訴訟人の地位)
第三十九条 共同訴訟人の一人の訴訟行為、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為及び共同訴訟人の一人について生じた事項は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさない

・論点(証拠共通):この点、自由心証主義(247条)の下、歴史的事実の心証は1つしかないことから、肯定される。

固有必要的共同訴訟(40条)

(必要的共同訴訟)
第四十条 訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その一人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる
2 前項に規定する場合には、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為は、全員に対してその効力を生ずる
3 第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人について訴訟手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、全員についてその効力を生ずる。
4 第三十二条第一項の規定は、第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人が提起した上訴について他の共同訴訟人である被保佐人若しくは被補助人又は他の共同訴訟人の後見人その他の法定代理人のすべき訴訟行為について準用する。

・前提:原告側・被告側両方ある。
・趣旨:①審理の矛盾回避、②審理の重複回避、③審判の統一(●理解:④当事者も助かる。)●理解:事実上、ではない。
・論点(固有必要的共同訴訟と通常共同訴訟との区別の基準):この点、民事訴訟は、①実体法上の権利・法律関係の処分に相当する裁判につながることから、①管理処分権の帰属の有無(実体法上の観点)を、また②紛争を解決する制度であることから、関係者全員を訴訟に関与させる必要性(※)(訴訟法的観点)を、両方加味して決せられる。
(※)考慮要素:紛争解決の実効性、手続保障、当事者間の公平、訴訟経済等
・論点(境界画定訴訟における非同調者を被告とできるか?):この点、境界画定訴訟においては、●趣旨から…なので、隣接土地の一方又は双方の共有者全員が原告となって訴えを提起するのが原則である。しかし、裁判所は当事者の主張に拘束されず境界を確定することとなる特質を有する。そこで、共有者全員が訴訟に参加していれば足り、被告であっても認められる。
・論点(入会権確認訴訟における非同調者を被告とすることができるか?):この点、入会権確認訴訟においては、●趣旨から…なので、総有者たる入会権者全員が原告となって訴えを提起するのが原則である。しかし、裁判所は入会権の確認をすれば足りる確認訴訟という特質を有する。そこで、共有者全員が訴訟に参加していれば足り、被告であっても認められる。

類似必要的共同訴訟

・事例:株主代表訴訟、住民訴訟等
・意義:共同訴訟は不可欠ではないが、判決効が拡張されることから、ひとたび共同訴訟となった場合には、合一確定が要請されるもの
・趣旨:①審理の矛盾回避、②審理の重複回避、③審判の統一(●理解:④当事者も助かる。)●理解:事実上、ではない。
・補足:意義に照らし、一部の者についての訴えの取下げは適法。cf.固有必要的共同訴訟では違法。
・論点(共同訴訟人の一部による上訴):この点、合一確定の要請から、訴訟全体が上訴審に移審し、上訴審の判決の効力は他の共同訴訟人にも及ぶ。しかし、他の共同訴訟人は、①訴訟追行意思を失っており、また②共同訴訟人の人数減少は上訴審の審判には影響はない。よって、他の共同訴訟人は、上訴人にはならないと解される。

訴えの原始的主観的併合:単純・予備的・選択的

・趣旨:①審理の矛盾回避、②審理の重複回避、③事実上の審判の統一(●理解:④当事者も助かる。)
・論点(訴えの主観的予備的併合):この点、①予備的被告の地位を不安定にし、②上訴の場合に合一確定がなされない可能性がある一方、③同時審判申出共同訴訟(41条)によれば紛争の統一的解決は可能である。よって、否定されると解される。

主観的追加的併合(明文なし)

・論点:この点、①旧訴の訴訟状態・資料を新訴で利用できるか不明であり訴訟経済に沿わず、②訴訟を複雑化するおそれがある一方、③明文がない。そこで、否定されると解される。もっとも、別訴提起し、弁論の併合(152条1項)を促す等の対応は可能である。

同時審判申出共同訴訟(41条)

(同時審判の申出がある共同訴訟)
第四十一条 共同被告の一方に対する訴訟の目的である権利と共同被告の他方に対する訴訟の目的である権利とが法律上併存し得ない関係にある場合において、原告の申出があったときは、弁論及び裁判は、分離しないでしなければならない。
2 前項の申出は、控訴審の口頭弁論の終結の時までにしなければならない。
3 第一項の場合において、各共同被告に係る控訴事件が同一の控訴裁判所に各別に係属するときは、弁論及び裁判は、併合してしなければならない。

・趣旨:①審理の矛盾回避、②審理の重複回避、③事実上の審判の統一(●理解:④原告も助かる。)
・補足:事実上非両立の場合は含まない。
・補足:後発的もある。

補助参加(42条)

・(補助参加)
第四十二条 訴訟の結果について利害関係を有する第三者は、当事者の一方を補助するため、その訴訟に参加することができる。

(補助参加の申出)
第四十三条 補助参加の申出は、参加の趣旨及び理由を明らかにして、補助参加により訴訟行為をすべき裁判所にしなければならない。
2 補助参加の申出は、補助参加人としてすることができる訴訟行為とともにすることができる。

(補助参加についての異議等)
第四十四条 当事者が補助参加について異議を述べたときは、裁判所は、補助参加の許否について、決定で、裁判をする。この場合においては、補助参加人は、参加の理由を疎明しなければならない。
2 前項の異議は、当事者がこれを述べないで弁論をし、又は弁論準備手続において申述をした後は、述べることができない。
3 第一項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

・趣旨:①第三者独自の利益の確保機会の保障(参加人のため)、②被参加人の有利な訴訟展開への期待保護、及び敗訴責任分担の利益(被参加人のため)、及び③審判の統一(公的的側面)(●理解:例の3点全て)。
・論点(「訴訟の結果」):この点、訴訟の複雑化を回避するため限定的とすべく、法律上の利害関係を有する場合、即ち判決の結果が参加人の私法上又は公法上の法的地位又は法的利益に影響を及ぼす恐れがある場合をいうと解される。
・論点(「利害関係」):この点、①第三者独自の利益の確保機会の保障(参加人のため)という制度趣旨に照らし、広く認めるべきであること、及び②紛争の一回的解決を重視し、判決理由中の判断にいより第三者の地位が影響を受ける場合まで広く含むと解される。●理解:判例(最判昭和51年3月30日)・有力説
(通説:この点、①訴訟の複雑化を回避するため限定的とすべきであり、②基準も明確であること、及び③自然な文言解釈であることから、主文で判断される訴訟物たる権利・法律関係の存否により参加人の地位が論理的に決定される場合に限られると解される。)

(補助参加人の訴訟行為等)
第四十五条 補助参加人は、訴訟について、攻撃又は防御の方法の提出、異議の申立て、上訴の提起、再審の訴えの提起その他一切の訴訟行為をすることができる。ただし、補助参加の時における訴訟の程度に従いすることができないものは、この限りでない。
2 補助参加人の訴訟行為は、被参加人の訴訟行為と抵触するときは、その効力を有しない。
3 補助参加人は、補助参加について異議があった場合においても、補助参加を許さない裁判が確定するまでの間は、訴訟行為をすることができる。
4 補助参加人の訴訟行為は、補助参加を許さない裁判が確定した場合においても、当事者が援用したときは、その効力を有する。
5 次に掲げる請求に関する規定の適用については、補助参加人(当事者が前条第一項の異議を述べた場合において補助参加を許す裁判が確定したもの及び当事者が同条第二項の規定により異議を述べることができなくなったものに限る。)を当事者とみなす。
一 非電磁的訴訟記録(第九十一条第一項に規定する非電磁的訴訟記録をいう。)の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製(第九十二条第一項において「非電磁的訴訟記録の閲覧等」という。)の請求
二 電磁的訴訟記録(第九十一条の二第一項に規定する電磁的訴訟記録をいう。)の閲覧若しくは複写又はその内容の全部若しくは一部を証明した書面の交付若しくはその内容の全部若しくは一部を証明した電磁的記録の提供(第九十二条第一項において「電磁的訴訟記録の閲覧等」という。)の請求
三 第九十一条の三に規定する訴訟に関する事項を証明した書面の交付又は当該事項を証明した電磁的記録の提供の請求

・知識:「独立性」(45条1項本文)・「従属性」(45条1項ただし書き、同条2項)

(補助参加人に対する裁判の効力)
第四十六条 補助参加に係る訴訟の裁判は、次に掲げる場合を除き、補助参加人に対してもその効力を有する。
一 前条第一項ただし書の規定により補助参加人が訴訟行為をすることができなかったとき。
二 前条第二項の規定により補助参加人の訴訟行為が効力を有しなかったとき。
三 被参加人が補助参加人の訴訟行為を妨げたとき。
四 被参加人が補助参加人のすることができない訴訟行為を故意又は過失によってしなかったと

・論点(「効力」):この点、46条は各種除外事由を定めているところ、法的安定性確保のために画一的に生ずべき既判力とは異なる。よって、既判力とは異なり、共同して訴訟追行し敗訴した者相互間の責任分担原理である公平・禁反言に基づき認められる特殊な効力と解される。また、●。よって、①被参加人敗訴の場合において、参加人・被参加人間に限り作用する。また、②判決主文を導くために必要な主要事実に係る認定及び法律判断等に限られるものの、判決理由中の事実認定や先決的権利関係の存否の判断にも及ぶ。さらには、③当事者の援用により初めて判断される。

訴訟告知(53条)

(訴訟告知)
第五十三条 当事者は、訴訟の係属中、参加することができる第三者にその訴訟の告知をすることができる。
2 訴訟告知を受けた者は、更に訴訟告知をすることができる。
3 訴訟告知は、その理由及び訴訟の程度を記載した書面を裁判所に提出してしなければならない。
4 訴訟告知を受けた者が参加しなかった場合においても、第四十六条の規定の適用については、参加することができた時に参加したものとみなす。

・趣旨:①被告知者の参加による有利な訴訟展開確保(告知者のため)、②被告知者の手続保障、③紛争の統一的解決(●認識:例の3点全て)
・論点(相手方への補助参加):この点、被告知者の手続保障のための制度でもあることから、肯定される。
・論点(相手方への補助参加の場合、参加的効力が生じるか):この点、①参加的効力は、…なので、共同して訴訟追行し敗訴した者相互間の責任分担原理である公平・禁反言に基づき認められる特殊な効力である。また、②被告知者の手続保障という趣旨もあり、告知者のためだけの制度ではない。よって、否定される。

共同訴訟的補助参加

・知識:判決効が及ぶ。当事者適格がある場合、共同訴訟参加(52条)で足りる。そうではない場合に実益あり。
・内容:訴えの取下げや請求の放棄・認諾はできないものの、必要共同訴訟人(40条)に準じた地位となる。

独立当事者参加(47条)

(独立当事者参加)
第四十七条 訴訟の結果によって権利が害されることを主張する第三者又は訴訟の目的の全部若しくは一部が自己の権利であることを主張する第三者は、その訴訟の当事者の双方又は一方を相手方として、当事者としてその訴訟に参加することができる。
2 前項の規定による参加の申出は、書面でしなければならない。
3 前項の書面は、当事者双方に送達しなければならない。
4 第四十条第一項から第三項までの規定は第一項の訴訟の当事者及び同項の規定によりその訴訟に参加した者について、第四十三条の規定は同項の規定による参加の申出について準用する。

・補足:請求を立てることは必須(判例)。
・趣旨:①審理の矛盾回避、②審理の重複回避、③事実上の審判の統一(●理解:④当事者も助かる。)
・論点(上告審での参加):この点、上告審は法律審であり定立した請求につき事実審理できないことから、否定される。
・論点(「訴訟の結果によって権利が害されることを主張する」):この点、詐害再審制度に代わり詐害判決がされることを事前に防止するという制度趣旨から、当事者の詐害意思が客観的に認められる場合をいう。
・論点(「訴訟の目的の全部若しくは一部が自己の権利であることを主張する」):この点、同一の権利関係についての三面訴訟を矛盾なく解決する制度趣旨から、本訴請求と参加人の請求とが実体法上論理的に両立しえない関係にある場合を指すと解される。

・論点(被告の自白):この点、同一の権利関係についての三面訴訟を矛盾なく解決する制度趣旨から、参加人が争う場合、原告・被告間でも効力を生じない(通説)。
・論点(原告の放棄):この点、同一の権利関係についての三面訴訟を矛盾なく解決する制度趣旨から、認められない(通説)。
・論点(被告の認諾):この点、同一の権利関係についての三面訴訟を矛盾なく解決する制度趣旨から、認められない(通説)。
・論点(二当事者間の和解):この点、同一の権利関係についての三面訴訟を矛盾なく解決する制度趣旨から、認められない(東京高裁裁判例

・論点(敗訴者の一人が上訴した場合、他の敗訴者は上訴人か被上訴人か」):この点、「一人に対する相手方の訴訟行為は、全員に対してその効力を生ずる。」(47条4項、40条2項)。よって、被上訴人となる(判例)。〇補足:この結論と下記論点の結論(上訴人的)とが矛盾する、との批判あり。〇参考:47条4項・40条1項を根拠に、上訴人となる説もある。
・論点(敗訴者の一人が上訴した場合、他の敗訴者の請求は上訴審での審判対象となるか):この点、(処分権主義(242条)・利益変更禁止の原則(304条)を劣後させ、)同一の権利関係についての三面訴訟を矛盾なく解決する制度趣旨から、肯定(判例)。
・論点(敗訴者の一人が上訴した場合、他の敗訴者に有利に判決変更できるか):この点、同一の権利関係についての三面訴訟を矛盾なく解決する制度趣旨から、(上訴した敗訴者との関係において)合一確定に必要な限度で肯定(判例)。〇具体例:原告の請求棄却。参加人の請求認容。被告のみが上訴。上訴審が原告の請求に理由ありとの心証に達する。参加人の請求棄却にとどめるべき。原告の請求認容まではできない。上訴した被告人との関係上、不要なので。

(訴訟脱退)
第四十八条 前条第一項の規定により自己の権利を主張するため訴訟に参加した者がある場合には、参加前の原告又は被告は、相手方の承諾を得て訴訟から脱退することができる。この場合において、判決は、脱退した当事者に対してもその効力を有する。

・論点(「相手方」:この点、①脱退者にも既判力・執行力が及ぶことから参加人に不利益はないこと、及び②文言の自然な解釈から、相手方当事者をいう(参加人は含まない)と解される。
・論点(「効力」):この点、①脱退当事者の合理的意思としては、訴訟追行を残存当事者に委ねている、他方②紛争の一回的解決の要請から、①残存当事者・参加人間の訴訟結果に従うとの条件付き放棄・認諾に基づく効力、及び②その効力の論理的帰結として生じる法定の効力をいうと解される。

共同訴訟参加(52条)

(共同訴訟参加)
第五十二条 訴訟の目的が当事者の一方及び第三者について合一にのみ確定すべき場合には、その第三者は、共同訴訟人としてその訴訟に参加することができる。
2 第四十三条並びに第四十七条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による参加の申出について準用する。

・知識:当事者適格を有する。
・効果:類似必要的行動訴訟となる。
・機能:固有必要的共同訴訟で当事者たるべき者が欠落していた場合の治癒

任意的当事者変更

・知識:実体法上の地位の移転なし(⇔訴訟承継)
・論点(法的性質):この点、①新当事者の手続保障の必要性、及び②明文なき特殊な変更態様を認めることは妥当ではないことから、新訴提起及び弁論の併合、並びにその後の旧訴の取下げとの複合的行為と解される。
・効果:①旧訴状の補正利用、②時効の完成猶予、③出訴期間遵守等
・展開:各種許容性がある場合、旧訴の裁判資料の流用が許される。

訴訟承継(49条・50条・51条)

(権利承継人の訴訟参加の場合における時効の完成猶予等)
第四十九条 訴訟の係属中その訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けたことを主張する者が第四十七条第一項の規定により訴訟参加をしたときは、時効の完成猶予に関しては、当該訴訟の係属の初めに、裁判上の請求があったものとみなす。
2 前項に規定する場合には、その参加は、訴訟の係属の初めに遡って法律上の期間の遵守の効力を生ずる。
(義務承継人の訴訟引受け)
第五十条 訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したときは、裁判所は、当事者の申立てにより、決定で、その第三者に訴訟を引き受けさせることができる。
2 裁判所は、前項の決定をする場合には、当事者及び第三者を審尋しなければならない。
3 第四十一条第一項及び第三項並びに前二条の規定は、第一項の規定により訴訟を引き受けさせる決定があった場合について準用する。
(義務承継人の訴訟参加及び権利承継人の訴訟引受け)
第五十一条 第四十七条から第四十九条までの規定は訴訟の係属中その訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したことを主張する第三者の訴訟参加について、前条の規定は訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けた場合について準用する。

・種類:1.当然承継、2.特定承継:(1)参加承継(49条1項・2項、51条前段)、(2)引受承継(50条1項・2項・3項、51条後段)
・趣旨:①他方当事者の既得的地位の保護(必要性)、②被承継当事者による代替的手続保障の存在(許容性) ●理解:既判力の趣旨の応用(「生成中の既判力」的な)
論点(承継人):口頭弁論終結後の承継人についての議論と同様でOK。●認識:「固有の抗弁」は口頭弁論終結後の承継人についてのみ問題(承継後に主張すれば足りる。)。
・効果:承継原因発生時点(承継時点ではない。)での地位はそのまま承継する(訴訟状態承認義務あり。)。
・論点(原告側・引受承継・申立人は引受人に対する請求を定立する必要があるか?)●認識:議論あり。だけで良いだろう。

【上訴】、

・論点(上訴の利益):この点、①処分権主義(246条)の下、自ら審判対象を設定し全部勝訴した者について、認める必要性がない。また、②基準も明確であることから、原審における当事者の申立て内容と原裁判内容とを比較し、前者が後者に及ばない場合に認められると解される(形式的不服説・判例)。
・論点(黙示の一部請求・全部勝訴):同上の論理により、上訴の利益なし。でOK。
●補足:残額については既判力遮断されることから不利益が大きく。形式的不服説の趣旨が必ずしもそのまま妥当しない。との裁判例(名古屋高裁)があるも。論理的ではないだろう。
・論点(相殺の抗弁・判決理由中で判断):同上の論理により、上訴の利益あり。でOK。
・効果:確定遮断効(116条2項)・控訴不可分の原則(●条文)
・知識:不利益・利益変更禁止の原則(296条1項、304条)∵処分権主義(246条)の上訴審における現れ
・論点(相殺の抗弁・請求棄却判決・原告のみ控訴・原告請求自体の棄却判決は許されるか?):この点、原審判決によれば、相殺の抗弁に既判力が生じており、原告は相殺に供された債権の弁済を免れる(114条2項)。それに対し、かかる判決がされれば、相殺の抗弁については判断されず既判力が生じないこととなり、原告は相殺に供された債権の弁済を免れないこととなる。よって、原告に不利益な変更であり、許されない。●補足(注意):顛末として、控訴審は、原告の控訴を棄却することとなる。
・論点(訴訟上の和解・取消し・請求一部認容判決は許されるか?):この点、和解の既判力と比較し、請求一部認容判決をすることは、形式的に不利益である。よって、許されない。

【控訴審】

1.手続
(1)第一審裁判所
・控訴期間(285条)・控訴提起の方式(286条1項)
・第一審裁判所による控訴の却下(287条1項)
・訴訟記録の送付(規則174条)

(2)控訴裁判所
・裁判長の訴状審査(288条、137条1項)・控訴状却下命令(288条、137条2項)
・控訴状の送達(289条1項)
・口頭弁論を経ない控訴の却下判決(290条)
・口頭弁論(87条1項)

2.終局判決
(1)判決
ア.控訴却下判決
イ.控訴棄却判決(302条1項):不服に理由なしゆえ、原判決を維持する本案判決
  (第一審判決の理由が不当であっても、他の正当化理由がある場合、控訴棄却判決MUST(302条2項)。理由:判決理由中の判断には既判力生じず。)
ウ.控訴認容判決:不服に理由ありとする本案判決
  (次の場合、控訴認容・原判決取消しMUST:①第一審判決の判断が不当(305条)、②原判決の手続に法律違反(306条))

(2)訴えに対する措置
   (原判決取消しの場合、訴えに対する応答が必要ゆえ。)
ア.自判(原則。第一審に続く事実審ゆえ。)cf.原判決取消し+自判=第一審判決の「変更」
イ.差戻し
(ア)必要的差戻し:原判決が訴え却下の場合の原則的対応(307条本文)。例外として、第一審で弁論が尽くされた場合(307条ただし書き)、不要。
(イ)任意的差戻し:事件につき(審級の利益を踏まえ)更に弁論をする必要があるとき(308条1項)。訴訟手続きの法律違反を理由とする場合、第一審の訴訟手続きは当然取消しとみなされる(308条2項)。
ウ.移送:原判決を専属管轄違背で取り消す場合(299条1項参照)、原審へ差戻しせず、第一審管轄裁判所への移送が必要(309条)。

【上告審】

N/A

ワヴィニー

日本の民事訴訟法は「全く知らない」というのもマズイかと考えまして、試みに…

律子

「『全く知らない』訳ではない」ということだけは、かろうじて理解できました(笑)。