民法(財産法):「自然」

国際私法専攻する者は、常に実質法の勉強を怠らないように心掛けなければならない…」
(池原季雄『国際私法(総論)〔法律学全集〕』(有斐閣,1973)「執筆を終りて」)

【留意点】

・「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」
・「帰責性」と「故意・過失」は異なる???
・債権法改正により精緻化された条文は、論証不要な分、趣旨の記載が必須、と考えるのが合理的である。
・準事務管理(視点としては持っておく。)

【条文・論点等】

(主物及び従物)
第八十七条 物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。
2 従物は、主物の処分に従う。

・要件:①主物と独立している。②主物に従属している。③主物と場所的に近接している。④主物と同一所有者に属する。

(心裡留保)
第九十三条 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
2 前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。

●趣旨(2項):真意でない意思表示をした帰責性ある表意者の負担の下、表示を信頼した第三者を保護する点にある。
・表意者の帰責性が大きく、無過失までは不要と解される。

(虚偽表示)
第九十四条 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない

●趣旨(2項):虚偽の外観を作出した帰責性ある権利者の負担の下、表示を信頼した第三者を保護する点にある。
・よって、「第三者」とは、当事者及びその包括承継人以外の者で、虚偽表示に基づき新たに独立の法律上の利害関係を有するに至った者をいう。
・よって、当該趣旨が妥当し得ることから、「第三者」には転得者も含まれる。
・よって、表意者の帰責性が大きく、文言通り、第三者の無過失までは不要である。
・本人と第三者は、前主・後主の関係にあることから、第三者の登記は不要である。
・①悪意の転得者から善意の前者に対する担保責任(565条)追及の危険があること、及び②悪意の転職者の出現という偶然による権利者保護の必要性は低いことから、絶対的構成とする。
・よって、通謀がなくとも、①虚偽の外観が存在し、②その作出につき本人に帰責性があり、③第三者が外観を信頼した場合には、趣旨が妥当し、当該第三者は保護されると解される(94条2項類推)。もっとも、本人の帰責性に比し作出された外観が大きい場合、権限踰越の表見代理に類することから、第三者は無過失であることを要すると解される(110条類推)。

(錯誤)
第九十五条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

●趣旨(95条):錯誤に陥った表意者の保護と相手方の取引の安全との調和
・そこで、「法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なもの」というためには、錯誤がなければ、表意者のみならず、一般人も意思表示をしなかったであろう場合をいうと解される。
・そこで、「その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていた」というためには、相手方に了知されることまで要すると解される。

(詐欺又は強迫)
第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

●趣旨(3項):詐欺に基づく表意者保護のため、要件としては第三者に善意・無過失を要求する一方、第三者の取引の安全を確保するため、効果としては遡及効(121条)を制限する点にある。
・よって、「第三者」とは、取消し前に、詐欺に基づく権利・法律関係について新たに独立の法律上の利害関係を有するに至った者をいう。
・被詐欺者と第三者は、前主・後主の関係にあることから、第三者の登記は不要である。

【代理】
●趣旨:帰責性ある本人の負担の下、代理権が存在するとの外観を信じた相手方の取引安全を保護する点にある。
・代理権授与行為の法的性質:事務処理契約説
・本人による取消し:原則として、代理権は遡及的に消滅(121条)し、無権代理となる。しかし、相手方は預かり知らない事情である。そこで、表見代理の規定(109条、112条)を類推適用すべきと解される。●方針:代理人による取消しについても同様でOK

(代理権の濫用)
第百七条 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。

●趣旨:代理権の濫用の場合も、形式的には「代理権の範囲内の行為」(99条1項)であり、原則として、本人に効果帰属する。しかし、濫用について悪意又は善意有過失の相手方を保護する必要はない。そこで、規定された。

(代理権授与の表示による表見代理等)
第百九条 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。
2 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。

(権限外の行為の表見代理)
第百十条 前条第一項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。

●趣旨:代理権を信頼した者の保護
・よって、「第三者」は直接の相手方に限られ、転得者は含まれない(判例)。

【夫婦の日常家事債務】
同条本文の趣旨は、夫婦の日常生活の便宜を図る点にある。
よって、文言上は単に連帯責任を負うに留まるものの、その前提として、「日常の家事」について夫婦相互に代理権を付与したものと解される。
この点、同条本文の趣旨は、相手方の取引の安全の保護にもあることから、「日常の家事」とは、夫婦の共同生活に通常必要な行為をいい、夫婦の内部事情及び行為の目的等に限らず、客観的な行為の種類及び性質等も踏まえ判断されると解される。
あ:…非該当。
それでは、日常家事についての代理権を基本代理権として、表見代理(110条)が適用されるか。
しかし、それを広く認めると、(●確認:本人の帰責性を問わないことから)夫婦の財産的独立性(762条1項)を損なうおそれがある。
そこで、相手方において、当該行為が当該夫婦の日常家事に属すると信じることにつき正当の理由がある場合において、110条の趣旨類推により、相手方を保護すべきと解される。

(代理権消滅後の表見代理等)
第百十二条 他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。
2 他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後に、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。

(無権代理人の責任)
第百十七条 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき。
二 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき。ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りでない。
三 他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。

【無権代理と相続】
・無権代理人を相続人(・被相続人)とする相続が発生した場合、偶然の事情により無権代理人の責任(117条)等が左右されないよう、無権代理人と本人の地位は併存するものと解される(資格併存説・通説⇔判例)。
・あとは適宜、信義則(1条2項)
・条文:追認(116条)・拒絶(113条)
●応用:他人物売買
●応用:無権代理人の後見人就任:善管注意義務(869条、644条)に基づき、本人に代わる追認拒絶(859条1項)が可能。ただし、信義則(1条2項)。

(原状回復の義務)
第百二十一条の二 無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。
2 前項の規定にかかわらず、無効な無償行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、給付を受けた当時その行為が無効であること(給付を受けた後に前条の規定により初めから無効であったものとみなされた行為にあっては、給付を受けた当時その行為が取り消すことができるものであること)を知らなかったときは、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。
3 第一項の規定にかかわらず、行為の時に意思能力を有しなかった者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。行為の時に制限行為能力者であった者についても、同様とする。

・論点:現物返還不能なら、価格償還義務となる(同条2項参照)。

(時効の援用)
第百四十五条 時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

●趣旨:債務者の意思の尊重
・そこで、「当事者」とは、時効完成により直接利益を受ける者に限定されると解される。
・「取得する」(162条)・「消滅する」(166条)との確定的表現の一方で、要求されている「援用」の法的性質が問題となるが、前述の趣旨に照らし、時効の援用により初めて確定的な効果が生じるものと解される(不確定効果説・停止条件説)。
・時効取得前の第三者とは、前主・後主の関係となることから、登記不要である。

【不動産賃借権の時効取得】
不動産賃借権は、その占有・継続利用という点において物権たる地上権と類する。他方で、賃貸人に対し、時効の完成猶予・更新の端緒となる外観を備えさせる必要がある。
そこで、①土地の継続的利用という外形的事実が存在し、かつ②それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されていれば、「所有権以外の財産権」(163条)として、取得時効可能と解される(判例)。

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

●趣旨:公示(登記)により不動産取引の安全を図る点にある。
・そこで、「第三者」とは、当事者及びその包括承継人以外の者で、登記の欠缺を主張するにつき正当な利益を有する者と解される。
そして、単なる悪意者については、自由競争の範囲内で保護されるが、背信的悪意者については、信義則(1条2項)に反しその範囲を逸脱し保護されないと解される。
(その例外として、承役地譲渡の場合の譲受人は、継続かつ表現の点について認識・可能であった場合、特段の事情がない限り、「第三者」にあたらないと解される。)●検討:土地の便益保護という公益?
もっとも、背信的悪意者からの転得者については、①信義則(1条2項)違反を問われる言われなく、かつ②権利自体は承継取得していることから、「第三者」として保護されると解される。他方、転得者が背信的悪意者である場合には、その前者の段階で物権関係が確定した以上、絶対的構成により「第三者」として保護されると解される。

【相続と登記】
・共同相続と登記:この点、当該持分については無権利であり、登記は無効である。よって、対抗できると解される(899条の2第1項参照)。
・相続放棄と登記:この点、①相続放棄には期間制限(915条1項)があり、またその有無は裁判所で調査可能(938条)であることから、第三者保護の必要性は高くない。また、②文言上、遡及効は制限されていない(989条)。よって、対抗できると解される。
・遺産分割と登記:この点、①相続放棄と異なり、第三者保護の必要性が高い(915条1項・938条参照)。また、②遺産分割の遡及効(909条本文)は、新たな物権変更に類する。よって、対抗できると解される(899条の2第1項)。●確認:遺産分割前の第三者の保護(909条ただし書)と「共同相続と登記」との関係
・遺贈と登記:●●●
・相続させる旨の遺言:●●●

(動産に関する物権の譲渡の対抗要件)
第百七十八条 動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない。

●趣旨:公示(引渡)により不動産取引の安全を図る点にある。
・そこで、「第三者」とは、当事者及びその包括承継人以外の者で、引渡しの欠缺を主張するにつき正当な利益を有する者と解される。

(即時取得)
第百九十二条 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

●趣旨:動産の占有に公信力を付与し、物権変動に対する積極的信頼を保護し、動産取引の安全を図る点にある。
・そこで、占有改定(183条)については、従来の占有状態を変更する外観がないことから、「占有」(192条)には含まれないと解される。
・そこで、指図による占有移転(184条)については、指図により従来の占有状態を変更する外観があることから、「占有」(192条)に含まれると解される。

(盗品又は遺失物の回復)
第百九十三条 前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。

・回復請求がされるまでの間においては、即時取得者が所有権を取得しているとすると請求者が元来有していない権利を回復しうる不合理を生じることから、現所有者に帰属すると解される(判例⇔通説)。

第百九十四条 占有者が、盗品又は遺失物を、競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、被害者又は遺失者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復することができない。

・この点、被害者による代価弁償の有無により取得者の利益返還の要否が決まるとすると、あまりに取得者の地位を不安定にする。そこで、取得者は、動産まで返還時まで使用収益権を有すると解される。●検討

・(占有の性質の変更)
第百八十五条 権原の性質上占有者に所有の意思がないものとされる場合には、その占有者が、自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示し、又は新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めるのでなければ、占有の性質は、変わらない。

(占有の承継)
第百八十七条 占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができる。
2 前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵をも承継する。

・占有権についても、相続は観念できることから、その対象となる。●認識:相続されなければ、187条の話にならず。
・「承継人」(187条1項):この点、同条の趣旨は、前の占有者と承継人との占有の二面性を認めるものであり、相続による承継にも妥当する。よって、「承継人」には相続人をも含むと解される。●認識:自己のみ、とさせたい。
・「新たな権限」(185条):この点、無条件に認めると相続について善意の権利者が不測の損害を被る。そこで、①相続人が新たに事実上の支配により占有を開始し、かつ②当該占有に所有の意思が認められる場合に限り、相続も「新なた権限」と認められると解される。

・(不動産の付合)
第二百四十二条 不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。ただし、権原によってその物を附属させた他人の権利を妨げない。

(動産の付合)
第二百四十三条 所有者を異にする数個の動産が、付合により、損傷しなければ分離することができなくなったときは、その合成物の所有権は、主たる動産の所有者に帰属する。分離するのに過分の費用を要するときも、同様とする。

●趣旨:社会経済上の不利益防止
・そこで、付合の有無の基準は、不動産からの物の分離が社会経済上不利益となるか否かによる。よって、たとえ権原に基づく留保(242条ただし書き)であっても、付合物が独立性を有する弱い付合に限り、認められると解される。
・賃借人増改築:この点、単なる増改築の承諾は、用法義務違反(616条、594条1項)を回避するに留まる。そこで、増改築の承諾が、増改築部分の所有権を賃借人に帰属させる趣旨を含む場合に限り、「権原」と認められると解される(242条ただし書き)。
・建前引継完成:この点、建物の場合、工作が特段の価値を有することから、その価値に着目して権利帰属を決するのが合理的である。そこで、付合に関する規定(243条)ではなく、加工について規定(242条2項)によるべきである。

(留置権の内容)
第二百九十五条 他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。
2 前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。

(先取特権の内容)
第三百三条 先取特権者は、この法律その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

(物上代位)
第三百四条 先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
2 債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。

・論点(請負代金に対する物上代位):この点、請負代金には労務の対価も含まれている。よって、原則として、否定される。しかし、請負代金債権が動産売買代金債権と同視するに足りる特段の事情があれば、その部分については肯定される(判例)。

(先取特権と第三取得者)
第三百三十三条 先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができない。

・動産取引の安全を図るため、「引き渡した」には、占有改定も含まれる。
・集合動産譲渡担保権者は、①占有改定も「引き渡した」にあたること、及び②所有権的構成によれば、「第三取得者」にあたる。

(質権の内容)
第三百四十二条 質権者は、その債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

(質権設定者による代理占有の禁止)
第三百四十五条 質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない。

・質物任意返還:この点、345条の趣旨は、質権についての公示の原則を貫徹させる点にある。よって、質権自体は消滅せず、対抗力のみが失われると解される(判例⇔通説:345条の趣旨を留置的効力の確保とし、質権自体が消滅するとする。)。

(抵当権の内容)
第三百六十九条 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
2 地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。

(抵当権の効力の及ぶ範囲)
第三百七十条 抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び債務者の行為について第四百二十四条第三項に規定する詐害行為取消請求をすることができる場合は、この限りでない。

●趣旨(抵当権):目的物の交換価値を把握し、債権の担保とする点にある。
・そこで、「付加して一体となっている物」とは、抵当権の目的物と経済的・価値的に一体的である物をいう。
この点、従物(87条)は、主物の効用を高めるものであり、主物と経済的・価値的に一体的である。よって、…にあたる。●方針:設定の前後を問わず、が判例と理解しておく。一旦。
・そこで、抵当目的不動産からの分離物であっても、当該不動産上に存する場合には、依然として抵当権の効力は及ぶ。
それに対し、抵当目的物の外に搬出された分離物については、取引の安全を図るため、第三者による即時取得(192条)が成立するまでに限り、抵当権の効力が及ぶと解される。
もっとも抵当権は非占有担保権であることを本質とすることから、原則として、直接自己への引渡しを請求することはできない。

第三百七十一条 抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ。

(留置権等の規定の準用)
第三百七十二条 第二百九十六条、第三百四条及び第三百五十一条の規定は、抵当権について準用する。

(物上代位)
第三百四条 先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
2 債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。

●趣旨(372条、304条1項本文):抵当権が把握している目的物の交換価値の現実化に際し、価値代表物にも抵当権の効力を及ぼす点にある。
・補足:売却代金については、抵当権に追及力(●)が認められることから、必要性がないとも思われる。が、①売却代金も抵当目的物の価値代替物といえ、かつ②「売却」(304条1項)とあるので、物上代位が認められている。
・補足:賃料の場合、目的物の交換価値の「なし崩し的」実現、とする。
・転貸賃料:この点、抵当不動産の賃借人は、自己の有する債権を抵当目的物の被担保債権の弁済に供すべき立場にないことから、原則として、「債務者」(304条1項本文)にあたらない。しかし、抵当不動産の賃借人を所有者と同視できる事情がある場合には、例外的にあたる。
・保険金請求権:この点、①実質的には抵当目的部の価値代表物であり、また②実際上も担保権がその実効性を発揮すべき典型といえる。よって、肯定される。●認識:商法学者は反対なのだろうか(保険料の対価ゆえ)。

●趣旨(372条、304条1項ただし書き):第三債務者を二重弁済の危険から保護する点にある。
・差押えと物上代位:この点、①抵当権を対抗するには登記を要する一方、②債権の差押えの効力は、第三債務者に対する送達により生じる。そこで、両者の優劣は、抵当権設定登記と差押え命令の第三債務者への送達の先後により決せられる(判例)。●認識:抵当権に基づく差押えは別途必要。だが、勝負は着いている、という話。

・債権譲渡と物上代位:そもそも趣旨…。この点、第三債務者は、物上代位による差押え命令送達前には債権譲受人に対し弁済すれば免責され、送達後には供託すれば足りることから、債権譲渡後の物上代位を認めても不利益を被らない。そこで、抵当権者は、債権譲渡及び対抗要件具備の後においても、物上代位による差押えをすることができる(判例)。●確認:抵当権は登記されており、物上代位の可能性は債権譲受人も認識可能、という点も理由だろう。

・補足:添付命令の場合、その趣旨が債権者に対する独占的満足の付与にあることから、転付命令の第三債務者送達後においては、物上代位による差押えをすることはできない(判例)。
・補足:動産先取特権の場合、(抵当権とは異なり)公示が存在しないことから、304条1項ただし書きの趣旨には、(第三債務者のみならず)債権譲受人等の第三者の利益保護も含まれる。そこで、債権譲渡及び対抗要件具備の後には、物上代位による差押えはできない(判例)。

・質権と抵当権の優劣(保険金請求権に対する物上代位):そもそも趣旨…。抵当権登記と質権の対抗要件具備との先後により決される(●判例?)。

・賃料債権への物上代位と相殺:この点、抵当権の効力が賃料債権に及ぶことは、設定登記により公示されており、その後に取得した債権による相殺への期待は保護に値しない。よって、第三債務者は、抵当権設定登記後に設定者に対し取得した債権を自働債権として賃料債権と相殺することはできない(判例)。
・物上代位と敷金充当:この点、①抵当権者は原則として抵当目的物の用益関係に干渉できず、抵当不動産の所有者等が敷金契約を締結した場合、賃料債権は敷金充当を予定した債権となる。そして、②敷金充当による未払賃料の消滅は、敷金契約から当然発生する効果であり、511条による制限は受けない。よって、賃料債権は敷金充当の限度で当然消滅する。

(法定地上権)
第三百八十八条 土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。

●趣旨:原則として、自己借地権が認められていない(借地借家法15条参照)ことから、抵当権実行により建物収去が生じ得る。その社会経済上の不利益を防止する点にある。
●要件:①抵当権設定当時、建物が存在、②抵当権設定当時、土地・建物が同一人所有、③土地・建物の一方・双方に抵当権設定、④土地・建物の所有者が競売により異なるに至る。
●方針:土地・建物についての設定者・抵当権者(一番・二番等)・競落人・共有者の利益衡量で適当に処理すれば足りる。

【抵当権侵害】
●抵当権の本質は、目的物の占有を設定者の下に留めつつ、その交換価値を把握する点にある。
・よって、侵害は、使用・収益が、通常の範囲を超える場合に認められる。●理解:行為
・よって、侵害が認められるためには、交換価値の減少があれば足りる。●理解:結果
・明渡(不法占拠):そこで、抵当目的物の不法占拠による侵害があり、それにより交換価値の実現が妨げられる場合には、抵当権に基づく妨害排除請求が認められる(判例)。
また、抵当権者は、所有者に対し、抵当目的物の担保価値維持請求権を有しており、それを被保全債権として、不法占拠者に対する妨害排除請求権を代位行使できる(423条の法意)。cf.土地賃借人も賃借権を被担保債権として、賃貸人が有する所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使できる(423条)。cf.妨害停止請求権(605条の4)
・明渡(権原あり):この点、抵当目的物の所有者にも、競売手続きを妨害する占有権原を設定することまでは認められていない。よって、占有権原の設定に競売妨害目的が認められ、かつ抵当目的物の交換価値の実現が妨げられる場合には、抵当権者は、占有者に対し、抵当権に基づく妨害排除請求権を行使できる。また、所有者において、抵当目的部の維持管理を適切にすることが期待できない場合には、直接自己への明渡しを請求することもできる(判例)。
・損害賠償請求(709条):損害が認められるためには、抵当目的部の価値が、被担保債権よりも低くなったことを要する。また、請求可能となる時期は、損害が確定可能となることから、弁済期以降(競売前)である。●理解:本来的権利を回復すべき明渡請求とは異なり、不法行為として、かつ金銭を取るため、要件が厳しい。か?

(損害賠償の範囲)
第四百十六条 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。

・「この点、損害の公平な分担という損害賠償制度の趣旨に照らし、①通常損害は賠償範囲に入り(416条1項)、また②債務者が不履行時までに特別事情を予見可能であれば、それによる損害(特別損害)についても賠償範囲に含まれる(同条2項)。」
・算定時期:原則として、不能時・解除時(遅滞・不能)・履行期(遅滞の場合は履行時)。しかし、例外として、①不履行後に価格上昇が継続している場合、債権者がそれ以前に目的物を他に処分したことが予見できたときを除き、現在価格で算定される。(●認識:416条1項の話。か。)また、②不履行後の価格上昇、及び下落があった場合、最高価格での処分を特別の事情として、中間最高価格での賠償が可能である(416条2項)。この場合、自己使用のために目的物を買い受けた場合でも足りる。

(代償請求権)
第四百二十二条の二 債務者が、その債務の履行が不能となったのと同一の原因により債務の目的物の代償である権利又は利益を取得したときは、債権者は、その受けた損害の額の限度において、債務者に対し、その権利の移転又はその利益の償還を請求することができる。

(受領遅滞)
第四百十三条 債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、その債務の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、履行の提供をした時からその引渡しをするまで、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、その物を保存すれば足りる。
2 債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができないことによって、その履行の費用が増加したときは、その増加額は、債権者の負担とする。

・債権は権利であり義務ではないことから、受領遅滞責任は、公平の観点から信義則(1条2項)により認められた無過失による法定責任である。よって、受領義務はない。よって、①債権者の故意・過失を要しないが、他方で②解除・損害賠償は認められない。
・補足:特約(明示・黙示)による受領義務が認められる場合はある。信義則(1条2項)により認められる場合もある。

【債権者代位権】
●趣旨:債務者の責任財産の保全
・被相続人が生前売却した土地について、共同相続人の一人が移転登記に協力せず、それにより売却代金の支払いがされない場合、他の相続人は、売却代金債権を被保全債権として、飼主の有する移転登記請求権を代位行使できる(判例)。cf.423条の7

【詐害行為取消権】
●趣旨:債務者の責任財産の保全
・無資力要件:この点、趣旨に照らし、債務者に対する過度の干渉を回避するため、必要と解される。●認識:明文なし。
・被保全債権:この点、趣旨に照らし、原則として、金銭債権であることを要する。しかし、特定物債権も究極的には損賠賠償請求権に転じ得ることから、その目的物の処分により債務者が無資力となった場合には、当該処分を詐害行為として取り消すことができる(判例)。●確認:423では議論なし?
・二重譲渡(不動産):この点、①詐害行為取消権の行使には、…なので、無資力要件があり、177条とは別個独立の制度である。また、②第一譲受人の特定物債権は、債権者取消権の行使時点においては、損害賠償債権に転化している。よって、登記において劣後した第一譲受人も、第二譲渡行為を詐害行為として取消権を行使できる。
・離婚に伴う財産分与:原則として、身分行為であり、詐害行為にあたらない。しかし、768条3項の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認められる特段の事情がある場合には、当該過大な部分については、例外的に詐害行為にあたる(判例)。
・抵当権消滅:詐害行為により目的物の抵当権が消滅した場合。この点、目的不動産の取戻しにより、抵当権者の負担の下、債務者・債権者が不当な利益を得ることを防止すべく、価格賠償のみが認められる(判例)。
・履行遅滞:趣旨に照らし、履行請求を受けた時(最判平成30年12月14日)。

【物上保証人の事前求償権】
この点、①抵当不動産の売却前には、求償権の存否及び範囲は確定しない。また、②物上保証の委託は、債務負担行為ではなく、物権設定行為の委任に過ぎず、委任事務の処理ではない。そこで、460条の類推適用による事前求償権は否定される(判例)。

【譲渡予約・債務者の承諾(確定日付)があった場合の第三者対抗要件具備性】
債権譲渡の対抗要件を債務者への通知・債務者の承諾によらしめた趣旨は、債務者をして債権の帰属先についてインフォーメーション・センターとして機能させる点にある。この点、予約時点での確定日付ある承諾をしたとしても、債務者は、予約完結権の行使による将来の債権帰属変更の可能性を了知するにとどまり、実際の帰属変更について認識する訳ではない。よって、かかる承諾があっただけでは、第三者に対抗することはできない(最判平成13年11月27日)。

【対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由】
・請負人が仕事未完成部分に対応する報酬債権の一部を譲渡し、債務者対抗要件を具備した。
・その後、注文者が、請負人の債務不履行を原因として、請負契約を解除した。
この場合、債務不履行は債務者対抗要件具備の後に生じているものの、債権譲渡時に既に契約解除を生ずるに至る原因が存在しているものといえ、債務者は譲受人に対し解除を対抗することができる(昭和42年10月27日)。●確認:511条2項本文のような明文がないためか?

(相殺の要件等)
第五百五条 二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 前項の規定にかかわらず、当事者が相殺を禁止し、又は制限する旨の意思表示をした場合には、その意思表示は、第三者がこれを知り、又は重大な過失によって知らなかったときに限り、その第三者に対抗することができる。

【受働債権(期限の利益)】
この点、①「双方の債務が弁済期にあるとき」(505条1項)との文言があり、受働債権についても弁済期の到来が要件とされており、また②受働債権の債務者がいつでも期限の利益を放棄可能であることを理由に相殺適状にあると解することは、債務者が既に享受した期限の利益を自ら遡及的に消滅させることとなり相当でない。よって、相殺適状にあるというためには、期限の利益の放棄又は喪失等により、現実に弁済期が到来していることを要する(最判平成25年2月28日)。●検討:下線部

【預金担保貸付と相殺】
1.預金者
この点、経済的実質を重視し、金銭の出捐者と解される。
2.相殺の可否
よって、預金者と貸付債務者が異なることから、形式的には、債権対立という相殺の要件を充足しない(505条1項)。しかし、①預金担保貸付、相殺予約、及び相殺という一連の行為は、実質的には弁済と同視できる。また、②実社会における相殺の担保的機能を重視する必要性もある。そこで、相殺は認められると解される(478条類推)。
3.善意無過失の判断時期
そして、かかる相殺については、可能との信頼が生じることから、善意無過失については、貸付時を基準として判断すべきと解される。

(解除の効果)
第五百四十五条 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
2 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
3 第一項本文の場合において、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければならない。
4 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。

●趣旨:①債権者を契約の拘束力からの解放する点、及び②契約締結前の原状回復にある。
そこで、契約解除の直接の効果として、契約上の債権・債務は契約締結時に遡って消滅する(620条参照)。
・よって、545条1項本文は、不当利得返還義務の特則である。
・しかし、545条4項は、解除権者保護のため、解除による遡及効を制限した。

●趣旨(545条1項ただし書き):解除による遡及効を制限し、第三者の取引の安全を図る点にある。
・そこで、「第三者」とは、解除された契約に基づき、新たに独立の法律上の利害関係を有するに至った者をいう。
・また、解除原因の存在しそれを認識していても、必ずしも解除されるとは限らない。よって、第三者の善意は要しない。
・もっとも、「第三者」(177条)と別に扱う必要性がなく、対抗要件としての登記は要する(判例)。●補足:通説は、帰責性なき解除権者の保護との均衡から、権利保護要件を。

【売買】
・他人物売買と相続:売主による権利者相続の場合、相続により無権利ではなくなり、権利は当然に買主に移転する。●確認:売主を経て、だろう。
権利者による売主相続の場合、①相続という偶然の事情により権利者の諾否の自由が左右されるのは不合理であり、また②買主にも不測の損害までは生じない。よって、権利者は、信義則(1条2項)に反すると認められる特別の事情がない限り、売主としての履行義務を拒否できる(判例)。
・契約不適合責任の錯誤:一応論点としては残存している。が、無視でOK。結論的には、別個独立の制度なのでいずれも選択可能(有力説)とすれば足りる。
・補足:有償契約への準用(559条)

【賃貸借】
・近親者名義の建物登記:この点、登記が借地権者名義ではない場合、第三者は対抗力がないと信頼するのが原則である。よって、対抗力は認められない。
・転貸借:この点、原則として、賃貸人が転借人に対して目的物返還請求をした時に、社会通念上状況回復が期待しえなくなり、転貸人の転借人に対する債務が履行不能となり終了する。
・合意解除:この点、398条の基礎にある第三者の権利保護の法理から、転借人には対抗できない。そして、賃貸人・転借人間に転貸借契約を内容とする賃貸借契約が成立する。●検討:賃貸借契約を内容とする、が良いか。
・借地上の建物:この点、賃貸については、敷地利用権を伴わないことから、土地の転貸にはあたらない(判例)。それに対し、譲渡については、伴うことから、あたる(判例)。●検討
・知識:605条の2第1項の趣旨は、当事者の合理的意思 cf.539条の2の例外
・知識:605条の2第2項の趣旨は、賃借人の法的地位の安定化にある。そこで、「…及びその不動産を…賃貸する旨の合意」が要件とされている。
・知識:605条の3は、対抗要件具備ない場合 ●認識:明示ないが、ウラあり。
・賃借人死亡・相続人存在・内縁の妻:この点、内縁の妻の居住権保護の必要性から、相続された借家権を援用して対抗しうると解される(判例)。また、相続人からの明渡請求は、原則として認められるが、例外的に権利の濫用(1条3項)として否定される場合がある(判例)。
・補足:使用収益(616条、594条1項)●理解:これも使用貸借の規定の準用
・補足:使用貸借の規定の準用(622条)
・補足:敷金(622条の2):賃貸借に付随するが、別個の要物契約。停止条件付きでの金銭所有権移転。

【請負】
・仕事の完成:予定工程の終了(東京高判昭和47年5月29日)
・所有権の帰属:
1.建物は、その敷地とは別個独立の所有権の客体となる。
2.契約当事者間の合意の有無認定
3.合意なき場合:材料の供給者基準でOK(∵材料の所有権が積み上げられて完成した建物となる。)
・補足:不動産工事の先取特権(327条)
・注意:有償契約への準用(559条)
・注意:担保責任の制限特則(636条・637条)●補足:166条1項2号・2号も補充的に適用される。
・損害額算定基準時:この点、損害賠償請求が修補に代わるものであることから(564条参照)、修補請求の時と解される。
・支払拒絶:この点、修補請求がされた場合との均衡を考慮し、(契約不適合の程度や当事者の交渉態度等に鑑み)信義則(1条2項)に反すると認められるときを除き、全額の支払拒絶できる(最判平成9年2月14日)。●検討:売買では、不適合の程度の応じて、のはず?だが。なお、均衡を考慮、についても検討。
・損害賠償債権と報酬債権との相殺:この点、①相手方に抗弁権喪失による不利益はなく、②双方の公平に敵い、③当事者にも便宜で法律関係も簡明になることから、可能と解される(最判昭和53年9月21日)。●検討:問題の所在

【不当利得】
●趣旨:公平を図る点にある。
●要件:①受益、②損失、③因果関係、④法律上の原因がないこと
・③因果関係:この点、直接的なものに限定すると公平を図る制度趣旨に応じた柔軟な解決を困難とすることから、受益と損失との間に社会通念上の連結があれば足りる。
・④法律上の原因がないこと:この点、公平を図る制度趣旨に照らし、財産的価値の移転を正当化する実質的理由がないことを意味する。
・占有物訴権:この点、公平を図る制度趣旨に照らし、第三者を含めた関係全体から見て、対価関係なしに利得を受けたと認められる場合に限り、「法律上の原因」がない。
・423・424:この点、債権消滅により、423は行使できない(判例)。他方、債権者独自の立場に基づくことから、クリーン・ハンズの原則という708条の制度趣旨が妥当せず、424は行使可能と解される。●判例?

【不法行為】
●趣旨:①被害者の救済、及び②損害の公平な分担にあると解される。
・即死:この点、①即死とはいえ、受傷と死亡の間には時間が観念できる。また、②受傷後暫くして死亡した場合との均衡を図る必用がある。そこで、被害者即死の場合においても、財産的損害賠償請求権は発生し、相続されると解される(判例)。
・慰謝料請求権と相続:この点、①民法上、財産的損害とその他の損害とで損害発生時点を区別していない。また、②慰謝料請求権そのものは単純な金銭債権である。そこで、被害者死亡の場合においても、慰謝料請求権は発生し、相続されると解される(判例)。
・受傷:この点、文言上は「生命を侵害した」と規定されているが、711条の趣旨は近親者の精神的苦痛の救済のため証明責任を軽減する点にある。そこで、生命侵害に比肩すべき精神上の苦痛を受けた場合、709条及び710条により、自己固有の慰謝料請求権を有する(判例)。
・他の者:この点、文言上は「父、母、配偶者及び子」と規定されているが、711条の趣旨は近親者の精神的苦痛の救済のため証明責任を軽減する点にある。そこで、同条所定の者と実質的に同視しうる者が、被害者の死亡により精神的苦痛を被った場合、711条類推適用により、自己固有の慰謝料請求権を有する。
・賠償範囲:この点、損害の公平な分担という制度趣旨に照らし、別の事情による損害の賠償は予見可能な場合に限定すべく、416条類推適用によるべきと解される。
・「損害及び加害者を知った」(724条1号):①この点、被害者の救済という制度趣旨に照らし、被害者が「損害」の発生を現実に認識した時と解される(判例)。また、同趣旨から、賠償請求が事実上可能な状況において、可能な程度に「加害者」を知った時と解される。

(損害賠償の方法、中間利息の控除及び過失相殺)
第七百二十二条 第四百十七条及び第四百十七条の二の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。
2 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

・過失相殺(722条2項):この点、損害の公平な分担という制度趣旨に照らし、被害者について、責任能力までは要せず、事理弁識能力があれば足りる(判例)。
・この点、損害の公平な分担という制度趣旨に照らし、被害者と身分上・生活関係上一体である者の過失は、被害者側の過失として斟酌すべきと解される(判例)。
・心因的要因:この点、損害の公平な分担という制度趣旨に照らし、損害拡大について被害者の心因的要因が寄与している場合には、722条2項類推適用により、損害賠償額の算定において考慮することができる(判例)。
・身体的要因:この点、損害の公平な分担という制度趣旨に照らし、被害者の疾患も原因となって損害が発生した場合には、722条2項類推適用により、損害賠償額の算定において考慮することができる(判例)。cf.身体的特徴については、考慮不可(∵個体差は与件であり、それによる損害拡大は、制度上当然に予定されている。)。
・補足:損益相殺については、明文なし。しかし、制度趣旨に照らし、認められている。

(共同不法行為者の責任)
第七百十九条 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
2 行為者を教唆した者及び幇ほう助した者は、共同行為者とみなして、前項の規定を適用する。

〇719条
・「共同」:この点、被害者の救済という制度趣旨に照らし、複数人の加害行為が客観的に一体と見られる関係にあれば足りる(客観的関連共同説・判例)。
・「連帯…責任」:この点、被害者の救済という制度趣旨に照らし、連帯債務となると解される。しかし、同趣旨から、442条1項は適用されず、自己の負担部分を超える免責を得た場合に限り、求償権を有すると解される。●方針:一旦これで行こう。
・過失相殺:全ての過失割合を認定できる場合は、絶対的に行う(判例)。それに対し、交通事故・医療事故等の事例においては、加害者・侵害行為を異にすることから、各加害者・不法行為について、相対的に過失相殺を行う(判例)。●認識:加害者が複数だが、侵害行為は同種の場合、まず加害者「側」との間で過失相殺し、残額は連帯債務(後は加害者間の求償の問題)。

ワヴィニー

日本の民法は「全く知らない」というのもマズイかと考えまして、試みに…

律子

「『全く知らない』訳ではない」ということだけは、かろうじて理解できました(笑)。