【司法試験】刑法(H29)

問題

【出典:法務省ウェブサイト (001224573.pdf)】

答案(例)

第1 乙の罪責
1.強盗目的での「侵入」について、住居侵入罪(130条)が成立する。
2.Vの顔面を蹴り、右ふくらはぎをナイフで刺し、500万円をもちだし、追ってVが死亡しているという行為・結果について、強盗致死罪が成立しないか。
(1)…であり「暴行」にはあたる。
(2)…であり、反抗抑圧されており、「強取」にもあたる。
(3)…Vの死因は乙が顔面を蹴ったことによる脳内出血であり、因果関係も認められる。
(4)よって、強盗致死罪が成立する。
3.以上より、乙には、①住居侵入罪、②強盗致死罪が成立し、両者は目的・手段の関係にあることから、牽連犯(54条1項後段)となる。

第2 丙の罪責
1.乙の強盗を手伝う目的での「侵入」について、住居侵入罪が成立する。
2.乙と共に500万円を持ち出した行為について、強盗致死罪の共同正犯(240条、236条1項、60条)が成立しないか。
(1)●承継的共同正犯
(2)あ:ふくらはぎの怪我でVが動けない点は利用している。脳内出血については利用していない。よって、致傷については負うが、致死については負わない。
(3)結論:強盗致傷罪の限度で共同正犯が成立する。
3.住居侵入罪と強盗致傷罪が成立し、両者は牽連犯となる。

第3 甲の罪責
1.…なので、共犯となるか。
(1)●共謀共同正犯・順次共謀:①正犯意思、②共謀、③実行行為
(2)あ
ア ①:あり
イ ②:あり。順次あり。
ウ ③:あり
(3)結論:乙・丙の犯罪について、共謀共同正犯となる。
2.犯行を中止しろと言っている。
(1)●共犯からの離脱
(2)あ
(3)結論:認められない。
4.想定していなかった致死の結果についても責任を負うか。
(1)●結果的加重犯と共犯
(2)あ
(3)結論:責任を負う。
5.乙・丙が犯した罪は異なるものの、構成要件の範囲内で一致している限り、責任を負う。●論証するか。
6.乙との間で住居侵入罪及び強盗致死罪について共同正犯、丙との間で強盗致傷罪について共同正犯。

第4 丁の罪責
1.住居侵入罪が成立する。
2.キャッシュカード自体について、…なので「財物」であり、それを…なので「窃取」したと認められる。
3.では、暗証番号聞き出し行為については、強盗利得罪(236条2項)が成立しないか。
(1)…●反抗抑圧状態の利用…「脅迫」はあったと認められる。
(2)では、「財産上不法な利得を得た」といえるか。
ア ●暗証番号
イ あ
ウ 結論:いえる。
(3)よって、強盗罪が成立する。
4.ATMからの引き出し行為について、…なので、建造物侵入罪及び窃盗罪が成立する。
5.Vに対し、①住居侵入罪、②窃盗罪、③強盗罪が成立し、①と②・③は牽連犯となる。また、Xに対する④建造物侵入罪、⑤窃盗罪が成立し、両者も牽連犯となる
以上

出題の趣旨

【出典:法務省ウェブサイト (001236007.pdf)】

採点実感等

【出典:法務省ウェブサイト (001240104.pdf)】

参考

・甲について、①共謀の射程論、及び②(離脱を論じずに)中止犯の成否を論じることは、刑法上の基本的な概念の理解を誤っている。とのこと。●理解:①射程は明確、②相応行為なし。か。

その他

・基本犯を共同でしたか否かが承継的共同正犯の問題。よって、基本犯を共同でしたことを前提に、結果まで負うのか否かの結果的加重犯と共犯の論点にはならないか。