【司法試験】憲法(R2)

問題

【出典:法務省ウェブサイト (AQ-5)】

答案(例)

第1 規制①
規制①は、高速バス専業事業者の営業の自由を侵害し違憲ではないか。
1.●論点:営業の自由
2.規制①により、高速バス専業事業者は、高路路線バス(以下「高速バス」)を継続・専念できなくなり、また生活路線バスにも自由な参入が認められず、当該自由が制約されている。
3.かかる制約は正当化されるか。
(1)この点、高速バス事業者の営業の自由は、収益を上げることにつながり、役職員の生活等に直結する重要な権利である。
(2)その規制態様としては、生活路線バス(以下「生活バス」)事業に参入しない限り、高速バス事業を継続できない参入規制という強い制約である。また、②貸切バス事業者とならなければ、高速バス事業を継続できない点においても、参入規制という強い制約である。
 これに対しては、①生活バス事業に参入しうること、及び②貸切バス事業者になりうることから、営業の自由の態様の制約に過ぎない、との反論が想定される。
 しかし、①参入可能なのは、赤字の既存事業者すら現在運航していない路線であり、採算は見込めず。仮に参入をしても、参入には多額のコストがかかり、その回収は見込みがたい。また、②受託者となることで、委託者と収益を分け合う形となり、その収益は大きく棄損される。よって、かかる反論は妥当ではない。
(3)さらに、本件規制の目的は、地域住民の生活水準改善もあるものの、その性質上(●検討:重要と言っているようなものだが)、自家用車依存による人身事故予防による生命・身体の保護が主と解される。かかる消極目的を主とする規制については、裁判所による緻密な判断が可能である(薬事法事件判決参照●検討)。
 これに対しては、本件規制の目的は生活バス事業者の収益改善という積極目的にあり、立法府の裁量が広いとの反論が考えられる。
 しかし、規制目的には様々なものがあり、そのような側面を有することだけでは説得的理由にならない。収益が改善されない事業者は、本来的には(一定のセイフティーネットを張りつつ)倒産させるのが自然な処理である。本件規制の主たる目的はあくまで前述した通りと認められる。
 したがって、規制①については、①その目的が重要であり、②その手段が実質的関連性を有している場合にのみ合憲となると解される。
4.これを本件についてみると、①規制①の主たる目的は前述の通りであり、重要である。●検討。
②手段については、形式的に生活バスに参入することでむしろ低コスト経営がはびこり事故等が起こりうる。また、生活バス事業者に優先的に高速バス事業を割り当てるより穏便な方法もありうる。よって、実質的関連性を有しているとは言えない。
5.以上より、規制①は違憲である。

第2 規制②
本件規制は対象住民が特定地域を自家用車で通行する自由を制限し違憲ではないか。
1.●論点:移動の自由(「移転」に含まれる。と一言でOK。)
2.規制②により、当該自由が制約されている。
3.かかる制約は正当化されるか。
(1)まず、移動の自由は、身体の自由(33条以下)が別途保障されていることから、条文通り経済的自由の一環である。
これに対しては、精神的側面を有する点を重視すべきとの反論が考えらるが、移動の内容は様々であり、本問のような市街地への移動等の場合には、人格の形成発展等の意義は薄く。妥当ではない。
(2)その規制態様としては、特定の場所に特定の時間に立ち入れないというに留まり、またやむを得ない事由がある場合の例外も認められており、比較的軽いものである。
(3)そこで、規制②については、①その目的が正当であり、②その手段が合理的関連性を有していれば合憲と解される。
4.これを本件についてみると、①目的は…正当である。
また、②手段についても、住宅密集地では…合理的関連性がある。また、観光地でも…合理的関連性がある。
この点(●あてはめでの反論の例)、観光地では観光バスを規制しないと、との反論が想定されるが。観光バスは大量収容可能で、その利用により自家用車は減少するので妥当ではない。
5.以上より、規制②は合憲である。
以上

出題の趣旨

【出典:法務省ウェブサイト (Taro-令和2年出題の趣旨(合体版))】

採点実感等

【出典:法務省ウェブサイト (Taro-01_公法系科目)】

参考

・①権利の重要性、②規制態様、③規制目的の3点セットを検討することで良いらしい。基準定立に際し。
・職業の選択・遂行の区別はすべきらしい。
・法案の目的に全く触れないのは良くないらしい。
・「移動」が「移転」に含まれるかは自明ではない、との指摘もあるが。一言で良い些事。

その他

・答案イメージ作りに適した問題に思われる。
・「許可制」であることを書くべきだ(った)。