【司法試験】行政法(H25)
問題
【出典:法務省ウェブサイト (<5461726F2D81798AAE817A303181408C9B96402E6A7464>)】
答案(例)
第1 設問1
1.●論点:処分性
2.本件組合の法的性格
公権力の主体か。
この点、強制加入(法25条1項)団体であり、かつ賦課金・過怠金の賦課徴収・滞納処分申請(法40条1項、41条)、及び換地処分(法103条3項)等の一方的行使可能な権限が付与されている。
よって、肯定。
3.本件認可の法的効果
(1)下級行政機関性
ア C側の主張は、本件認可が監督手段(法123条1項、125条1項)の一種であり、行政機関間の内部的行為であることから、直接国民の権利義務を形成し範囲を確定する効果を持たない点にあると認められる。
イ しかし、定款変更は組合員の権利義務に変動をもたらす。そして、本件要綱が効力を生じることにより、賦課金(法39条1項、15条6号)の納付義務が発生する。
ウ よって、前述のC側の主張は妥当ではない。
(2)条例制定行為性
ア C側の主張は、条例による施行規定(法52条1項、53条1項)と同様の内容であり、一般的抽象的効力しか有さないという点にあると認められる。
イ しかし、前述の通り、具体的な義務が発生する。その意味で、紛争の成熟性もある。
ウ よって、前述のC側の主張は妥当ではない。
(3)結論
要件を充足し、処分性が認められる。
第2 設問2
1.本件事業の遂行可能性
(1)適法とする法律論
●論点:行政裁量
「経済的基礎」・「適確に施行するために必要なその他の能力」(法21条1項4号)は、高度の専門的判断。逸脱濫用なし。
(2)違法とする法律論
しかし、事業の性質等に照らし、相当程度客観的に判断可能な事項。また、法21条1項は、不認可自由を各号列挙事由に限定し、それ以外は認可しなければならないとしている。よって、裁量は限定的である。度重なる計画変更、実質的な破綻状態にあることから、「経済的基礎を欠く」ことは明確。
(3)結論
違法(法39条1項、21条4号違反)
2.本件定款変更
(1)適法とする法律論
形式的要件(法38条3項、4項)充足。白紙は、文字通り白紙委任。よって、適法。
(2)違法とする法律論
しかし、「費用の分担に関する事項」は定款記載事項(15条6号)。その点、強制加入組織であることに照らし、各組合員の意思を直接反映する趣旨。
よって、500人もの多数の、間接的な意思を白紙委任する点、適正な手続とは言えない。
(3)結論
よって、違法(法39条1項、21条1項2号違反)。
3.賦課金算定方法
(1)適法とする法律論
負担能力に応じた免除。算定方法は定款規定事項ではない。関連性がなく、適法。
(2)違法とする法律論
法40条2項は、土地の位置・地積等を考慮した「公平」を定めている。
この点、20%の人数で全賦課金を引き受け、地積で41%が免除を受けている。
本件要綱が議決された上での定款変更であり、両者は一体。賦課金の決定方法が公平でなければ、定款変更も公平ではない。
(3)結論
よって、公平(40条1項2号)ではなく、定款の内容違反(法21条2号)として、違法。
以上
出題の趣旨
【出典:法務省ウェブサイト (<5461726F2D81798C5991698F4390B394AD8CA98CE38145915391CC94C5817A>)】
採点実感等
【出典:法務省ウェブサイト (<5461726F2D81798AAE817A8DCC935F8EC08AB4939982C98AD682B782E988D3>)】
参考
・条文だけではなく、具体的文言を書く(のがベスト)。
・法53条1項は、組合施行の場合にも条例で施行規定を定めることとしている、のではない。
その他
・3分の2以上が免除されるなら不公平、という発想。なぜなら、特別決議が通るから。
