【司法試験・予備試験】国際私法 基本書 おすすめ7選!
司法試験・予備試験を受験する友人のため、日本の国際私法の基本書等について、教えてもらえますか?
700は無理やけど、7ぐらいなら。
あくまで受験の観点から、かつ(少なくとも一読はした)私の主観や。
☆5つがマックスや。
目次
- 1.多田望・他「国際私法」 (有斐閣ストゥディア) ☆☆☆☆☆
- 2.松岡博・他「国際関係私法入門」 (有斐閣) ☆☆☆☆☆
- 3.横溝大・他「国際私法」(LEGAL QUEST) (有斐閣) ☆☆☆☆
- 4.神前禎・他「国際私法」(有斐閣アルマ) ☆☆☆
- 5.澤木敬郎・道垣内正人「国際私法入門」(有斐閣双書) ☆☆☆
- 6.櫻田嘉章「国際私法」(有斐閣Sシリーズ)(未定)
- 7.神前禎「プレップ国際私法」(弘文堂) ☆☆☆☆
- 8.出口耕自「論点講義 国際私法」(法学書院) ☆☆☆☆
- 9.折茂豊「国際私法講話」(有斐閣)(∞)
- 10.溜池良夫「国際私法講義(第3版)」(有斐閣) ☆(n+1)
- 11.山田鐐一「国際私法(第3版)」(有斐閣) ☆(n+1)
- 12.石黒一憲「国際私法(第2版)」(新世社) ☆(n+1)
1.多田望・他「国際私法」 (有斐閣ストゥディア) ☆☆☆☆☆
これが一番解りやすいな。
4コマ漫画を使用する等、かなり柔らかい印象ですね。
「編集担当者から」のコメントにも行き当たりました。
「刊行によせて」の座談会もあって、読者を強く意識した良い書籍やね。
読者向けの「あとがき」もあり、そのあたりが徹底しているわ。
(なお、「あとがき」にある通り、狭義の国際私法に絞って解説している。)
一読された感想は?
これ以上、解り易く書くことは難しいやろうね。
図は勿論解り易いが、補足的説明が随所に散りばめられていて、痒い所に手が届いてますわ。
これ以上シンプルに書こうとすると、「1周回って、条文のみ書いてある六法に戻る」で。
なお、同じ「六」が付いているからといって、「双六」の指示と勘違いしたらアカンわよ。
そのコメントは解り易くないですが、本書が解り易いことは解りました。
より具体的な長所・短所(if any)は?
そんなに焦らんでもええやん。
また追い追い。
他の書籍も紹介していくしね。
2.松岡博・他「国際関係私法入門」 (有斐閣) ☆☆☆☆☆
これが一番人気かな。知らんけど。
「設例」を設定し、個別的・具体的に国際私法を学べますね。
米国Law Schoolの教材(Case Book等)のようです。
かつてHarvard Law Schoolの客員研究員でもあった編者が、「第1章 国際関係私法の学び方」を特に設けて解説する等、学習者の立場に配慮した良い書籍やね。
「はしがき」(初版)にもある通り、「国際私法, 国際民事訴訟法, および国際取引法の入門的な教科書」として、国際私法(狭義)に留まらず広くカバーしている点も魅力やわ。
一読された感想は?
「選択科目は守り」ということであれば、これで必要十分やろうね。
(本書をマスターして、なお余力があるようなら、他の科目(予備試験受験生であれば、特に法律実務基礎科目)をやりなはれ。ということ。)
著者が複数名重なっていることもあり、「国際私法」(有斐閣ステゥディア)の後に読んだらええかも。
より具体的な長所・短所(if any)は?
そんなに焦らんでもええやん。
また追い追い。
他の書籍も紹介していくしね。
3.横溝大・他「国際私法」(LEGAL QUEST) (有斐閣) ☆☆☆☆
これも一二を争う人気かな。知らんけど。
各章毎に「参考文献」を挙げる等し、各分野を詳説しており、標準的な「基本書」と言えましょうか。
「巻末資料」として、民事局長通達を掲載する等、実務的な目配せもされていますね。
「本書の使い方」において、「本書が想定している読者および本書を読む順序」・「本書を読む際の注意」について記載があり、読者の立場に配慮した良い書籍やね。
国際私法(狭義)と国際民事手続法をカバーしている。
他方で、国際取引法については、(「国際取引法」に含めるとして)知的財産権について特に一つ章を設けていること、及び”Column”で「ウィーン売買条約の適用」に言及していること等を除けば、比較的記述は薄いのではないかと。
一読された感想は?
国際私法(狭義)と国際民事手続法に限れば、予備試験・司法試験対策としては、十分過ぎる質・量。
他方、前述の通り、国際取引法については比較的記述が薄いため、その点を別途補う必要がある点、いわゆる「オミタな」面はあるな。
「帯に短し襷に長し」ね。
より具体的な長所・短所(if any)は?
そんなに焦らんでもええやん。
また追い追い。
他の書籍も紹介していくしね。
4.神前禎・他「国際私法」(有斐閣アルマ) ☆☆☆
ここからは、言わば「2番手グループ」かな。知らんけど。
「アルマ」シリーズという点では、標準的な「教科書」と言えましょうか。
巻末の「資料」として、通則法等の条文が挙げられており、基本に忠実ですね。
第1編のタイトル(「国際私法と国際民事手続法」)にある通りの2分野をカバーしている。
”Column”では、国際取引法・実務的な問題に触れる等、「意欲作」という印象やね。
司法試験・予備試験では出題がされないであろう「国際倒産」・「商事仲裁」にも相当の分量を割いており、著者の興味・経験を反映した面が大きいように思われる。
一読された感想は?
「学問」的・「実務」的な印象。こと司法「試験」・予備「試験」用としては、オミタな感がある。
トップ3を読んで、国際私法(広義)に更なる関心を抱いた人であれば、興味深く読めるやろね。
より具体的な長所・短所(if any)は?
そんなに焦らんでもええやん。
また追い追い。
他の書籍も紹介していくしね。
5.澤木敬郎・道垣内正人「国際私法入門」(有斐閣双書) ☆☆☆
ここから2冊は、受験生の間では必ずしもメジャーではないが、長年研究に取り組んで来た著者によるものやね。知らんけど。とは言わん。
「双書」シリーズという点では、標準的な「教科書」と言えましょうか。
第3版までは、「全体が一貫した論理で構成されたわかりやすい国際私法であることがなによりも重要」であることを最も大切にされてきたとされる著者による単著(同書第4版「はしがき」参照)。彼が逝去された後、第4版からは、共著という形式を採用されていますね。
形式面については、”Column”や脚注等はない。全てが本文で書きこまれている。
内容面については、厳密な考察の下、透徹した論理で基本的事項が網羅的に説明されている。独自の学説も交えつつ。
司法試験・予備試験では出題がされないであろう「国際倒産」・「商事仲裁」にも相当の分量を割いている点、前述の「アルマ」同様。その共通性については、故あってのことや。きっと(Cut?)。
一読された感想は?
「学問」的な印象。こと司法「試験」・予備「試験」用としては、余剰感がある。
それも故あってのこと。いずれの著者も学者として成熟した後に書かれているのだから。
「アルマ」を読んで、国際私法(広義)に更なる関心を抱いた人であれば、更に興味深く読めるやろね。
(最近報道で頻繁に耳にする方ではない方の)トランプで例えれば、ババ抜きができないなら、ポーカーはできない、という感じや!?
より具体的な長所・短所(if any)は?
そんなに焦らんでもええやん。
また追い追い。
他の書籍も紹介していくしね。
6.櫻田嘉章「国際私法」(有斐閣Sシリーズ)(未定)
これも、長年研究に取り組んで来た著者によるものやね。知らんけど。とは言わん。
「S」シリーズという点では、標準的な「教科書」と言えましょうか。
「本書はごく初歩的な講義を念頭において執筆されたものである。」・「学生諸君に限らず、国際私法にまず関心をもってもらいたいというのが本書の執筆意図であるといってよい。」とのことです(初版「はしがき」)。
そこだけ読むと、前述した「ストゥディア」等の「はしがき」に書かれていても、少なくとも違和感はないものやな。
しかし、本書と「ストゥディア」等との間には、一見明白に(違憲ではないが)内容面で大きな違いがある点、異論のないところだろう。
一読された感想は?
正直、まだ最後まで行っていない。
なので、☆付けもしていない。
より具体的な長所・短所(if any)は?
そんなに焦らんでもええやん。
また追い追い。
他の書籍も紹介していくしね。
7.神前禎「プレップ国際私法」(弘文堂) ☆☆☆☆
ここから2冊は、受験生の間では必ずしもメジャーではないが、下記する「改善」がされれば、一気にトップクラスに躍り出る潜在的魅力を秘めた書籍や。個人的にも、気に入ってる。いわば「狭く深い」2冊や。
「プレップ」シリーズという点では、標準的な「入門書」と言えましょうか。
惜しむらくは、人事訴訟法・家事事件手続法等改正(平成30年)を踏まえた改訂がなされていないようですね。
対象を絞り込み、深く本質論を展開している。
しかし他方で、特に国際裁判管轄については、読みやすい形式で条文を引用しつつ、(ワヴィやんが先に言及した点(未改訂)を除き)広く浅く網羅的に拾い上げている。入門書としては、良書や。
この手の書籍としては珍しく、「寛容さ」(「はしがき」)を殊更に強調し、全般的に丁寧に解説している点、ある意味で他にない「柔らかさ」を持つ書物でもある。
一読された感想は?
有斐閣ストゥディアに匹敵する解り易さや。
ワヴィやんが先に言及した点(改訂)さえ成れば、例えば、この書籍で本質論を狭く絞り込み理解し、然る後に有斐閣ストゥディアに進む、等の活用方法も十分想定される。その意味では、「最初の1冊」に躍り出るだけの潜在的魅力あり。なので、☆4つにしときますわ。
より具体的な長所・短所(if any)は?
そんなに焦らんでもええやん。
また追い追い。
他の書籍も紹介していくしね。
8.出口耕自「論点講義 国際私法」(法学書院) ☆☆☆☆
繰り返しながら。
これも、受験生の間では必ずしもメジャーではないが、下記する「改善」がされれば、一気にトップクラスに躍り出る潜在的魅力を秘めた書籍や。個人的にも、気に入ってる。いわば「狭く深い」1冊や。
シリーズものではないようですね。
惜しむらくは、人事訴訟法・家事事件手続法等改正(平成30年)を踏まえた改訂がなされていないようですね。
そうなんよ。メインは、国際私法(狭義)や。
「国際民事訴訟法の重要な論点のいくつかは、本書においても取り上げられている。」(「はしがき」)とは言え。
また、国際取引法についても、基本的に触れられていない。他で補う必要があるな。
内容面については。各講毎に具体的テーマを挙げ、適宜「例題」を設定しつつ、説明をする。
「論点」講義と題しつつも、各箇所で参考文献等を明示する等しつつ、基礎から丁寧な解説が行われている。
鳥瞰的・分析的の両面を併せ持つ、非常に優れた書籍や。
一読された感想は?
LEGAL QUEST同様、「基本書」という名に値するだけの実質を持つ。
ワヴィやんが前に言及した点(改訂)さえ成れば、例えば、プレップand/orストゥディアで「入門」した後、この書籍に進むことは十分合理的。改訂が切に待たれる。
著者自身が、「はしがき」において、「本書は, 国際私法の初級から中級・上級へ進むためのもの」、かつ「国際私法の学習用テキストの決定版, これが本書の目標である。」と述べている。その通りや。その意味で、☆4つにしときますわ。
より具体的な長所・短所(if any)は?
そんなに焦らんでもええやん。
また追い追い。
他の書籍も紹介していくしね。
9.折茂豊「国際私法講話」(有斐閣)(∞)
これは、「番外編」や。ある意味、「桁違い」の書とも言える。
初版の時は、今(2024年)から遡ること約46年の1978年!!!
しかし、時代を反映した記述は一部ある(※)ものの、(様々な意味で)「普遍的」と言える書物や。今でも、参考図書に指定している人もいるやろう。きっと(Cut?)。
(※)本文186頁のうち10頁が、第15節「社会主義諸国の国際私法」に割かれている点は、その典型例。しかし、その点についても、歴史・教養として学ぶ意義は大なり。
著者いわく、「先頃は定年によって学校の教壇からも退いたので」(はしがき)ということで、自ら書いてみたいと願っていた入門書を書いた、とのこと。
要するに、その道を究めた人が最後の最後に書いた「入門書」、ということや。最初の方に書いて、徐々に良くして行く、というのも一つの道やがな。
兎にも角にも、現存する国際私法のテキストとしては、最も「狭く深い」1冊や。
あまりに昔の書物なので…
そうやね。
そういう意味では、書名を伝えただけで、今(2024年)を生きる私としては、「やるべきことはやった」感はあるな。
読みたい人は自分で探して読みなはれ。オンデマンド以外、入手もままならないおそれあり。
私が言いたいことが、読めば解る。目次を見るだけでも解る。今わからなくとも、いつか解る。そういう書物やわ。
一読された感想は?
一読どころやおまへんがな。
何度読んだか、また何度基礎・基本に立ち返って考えさせられたか、判りませんわ。
著者は逝去されており。この先も改訂はない。そもそも必要性もない。
最早「古典」や。
より具体的な長所・短所(if any)は?
そんなもんはいらん。
本書については以上や。
10.溜池良夫「国際私法講義(第3版)」(有斐閣) ☆(n+1)
ここから2冊は、「伝説」の書籍や。
残念ながら、通則法下でのアップデートがされていない。おそらく今後もないだろう。それもあり、ランクは一旦「ニュートラルとなりうるもの」にした。
しかし、仮に著者の弟子(達)が補訂等すれば、大規模法律事務所における実務レベルでの使用にすら十分耐えうる書籍として、一気にトップクラスに躍り出るクオリティーや。
「本書は, 私の大学での講義を録したものに加筆補正を加えたものである。」(はしがき)とのことですね。
当該大学の講義を受けたのに近い効果を得る可能性を秘めている、と私は理解している。
一読された感想は?
一言で言えば、テープ収録・起こしをした人が別途述べている通り、「重厚かつ明快な講義」や。
より具体的な長所・短所(if any)は?
そんなに焦らんでもええやん。
また追い追い。
他の書籍も紹介していくしね。
11.山田鐐一「国際私法(第3版)」(有斐閣) ☆(n+1)
前述の通り、これも「伝説」の書籍や。
残念ながら、通則法下でのアップデートがされていない。おそらく今後もないだろう。それもあり、ランクは一旦「ニュートラルとなりうるもの」にした。
しかし、仮に著者の弟子(達)が補訂等すれば、大規模法律事務所における実務レベルでの使用にすら十分耐えうる書籍として、一気にトップクラスに躍り出るクオリティーの書籍や。
「注釈」が多い書物ですね。
それだけ多くの資料に基づいて書かれた書籍ということや。
どこかで誰かが、「博覧強記」の方にしか書けない書籍である、といった主旨の話をしているのを聞いたことがあるぞ。
一読された感想は?
一言で言えば、「辞書」や。
より具体的な長所・短所(if any)は?
そんなに焦らんでもええやん。
また追い追い。
他の書籍も紹介していくしね。
12.石黒一憲「国際私法(第2版)」(新世社) ☆(n+1)
これは「新進気鋭」の書や(「編者のことば」)。
「!」が多い書物ですね。
読めば「!」するで。
私は大好きな1冊や。
通則法には対応してる。
が、民訴法等改正(平成23年)・人訴法・家事法等改正(平成30年)には対応していない。
おそらく今後もないだろう。それもあり、ランクは一旦「ニュートラルとなりうるもの」にした。
一読された感想は?
一言で言えば、「鬼才の書」や。
より具体的な長所・短所(if any)は?
そんなに焦らんでもええやん。
また追い追い。
他の書籍も紹介していくしね。
ありがとうございました。
なお、何故「7選」なのかについては、改めて数えてみます。
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