合意管轄(消費者)(東京高裁平成26年11月17日判決)

律子

標記の件、事実の概要は理解しましたが、判旨について質問があります。

【事実の概要】
・ネヴァダ州法人Yが、Xら9名に対し、本件金融商品を販売した。
・Xらは、Yに対し、満期が到来したとして、出資金返還請求訴訟を提起。
・本件金融商品に係る本件契約書(平成20年以降に締結されたもの)には、ネヴァダの裁判所を専属的合意管轄裁判所とする旨の本件管轄合意が置かれている。
(Xらのうち、X1(平成19年に契約締結)のみについては、本件管轄合意がされていなかったことから、判旨においては、主にその他の8名について言及する。)
●第一審:訴え却下。Xがが控訴。

ワヴィニー

骨子だけなら、答えられますよ。

【判旨】原判決取消し・差戻し。
・「本件契約に関するXらからの訴えについては, 他に障害事由が存しない限り, 日本の裁判所に管轄がある(民事訴訟法3条の4第1項)」
・「民事訴訟法…改正…(平成23年…)の施行日…平成24年4月1日以前に合意された本件管轄合意…現行の民事訴訟法3条の7の適用がない…(同改正附則2条)…」
・「…その成立及び効力については同改正以前の民事訴訟法の規定の趣旨を参酌しつつ条理によって決すべきである」
・「①…最も契約締結日が早い平成20年の時点で, 本件金融商品の運用が行き詰っていたにもかかわらず…勧誘を続ける一方, 本件管轄合意の定めを置いたこと」
・「②Yは, 関東財務局からの命令にもかかわらず, …購入者に対し, …必要な事項の説明を怠っていること」
・「③Yは, 本件訴訟及び米国訴訟でそれぞれ管轄の存在を争っていること」
・「④…必要な証拠がアメリカ合衆国に偏在しているとはいえないこと」
・「⑤日本の裁判所…, Yに不合理で過大な負担を強いるものではない」
・「のに対し, アメリカ合衆国の裁判所で審理することは, Yらにとって大きな負担となる」
・「…に加えて, X1については本件管轄合意がみとめられないこと」
・「などを併せ考えると, 本件管轄合意…はなはだしく不合理…公序法に違反…許されない」

律子

他にも質問がありますが、またの機会に。

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