隠れた反致
隠れた反致について、質問があります。
3つだけなら、答えられますよ。
1.問題の所在は?
1.米国諸州においては、裁判管轄規則のみが存在し(格別の準拠法選択規則はなく)、その適用の結果として、法廷地法が適用されることとされている(例えば養子縁組等について)。そこで、当該裁判管轄規則に基づき日本が法廷地となりえる場合において、(法廷地法たる)日本法が適用されるときにも反致は認められるのか、という問題です。
2.通説(有力説)・判例は?
2.隠れた反致肯定説(裁判例・戸籍実務)です。
養子縁組を例に言えば、例えば子の住所地管轄が認められており、かつ法廷地法が適用されるのであれば、そのこと自体が「養子縁組は子の住所地法による」という準拠法選択規則の存在を示している(隠されているが)、等が根拠です。
3.反対説・批判は?
3.
・隠れた反致否定説です。
・その中にも、①日本が法廷地になる場合、米国諸州裁判所が裁判管轄を有する場合に該当しない以上、隠れた反致による前提を欠く(よって否定)という見解と、②仮に日本が米国の一州であるとして、米国国際私法により日本の裁判所にのみ国際裁判管轄が認められる場合は肯定、それ以外は否定、という見解(厳密には部分的否定・肯定説)等があります。
・批判:判決の国際的調和という反致条項の趣旨を害する。
個人的には、そもそも反致否認論に立つこと等から、その登場場面を限定すべく、隠れた反致否定説(②は解釈論の域を超えるため上記①)で良いかと現在は考えています。また、仮に反致を肯定するとしても、隠れた反致については、「外国法を外国法として適用する。」という国際私法の構造に反するように思われます。
他にも質問がありますが、4つ目以降は、またの機会に。