反致(隠れた)(青森家裁(十和田支部)平成20年3月28日審判)

律子

標記の件、事実の概要は理解しましたが、判旨について質問があります。

【事実の概要】
・X1(申立人・男・米国籍):米国のP州で出生。現在、実母・妹はP州居住。父はQ州居住。
・X2(申立人・女・米国籍):米国Tennessee州で出生。現在、実母・兄・妹は同州居住。
・X1・X2は、Tennessee州で婚姻後、来日。実子3名と共に日本で生活している。経済的に安定。今後も日本で暮らして行く予定。
・Y1(事件本人)は、非嫡出子Y2を養子縁組に出すこととし、斡旋機関に対し、Z2を預け、かつXらとの養子縁組に同意する書面を提出。
・Xらは、Tennessee州に基づきZ2との子縁組許可を求め、またその後申立ての趣旨を日本法上の特別養子縁組に変更すべく、各申立てをした。

ワヴィニー

骨子だけなら、答えられますよ。

【判旨】認容

・「通則法…31条1項前段…Xらの本国法が適用」
・「アメリカ合衆国の国籍…同国は地域(州)により法を異にする国…通則法38条3項…その適用法を統一して適用する規則がない…当事者に最も密接な関係がある地域の法…本国法になる…」
・「…テネシー州の州法である…」

・「Xら…ドミサイル(domicile)は, 日本国内…」
・「テネシー州法(36-1-114)では, 養子縁組の裁判管轄権は, ①養子縁組の申立人の居住地, ②子の居住地, …のいずれかにあることが規定…」
・「他方で, …アメリカ抵触法第2リステイトメント…289条によれば, …常に, …法廷地法を適用する旨定めている…」
・「そうすると, 養親となるべきXらのドミサイルも, また養子となるべきZ1の住所(すなわち英米法上のドミサイル)も日本国内…裁判管轄権は我が国の身にある…」
・「…リステイトメント289条の法理に従い…日本法が, その準拠法として適用される(すなわち, いわゆる「隠れた反致」理論により, Xらの本国法(テネシー州法)上, 日本法への反致が成立する。通則法41条)…」

・「またこのように解しても…Xらの本国法(テネシー州法)上の公序に関するとは認められないし, …日本法に基づく養子縁組裁判の結果は, Xらの本国法(テネシー州法)上も十分承認され得るものと解される」

律子

他にも質問がありますが、またの機会に。