【司法試験】行政法(H26)
問題
【出典:法務省ウェブサイト(<5461726F2D81798AAE817A303181408C9B96402E6A7464>) 】
答案(例)
第1 設問1
法33条の4は、、保証を要件としておらず、本件要綱7条1項が定めるのみ。そこで、要綱の要件を欠くことを理由に採石認可拒否処分をすることができるか。
1.効果裁量
法33条の4は、「公共の福祉」を除き、比較的明確な拒否事由のみを定めており、それ以外の事由に基づく拒否は認めていないと解される。よって、効果裁量はない。
2.要件裁量
採石業は、比較的小規模で、跡地防災措置を取れない業者も多いという「背景」がある。そこで、法33条の4は、そのような観点から「公共の福祉」適合性を求めていると解される。そして、法33条の3第2項及び規則8条の15第2項10号は、そのための判断資料を提供する趣旨と解される。
その上で、その判断に際しては、採石場所の性質等を考慮した専門的・技術的判断が要求される。
よって、B県知事には要件裁量は認められる。
3.本件要綱
そこで、本件要綱7条1項は、裁量基準を定めた、申請に対する処分の審査基準(行手法2条8号ロ、5条1項)という法的性質を有する。
●論点:裁量基準
よって、本件要綱7条1項に付いても、かかる観点から検討する。
(1)前述の通りの「背景」がある以上、保証の要求は、法33条の4の趣旨には合致する。
また、B県では跡地防災措置がなされない実情があること、及びC組合の保証によりなされることが確実になるという合理性がある。
よって、本件要綱7条1項は、審査基準として合理性を有する。
(2)以上より、拒否処分ができる。
第2 設問2
1.認可取消し等
(1)法33条の8違反の場合、できる(法33条の12第2号)。
跡地防災措置には資金が必要であり、その保証も、採取計画の一部を構成する。
よって、保証を欠くことは、採取計画に反し法33条の8に違反する。
(2)あ
しかし、Aの財務状況は良好。授益的処分の取消しとしての法33条の12に基づく処分は、個別の事情を考慮しない点で、裁量違反。
●論点:職権取消し
同様に、行政処分の合目的性の回復たる職権による認可取消しもできない。。
2.緊急措置命令等
(1)「緊急の必要」(法33条の13第1項)がある場合には、必要な措置や採取停止命令が可能。
しかし、Aの財務状態は良好であり、当該要件を欠く。
よって、できない。
(2)法33条の8違反を理由に災害防止のため必要な措置を命じることは可能(法33条の13第2項)。
この点、Aに違反があることから、措置命令をすることはできる。
第3 設問3
1.非申請型義務付け訴訟(行訴法3条6項1号、37条の2第1項)が考えられる。
(1)原告適格
●原告適格(行訴法37条の2第3項、4項、9条2項)
ア 法33条の12・13は、災害防止の趣旨。生命等に限らず、経済活動の場所についても保護する趣旨。なぜなら、法1条が災害の種類を限定せず、財産をも保護しようとしていると解されるから。
イ 職場としての森林という財産も具体的に保護されている。
ウ Dに重大な損害が生じる。
エ 個別的利益としても保護されている。
以上より、「法律上の利益を有する者」に該当する。
(2)「一定の処分」
法33条の12及び13による処分は…であり、「一定の処分」にあたる。
(3)「重大な損賠を生ずるおそれ」
…。よって、認められる。
(4)補充性
取消訴訟・執行停止では、出訴期間の制限がある。よって、充足。
2.結論
適法。
以上
出題の趣旨
【出典:法務省ウェブサイト (<5461726F2D8D8791CC94C52E6A7464>) 】
採点実感等
【出典:法務省ウェブサイト (<5461726F2D8D8791CC94C5816988EA91BE9859816A2E6A7464>)】
参考
・重大な損害が生じるおそれ、はない、が自然ではある。まだ終わっていないので。
・「林業」明文あり(法33条の4)
・「条件」の意味を誤解しないよう。
・法33条の13第1項と第2項とは区別すべきだった。
その他
・「資金計画」がシッカリしていれば、保証は不要では?という発想について検討。
