氏(変更)(大阪高裁平成17年3月3日決定)
標記の件、事実の概要は理解しましたが、判旨について質問があります。
【事実の概要】
・X(中国国籍・旧姓「G」)は、F(日本国籍・氏「F山」)と婚姻し、氏「F山」を称した。
・Xは、日本に帰化し、子と共にFの戸籍に入籍。
・XはYと協議離婚し、自己を筆頭者とする新戸籍に子も入ったが、継続して「F山」を称していた。
・その後、氏「G」への変更許可申立てをし認容されたが、その後、氏「G川」へと変更許可申立てをした。
・その理由として、①単に「G」とすることには、日本において生活する子に不安があり、その心情に配慮する必要があること、及び②元夫の氏を継続使用したくない等と主張。
●原審:「やむを得ない事由」(戸籍法107条1項)が認められないとして、申立て却下。
骨子だけなら、答えられますよ。
【判旨】取消し・認容
・「帰化により日本国籍を取得した者は, …新たに氏を定めなければならず, …意思に従って自由に設定することができる…。」
・「帰化者の配偶者が日本人である場合は, …日本人配偶者が筆頭者になる場合は, …その戸籍に入籍する…。」
・「離婚の時点において改めて氏の設定の機会が与えられて新戸籍を編纂する…。」
・「Xは, …帰化の時点では, 事実上, …Fの戸籍に入籍するほかはなかった…。」
・「『F山』は, 法律上は, Xが自由な意思に基づいて選択ではあるけれど, …心理的混乱を起こさせないことを考慮して, …やむを得ない選択…。」
・「かねてから, いずれは, 自己の自由な選択による氏を称したいと希望…申立てに及んだ…。」
・「日本人同士の婚姻が破綻した場合…戸籍法107条1項に定める『やむを得ない事由』がある…」、
・「これとの対比において, …類似した側面…」
・「ただ, Xは, 帰化した日本人であるから, 婚姻前の氏に相当する日本人としての氏がない…日本人であれば婚氏続称後の復氏に当たる…。」
・「なお, …『G』は, …Xが帰化する前の中国における氏であって, 日本人としての氏ではない…。 」
・「『やむを得ない事由』がある…。」(●備忘:「事由」v.s.「事情」(v.s.「理由」v.s.「●●」v.s.(以下略))
他にも質問がありますが、またの機会に。