不利な契約条項

律子

友人が法務パーソンなのですが、相手方呈示ドラフトの修正案を提案したところ、社内営業部門の方から、次のように言われたらしいです…

「その修正をすることで、どのような具体的な効果があるのか、教えて下さい。営業目標達成のためには、言葉遊びをしている時間はないのです。」

ワヴィにー

時に聞く話・見られる光景ですね。

(A)将来の契約違反の可能性が一定程度想定される状況において、高額の違約金を負担する条項、(B)重要契約につき、相手方にフリーハンドの解除権を付与する条項等であれば、説明は比較的容易なのですが。

律子

一応の懸念を説明をしたところ、下記のように言われたらしいです。

「(1)営業部門における知識・経験に照らし、そのような懸念が現実化する可能性はまずないですし、仮に現実化したとしても、(2)その経済的影響は左程大きなものとは見込まれないですよ。」

ワヴィにー

時に聞く話・見られる光景ですね。

例えば、単なる「てにをは」の修正は勿論、(自社の損害賠償責任につき規定する条項において)自社に不利な「故意」を「重過失」に限定する等の場合にありえますね。

問題となる可能性、なった場合の帰結が見え難いですから。また、実際にも、それらを具体的に説明することはしばしば困難を伴います。

律子

どう説明すれば良いでしょうか?

ワヴィにー

私の知人の企業法務実務家は、不利な条項は会社という(法)人にとっての「油脂」だと説明していました(「塩分」でも良いのでしょうが)。

今日、或いは1週間、「油脂」を取ったからといって何らの健康上の問題は生じないが、何ヶ月・何年と重なると何らかの病気となるリスクがある。企業にとっての不利な条項も、それと同様だと。

企業法務部門は、いわゆるホーム・ドクターですから、医者等の専門家・医療機器等が完備されている大学病院のような対応ではなく、上記のような説明も(勿論、時には、ということですが)必要性・有効性は認められるでしょう。通常の法務的説明に付随する行為として。

強引に無理な、或いは細か過ぎる法的説明をするのではなく、まずは問題意識・イメージを共有することが重要ですね。

国際私法の学習も同様です。

  • X
補足(一門)

前の記事

準拠法条項
補足(一門)

次の記事

国際裁判管轄条項