英語(日本法)
友人が、「日本法を英語で説明するのに苦労する」と言っていました…
1.日本法の英訳
法律・英語の学習に取り組んでいる際、一種の「盲点」になるのが、「日本法の英訳」です。
ご友人のお話も、実務上、非常に重要な場面についてのものです。そこで上手く説明できるか否かにより、例えば社内手続・契約締結・外国当局対応等の帰趨に大きな影響がありえます。
文書により説明する場合、「日本法令外国語訳データベースシステム」から条文を引用しつつ、上手く対応できると良いですね。
これは「法律英語」の学習にも使えそうですね。
例えば、当該システムから「会社法」等の英訳をプリントアウトし、何度も音読する等の使い方が考えられます。是非検討してみて下さい。
2.外国人による日本法紹介
「自己紹介」の内容と「他人から見た自己」にはズレがありますよね?
…はい
上記「日本法の英訳」は、いわば「自己紹介」に該当しますが、他方で「他人から見た自己」に触れることにより、より客観的な「自己認識」ひいては「自己紹介」が可能となります。
かかる観点から、ハンディなものとして、次の1冊をお奨めしておきます。”The Japanese Legal System” in a nutshell。
(なお、日本法について、より大部の書籍(英文)もありますし、個別の分野(独占禁止法等)に関する書籍(英文)もあります。いずれは、それらにも挑戦すると良いかも知れません。ただ、他にやるべきことは多く、深入りは必要ないでしょう。)
「英語(一般)~国際私法と併せ」から始まり、「英語」の学習について解説頂くはずだったのが、いつの間にか「日本法」の学習の話になっていますね(笑)。
お話した「母国回帰」ですね(笑)。
結局、私は、「英語は『道具』である」という月並みなことを、長々と論じて来ただけなのかも知れません。
別途種々の解説機会を設けますが、結論としては、「国際法務」においてすら、「日本法」の知識・経験が圧倒的に重要なのです(勿論、国際的な視野・経験・コミュニケーション能力(英語以外)・調整能力等、他にも必要なものも多いでしょう。しかし、それは国際法務に限ったことではないですね(笑)。「国際営業」等の職種においても同様、或いはそれ以上でしょう。)。
最後に話を英語自体に戻しますと、私見としては、特にこれから国内外で見込まれる国際化の中、日本の法律家が「英語を一切学習しない」ことは、例えば(他の科目は全て仕上げた一方)「1科目のみ全く勉強しないで司法試験を受験する」ようなもの、或いは「単なる道具を準備しない」という意味では、もはや合理的理解が難しい不作為とすら言わざるを得ないように思われます。