先取特権(船舶)(水戸地裁平成26年3月20日判決)

律子

標記の件、事実の概要は理解しましたが、判旨について質問があります。

【事実の概要】
・X(BVI法人)は、B(中国法人) に対し、所有する船舶(パナマ船籍)(「本件船舶」)を傭船させた。
・Bは、A(韓国法人)に対し、本件船舶を再傭船させた。
・Aは、Y(韓国法人)との間で売買契約(準拠法:米国法)を締結し、シンガポールにおいて本件船舶に対し給油がなされた。
・Yは、Aが当該売買契約に基づく代金支払いを怠ったとして、パナマ法・米国法に基づく船舶先取特権に基づく競売を申し立てた。
・Aは、Yに対し、担保権不存在確認訴訟を提起した。

ワヴィニー

骨子だけなら、答えられますよ。

【判旨】請求認容

・「船舶先取特権は, 法定担保物権であり, …被担保権利の効力ないし属性…」、「…債権について当事者双方が依拠した準拠法…以上の保護を与えること…相当でない…」
・「船舶先取特権の準拠法…被担保債権の準拠法を適用するのが相当…」

・「一方, 被担保債権の準拠法のみを適用すると, …当事者自治…(通則法7条), 物権としての船舶先取特権の準拠法…当事者が自由に選択…相当ではない。」

・「上記を踏まえれば, 船舶先取特権の準拠法については, 物権準拠法と被担保債権準拠法を累積適用…」

・「船舶先取特権の物権の準拠法については, …通則法13条2項の明文との整合性を踏まえれば, 原因事実完成当時の所在地法説によるべきである」

・「旗国法説…通則法13条2項の文言と整合しない…便宜置籍船…については旗国との関係が密接とはいい難い…採用し難い。」
・「法廷地法説…たまたま船舶が停泊…相当ではない…『法廷地漁り』の危険性…直ちには採用し難い。」

(・「シンガポール共和国法…船舶先取特権は成立しない」

・「本件給油代金債権の準拠法…有効な合意…米国法が適用…」
・「…以外…米国との関連性…なければ, 米国海事先取特権は成立しない…」

律子

他にも質問がありますが、またの機会に。