法人格否認(東京高裁平成29年6月29日判決)
標記の件、事実の概要は理解しましたが、判旨について質問があります。
【事実の概要】
・Xらは、旅行業者Y1社と契約を締結し世界一周旅行に出たが、本件船舶の一時的航行不能となったこと等による精神的な苦痛について、損害賠償請求をした。
・Xらは、法人格否認の法理に基づき、本件船舶の所有者A社(パナマ法人)の親会社Y2に対しても、損害賠償請求をした。
・XらとAとの間の本件運送契約のチケットには、本件旅客運送約款に従う旨の記載があった。同約款では、契約の準拠法は英国法とされていた。
●原審:法人格否認の法理の適用を否定。Xらが控訴。準拠法合意は無効であり, 日本法(通則法11条2項)が、強行法規である民法1条2項・3項による法人格否認の法理が適用される(同条1項)と主張した。
骨子だけなら、答えられますよ。
【判旨】
・「Xらの主張するA社の責任原因は, …本件運送契約があることが理由…本件運送契約に起因する, XらとA社との間の権利義務に関するもの」
・「そうすると, 法人格否認の法理の適用の有無の判断は, 本件運送契約の契約準拠法によってなされるべき」
・「本件旅客運送約款23条によれば, …契約準拠法は英国法」
・「民法1条を根拠とするからといって, それ故に同法理が直ちに強行法規性を帯びるものではない。」
他にも質問がありますが、またの機会に。