相互の保証(中国)(東京高裁平成27年11月25日判決)

律子

標記の件、事実の概要は理解しましたが、判旨について質問があります。

【事実の概要】
・Xは、人民法院(江蘇省南京市玄武区)において, Yらに対し、出版書籍による名誉棄損に基づく損害賠償請求権等の訴えを提起した。X勝訴。
・Xは、勝訴判決の執行を求めて、日本で提訴。
●原審:請求棄却。「相互の保証」(民訴法118条4号)なし。

ワヴィニー

骨子だけなら、答えられますよ。

【判旨】控訴棄却。
・「民訴法118条4号所定の『相互の保証があること』とは, 当該判決等をした外国裁判所の属する国において, 我が国の裁判所がしたこれと同種類の判決等が同条各号所定の条件と重要な点で異ならない条件の下に効力を有するものとされていることをいう」
・「中国民訴法…第1に, …条約を締結…中国とともに条約に加盟…そうでない判決国との関係では, 互恵の原則…に適合…が要件とされている。」
・「…いずれも民訴法118条にはない要件…『異ならない』とはいえないことは, その文理から明らか」
・「互恵の原則…意味する内容…明らかでなく, …判断することができない。」
・「…互恵関係が存在する…執行した事例はこれまで1件もないとされている。」
・「最高人民法院は, …日本と中国の間には互恵関係が存在しないとの見解を示す」
・「中国においては, …日本との間には互恵関係が存在しないとの理由のみをもって, 日本の裁判其した判決を承認しない扱いが確定している」
・「実例がないことに尽きるという確たる認定判断もできない」
・「諸事情を総合的に考慮して裁量的に承認の可否を判断する余地を留保する趣旨のものである」

律子

他にも質問がありますが、またの機会に。

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