公序(複数実母)(大阪高裁平成26年5月9日判決)
標記の件、事実の概要は理解しましたが、判旨について質問があります。
【事実の概要】
・X(韓国籍)は、A男(日本国籍。平成17年の帰化前までは韓国籍。)とB女(韓国籍)との間に出生した。
・その後、AはC女(韓国籍)と婚姻し(昭和55年)、XをA・C間の子とする届出がされた。
・韓国の戸籍上も、CがXの母と記載されている。
・Xは、(B・Cが死亡していることから)検察官に対し、X・C間の親子関係不存在確認、及びX・B間の親子関係存在確認の2つの訴えを提起した。
●原審:準拠法は韓国法(通則法28条・29条1項)。第一の訴えは、訴え却下(提訴期間徒過)。第二の訴えは、請求認容。
骨子だけなら、答えられますよ。
【判旨】原判決一部取消し, 請求認容(確定)
・Cの死亡(昭和62年)により、X・Cの母子関係は、A・C婚姻当時のAの本国法たる韓国法による(通則法17条・18条)。
・第一の訴えは、出訴期間(当事者の一方の死亡を知った時から2年以内(韓国民法865条))を徒過しており、不適法な訴えであることになる。以下、公序について。
・「通則法42条の規定は, 外国法を準拠法として適用した結果が看過し難い事態になる場合に適用される…。」
・「…事案と内国との関連が低い場合には, 同条の規定を適用すべきではない…。」
・「X…我が国において出生し, …その後, …居住…。また, 亡Cも, 長期間にわたって我が国に居住していた…。…我が国との関連性がある事案である…。」
・「韓国民法865条2項は, …2年間という比較的短い期間内…, 我が国においては, …そのような制限は設けられていない。」
・「韓国民法…立法政策として一応の合理性を有する…。」
・「しかしながら, …第二の訴え…亡Bとの親子関係の存在が確認されており, …実母が2名存在することになってしまう…, 二重の実母子関係の存在は, 我が国の法制度上, 許容することができない…。」
・「したがって, …第一の訴えを却下することは, …公序に反する…。」
他にも質問がありますが、またの機会に。