間接管轄(専属)(名古屋高裁平成25年5月17日判決)
標記の件、事実の概要は理解しましたが、判旨について質問があります。
【事実の概要】
・X(韓国法人)が、Y(日本法人)に対し、日本における特許権(Y名義)、及び韓国・米国等における特許権・特許出願について、移転登録等を求める訴えを提起。
・ソウル中央地法院(第一審):請求却下ないし棄却の判決 ⇒ソウル高等法院(控訴審):請求認容(当該判決は取消し) ⇒大法院(上告審):上告棄却判決・確定。
・Xは、日本において、当該特許権(日本)の移転登録、及び訴訟費用の負担(Y)について、執行判決を求めた。
●原審:請求棄却⇒控訴
骨子だけなら、答えられますよ。
【判旨】控訴一部認容・一部棄却
・「民訴法118条1号所定の『法令又は条約により外国裁判所の裁判籍が認められること』とは, 我が国の国際民訴法の原則から見て, …国際裁判管轄(間接的一般管轄)を有すると積極的に認められることをいう。」
・「…当事者の公平, 裁判の適正・迅速を期するという理念により, 条理に従って決定するのが相当…。具体的には, 基本的に我が国の民訴法の定める土地管轄に関する規定に準拠しつつ, …具体的事情に即して, …判断すべきものである…。」
・「①知的財産権の登録に関する訴えは, 実質的には…公示…目的…公益性の高い公示制度と不可分の関係を有すること, ②その国の裁判所がより迅速かつ適正に審理判断することができること, ③…我が国の裁判所に直接訴えを提起する場合に比べて手続が迂遠であることからすれば, 日本国内において登録すべき知的財産権の登録に関する訴えは, 我が国の裁判所に専属すると解するのが条理にかなう…。」
・「…ここでいう専属管轄とは, 合意を排除する強行的な性格のもの…。」
・「…本件…日本国内…登録…特許権の…移転登録…訴訟は, 我が国の裁判所に専属…, …韓国の裁判所に国際裁判管轄は存しない…。」
・「平成23年法律第36号により新設された民訴法3条の5第2項によれば, …専属…, …前記①から③で挙げた事情は, いずれも同条項の立法理由ともされている…。」
・「…改正前には, …条理が存在しなかったものとはいえない(むしろ民訴法3条の5第2項が新設されたことは 上記条理が従前から存在したことを裏付けるものといえる。)。」
他にも質問がありますが、またの機会に。