特別の事情(最高裁平成28年3月10日第一小法廷判決)
標記の件、事実の概要は理解しましたが、判旨について質問があります。
【事実の概要】
・X→子会社(ネバダ州法人)→(株式20%保有)→Y
・Yの取締役会は、Xの取締役会長等が反復して海外腐敗行為防止法(米国連邦法)違反行為をしたと見受けられると、上記株式20%を強制償還する決議をした。
・Yは、当該違反行為、及び強制償還する決議をしたことについて、ウェブサイトに掲載(「本件記事」)。
・Yは、X等に対し、Yの行動が合法であること等の確認、及びXの取締役会長の信任義務違反についての損害賠償を求めた(@ネバダ州地方裁判所)。
・それに対し、Xの子会社(ネバダ法人)及びXの取締役会長は、当該決議の無効を主張し、その履行差止め・損害賠償請求等の反訴を提起した(「別件米国訴訟」)。
・X等は、Y等に対し、本件記事掲載による名誉等毀損について、慰謝料を求める訴えを提起(@東京地裁)。
●第一審:不法行為地(民訴法3条の3第8号)は日本だが、特別の事情(民訴法3条の9)があるとして、訴え却下。
●控訴審:それを指示
●X等が上告受理の申立て
骨子だけなら、答えられますよ。
【判旨】上告棄却
・「本件訴えについては日本の裁判所が管轄権を有する…(民訴法3条の3第8号)。」
・「主な争点は, …真実であるか否か…真実と信ずるについて相当の理由があるか否か」
・「本件訴訟は, …別件米国訴訟に係る紛争から派生した紛争に係るもの…。そして、事実関係や法律上の争点について, 本件訴訟と共通し又は関連する点が多い別件米国訴訟の状況…」
・「主要な争点についての証拠方法は, 主に米国に所在…」、「さらに, X…Y…も, Yの経営に関して生ずる紛争については米国で交渉 提訴等…想定…。実際に, X…応訴…反訴…」
・「改めて米国において訴訟を提起…X…過大な負担を課することにはなるとはいえない。…証拠の所在等に照らせば, これを日本に裁判所において取り調べること…Yに過大な負担」
・民訴法3条の9の「『特別の事情』がある…」
他にも質問がありますが、またの機会に。