先決問題
先決問題について、質問があります。
3つだけなら、答えられますよ。
1.問題の所在は?
1.ある単位法律関係(本問題)の論理的・時間的前提となる問題(先決問題)がある場合(例:相続の前提となる婚姻関係)、(本問題(相続)については淡々と国際私法を適用すれば良いが)先決問題(婚姻)については、(国内私法関係とは異なり)本問題の準拠法所属国(相続の準拠法所属国)という具体的法域が現れることから、当該法域の法についてどのような考慮を払う必要があるのか・ないのか、ということが問題となります。
2.通説(有力説)・判例は?
2.法廷地国際私法説(判例)です。
各単位法律関係毎に準拠法を決定するのが国際私法なのであるから、それが理論的・簡明である。また、判決の国「内」的調和、です。
(なお、それを煎じ詰めるところ、先決問題という問題自体が存在しない、と言えるはずです。)
3.反対説・批判は?
3.
(1)本問題の準拠法による説(先述の例では、婚姻の準拠法も、相続の準拠法と同一にする、という説)
・根拠:本問題の準拠法決定に過程における問題であるから。等
・批判:国際私法の構造(上述)に反する。
(敢えて感情的言えば、国際私法は各単位法律関係毎に準拠法を決定する。そういうもんですから~!、ということでしょうか。)
(2)本問題の準拠法所属国の国際私法による説(先述の例では、婚姻の準拠法所属国の(実質法ではなく)国際私法規定(日本の通則法に相当)を適用する、という説)
・根拠:判決の国「際」的調和。等
・批判:準拠法所属国と日本において調和するのみであり限定的。ある問題が本問題・先決問題いずれとして問題となるかにより準拠法が異なるのは国際私法の本質に反する。
(敢えて感情的に言えば、なんで勝手に外国の国際私法を適用してるんだよ!、ということでしょうか。)
むしろそれらの説があるから批判が必要となり、いわば消去法的に(そもそも自然である)法廷地国際私法説に落ち着いた、という理解で良いでしょう。
他にも質問がありますが、4つ目以降は、またの機会に。