「不動産」(通則法4条3項)

律子

通則法4条は、人の行為能力について、本国法主義を原則としていますね(4条1項)。

その例外として、4条2項では、行為地法による取引保護規定を置いています。

4条3項は、「例外の例外」ですね。
(ここでは、 「親族法又は相続法の規定によるべき法律行為 」はさておき、「不動産」に絞ってお話しましょう。)

(人の行為能力)
第四条 人の行為能力は、その本国法によって定める。
2 法律行為をした者がその本国法によれば行為能力の制限を受けた者となるときであっても行為地法によれば行為能力者となるべきときは、当該法律行為の当時そのすべての当事者が法を同じくする地に在った場合に限り、当該法律行為をした者は、前項の規定にかかわらず、行為能力者とみなす。
3 前項の規定は、親族法又は相続法の規定によるべき法律行為及び行為地と法を異にする地に在る不動産に関する法律行為については、適用しない

律子

3項の趣旨は、どこにあるのでしょうか?

ワヴィニー

いくつかの趣旨が挙げられますが、最も重要な点は、不動産取引は通常慎重に行われるため、その相手方の属性(国籍・年齢等)や関連する規制について調査確認し認識しているのが通常、という点です。そこから、(例外としての行為地法による取引保護による必要性がなく)本国法主義の原則を貫くことが許容される、ということですね。

律子

一言で言うと、「不動産みたいなもん取引すんのに、相手方について『詳しいことは知りゃしまへん』って、そりゃあきませんでっしゃろ?」ということですね。

ワヴィニー

…た、多分…

なお、時折、通則法4条3項に基づき、(本国法ではなく)「不動産所在地法」が適用される、と誤解されている方がいらっしゃいますので、その点はご留意を。

通則法4条の適用範囲は、あくまで「人の行為能力」ですから、ここでは、夫婦財産制(通則法26条2項3号)の話は勿論のこと、法律行為(通則法8条3項、10条5項)や物権等(通則法13条)の話をしているわけではありませんので。

  • X
ドラマ

次の記事

Columbo