「訴訟『手続』弁護士」(企業法務部門の観点から)

ワヴィニー

私の母国では、極端に言えば、まず訴訟提起してから交渉する、という企業も多いのですが、日本ではいかがでしょうか?

律子

弁護士の数が増え、比較的訴訟が身近になったことは確かですね。

また、予備試験の科目に実務基礎科目(民事系)があるからか、最近は、法学部性でも訴訟実務について詳しい方も相当数存在する状況です。

昔は、「○○先生(学者)の○○説はうんぬん」等の議論をする学生が多かったのですが、その意味で、法学部性・法科大学院生・司法修習生・新人弁護士の境界が曖昧になっていますね。
(余談ですが、インハウスでは、例えば「英語ができ、簿記2級は持っており、人柄が良い」法科大学院卒業者が、組織内での階段を順調に昇って行くケースは多々見受けられます。)

ワヴィニー

企業法務部門は、いわゆる「訴訟弁護士」を、どう見ているのでしょうか?

律子

一口に訴訟弁護士と言っても、大きく2種類ありますね。

1つは、「訴訟弁護士(狭義)」です。
ときに会社の命運を握る訴訟等(会社関係訴訟・非訟・巨額の損害賠償請求事件等)があり、それはエース級の先生にお願いしますね。当然ながら。
(なお、マスコミの常ではありますが、それら訴訟等について(例えば「戦争」等の表現を使用し)騒ぎ過ぎる、という感はありますね。ただ、エース級の先生は、「黒子」として、プロフェッショナルな処理をされるだけですが。)

ワヴィニー

もう一方は?

律子

「訴訟『手続』弁護士」です。
当然エース級は数が限られ、大多数はこちらに入るのですが。

具体的に言えば、例えば行政手続きを行政書士に、登記手続きを司法書士に外部委託するように、裁判所における手続の委託先業者、です。

要するに、「(経営戦略上重要な法務・コンプライアンス業務が多々あるので)あとはやっといて」ということです(笑)。

ワヴィニー

先日、タイムマシンで平成2年頃の法曹業界の現実を見てきましたが、様変わりしましたね。

更に言えば、私の母国において「訴訟『手続』弁護士」増加の後に来た現実は、そのような弁護士が(かかる現状から抜け出すべく)、(例えば猫の手も借りたい)中小規模の企業法務系事務所になんとか入り込んだものの、「エース級」にならない・パートナーになれないのは勿論、どこにも居場所がなくなり、結局、①インハウスとしてか、②(会社法上強制される)「社外取締役」としてか、いずれにしても企業法務部門に入り込む、という事態でした。

律子さんの足元は大丈夫ですか?(笑)

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