セーフガード条項(水戸家裁(土浦支部)平成11年2月15日審判)

標記の件、事実の概要は理解しましたが、判旨について質問があります。
【事実の概要】
・X1・X2は、フィリピンで婚姻し、子Bが生まれた。
・X1(日本国籍)とX2(フィリピン国籍)とは、A(X2の非嫡出子。父親不明。)との養子縁組につき申立てをした。
・X1には、子D・E・Fがいる(いずれも前妻Cとの間の子)が、前妻との離婚後は交渉はない。

骨子だけなら、答えられますよ。
【判旨】申立て認容
(下記「法例20条1項」は「通則法31条1項」に、「法例33条」は「通則法42条」に相当する。)
・「日本国籍…養親X1…フィリピン国籍…養母X2…フィリピン国籍…養子A…国際裁判管轄…明らか」
・「渉外養子縁組の実質的成立要件…縁組当時の養親の本国法…(法例20条1項前段)…X1とAとの関係…養親の本国法…日本法…準拠法」
・「…が, 養子の保護のための同意, 許可要件…Aの本国法…フィリピン法…(同項後段)」
・「また, X2とAとの関係においては, 専らフィリピン法が適用」
・「フィリピン家族法…一定の範囲の者の同意書の提出を要件…法例20条1項後段…に該当…本件養子縁組許可の要件」
・「Aの父親は知れず, 母親は…X2…既に同意」
・「Cは…協力を拒絶する態度をあらわに…Dらの書面による同意を得られる見込みはない」
・「フィリピン家族法…養親の嫡出子の利益…扶養義務や法定相続分への影響のコントロール」、「が, 新たな嫡出子の出生や子の認知により当然に左右…利益調整の緊要性は必ずしも強いものではない。」、「また, …養子と養親の嫡出子との間で…利害調整…養子本人の福祉が間接的に保護」、「…という観点から考察しても, …没交渉…同意がないことにより実質的にAの福祉が害される事情は皆無」
・「他方、同意がないことにより本件養子縁組を成立させないことは, …Aの福祉を著しく害することは明白」
・「してみると, …法例33条…その限りにおいてフィリピン家族法…適用は排除…書面による同意を備えなくとも…養子縁組の成立は妨げられない。」
・養子縁組の決定(by裁判所in accordance withフィリピン法)は、「わが国の家庭裁判所のする養子縁組許可の審判をもって代えることができる」

他にも質問がありますが、またの機会に。