当事者自治(分割指定)(東京地裁平成14年2月26日判決)

標記の件、事実の概要は理解しましたが、判旨について質問があります。
【事実の概要】
・X(古美術売買業・株式会社)は、とある絵画について、業務受託(日本から英国内までの運搬を含む。)をした。
・Xは、損害保険会社、日本)と、当該絵画に関して物海上保険契約を締結した。
・当該絵画が、関係者の横領により返還不能となった。
・Yは、告知義務違反を理由に当該保険契約の取消しの意思表示をしたのに対し、Xは、保険金・遅延損害金の支払いを求めて訴えを提起した。

骨子だけなら、答えられますよ。
【判旨】請求一部認容
(下記「法例7条」は「通則法7条」に相当。)
・「本件保険証券には, 『この保険は, 一切の請求に対する責任及びその決済に関しては(as to liability for and settlement of any and all claims), イングランドの法及び慣習に準拠するものであることを, 了解し, かつ約束する。」との条項(英国法準拠条項)が存在する。」
・「本条項は, …『一切の請求に関する責任及びその決済に関して』は英国法を適用し, それ以外の事項については, 法例7条により, 行為地法である日本法を適用する旨のいわゆる準拠法の分割指定を定めたもの…」
・「 昭和24年…本件保険契約に用いられている保険証券約款が制定された際…クレーム精算についてのみ英国法に準拠し, 保険契約が成立するまでの経緯については日本の法律慣習によるべきものであると確認していること」、「一般に, 日本の保険会社が発行する英文保険証券の国際的流通を円滑ならしめるためには, 保険金支払いに関して, 英国法が適用された場合と同等の支払が確約されれば足り, …それ以上に, 日本国内における契約関係について, 英国法を適用する必要性は存しない…」
・「英国法準拠条項は, 保険契約者の填補責任と保険金決済に関する限り英国法に準拠するが, それ以外の一切の事項・法律問題については, 日本法に準拠すべきであるとするものである…」
・「…保険金請求権の消滅時効…といった問題…英国法が適用…損害防止義務の問題も, 保険事故が発生した後の被保険者の義務の範囲の問題であるから, 同様…」
・「これに対し, 告知義務違反の問題…契約締結段階の問題…日本法が適用…」

他にも質問がありますが、またの機会に。