訴訟競合(知財高裁平成29年12月25日判決)

律子

標記の件、事実の概要は理解しましたが、判旨について質問があります。

【事実の概要】
・Y(カナダ法人)は、X(日本法人)に対し、Xらによるディスプレイ製品販売等(@米国)がYの有する米国特許権を侵害すると主張し、差止め・損害賠償請求等の訴えを提起(@米国デラウェア地区連邦裁判所)。
・Xは、Yに対し、当該損害賠償請求権に対応する債務につき不存在確認訴訟を提起(@東京地裁)。
●原審:国際裁判管轄を認めず。念のため、として、特別の事情(民訴法3条の9)が存在する旨、判示。訴え却下。X控訴。

ワヴィニー

骨子だけなら、答えられますよ。

【判旨】控訴棄却
・「民訴法3条の3第3号…消極的確認の訴えの管轄権…議論の余地…であるが, …本件においては, 同法3条の9にいう『特別の事情』が存する…結局のところ, 日本の裁判所の管轄権を肯定することはできない」
・「本件訴訟の本案審理においては, …特許侵害訴訟における典型的な争点…, その前提として, …米国国内…行為…行ったかどうか…争点…当然に予想される。そして, …証拠…主に米国に所在…当然に予想される…, 証拠調べの便宜等の観点から見て, 日本の裁判所での審理には阻害事由…」
・「日本の裁判所で本件訴訟を審理判断することは, 米国, 日本の2つの裁判所において実質的には同一の訴訟を審理判断するという無駄…, …日本国内に支店や営業所等を有していないカナダ法人であるYにとっても, …無駄…, 負担…」
・「Yの応訴の負担や, 証拠の所在からしても, …当事者間の公平を害し, …適正かつ迅速な心理の実現を妨げる事情が存する…, …その全部を却下するのが相当」

律子

他にも質問がありますが、またの機会に。

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