当事者適格(知財高裁平成28年6月22日判決)
標記の件、事実の概要は理解しましたが、判旨について質問があります。
【事実の概要】
・X(フランス法人)は、パブロ・ピカソ作品の著作権者たる(再転)相続人X1らから委託を受け、本件著作権の管理をする者。
・当該(再転)相続人X1らは、当該作品をフランス法上の不分割共同財産とする旨の合意をし、X1が著作権管理者として指名された(byパリの裁判所)。
・X及びX1らは、Y(日本法人)が開催したオークションのカタログにおいてパブロ・ピカソ作品の写真を掲載した等として、著作権(複製権)侵害に基づく損害賠償請求(@東京地裁)。
●原審:X1の当事者適格を認めた。訴え一部認容。X1及びYは敗訴部分について全部控訴。Xは敗訴部分について附帯控訴。
骨子だけなら、答えられますよ。
【判旨】原判決変更(確定)
・「X1は、我が国の国籍を有しない訴訟担当者…, …当事者適格が問題となる。」
・「当事者適格の有無は, …手続法上の問題として, 法廷地における訴訟法, すなわち我が国の民訴法を準拠法とすべきである。」
・「…担当者が実体法上の法律関係に基づいて, 訴訟物の管理処分権等が認められる場合…, …訴訟担当者と被担当者との関係を規律する当該実体法の内容を考慮すべき…。」
・「X1の本件訴訟追行権限の法的根拠は, 共同不分割権利者による合意に準じたもの, あるいは, フランス民法の規定に由来するものと解することもできる。」
●最高裁昭和45年11月11日判決を参照した上で。
・「X1の実体法上の地位が, 我が国において, 訴訟担当を基礎付けるに足りるものか否か検討するに, …我が国の制度に照らしてみると, …同様の趣旨」
・「…是認することができる。…当事者適格を認めるべきものといえる。」
他にも質問がありますが、またの機会に。