執行(扶養料)(東京高裁平成27年5月20日判決)
標記の件、事実の概要は理解しましたが、判旨について質問があります。
【事実の概要】
・日本人X・Yは、日本で婚姻し3人の子をもうけた後、米国カリフォルニア州に移住した。
・Xは、同州ロサンジェルス郡上級裁判所に対し、離婚等の訴訟を提起した。Yに対し、送達され、応訴もされた。その後、Yは単身で日本に帰国。
・その後、離婚等の、及び子らの養育費の支払いを命じる判決(本件外国判決)が確定した。
・Xは、支払い済み分を除く、養育費の残額について執行判決を求め提訴(@東京地裁)。
●原審:Yは、間接管轄(民訴法118条1号)につき争った他、本件外国判決の内容(養育費の額)が公序(民訴法118条3号)に反すると主張。が、Xの請求認容。
骨子だけなら、答えられますよ。
【判旨】控訴棄却(確定)。Yは、控訴審において、為替レートの変動による日本円換算額の増加についても主張した。
・「本件外国判決は確定…民事訴訟法118条2号及び4号…3号中外国判決の訴訟手続…公の秩序又は善良の風俗に反しないとの要件を具備」
・「国際裁判管轄…直接規定した法令はなく, …条約…国際法上の原則…確立していないことから…, 当事者間の公平, 裁判の適正・迅速を期するという理念により, 条理に従って決定」
・「我が国において, 離婚訴訟…附帯する養育費等の子の監護に関する処分の土地管轄…当事者…普通裁判籍…(人事訴訟法4条), …成年に達しない子がある場合…, その子の住所又は居所を考慮しなければならない…(同法31条)」
・「YとXは, 子らと共に, …米国カリフォルニア州に居住していたこと, …送達…応訴…認められる。」
・「条理上, …国際裁判管轄がある」
・「民事訴訟法118条は, …外国判決の内容が我が国の一般的な基準と合致しない場合があることは, その当然の前提」
・「支払いを命じた額が我が国における適正額を上回っても, そのことのみから当然に…内容が…公の秩序又は善良の風俗に反するということはできない。」
・「為替レートの変動があるというだけでは, …公序良俗に反するとはいえない。」
・「Xが米ドルで受領する養育費の額に変動はないこと, Yは, …年間約1400万円程度の収入…Yの生活に大きな支障が生ずるとは認めがたいこと」
・「からすると, 本件外国判決の内容の妥当性が失われているとはいえない。」
他にも質問がありますが、またの機会に。