国有化(東京高裁昭和28年9月11日判決)
標記の件、事実の概要は理解しましたが、判旨について質問があります。
【事実の概要】
・X(英国法)が、Y(日本法人)に対し、Yの即時取得は成立しない等と主張し、石油の処分禁止の仮処分を申請した(@東京地裁)。
・当該石油は、イラン(革命により成立したイラン・イスラム共和国)が、石油国有化法より、Xの利権(革命前にペルシャ帝国政府とXとが締結した協約に基づくもの)を収用した油田で採掘されたものであった。また、Yは、訴外Aから、当該石油を買い受け、引渡しを受け(@イラン)、かつ日本まで運送したのであった。
●東京地判昭和28年5月27日:イランの石油国有化法は有効。(国際私法上の)公序によっても否定されないとした。Xが控訴。
骨子だけなら、答えられますよ。
【判旨】控訴棄却(●注記:下記「法例」は「法例(平成元年改正前)」を指す。その30条・10条は、各々通則法42条・13条に相当する。)
・「外国の法律の効力を無効であると判定し得る国際法上の原則の確立されていないこと」等から
・「石油国有化法…その法規の有効, 無効を審理し得ないものと解するを相当とする。」
・「もっとも, その規定が公の秩序善良の風俗に反するときは法例第30条により適用すべきではない…」
・「法例第10条によれば, …本件石油に関する権利はその所在地法であるイラン国法において, Xはその権利を失った…」
・「我国の公の秩序又は善良の風俗に反するとはとうてい認め難い。」
他にも質問がありますが、またの機会に。