子奪取民事条約(人身保護請求)(最高裁平成30年3月15日第一小法廷判決)

律子

標記の件、事実の概要は理解しましたが、判旨について質問があります。

【事実の概要】
・Y(妻)が、子を連れて、米国から日本に帰国。
・X(夫)が、子の米国への返還(子奪取条約実施法26条)を命ずるよう申立て(@東京家裁)、終局決定。
・その後、代替執行等が奏功せず、事件終了。
●その後、Xが、子の釈放を求める人身保護請求(To名古屋高裁→回付→審理@名古屋高裁金沢支部)。
 (子は、「日本における生活を自己意思として強く希望する。これは母の圧力によるものではない。」旨を述べた。)
●請求棄却判決
●上告受理申立て(To最高裁)

ワヴィニー

骨子だけなら、答えられますよ。

【判旨】破棄差戻し
・「自由意思に基づいて監護者の下にとどまっているとはいえない特段の事情があるときは, 人身保護法及び同規則による拘束に当たる…」
・「連れ去りをした親の下にとどまるか否かについての…意思決定は, …いずれの国を本拠として生活して行くのか…, …いずれの国籍を選択することになるのか…, 子にとって重大かつ困難」
・「また, 一般的に, 父母の間に深刻な感情対立…他方の親との接触が著しく困難…前とは異なる言語, 文化環境等での生活…からすると, …必要とされる情報を偏りなく得るのが困難な状況…少なくない」
・「自由意思…判断するに当たっては, 基本的に, …多面的, 客観的な情報を十分に取得している状況…連れ去りをした親が…不当な心理的影響…など…慎重に検討…」
(・「特段の事情があり, …拘束に当たる…」)

・「返還…命ずる旨の終局決定が確定したにもかかわらず…拘束している場合…監護を解くことが著しく不当であると認められるような特段の事情がない限り, …顕著な違法性がある…」
(・「事情は認められない。…顕著な違法性がある。」)

律子

他にも質問がありますが、またの機会に。

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