子奪取民事条約(適用)(最高裁平成29年12月21日第一小法廷判決)

律子

標記の件、事実の概要は理解しましたが、判旨について質問があります。

【事実の概要】
・X(夫)及びY(妻)、並びに子A・B(共に11歳7か月の双子)及びC・D(共に6歳5か月の双子)は、米国で同居していた。
・Yが、子全員を連れて、日本に入国。
・その後、Xは、Yに対し、子全員につき米国への返還を申立て(子奪取条約実施法26条)。
・子全員が共に暮らしたい旨の意見。A・Bは米国への返還を強く拒否し、C・Dも拒否する旨の意見を述べた。
・大阪高裁:A・Bにつき、米国への返還を命じる決定(子奪取条約実施法28条1項5号ただし書き)。なお、同本文の返還許否事由自体は存在を肯定。C・Dにつき、同4号の返還許否事由の存在を否定。なお、同5号本文の返還許否事由も存在を否定。
・従前より、Xには、子の監護に必要な経済的基盤も、また親族等からの継続的な支援の見込みも、いずれもない状況にあったところ更に、当該大阪高裁決定の後、米国の自宅が競売され、自宅を明け渡した。
・Xは、当該大阪高裁決定に基づき、子返還の代替執行を申立てた。
●Yは、当該大阪高裁決定後の事情変更があったと、その変更(子奪取条約実施法117条1項)及びXによる当該申立ての却下を求めた。
●大阪高裁は認容。
●Xが、許可抗告の申立てをし、許可された。

ワヴィニー

骨子だけなら、答えられますよ。

【判旨】抗告棄却
・「Xは, …経済的基盤を欠いており, …親族等から経済的支援を受けることも見込まれない状況…。」
・「安定した住居を確保することができなくなった結果, …監護養育態勢が看過し得ない程度に悪化したという事情の変更が生じた。」
・「A及びB…実施法28条1項5号の返還許否事由が認められる…同項ただし書きの規定により返還を命ずることはできない。」
・「C及びD…両名のみを米国に返還…密接な関係にある兄弟姉妹…日本と米国に分離…本件に現れた一切の事情を考慮すれば…子を耐え難い状況に置くこととなる重大な危険…同項4号の返還許否事由がある」

律子

他にも質問がありますが、またの機会に。

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