憲法~国際私法の範囲外

公法の抵触問題と私法のそれとはその性質が大いにちがうものであるから、…国際私法の範囲から除外するのが妥当である。」
(江川英文『国際私法(改訂)』(有斐閣、1957)17頁)

【留意点】

●問われていないので書かないとしても、まず訴訟形態・請求の趣旨等を明確にしておくと、筋が明確になり易い。最終的結論も、具体的な結論となる。国の行為特定→人権主張。
●「反論」・「判例」については、「主張」・「反論」の各々で適宜「判例」名を記載するのがベスト(判例のみ特記する必要性なし。)。
●割り切り→深く(当事者意識→私見(リアル))→説得力→C
●プラスとマイナスを分ける。
●判例の位置付け方
●対立軸を明確に。
●依然「あ」重要
●原告(当事者意識):強い人権(性質)を。内容規制(21)。主張適格も重要。訴訟選択を意識。判例の枠組み意識。cf.確かにしかし☓
●被告:弱い人権(性質)。内容中立規制(21)。
●基本的には強い権利を主張するが、国賠請求する場合、営業の自由(22条1項)の主張もすべき。
●スタンス:判例批判。判例より右に対し判例。判例より左に対し…はなし。
●補充:人身の自由(18条、31条、33条~39条)、受益的権利(32条、17条、40条)、能動的権利(15条、16条)
●自由権は制約が基準違反、で単純。29条含め、請求権は個別的に判断。
●判断するのは誰か?誰が最も適切か?、という観点からの妥当性判断。●認識:法学全般に共通の話であり、民主主義・自由主義に基づく制度論・三権分立にさかのぼる。
●裁判を受ける権利(32条)についても要件・効果は確認しておく。

三段階審査

1.権利の保障(保護領域)
・事案に即したものに。●1つのみ。14は別(少々)。
・丁寧に(新しい人権、請求権的側面、第三者の権利に資するもの(e.g.,博多))●認識:主張・構成に窮する場合、第三者の権利は使える。
・人権享有主体性(外国人・法人)(2STEP):①保障されるか?、②その程度は?
・複合的性格を有するものあり。

2.権利の制約(侵害)
・当該事案における根拠法規(文言部分)・処分。●認識:行政法も類似
・一般的には軽く(法人による個人の権利侵害等では丁寧に。)
・①有無、②強弱(直接、間接、付随的等)

3.制約の正当化(メイン)
(1)形式的正当化(なくとも実質まで検討)
委任立法、条例、条約、措置法等、明確性(漠然性(「通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に」適用の有無判断可能な基準か。)・過度に広汎)
(※)明確性の原則:①刑罰法規の明確性(31条)、②表現規制法規の明確性(21条)の2つのみ。漠然性にあたる法令等は想定し難く。広汎性が有効。が、書くな、も多い。●判例:徳島公安条例事件判決(最判昭和50年9月10日(大))は、①②両方。●認識:あまり。ただし、趣旨(萎縮的効果回避・恣意的適用排除)は重要。また、委任立法の議論とセット。具体的委任であり、それが遵守されれば明確性も充足する。等。●注意:「一般人」とは限らない。問題文次第では、(例えば大学の規則等では)「大学の研究者」等にアレンジする(応用力)。●認識:他の規範に共通(規範創造力)。
(2)実質的正当化(cf.比例原則に反しないか?も)●補足:立法裁量の広狭を考慮することもある。
ア.審査基準の定立●最重要(争点)。●究極的には、ア.権利の性質の重要性・規制態様の強度と、イ.反対利益との比較の問題。●3つのみ。
・権利の性質(当該事案において)●1.で記載するかは、事案等次第。どちらでもOK。●認識:決められない。
・規制態様(内容・中立等)●補足:立法事実、他の手段との比較等については、あてはめで。●認識:バランス・相場感だけ。
(1)権利の性質(経緯・歴史まで。●方針:保障されるか、で書いても良い。)
(2)制約の態様
・事前・事後、直接的・間接的(付随的)、内容・中立等の類型化された態様に留める。⇒具体的な態様(例:罰則の有無、具体的広狭等)については、手段審査のあてはめで。
・ここでの考慮要素と、あてはめにおける考慮要素は、重複する場合はありうるも、ある程度は意識的に区別する。●方針:明確に分ける。

イ.あてはめ:
①目的(規制理由。単なる主観的なもの(「安心」等)は保護に値しない(切りがない。)。評価し客観的な要素(「安全」等)に置換できるならOKでも良い。それ以外で目的は評価して絞る等する。●イメージ:論評問題への解答まえの解釈・認識の明示。)●反対利益の中心
②手段:「関連性」・「必要性」(適合性(効果的?、目的達成?))・「相当性」(最小限度(過度ではない?、代替手段ない?))●反対利益に配慮する。
●②の各基準は区別困難も漏れなくが肝心。
●注意:当該処分は違憲であり、処分は取消されるべき、等の最後の結論まで書く必要がある場合も(問題文次第)。必要性はないが具体的理解のアピールとして。

違憲審査基準

1.厳格
・目的:必要不可欠
・手段:必要最小限
●検討:CPD等を使い分けるのが個別的・具体的となるのでベター。●認識:「必要不可欠」は「必要」に含まれるでOKだろう。●確認済み:裏もあった。

2.中間(e.g.,制度後退、原則の例外等)●認識:後者はAA。
・目的:重要
・手段:実質的関連性(※)●認識:「必要・最小限」●検討:薬事法判決は、大要「①目的重要、②手段合理性+必要性)。●方針:「必要」は最小限を意味する、と整理しよう。合理性は、関連性として整理しよう。
(※)厳格な合理性(「必要」中心)、LRA(①重要・②より…)(「最小限」中心)、「効果的だが過度ではない」(両方)、「必要性はあり最小限」(両方)等
●注意:「関連性」は「役立つ」ということ。
●補足:表現の内容規制が厳格審査されるのは、差別の可能性があるから。らしい。●検討

3.緩やか
・目的:正当
・手段:合理的関連性

●比較衡量:共に重要な権利・利益の場合(判例と同様でOK)。判断要素を挙げる。
●観点(目的審査):主観的・曖昧な目的は排除しておかないと、手段審査が抽象的になる。逆に目的が客観的・明確なものであれば、手段審査も具体的になる。例えば、目的が客観的な場合、一般的には住民の多数決同意は手段として不要になるはず(審議会の同意等は一定の専門性・技術性があり中間的になるが。)。

●注意:違憲審査基準は自由権(原則自由の制約)の問題のみ。請求権の場合、その要件検討で足りる(原則として違憲審査基準は不要)。ただし、既得権剥奪の場合、違憲審査基準を使用する場合と類する論じ方になる。

適用違憲

●処分違憲&運用違憲
●法令合憲が前提(※)●補足:営業の自由は法令違憲になり難く、少なくともメインは適用違憲がち。
(※)認識
・立法が違憲なら、行政は全て違憲(違法)。●行政が違憲な法律を破って…等は憲法と法哲学の狭間。
・立法は合憲だが、行政が違憲(よって違法)なケースが典型例。
(なお、立法が合憲であれば、それに従った行政は合憲・適法。違憲・違法となるケースは存在しない。)
・立法は合憲だが、行政が違法の場合、典型的な行政法の話。
・立法は合憲であり、かつ行政も(合憲)適法の場合、日常的行政の話。

1.メイン
法令違憲(立法事実欠如等)ではない場合
①条文該当性
②適用が厳格に過ぎる(e.g.,平等原則、比例原則等)

2.サブ
法令違憲もあるが、軽重ある場合
①目的手段審査(MUSTではない。USでは原則だが。)
②文言解釈
③裁量権の逸脱・濫用
(行政裁量論は行政法と同様。憲法論は裁量の広狭に影響。)

●いずれも基本は、①規制される権利の性質(重要性)と②規制態様(不利益)を検討。

●注意:立法事実・司法事実の峻別
●補足:法令違憲の場合、「仮に法令違憲ではないとしても」として適用違憲を書く。ただし、問題文次第。書く内容は、手段以外は共通の(省略可能な)ことも。
●認識:問題文に司法事実が多ければ適用違憲を書く等は容易に判る。要するに、この事情があれば適用違憲ではないか?、と思しき事情があるか否か。

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

「法の下に平等」(14条1項前段)

●問題:「法の下に」
●結論:法内容の平等まで保障。
●理由:内容が不平等なら適用結果も不平等

●問題:「平等」
●結論:相対的平等(各人の事実的・実質的差異を前提として、同一事情・同一条件の下では均等に扱う。)
●理由:事実上の差異(老若男女等)がある以上、絶対的平等はむしろ不当。

●注意:上記は、形式的平等の話。それに対し、実質的平等は、経済的弱者(貧者・労働者)保護の話。●認識:経済的弱者保護の場合でも、その中での相対的平等の検討はあり。

違憲審査基準

●前提:14条1項は禁止規範(これでOK)(cf.⇔区別されない権利)

●後段列挙事由
(民主主義の理念に照らし、原則として不合理な区別(cf.判例:単なる例示))
・「人種」・「門地」:厳格
・「性別」:①形式的平等(厳格)、②実質的平等達成目的(中間)(e.g.,AA等)
・「社会的身分」(「人が社会において占める継続的地位」(判例)):中間
・「信条」:厳格●私見

●権利の性質
(規制態様は問われない。区別自体が規制態様。
・精神的自由・選挙権:厳格
・経済的自由:中間(消極的規制)、緩やか(積極的規制)

●注意:自由権等とは異なり、平等権関係での「区別する目的」は明文がないことが一般的。自分で考え自分で設定すればOK。
●注意:法律は何らかの「区別」を含むものなので、むしろ原則が「緩やか」(合理性の基準)であり、例外が中間・厳格が、理論的(。そのこともあり、他の人権が問題となる場合、平等権を主張する実益はない。)。●認識:が、出題は厳格分野からが多く、認識としては「逆転現象」が生じている。

憲法訴訟

違憲審査権の法的性格

●理由:81条は「司法」(第六章)に置かれている。
●定義:司法とは、法律上の紛争、即ち当事者の権利義務に関する争いであり、法の(解釈・)適用により終局的に解決可能なものを司る国家作用。
●結論:付随審査制を採用している。
●検討:客観訴訟における違憲審査

違憲主張適格(重要)

●原則:不可(理由:付随審査制)
●理由:しかし、人権保障の必要性
●要件:そこで、①援用される権利の性質、②援用者と第三者との関係、③第三者による権利主張可能性等を考慮し、相当性があれば、
●結論:可
●判例:第三者所有物没収事件(最判昭和37年11月28日(大)):第三者から賠償請求等を行使される危険、が理由。単に慮って、ではない。当然ながら。
●裁判例:東京高決平成7年12月19日
●認識:主張・法的構成に窮する場合、使える。

違憲審査権(81条)の対象・優劣(条約)

●問題:81条の文言になし。
●理由:①憲法の上位規範性、②「条例」も明示ないが「法律」に含めうる。
●結論:肯定

●問題:国内的肯定(98条2項)より優劣が。
●理由:①憲法に根拠(73条3号)、②96条
●結論:憲法優位

違憲審査権(81条)の対象・違憲性・違法性(立法不作為)

●問題:立法されるまでは政治問題
●理由:①不作為の意思決定あり、と言える。②人権侵害の有無によるのが81条の趣旨
●結論:肯定
●検討:「司法不作為」は?(cf.行訴法3条5項)

●問題:違憲性
●理由:人権保障・法の支配
●結論:解釈上、立法義務がありうる。
●理由:しかし、立法は複雑な社会的・政治的条件下にある。
●結論:合理的期間(衆議院議員の任期が一つのメルクマールと言われることが多い。)の経過を要する。
●補足:状況も問題となる。例えば、請願(16条)があるのみなのか。或いは、内閣が既に法案まで出したのか(在外邦人選挙権訴訟)。等。

●問題:争い方
1.違憲確認訴訟(不可):立法義務なく実効性なし。
2.立法義務付け訴訟(不可):三権分立に反する。
3.立法不作為に基づく国賠訴訟(国賠法上の違法性)
●理由:法の趣旨から「違法」(国賠法1条1項)とは、公務員が各国民に対し負う職務上の法的義務に違反すること。国会議員にも妥当する。
●限界:立法(不作為)の違憲即ち「違法」ではない。●注意:必ず分けて論じる。●認識:イメージ会社法(法令違反と善管注意義務違反)
●歯止:明白な違法の他、①人権侵害があり立法不可欠であることが明白、③正当理由なく長期間経過した場合には、違法
●判例(在外邦人選挙権訴訟判決(最判平成17年9月14日(大))

●注意:立法不作為は、立法義務の存在を前提とするため、請求権のみでしか問題とならない。

違憲判決の効力

●原則:個別的効力(理由:付随的審査制)
●理由:法的不安定。個人間の不平等。
●結論:国会は法改正、内閣は法の不執行とすることを憲法が期待していると解される。
●検討:遡及効が原則だが、混乱回避のため将来効●認識:別問題

総論

人権共有主体性(外国人)

●問題:「国民の」(第三章の表題)
●理由:①人権の前国家的性格(11条)、②国際協調主義(前文3段、98条)
●結論:肯定
●展開:人権・外国人の種類・性質等は様々であり、個別的・具体的に決する。
●結論:権利の性質上、日本国民のみを対象としていると解されるものを除き、保障。
●前提:保障の程度の問題(制約の問題ではない)

●問題:政治活動の自由
●理由:参政権的性格を有する精神的自由
●結論:原則として保障
●制限:国民主権(前文1段、1条)
●結論:我が国の政治問題に対する不当な干渉にならない限り、保障。

●問題:再入国の自由
●理由:出国の自由(22条2項)に準じて、
●結論:保障
●制限:しかし、安全保障上の脅威から我が国を守る必要性。
●結論:著しく、かつ直接に日本国の安全・独立・国民の福祉を害するおそれがある場合に限り、否定(不許可)。

●問題:参政権(地方)
●理由:①国家運営は国民主権(前文1段、1条)に基づき、かつ地方公共団体は国家の不可欠の要素
●結論:外国人は「住民」(93条2項)に含まれず、保障されない。
●展開:しかし、国家が外交・防衛等に取り組む一方、地方自治は住民の生活に密接に関連し、国民主権との関わりに差異あり。
●結論:永住者等の密接関係者については、保障。

●問題:公務就任権
●理由:公務は内容・権限により、当地作用との関係の有無・程度が区々
●結論:個別的・具体的に検討
①直接的統治作用に関わる者(管理職)、②間接的統治作用に関わる者(その他):公権力行使の点で国民主権(前文1段、1条)に反する。保障されず。
③補助的な事務、④専門的技術的な職種:保障される。
●認識:行政府の話。立法府は被選挙権の問題。

●問題:社会権
●原則:本国
●結論:許容
●展開:財政が許せば(定住・負担しているなら尚更)保障。
●認識:結果論的には社会安定等の利益も。

人権共有主体性(団体)

●問題:沿革上人権は自然人のもの
●理由:一社会的実在として活動
●結論:性質上可能な限り、保障。
●前提:保障の程度の問題(制約の問題ではない)

●問題:構成員との関係
●理由:構成員の基本的人権v.s.団体の性質、活動内容に照らした構成員の協力の内容・程度を考慮し、団体(多数決)の統制力に合理的制限が必要。
●結論:目的の範囲内か(民法90条)。
●認識:私人間ではない。構成員がいるから団体がある、という関係性あり。
●検討:国の目的

●問題:政治活動の自由
●原則:保障(実在性から外面的精神活動を観念可能)
●制限:強大な社会的経済的影響力から、相対的に自然人の政治的影響力が低下(また、構成員たる自然人の権利自由侵害あり。)
●結論:自然人の人権を不当に制約しない限度で、保障。

部分社会の法理 

●原則:認められない。法の支配(81条等)から。
●例外:個別的・具体的にみて特殊性があれば。
●考慮要素:①問題となる人権の性質、②団体の目的・性質(憲法上の根拠の有無等)、③市民的法秩序との接点

私人間効力

●問題:沿革上人権は対国家権
●原則:適用されない。
●理由:しかし、①現代における巨大な社会的権力から個人を保護する必要性、②人権は全法領域に妥当する客観的価値を有する。
●結論:人権保障と私的自治との調和の観点から、私法の一般条鋼(民法90条等)の解釈に際し、人権による意味重点をし緻密な利益衡量を行う。
●判例:論じない者あり(国労広島、南九州税理士会等)

公務員

●問題:政治活動の自由(21条)
●原則:公務員も「国民」(第3章)であり、原則保障。
●制限:①公務員が政権政党の政策を忠実に実行する必要性(中立性)、②憲法は公務員関係の存在と自律性を憲法秩序の構成要素としている(15条、73条4号等)。
●結論:特別の制限に服する。
●補足:裁判官の中立性は尚更。
●確認:「忠実性」

●問題:労働基本権(28条)
●原則:公務員も「勤労者」(28条)であり、原則保障。
●制限:①公務の停滞は国民生活に多大な影響を及ぼすため制限する必要性(公共性)、②憲法は公務員関係の存在と自律性を憲法秩序の構成要素としている(15条、73条4号等)。
●結論:特別の制限に服する。

被収容者の人権

●問題:一定の権利制限があることが前提。限界がより問題となる。
●原則:被収容者も「国民」(第3章)であり、原則保障。
●制限:①収容目的、②憲法は終了関係の存在と自律性を憲法は予定している(18条、31条等参照)。●認識:「構成要素」とはしていない。
●歯止:収容目的達成のため必要最小限かを個別的・具体的に検討。
●認識:施設の規律・秩序保護も。既決・未決等で区別。

未成年者の人権

●問題:未成年者も「国民」(11条~13条等)として人権共有主体性あり。●検討:「第三章」
●制限:しかし、心身未成熟
●結論:成人として人権享有する前提を害する重大・永続的なおそれがあれば、要保護。
●補足:未成年者も幅広い。①年齢次第。②保護者の存在・役割次第。という視点も。
●検討:典型的には生命・身体への危険等。精神が問題。
●認識:成年者(意思能力・行為能力あり)は、自分で判断できる・同意している、ことを重視して判断すれば結論は間違いない。ただ、遺伝子情報・がん告知等、議論あるも社会的コンセンサスない場合、問題文相応の目配せはする。

人権

新しい人権

●問題:明文なし(14条以下)
●理由:①社会の発展、②13条後段の抽象性
●歯止:インフレ化
●結論:人格的生存に不可欠なものに限り、保障(13条後段)
●展開:保障されないとしても、平等原則・比例原則等によることがあり得る。

●問題:プライバシー権
●論点:新しい人権
●理由:情報化社会における意図せぬ流通
●結論:自己情報コントロール権として、人格的生存に不可欠であり、保障。
●具体例:①私生活上の事実又はそう受け取られる事柄、②一般人の感受性を基準に公開を欲しないであろう事柄●認識:公開されない系
●認識:個人を識別できない情報については、プライバシー権そのものではないが、識別への端緒(住所を特定する等により)とならないか等を検討し、適宜保護する。それすらなければ、保護に値せず、規制立法等は違憲となる。事前規制せずとも、事前の差止め・事後の賠償請求等により対応可能。

●問題:パブリシティ権(最判H24.2.2)
●定義:肖像等が有する顧客吸引力を排他的に利用する権利(財産的)
●理由:肖像等をみだりに利用されない権利(人格権由来)の一内容を構成する。商業的価値に基づく。
●要件(侵害):専ら肖像等の有する顧客誘引力の利用を目的とする場合
●理由:①人格的利益そのものではない。②経済的自由とも衝突、③表現の自由とも衝突。
●参考:侵害の3類型:写真等、商品、広告
●認識:「専ら」は”mainly”のこと。多少広いはず。

●問題:環境権
●理由:環境破壊を予防・排除し、個人の幸福追求の前提を整備する。幸福追求権の一内容。
●理由:その規模性等から、具体的実現には公権力による積極的保全・改善が必要。社会権としての側面も。
●結論:保障(13条、25条)。
●判例:正面から承認するものなし。

思想・良心の自由(19条)

●問題:謝罪広告の強制(民法723条)
●定義:思想・良心とは、世界観・人生観等、個人の人格形成に必要又は関連する精神作用
●展開:個別的な物事の是非判断等は含まない。
●要件:単に事態の真相を告白し、陳謝の意を表明するに留まる程度のものであれば
●結論:合憲

信教の自由(20条)

●条文:20条1項前段、2項
●内容:信仰の自由、宗教的行為の自由、宗教的結社の自由

●問題:政教分離(20条1項後段、3項、89条前段)
●定義:国家の非宗教性・宗教的中立性
●性質:制度的保障(理由:文言形式に照らし)
●趣旨:①(特に少数者の)信教の自由の保障、②価値相対主義に立つ民主主義の保護
●制限:社会施策の実施等にあたり完全分離がむしろ信教の自由を害する場合がある。
●結論:社会的・文化的諸条件に照らし、不相当と認められる場合には、政教の関りは許されない。
●基準:①行為の目的が宗教的意義を持ち、②その効果が宗教に対する援助・助長・促進、又は圧迫・干渉になる場合には、●認識:これでOK
●結論:違憲
●判例:津地鎮祭事件(最判昭和52年7月13日(大))●確認:判例は、目的・効果を分けない。らしい。●確認:空知太のみ?
●判例:空知太神社事件(最判平成22年1月20日(大)):「諸般の事情を考慮し、社会通念に照らして総合的判断」。目的効果基準によっていないが、国が援助してきた歴史的経緯がある特殊事例と評価されている。
●処理:①「宗教団体」・「特権」(20条1項後段)、②「宗教的活動」(20条3項)、③「宗教上の組織若しくは団体」(89条前段):「宗教的行事等を行うことを主たる目的としている団体」(空知太)。
(②は①も③も包摂する。書き方として、②を論じて、結論的に①③にも違反する等とするか、①③を論じて結論的に②にも違反する等とする。近時の判例同様、後者でOK。)
●補足:制度的保障ゆえ客観訴訟へ。参加強制されば場合は人権侵害として。住民訴訟(地自法242条の2第1項各号(4号等))は国の行為には使用不可。
●注意:「公共性」の反対語が「宗教性」ではない。両立しうる。別物。

表現の自由(21条)

●前提:趣旨:①自己実現、②自己統治、③情報の自由流通による社会の発展・個人の利益。等

●問題:知る「自由」
●理由:①個人は情報の受け手としての側面が依然として大きい。②個人の人格の形成発展(自己実現)、立憲民主主義の維持発展(自己統治)の価値を確保するためには、表現の自由を受け手の側から再構成する必要がある。
●結論:保障される(21条1項)
●検討(保護範囲):情報伝達プロセスに関する規制(フィルタリング等)は、表現自体の規制でもある。その現れ方・重要性(事例毎)により、どちらの自由の問題とすべきかが変わる。一般的には、表現が主で、知るは従。知る側の保護が、表現側の権利制約事由とされる場合、本末転倒的制約とならないよう、知る方の自由について深く検討する必要あり。

●問題:知る「権利」(請求権的側面)●補足:政治・政府情報等の話
●理由:①国民が政治的意思決定をする(15条1項等)前提として、公権力の保有する情報が必要。②国民主権(前文1段、1条)の下、かかる情報は国民の情報
●結論:保障される(21条1項)。
●限界:もっとも、①個人のプライバシー(●検討:「個人情報」)、②具体的な手続き不明
●結論:そこで、法律(・条例)の制定を待ち具体化される抽象的権利。
●認識:情報公開法・条例が存在するため、具体的権利となっている。

●補足:上記の他、第3の権利として、自己情報コントロール権(13条後段)としての情報開示請求権もある。ただ、知る自由・権利とは呼ばない方が良い。

●問題:プライバシー侵害(宴のあと事件:東京地判S39.9.28)
●要件:①私生活上の事実又はそれらしく受け取られるおそれ、②一般人の感受性を基準にして、公開を欲しないであろう、③一般人に知られていない。

●問題:プライバシー権v.s.表現の自由
●結論:等価的利益衡量
●理由:刑法230条の2の趣旨は原則としてプライバシー権侵害にも妥当。
●制限:プライバシー侵害は公表内容が真実である場合が典型。真実性の証明による免責にはなじまず。
●結論:表現行為の公共性を重視し不法行為の成否を判断。
●判例:週刊文春事件地裁(交際)基準にて。

●問題:名誉権v.s.表現の自由
●結論:等価的利益衡量
●理由:刑法230条の2の要件充足により不法行為(民法723条)も不成立。
●制限:真実性の証明は必ずしも容易ではなく、表現活動を委縮させないよう緩やかに判断。
●結論:真実であるとの誤信が確実な資料・根拠に基づき相当であるときは、不法行為(民法723条)は不成立。

●問題:論評と名誉棄損
●理由:主観的な意見表明については、客観的事実の適示とは異なり、真実性の証明は問題とならない。
●結論:広く保護されるべき。
●要件:①公共の利害に関する事項につき、②専ら公益を図る目的であり、かつ③前提事実が主要な点で真実であったことが証明されれば、④人格攻撃に及ばない等、論評としての域を逸脱しない限り、
●結論:保障

●問題:裁判所による差止め(公人)
1.検閲には該当しない(21条2項)。理由:個人の私法上の被保全権利等に関する判断を行うに止まり、網羅的一般的審査ではない。
2.事前抑制の禁止(21条1項):厳格な要件の下、許容されうる。
この点、人格権としての名誉権(13条後段)は重要。
しかし、公人に関する表現は民主政に資する価値を有し、特に保護する必要性あり。
そこで、原則として、公人に関する表現の差止めは、違憲。
もっとも、①表現内容が真実ではなく、又は②専ら公益を図る目的でないことが明白であり、かつ③被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被るおそれがある場合、合憲。

●問題:裁判所による差止め(私人)
1.検閲には該当しない(21条2項)。理由:個人の私法上の被保全権利等に関する判断を行うに止まり、網羅的一般的審査ではない。●公人と同じ。
2.事前抑制の禁止(21条1項):厳格な要件の下、許容されうる。
この点、人格権としてのプライバシー権(13条後段)は重要。
そこで、表現により被害者が受ける不利益と差止めにより表現者が受ける不利益との比較衡量
具体的には、①侵害行為が明らかに予想され、②侵害行為により、被害者が重大な損失を受けるおそれがあり、かつ③その事後回復が不可能又は著しく困難である場合、合憲。

●問題:報道の自由(沿革上表現の自由は、事実ではなく、思想・意見表明の自由。)
●理由:①編集により、意見を含む。②国民の知る自由に奉仕する。●認識:②が、表現の自由の第三の趣旨に相当する。
●結論:保障される(21条1項)。
●判例:博多駅TVフィルム事件(最判昭和44年11月26日(大))

●問題:放送の自由
●結論:特別な規制可能
●理由:チャネルが有限→注目度高い→依然として影響力あり。●検討

●問題:取材の自由(表現前の準備行為)
●理由:①報道の自由は、国民の知る自由に奉仕し、保障される(21条1項)。②取材は、編集・報道の不可欠の前提。
●結論:保障される(21条1項)。
●判例:博多駅TVフィルム事件「21条の精神に照らし十分尊重に値する」

●問題:取材源秘匿権(刑訴)
●理由:証言義務(刑訴法143条)は裁判の適正のための義務(32条、37条1項参照)。その例外(同法149条等)は限定列挙。類推不可。
●結論:保護されず。
●参考:刑訴法上も。
●展開:捜査の場合、適正迅速な捜査自体は、憲法上の要請ではない。よって、比較衡量。●認識:それでOK。取材の自由を「十分尊重」止まりとするなら尚更。

●問題:取材源秘匿権(民訴)
●要素:取材源の信頼関係破壊により将来の取材の自由ひいては国民の知る自由(21条)に重大な影響v.s.証言の必要性(32条)
●要件:①公共の利害に関する、②取材が犯罪に該当、③取材源が開示を許諾等の事情がなく、かつ当該事件の社会的重大性等から当該証言が必要不可欠ではない場合、
●結論:保護される。

●問題:国家機密(そそのかし罪(国家公務員法111条)の構成要件に該当。違法性阻却されるか。)
●論証:知る権利
●理由:国家機密との調整の必要性
●要件:①真に報道目的から出たものであり、②その手段が(法秩序全体の精神に照らし相当なものとして)社会通念上是認されうる場合には、
●結論:正当業務行為として、違法性阻却。

●問題:デモ行進の自由
●趣旨:21条(①自己実現、②自己統治)
●結論:「動く集会」(21条1項)として保障。
●補足:道路は、①多数人が主に交通の目的で利用する場所である一方、②表現活動の場で使用されてきた歴史がある。典型的なパブリック・フォーラム(大学の教室は非該当)。
●参考:それ以前に、当然ながら、他者の財産権を侵害する表現の自由は認められない。他人の自宅の壁・ノート・ブログ・新聞等で表現する自由がないのと同様。公共用物(?)ゆえ可能性が出て来るというだけ。という見方もある。

●問題:検閲
●定義(狭義説):行政権が、表現行為に先立ち、表現内容を、審査し、不適当と認める場合に禁止すること。
●判例(税関検査事件(合憲判断)):①行政権が、②発表前に、③思想内容等を、④網羅的一般的に審査し、⑤禁止すること。
●批判:狭すぎる。
●反論:絶対的禁止(公共の福祉による制約なし。)
●注意:定義に該当しない場合には書いてはいけない。

●問題:法廷におけるメモ採取
●理由:21条の趣旨から、情報摂取は当然保障。メモは、その補助手段。
●結論:21条の精神に照らし尊重●確認:取材の自由との比較
●限界:裁判の適正・迅速のため、公正かつ円滑な訴訟運営。直接保障されている自由自体ではない以上、厳格な基準までは不要。
●結論:一定の制約に服する。
●認識:二次的v.s.二次的

●問題:消極的表現の自由
●理由:表現強制は、沈黙又は他の表現による自己実現(・自己統治)を害する。
●結論:21条により保障される。
●認識:プライバシー権と同様に考える見解もあるようだが反対。根拠不明かつ21条の趣旨が曖昧化する。ただし、自己統治は「沈黙による」は詭弁なので、なしでも良いだろう。常に二つの趣旨が同等であるとは限らず、またどちらかがない場合もあろう。

学問の自由(23条)

●趣旨:学問による真理探究は、本来権力と無関係だが、その批判的性格ゆえ特に権力から干渉され易い。
●内容:①学問研究の自由、②研究発表の自由、③教授の自由
●視点:①については、施設を利用しないで研究することが難しい分野・研究については、(単なる手段規制ではなく)内容規制と考えるのが妥当ではないか。

●問題:大学の自治
●結論:制度的保障
●理由:①伝統的に学問の自由と密接に関連、②核心(人事・管理等)が明確。
●補足:政治目的での施設使用禁止は重要(必要性・許容性あり)。趣旨から。
●参考:学生に教室使用請求権はない、という考え方がある一方、施設利用は必要があり、請求権はある、という考え方もありうる。後者については、研究者についてより妥当。

●問題:警察権との関係(捜査か、公安か、で区別)

●問題:学生の位置付け
●結論:否定(判例:専ら営造物の利用者)
●理由:①組織の一員ではない(サービス受益者、4年間のみ、学則作らず等)。

●問題:大学が規則を制定し、研究内容を規制する場合、新しい問題(先端的科学技術研究を典型例に)。

●問題:先端的科学技術研究(例:ヒトクローン)
●原則:精神的自由の側面があり、重要。
●理由:しかし、結果が未知・評価困難(倫理問題)・甚大(生命・身体・環境等)・永続等のおそれ。
●結論:他の人権・利益確保のため、必要不可欠・最小最小限度の規制に服する。
●確認:違憲審査基準

適正手続(31条)

●問題:措置法(立法は一般的・抽象的法規範。①平等原則(14条)、②権力分立(41条、65条、76条1項))
●理由:①社会国家(25条以下)において、実質的合理的区別は必要・可能、②行政国家において、民意を反映する立法府の権限拡大は問題ない。そもそも議院内閣制の下、行政・立法の区別は総体か。
●結論:合憲

職業選択の自由(22条)

●問題:営業の自由
●理由:認めなければ職業選択の自由が無意味。●判例:開始・継続・廃止の他、内容・態様についての自由も必要、という表現をしている。●認識:サラリでOK
●結論:保障される(22条1項)。
●判例:薬事法違憲判決(最判昭和50年4月30日(大)):目的二分論(社会・経済政策上の積極目的の規制はその他の許可制と別に扱う)を採用。
・22条1項の趣旨(①生計維持、②社会の存続・発展に寄与、③個性を全うする場)●注意:③も留意。違憲審査基準の選択に影響してくる。
・違憲審査基準:合憲性の推定される(立法府の合理的裁量を尊重する)旨を述べている。そのため、厳格な合理性の基準(①目的が重要、②合理性に加え、必要性も。)●理解(※):実質的にはLRAの基準と同様。しかし、精神的自由の規制立法とは異なり、合憲性の推定がされることから、特別な基準となる。●方針:一応使い分ける。
・許可制の定義:法定要件を充足し、かつ許可された者のみに職業の遂行を許すこと。●検討:一律規制(事後)は許可制(事前)ではなく、より緩やかな規制らしい。差別的要素が含まれるから。と。本当か。
●判例:小売市場事件は決(最判昭和47年11月22日(大)):積極目的につき、「明白性の基準」(規制が著しく不合理であることが明白である場合に限り違憲)を採用。上記(※)と異なり、合理性の基準よりもさらに緩やかな審査基準。●方針:ゆえ使い分ける。●方針:極めて緩い。それゆえ、法令等に目的が明示されている場合に限定するのが吉。
●展開:本人では如何ともしがたい条件(客観的条件)による許可制については、(14条違反の差別の問題も孕み)厳格審査。その他の許可制(主観的条件による)は厳格な合理性の基準。事後的な一律規制は緩やか(●認識:明白か合理性かは別論。)。●認識:あまり。客観的条件・主観的条件の区別は総体的。年数要件はいずれとも。ゆえ事例に即した判断をすれば必要十分。
●参考:許可制度自体と、個々の許可条件の検討とは分ける。らしい。●検証:本当か。後者だけで良いのでは?
●検討:消極目的(生命・健康等の保護)の厳格審査の理由として、(裁判所に可能という点の他)実は積極目的なものを仮託された可能性があるから、という考え方。例の口述話も含め、要整理整頓。

●問題:営利的言論
●理由:①消費者たる国民一般に対し、様々な情報を提供。他方、②国政の維持発展(自己統治)の価値は希薄。
●結論:(ある程度)緩やかな基準●確認:違憲審査基準

1.居住・移転の自由(22条1項)
●趣旨:①自由な経済活動の確保。②多様な人・文化等に接し、人格を発展させる。
●性質:経済、人身、精神の自由

2.海外渡航の自由(22条2項)
●結論:外国「移住」の自由として保障。
●理由:22条1項が国内、同2項が国外と解するのが整合的。

財産権(29条)

●問題:財産権(29条1項)
●趣旨:社会経済活動の基盤確保
●内容:権利と私有財産制度

●問題:限界(29条2項)
●基準:財産権の根幹をなす権利・制度(例:所有、契約、相続等)については、立法裁量は狭い。その他は、広い。

●問題:条例による財産権制限
●理由:条例は、法律同様、議会の民主的基盤を有する。
●結論:合憲

●問題:損失補償(29条3項)
●趣旨:①財産権保障、②公平

●「公共のため」:広く社会公共の利益のため
●「用いる」:制限、使用も(収容に限らず)

1.補償の要否
●趣旨:①・②
●結論:特定個人が特別の擬制を払う場合
●展開:具体的には、①制限等の対象対象が特定の個人・団体、②制限等が財産権の本質を侵すか。
●検討:どの文言の話?なし?

2.「正当な補償」
●理由:29条3項は、財産権保障のため、制限等の前後を通じた価値を保障
●結論:市場価値による保障(完全)
●判例:「相当」

3.補償規定を欠く法律の効力
●理由:財産権保障のため、29条3項の補償は、具体的な請求権に応じるもの。
●展開:29条3項に基づき直接請求可能(客観的算定も可能)
●結論:有効

4.谷間
●問題:予防接種禍(損失補償は適法・財産権。国家賠償は違法。)
●理由:29条3項類推の場合、補償されれば生命・身体に関する権利制約可能ともなりかねない。
●結論:国家賠償請求可能(過失推定)
●補足:同時履行でなく、遅れても合憲(判例)

生存権(25条)

●問題:法的性格
●条文:「権利」との文言から、法規範性あり。
●理由:しかし、その抽象性から、手段選択は政治部門による。●認識:専門性・技術性、予算上の制約
●結論:そこで、立法・予算を通じた実現義務を課し、その具体化がされた法律(※)により具体的な権利となる(抽象的権利)と解される。
●展開:①制度後退の場合、中間基準により審査。②その他(制度検討の不十分性等)の場合、緩やかな基準
●補足(※):かなりの数の法律が存在する。法律が、「健康で文化的な最低限度の生活」(25条1項)として十分か、が問われる。●そもそも「生存」可能かが問われる例も。
●注意:抽象的権利説に立ちつつ、具体化立法(生活保護法等)の条文を検討(憲法の観点から)しないことはありえない。争った場合、結論は、「(憲法に適合するよう)法律を解釈して支給をせよ。」等という請求となる。しないことは「違憲・違法」であると。
●観点:本人の資産等さけではなく、扶養義務ある親族等が存在するかも権利保護の必要性のメルクマール
●認識:法律が存在しない場合(レアだが)、自空論。
●処理:①具体化立法の解釈(憲法的観点から)、②立法不作為、③具体化立法の請求権を排除する法の違憲無効。以上3つの方法がある。

教育を受ける権利(26条)

●趣旨:①個人が社会において有意義な生活を送る不可欠の前提となる人格形成、②個人が民主政の過程に参加する不可欠の前提となる資質を養う。
●内容:
①子供が教育を受け、人格を発展させ成長する(学習権)。
②(①を前提に)国民が国家に対し教育の前提整備を要求(「法律の定めるところ」によるため、相応の立法裁量あるも歯止も。)
③(「その能力に応じて等しく」)子供の心身の機能発達に応じ(教育の機会均等)
●認識:21条に近い「知る」点で。

●問題:教育権(●表現確認)の所在(国家(立法・行政)v.s.親・教師)
●本質:子供の学習権に対応した責務が子供の教育
●前提:親は、子供の教育に強い関心。教師は、直接的・人格的接触を通じ、個性に応じた教育の自由(23条)●条文確認
●理由:①批判的能力の欠如、②選択余地狭い、③全国一律の水準確保
●結論:国家が、必要かつ相当な範囲で、適切な施策を実施しうる。
●歯止:もっとも、政治的利害等に支配されるべきではない教育の性質。人格の独立の尊重。
●結論:自由・独立な人格形成を妨げる国家的介入は違憲(13条、26条)。

労働基本権(28条)

●問題:労働組合への強制加入(消極的結社の自由(21条1項)の侵害か。)
●趣旨:経済的弱者たる労働者の団結により、使用者に対抗する(団体の目的の中でも特別)
●結論:制限可能
●歯止:組合選択の自由(28条)
●結論:新たに組合を結成する権利は保障される。
●展開:そこで、具体的基準が問題となる。
●補足:労働者のための政治スト可能
●確認:勤労の権利(27条)

●問題:労働組合の統制権(加入後)
●原則:立候補の自由(15条1項と表裏一体)●22条1項?
●趣旨:28条の
●結論:説得合法。処分違法。
●参考:私人間効力

公務就任権(15条1項)

●前提:5種盛り(普通選挙(15条3項、44条ただし書)、平等選挙(14条、44条ただし書)、自由選挙(15条4項後段)、秘密選挙(15条4項前段)、直接選挙(明文なし))●確認:条文
●問題:公務就任権
●理由:個人の人権として自然であることから、
●結論:22条1項(通説)
●認識:15条1項説(「表裏一体」)。しかし、①15条1項の文言(選択する側の権利)、及び②一般職は選挙権(15条1項)と表裏一体の関係にない。否定。

選挙権(15条1項)

●趣旨:間接民主制(前文1段、43条1項)を通じ、国民主権(憲法前文1段、1条)を具体化するために重要
●判例:在外邦人選挙権訴訟判決(最判平成17年9月14日(大):非常に厳しい違憲審査基準。要するに、選挙の公正のためにやむを得ない場合に限る、とする。
●注意:選挙権は抽象的権利
●参考:公職選挙法が住所を選挙人名簿登録の要件としている理由は、一人一つしかない住所(v.s.居所・現在地等)により選挙区を確定させ、二重投票の防止にある、らしい。

統治

議員定数不均衡

●問題:投票価値の平等
●理由:①14条1項は、国民は全て政治的価値(13条参照)において平等であることを徹底・志向している。②選挙権について、15条3項・44条ただし書。
●結論:保障

●問題:格差としての許容基準
●理由:投票価値の平等は、個人の人格的平等に基礎を置く重要な権利(⇔技術的困難)
●結論:2倍未満が立法裁量(47条)の限界
●参考:1!(I)

●問題:瑕疵の範囲
●理由:①繊細な政策的・技術的考慮の下で決定、②一部の変化が他に影響
●結論:不可分一体として全体が違憲(⇔ある選挙区と全国平均との差分)

●問題:違憲審査基準
●理由:①人口は日々変動、②国会に不可能を強いられない。
●要件:認識しつつ、合理的期間が経過した場合、
●結論:違憲

●問題:訴訟選択(民衆訴訟たる選挙無効確認の訴え(公選法204条))

●問題:統治行為論
●理由:民主政の過程に直結した権利であり、自己回復困難。
●結論:採用不可。
●展開:厳格な基準を採用。

●問題:事情判決の法理
●理由:既に成立した法令の効力等が問題となり、その改正等は憲法の所期していないもの。
●結論:主文で違憲を宣言し、無効請求は棄却する(一般的な法の基本原則(行訴法31条1項参照))。

●問題:参議院の特殊性
●理由:①地域代表的性格、②半数改選(46条)
●結論:あり。
●参考:なし!(「全国民の代表」(43条1項))(I)

委任立法

●問題:国会中心立法(41条後段)
●原則:国民代表たる国会にて。
●理由:①専門的技術的判断、②73条6号
●結論:個別的・具体的委任であれば合憲。
●展開:具体的には、必要性、権限の大小、歯止め

●問題:罰則の委任
●原則:人権保障上厳格に。
●結論:①構成要件は概括的でも可、②刑罰(効果)は不可。
●展開:要件不充足なら、41条の他、31条にも違反。
●補足:条例であれば、一般的包括的委任可。
●理由:民主的基盤あり(93条2項、94条)

●問題:再委任
●結論:許容規定あれば可。なくとも、①やむを得ない合理的理由があり、②裁量の余地が限定されていれば、可。

全国民の代表(43条1項)

●問題:「代表」(43条1項)
●理由:「全国民」(43条1項)、②免責特権(51条)
●結論:政治的代表(自由委任)
●制限:しかし、社会が複雑になり、価値観が多様化する中、国民意思反映による地位の正当化が必要。
●結論:そこで、可及的公正かつ忠実に民意を反映すべき(社会学的代表)

●問題:党議拘束(43条1項違反か)
●理由:①政党国家では、所属政党が民意を媒介、②法的責任は問われない(自由委任の枠外)●表現確認
●結論:合憲

●問題:政党変更による議員資格喪失(cf.国会法109条の2)
●結論:自発的変更(変節、公約違反等ないにも関わらず)なら合憲

●問題:国民投票制
1.国会単独立法(41条後段、59条1項)に反しないか。
反しない。国会単独立法の趣旨は、立法の民主的統制。国民意思の直接的反映は問題ない。

2.代表民主制(前文1段、43条1項)に反しないか。
反する。代表民主制の趣旨は、①少数者の人権保障のため、直接的民主制を回避し、②代表者による自由な審議・討論等による統一的国家意思形成

衆議院の解散

●問題:形式的解散権(7条3号)はあるが。
●理由:内閣により「助言と承認」(3条)により、「権能を有しない」(4条)点を実質化。
●結論:内閣

●問題:解散事由
●要件:民主主義のため必要な場合
●結論:可
●補足:自律的解散不可(58条2項ただし書)

条約

●問題:条約修正権(承認権(73条3号ただし書)はあるが)
●理由:①不承認(61条、60条2項)は、修正可能を前提、②明治憲法よりも著しく議会の関与強化
●結論:あり。
●限界:もっとも、相手国の信頼保護の必要性
●結論:内閣の政治的義務を発生させるのみ。
●認識:なし、では?

●問題:事後承認なき条約
●結論:国内的効力(無効)
●理由:民主的コントロールを重視
●結論:国際的効力(無効)
●理由:相手国の信頼を害さず。73条3号の手続は周知の事実●認識:悪意・重過失

公の支配(89条後段)

●理由:「財政」(第七章)
●趣旨(争いあり):濫費防止
●結論:その防止が可能な程度の監督で必要十分
●展開:具体的には、報告・勧告等で足りる。
●参考:干渉排除説(「公」並みの厳しい監督がなければ支出不可。)
●検討:論理

地方自治・条例

●問題:法的性質
●理由:憲法に独立の章を設けた。
●結論:本質侵害不可の制度的保障
●展開:本質とは、①住民自治、②団体自治
●補足:組織・運営を法律で定めることは可。

●問題:地方公共団体の意義(道州制等)
●理由:①現在の二段階の制度は、憲法制定当時の時代背景によるものに過ぎない、②より広域なものとすることも時代背景次第。
●要件:地方自治の本旨に反しない限り、
●結論:立法裁量

●問題:条例制定権の根拠
●理由:41条から例外規定が必要。
●結論:94条で創設されたもの。

●問題:条例制定権の限界(「法律の範囲内」(94条)
●要素:文言のみでなく、趣旨・目的・内容・効果を比較し、
●結論:両者に矛盾・抵触があるか否かによる。
●判例:徳島市公安条例事件

●問題:平等権
●結論:条例による差異は憲法が容認している。
●判例(最判昭和33年10月15日(大))
●補足:条例ではなく、法律で差異を設ける場合は別論、とも考え得る。例:生存権の保障の差異は憲法も容認していない、とも言いうる。

ワヴィニー

日本の憲法は「全く知らない」というのもマズイかと考えまして、試みに…

律子

「『全く知らない』訳ではない」ということだけは、かろうじて理解できました(笑)。

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