行政法~国際私法の範囲外
「…行政法…等の公法の抵触問題と私法のそれとはその性質が大いにちがうものであるから、国際行政法…は国際私法の範囲から除外するのが妥当である。」
(江川英文『国際私法(改訂)』(有斐閣、1957)17頁)
目次
【留意点】
●アドバイス:個別法の条文を複数引用する。反論を書く。
●「…は、…を被告として(行訴法●条、●条)、…を管轄する地方裁判所(行訴法●条、●条)において、本件…の…の訴え(行訴法3条●項)を提起する必要がある。」
●訴訟選択の理由を丁寧に説明する。①義務付けも「取消しのみでは不十分なので両方」等の実質的な理由を示す(条文適示のみでは不十分)。当事者訴訟v.s.抗告訴訟(仮の救済の有無」、「法定抗告訴訟優先」(君が代訴訟では補充性の要件を欠くため否定した。等。●認識:法定外、はあまり。)。⇔君が代訴訟。②対象を明示する。③行手法3条を明示する。
●仮の救済手段を失念しない。
●差止めも失念しない(近時の判例あり)。
●個別法の具体的な使い方がポイント。
●民法の適用は、法の趣旨目的に照らした個別的判断(「法」は懸案の行政法規)
●地方自治法2の2、14条1項
●委任命令(専門性技術性(必要性)、法(委任・授権)の趣旨(許容性))●補足:条例に基づく規則への委任についても同様の基準で。●補足:刀剣判例は、処分が根拠規定を超える、という話。別物。
●行政契約に関する分須は民訴又は行訴法4条
●権限→要件→効果
●要件裁量・効果裁量(可否・手段選択等)の峻別。裁量の有無(難)では差は付かない。
●手続(行手法・個別法)違法か?⇒取消事由か?(この点も丁寧に。例えば、聴聞は手続保障として重要である。法律の趣旨目的(生命身体財産の安全)と条例上の手続の趣旨(近隣環境の保護)とは異なる(ので重要ではない)。等)
(参考:Preliminaryの委任命令型はNew)
●「訴訟は長期間を要することとなる」(Key word)→仮の救済
●しかし、取消しの場合、執行停止の原則(行訴法25条1項)。→執行停止の申立て(同2項)
●訴訟要件:「(被告)に対し、(管轄裁判所)において、()につき、()を提訴」として網羅。
●「一方当事者の弁護士」という状況設定があれば、常に念頭に。
●「平等原則(憲法14条)」
●原告適格の場合、複数の利益を検討させると難しくなる。
●ど真ん中を外してくる(手続、違法性の承継(先行行為に処分性がなくても実質的には同様。①「一連」「不可欠の前提」、②重大か)
●処分基準・裁量基準(基本書ではあまり…だが)出る。
●新判例の枠組みに依拠して書く(他の科目より)
●訴訟要件「損害」の認定を丁寧に。
●「書き写す」際のポイントは、要件・効果
●①結果着目:平等・比例(効果で多い)、目的☓、信義則、事実誤認等、②判断過程審査:他事考慮、考慮不尽、評価の明白な合理性の欠如等)⇒まとめて「濫用」と。ものさし毎に項目を立てて書く。
●パブコメ(行手法2条8号イ、39条)
●処分・裁決双方の取消訴訟係属中、前者が確定(適法)⇒訴えの利益消滅(判例)⇔少数意見:行訴法33条により行政庁も取り消す可能性があるので。
●「正当な理由」(地自法244条1項)がなければ、違法(裁量の問題ではなく)。
●併合提起の場合、のときは、理由のズレは生じうる。が、義務付け中心でOK(処分理由自体は共通)。●T
●侵害留保説でOK(「法律」の留保)
●「民法720条の法意に照らして」(浦安ヨット事件(最高裁平成3年3月8日第二小法廷判決))●認識:緊急避難として処理
●行手法2条、3条:あてはめ(例:「申請」(2条3号)、「行政指導」(3条3項))
●原告→反論(ここまではコンパクトに争点形成するのみ)→原告
●参照条文の使い方(cf.憲法の問題で第2条は定義規定。明確性等で使用。):①処分の根拠・要件・効果、②目的(最後が重要)(新しい法律なら):解釈の方向性、原告適格(関係法令の第1条同士をマッチング)、判断過程統制での事実の考慮・重み付け(他事考慮、考慮不尽等)、③制裁:あれば原告適格〇がち。●なお、行手法1条は、重要な手続違反か否かの論証で使用。
●許認可を受けた後の事情変更があった場合(結果として距離制限に反することとなった等)、損失補償(憲法29条3項)が認められ易い。●確認:直接憲法に基づく損失補償は、実質的当事者訴訟(行訴法4条後段)となる模様。
●市街化調整区域内の開発工事完了後における開発許可取消の訴えの利益は、失われない。「当該開発許可の取消しによって、その効力を前提とする…予定建築物等の建築等が可能となるという法的効果を排除することができる」から。(最高裁平成27年12月14日第一小法廷判決)
●行政法上の違法は、対外的契約に影響しないのが原則。しかし、法の趣旨を没却する特段の事情がある場合は例外的に無効となる(最高裁平成20年1月18日第二小法廷判決)。
●取消判決等の効力(行訴法32条・33条)
●国有財産(国)by国有財産法・公有財産(地方公共団体)by地方自治法:いずれも行政財産(公用・公共用)と普通財産(行政財産以外)に区別される。行政財産の目的外使用許可については広範な裁量あり(判例・裁判実務・学説)。公物管理法(機能管理):道路法・河川法・漁港漁場整備法等、財産管理法(財産管理):国有財産法・地方自治法等。国有財産法・地方自治法は公物管理の一般法(判例・従来の学説)v.s.否定説(近年有力学説。抽象性・規定対象のズレ・不十分性等から。)。漁港漁場整備法等が特別法。
●条例と規則:①長が定める条例:専管事項については、条例との抵触は生じない。共管事項については、条例が優先(より基本的な自治法規として。)。条例による委任がある場合に条例優先は当然。②執行機関(長以外)が定める規則:そもそも「法令又は普通地方公共団体の条例若しくは規則に違反しない限りにおいて」(左記「規則」は長の定める。)のみ定められる(地自法138条4第2項)。具体例:教育委員会について「教育委員会は、法令又は条例に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、教育委員会規則を制定することができる。」(地方教育行政の組織及び運営に関する法律15条)。●調査:規則(長による。)には反して良いように読める。教育行政の独立性による例外か。
●参考(地方自治法上の権限の大きさ):①市⇒②中核市⇒③政令指定都市⇒④都道府県(②・③は規模の違い。)
「正当な理由」(水道法15条3項)
●判例:2つ
●規範:給水が申込者の公序良俗違反を助長し、又は給水の申込みが権利濫用と評価できるような場合でない限り、法固有の目的から是認される場合に限り
●あてはめ
授益的行政行為の撤回
●問題:明文上の根拠なき撤回の可否(法律による行政の原理から)
●原則:後発的事由による行政行為の合目的性の回復であるため、直接の根拠規定なくとも許認可等の授権法律に基づき可能。
●歯止:しかし、授益的行政行為の撤回は、相手方の被る不利益が大きい。
●結論:当該不利益(付随的損失も)・相手方の帰責性等と公益(別の公的目的も)上の必要性等を比較衡量し、著しく不当であれば撤回は不可。●認識:明文あろうがなかろうが、という話。
●補足:再申請に対する不許可処分の場合、期限の定めがあったか、(あったとしても)現実の了承があったか等も考慮(なお、学説は、後者は考慮せず、客観的相当期間のみで判断する。)
●補足:侵害的処分の撤回については撤回自由の原則が妥当。
●問題:補償の要否
●結論:撤回による不利益が権利に内在するとは言えない場合には、補償必要。
●判例:東京都中央卸売市場事件(最判昭和49年2月5日):対価分の未償却、又は別段の定め等 ●認識:撤回が認められたら、原則補償不要。例外はこの2つぐらい。でOK。
●認識:処分基準に反することが判明したにすぎない場合は、撤回できないときも。他方で、そのことから具体的問題が発生しているときは、取消しが可能に。
●比較:「職権による取消し」は、①取消しの有無による利益・不利益を比較し、②取消しをしないことが著しく不当である場合に限り可能(最高裁昭和43年11月7日第一小法廷判決)。
●補足:「撤回」は処分庁のみ。「取消し」は、処分庁の他、上級行政庁・裁判所も可能。●認識:撤回は既得権益を剥奪が本質。不利益処分なので取消訴訟のみで済む。(再許可が繰り返されて来たケースで)申請に対する拒否処分と評価されると、義務付けまで必要となる。仮の救済手段の要件も異なる。現状変更伴う「償うことができない」v.s.「重大な」。実体的にも撤回の是非(本論点)が主張できるか、できないかが異なる。●予備:H26
違法性の承継
●問題:先行処分の出訴期間が経過していることを認定。例:賦課処分と滞納処分、事業認定と収用裁決、安全認定と建築確認(最判平成21年12月17日①)
●原則:認められない。(具体例:戒告・通知→除却、という流れは必然ではない。)
●理由:法律関係の早期安定(行政上の出訴期間制限(行訴法14条)の実効性)
●例外:国民の権利保護のため、下記要件を充足する場合は可。
●要件:①先行行為と後行行為とが一つの法効果を目指すこと(実体法的観点)、及び②先行行為の違法性を争うための手続保障が不十分(手続法的観点(実効的権利救済))。
●判例:安全認定と建築確認(最判平成21年12月17日①):①主体が異なるが、もともと一体的(前者は専門的、後者は客観的判断可能、なので分けたのみ。)、②前者について周辺住民は知らないのが通常(知っても建築確認まで待つ判断も不合理ではない。)。との判断をした。
●事例:Q:土地収用法:事業認定後、任意買収の可能性はある。また、必ず権利取得裁決の申請がされるとは限らない。よって、①を充足しないのでは?A:土地収用は、権利取得裁決を含む裁決により実現する(法47条の2第2項)。そのためには、まず、事業認定が必要(法16条)。そして、収用裁決の申請は、事業認定の告示(法26条1項)の日から1年以内にする必要がある(法39条1項)。申請内容が告示された事業内容と異なる等の事情がない限り、収用裁決がされる(法47条、47条の2第1項)。よって、事業認定は、権利取得裁決の不可欠の前提である。よって、…と言え、①を充足する。Q:説明会(法15条の14)、事業認定理由の告示(法26条1項)、企業地表示書面の縦覧(法26条の2第2項)、補償等の周知措置(法28条の2)があり、手続保障は十分である以上、また実際取消訴訟を他に提起している者がいる以上、②の要件を充足しないのでは?A:前後するが、②については、他の事実関係ではなく、法的制度の内容に基づき判断すべきである。また、事業認定段階では具体的不利益がない以上、権利取得裁決の段階で訴訟提起する判断は合理的であり、それを待つ必要がある点で手続保障は十分ではなく(●認識:ということ、だろう。)、②を充足する。
●注意:先行処分が無効ではないことが必要。先行行為が処分ではない場合、違法性の主張は当然可。調査⇒勧告と続く場合、調査に違法があれば、勧告も違法となる。
●参考:刑訴は先が後に影響。●検討:ここでは、主張可、という点のみか。
●補足:先行行為に処分性がなければ、そもそも問題とならず。処分性を認定し、その後に書くパターンが多いだろう。●検討
通達
●定義:上級行政機関から、下級行政機関に対する命令(内部関係)
●注意:原告適格との関係(法規ではないため、直接の根拠とはならないが、参酌・考慮できる。)
●注意:通達に基づく処分(具体例:訴えの利益、理由提示の程度(処分基準))
●違法な通達を作成・発出した行為の違法性(最判(●確認)H.19.11.1)
●通達に基づく処分(下級審判例1件のみ):違法(国家賠償法1条)とした最高裁判例あり。
行政権を主体とする工事続行禁止の仮処分
●問題:条例上の義務と民事手続による執行
●定義:法律上の争訟
●原則:法規の適用・一般公益の確保のため、国・地方公共団体が専ら行政権の主体として、国民に対し行政上の義務の履行を求める手続きは、自らの権利・利益確保のためではないため、あたらない。
●展開:法律に特別の規定がある場合に限り、認められる。
●判例:最高裁平成14年7月9日第三小法廷判決
●判例:行政上の強制徴収が認められている以上、民事手続による執行は認められない。公共性の強い…権能行使の適正を欠く。(最高裁昭和41年2月23日大法廷判決)
協定(例:公害防止協定)
●問題:法的性質(現在は、契約説v.s.紳士協定説ではなく。個別的・具体的に検討する。)
●要件:①任意に、②具体的義務を定め、③それが強行法規に反しない場合には、●補足:福間町公害防止協定事件(最判平成21年7月10日)でも③につき検討・判示している。
●効果:行政契約として有効と解される。
●参考:行政指導等と考えると、法律上の争訟にあたらない、との結論になる。
●参考:行政協定は行政主体間・私人間もありえる。
信義則(税法)
●問題:法律による行政の原理(特に租税法律主義)と信義則
●前提:法の一般原則として、適用されうる。●理解:現在結論に争いなく軽くで良い。
●理由:しかし、(法律による行政の原理)租税法律主義(憲法84条)の原則の下、その適用は慎重にすべきである。
●要件:納税者間の平等を犠牲にしても、なお納税者の信頼を確保しなければ、正義に反する特別の事情がある場合に限る。
●展開:特別の事情の検討に際しては、納税者の被る不利益の他、①税務官庁の公的見解、②納税者の信頼、③その帰責性の有無、について検討が必要。
●判例:青色申告事件(最高裁昭和62年10月30日第三小法廷判決)
●留意点:信義則等については、どの行政分野の話かを意識する(具体例:租税)。
信義則(企業誘致)
●問題:住民自治の原則と信義則
●原則:地方公共団体は、継続的施策の決議をしても、原則として変更は許される。
●理由:しかし、①当該施策につき特定の者に特定の活動を促す勧誘があり、②(重要)その活動が、当該施策の長期継続を前提として、初めて投下資本に相応する効果を生じうる場合には、
●結論:当該施策の維持への信頼は、信義則(民法1条2項)上、保護されうる。
●要件:そこで、③社会通念上重大な積極的損害を被る場合、④代償的措置なく政策を変更することは、⑤やむを得ない客観的事情がない限り、
●結論:当事者間の信頼関係を破壊し、信義則(民法1条2項)違反となる。
●判例:宣野座村工場誘致事件(最高裁昭和56年1月27日第三小法廷判決)
●留意点:国賠の枠組みではなく、信義則違反(民法1条2項)で良い。
附款
●結論:法律上の根拠がある場合、その範囲内であれば、付することが可能。
●結論:法律上の根拠がない場合、行政裁量の問題
●展開:処分と密接不可分である場合は処分を、そうでない場合に限り独立して、取消訴訟可。
●展開:密接不可分か否かは、当該附款がなければ本体処分がされなかったか否かによる。
●補足:本体処分が規則処分の場合、要件充足していれば処分すべきであり、密接不可分とは言えない。負担については、その違反が本体処分の違反に直結しない。●認識:原則として不可分一体性が否定される。
●補足:附款の種類:①条件、②期限、③負担(注意:不履行が直ちに処分失効とはならず。)、④撤回権の留保 等
行政裁量(行訴法30条)
●前提:「羈束行為」(判断余地なく即違法となる。裁判所も全面審査する。)とは異なる。●認識:「羈束」「裁量」という言葉はない?
●結論:①権限の根拠規定を確認、②裁量の有無認定、③逸脱・濫用の有無(裁判所は全面的ではなく、この点に限って)検討
●注意:要件裁量(手続を踏むか否かの裁量がある場合も)・(要件充足を前提とする)効果裁量を分ける(相対的ではあるが。)。●注意:特に事例の中の言い分が複数ある場合、個別に裁量を検討・認定し、個別に逸脱・濫用を検討・認定する。
●視点:裁量の有無(cf.時・手続も)
①処分の性質(実質論)
・授益的か、侵害的か。・特許(広くなる。具体例:実質的に見てギャンブル(本来賭博)施設の設置許可は特許。)か、確認(狭くなる)か。(cf.行政行為の分類)
・専門的・技術的判断を要するか(具体例:「多角的見地から」「様々な事情を考慮」(都市計画等)、「科学的見地から」等。個別法の条文を適示しながら。)
・政治的・政策的判断を要するか(行政が長けている。)●補足:要件充足するも、処分をしたら業者が減って市民が困る、等の話も。
・現場・実態をよく知る者か(例:公務員の懲戒系)
②法規の文言(形式論)(●検討:効果から判断が多い。)
・不確定概念(要件裁量)
・複数選択肢、「できる」文言(効果裁量)
③侵害される権利・利益の性質重大性も考慮(●確認:平成30年問題)
●視点:逸脱・濫用の有無
・前提:裁量が認められる場合でも
・要件:「社会通念に照らし著しく妥当性を欠き、裁量権の逸脱・濫用として違法となる(行訴法30条参照)」●理解:これで良い。
・観点(明示する):法の趣旨・目的(ここから事実の重み付け)、事実誤認、平等原則違反、比例原則違反、信義則(民法1条2項)違反
(※)上記は社会観念審査⇔判断過程審査(「著しく」を問わないため、審査密度が濃くなる。):判断基準自体の不合理、他事考慮・過大考慮、考慮不尽・過小考慮
・あてはめ
●視点:軽い処分が出せるなら、まずは軽い処分から。
●注意:同じ事実を要件裁量でも、効果裁量でも、どちらでも使って良い。複数の違反基準(例:比例、平等等)で使用しても良い。
(裁量処分の取消し)
第三十条 行政庁の裁量処分については、裁量権の範囲をこえ又はその濫用があつた場合に限り、裁判所は、その処分を取り消すことができる。
裁量基準(処分基準・審査基準)
●前提:(本件要綱は●法等の法令の委任に基づく法規ではなく、)行政規則たる審査基準(行手法5条)である、と認定(cf.原告適格の判断においても参酌するのみ(判例))。●注意:あくまで「裁量」の話。それゆえ(要件曖昧等の理由により)「基準」設定が必要。
●問題:基準の内容は、法令の趣旨に照らし、合理的か(平等原則違反がないか。比例原則違反がないか。)
●あ:…
●問題:その基準と異なる取扱いは許されるか。
●理由:公正・平等な取扱い(憲法14条)、及び相手方の信頼保護(民法1条2項)のため
●結論:異なる取扱いが相当である特段の事情がない限り(行政の自己拘束力)、裁量権の逸脱・濫用(平等原則・信義則違反)●注意:要綱の考慮要素の不考慮だけではなく。
●判例(最判平成27年3月3日③):上記同様の理由・結論の後、このような意味において裁量は羈束されており、「取消しによって回復すべき法律上の利益を有するものと解するのが相当」●認識:原則通り適用の前提で。
●問題:(許されるが、異なる取扱いをしない場合)その一律適用は、裁量を認めた法令の趣旨に照らし、合理的か(個別事情考慮義務違反がないか)。●例:比例原則違反では?
●あ:…
●補足:裁量基準が想定しない事情があることが前提となる。●認識:想定しているなら、適用すべきなので。
行手法
(適用除外)
第三条 次に掲げる処分及び行政指導については、次章から第四章の二までの規定は、適用しない。
1(略)
2(略)
3 第一項各号及び前項各号に掲げるもののほか、地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)及び行政指導、地方公共団体の機関に対する届出(前条第七号の通知の根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)並びに地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、次章から第六章までの規定は、適用しない。
●処理(地方公共団体の機関による処分):
・根拠規定(条例・規則以外(法律等))⇒行手法の適用なし(行手法3条3項)●注意:同様の行政手続条例が存在する場合はある。
・根拠規定(条例・規則)⇒行手法の適用あり(行手法3条3項)
●注意:「行政指導」(なお「命令等を定める行為」も)については、「処分」・「届出」同様の括弧書きがないため、根拠規定の種別に関わらず、行手法の適用はない。
●前提:手続違反があるか?⇒重大か?(重大な場合のみ取消事由)●補足:同じ内容の処分がされるなら取消の実益なし。ゆえ重大性を問う意味がある。但し、理由の提示については、同じ内容の処分可能性に関わらず。
●観点:行手法1条の目的に照らし、同法上の手続違反は、特段の事情がない限り、処分の取消事由
●参考:個別法規定の手続もときに問題となる。
処分
●処理:本件処分の概要→「申請に対する処分」(行手法2条3号参照)該当性判断→審査基準(行手法2条8号ロ)の設定・公表(行手法5条)、理由の提示(行手法8条1項)等
●処理:本件処分の概要→「不利益処分」(行手法2条4号柱書)該当性判断→審査基準(行手法2条8号ハ)の設定・公表は努力義務(行手法12条1項)、聴聞(行手法13条1項1号)・弁明の機会の付与(同2号)●理解:申請に対する処分との最大の違い、理由の提示(行手法14条1項)等 ●補足:緊急の場合等、例外的に意見陳述の機会ない場合あり(行手法13条2項)
●参考:S60判例、H23判例(処分基準とは等)
●注意:行手法2条のあてはめは最初に経由する。
●補足:申請に対する拒否処分が不利益処分ではない点、明文あり(行手法2条4号ロ)。
(理由の提示)
第八条 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。
2 前項本文に規定する処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければならない。
(不利益処分をしようとする場合の手続)
第十三条 行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、次の各号の区分に従い、この章の定めるところにより、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、当該各号に定める意見陳述のための手続を執らなければならない。
一 次のいずれかに該当するとき 聴聞
イ 許認可等を取り消す不利益処分をしようとするとき。
ロ イに規定するもののほか、名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不利益処分をしようとするとき。
ハ 名あて人が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる不利益処分、名あて人の業務に従事する者の解任を命ずる不利益処分又は名あて人の会員である者の除名を命ずる不利益処分をしようとするとき。ニ イからハまでに掲げる場合以外の場合であって行政庁が相当と認めるとき。
二 前号イからニまでのいずれにも該当しないとき 弁明の機会の付与
2(略)
(不利益処分の理由の提示)
第十四条 行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。 2 行政庁は、前項ただし書の場合においては、当該名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に、同項の理由を示さなければならない。 3 不利益処分を書面でするときは、前二項の理由は、書面により示さなければならない。
理由の提示(行手法8条・14条)
●問題:「理由」の意義
●趣旨:①恣意抑制機能、②争訟便宜機能
●要件:①いかなる事実関係に基づき、②いかなる法規を適用した結果か、③記載自体から了知しうるもの。●補足:③につき聴聞等で補充されれば良い、との反対説もあるが。●私見:記載重視(証拠)⇔聴聞の議事録があれば良いか?
●発展:処分基準を「法規」に含めるか否か(昭和60判例)
●判例(最判平成23年6月7日):理由の提示の程度は、「当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決すべきである」
●観点:①法規が曖昧なら基準が重要、②法規が具体的なら基準を示す(●私見:そもそも設定・公表・実際使用も)必要性が高い、③不利益の大きさも問題。処分基準がある場合は常に示せ、ではない。事案毎に。
●判例(最判平成23年6月7日):「本件処分基準は、意見公募の手続を経るなど適正を担保すべき手厚い手続きを経た上で公にされており、しかも、その内容は…多様な事例に対応すべくかなり複雑なもの」(よって処分基準の適用関係も示すことが必要)とした。
●方針:処分基準については、趣旨に立ち返り書けば良い。法規ではないものの、(複雑性等に照らし)「処分基準の適用関係を示さなければ、上記趣旨達成が不十分となる。」等と書こうか。
●参考:上記判例の反対意見は、不利益処分の処分基準は設定・公表が努力義務に過ぎず。柔軟な処理のため処分基準を示さないことも可とするが。設定・公表した以上は、と反論可能。
理由の追加・差替え(頻出)
●問題:訴訟物外では?(処分時の理由を取消訴訟時に)
●原則:訴訟物は処分の違法性一般(行訴法10条)であることから、可能。
●理由:①紛争の一回的解決(必要性)、②14条の趣旨に反する(聴聞手続を経ないこととなり、争訟・反論にされされていないこととなるため。)
●要件:処分の同一性を害すれば、
●結論:不可(行手法14条違反(大多数))。
●方針:事案毎に上記2点のバランスを検討(cf.民訴)
●参考:行手法13条違反という考え方もありえる(追加理由との関係で)。
●展開:(追加・差替えではなく)追完(理由なしだった)は不可。
行政指導の限界
●具体例:「指導、勧告、助言」等(行手法2条6号)。
●前提:①行手法適用除外(行手法3条3項)、②標準処理期間(行手法6条)は内部的な事務処理基準に過ぎない。
●問題:建築確認処分留保の違法性(国賠)
●理由:行政指導は(非権力的・事実的行為であり)任意の協力が原則(行手法32条2項参照)
●要件:そこで、①行政指導への不服従を真摯かつ明確に表明(行手法33条参照)、②その不服従が社会通念上正義の観念に反するといえる特段の事情がない限り、
●効果:違法
●注意:真摯と明確とを峻別する。真摯は、①行政指導に対応している状況において、②必要に迫られて取ったこと。
●補足:特段の事情は、行政指導の目的たる公益と申請者の不利益との比較衡量(「…という事情(公益)はあるが、…という不利益が大きく」等と公益を先行させると書き易い。)
●注意(非常に大切):処分の留保が違法(行政指導事態ではない。)→国賠法の問題
●補足:行手法33条・不作為の違法確認の訴え(行訴法3条5項)等、争い方は様々。適宜判断する。
●展開:行政指導自体について争う場合(行手法33条により)、不利益v.s.公益の点については、「権利の行使」(行手法33条)の相当性として検討する。
●展開:不作為の違法確認訴訟(行訴法3条5項)は、国賠訴訟(品川)の違法とは別ものとする裁判例(仙台地判平成10年1月27日)あり。前者は、違法な不作為を解消する中間的解決のため。その性質上、迅速な解決が必要。「相当の期間」(行訴法3条5項)の判断に際しては、容易に判断可能な事項に限られる、と。評価は分れており、特段の事情として、品川区マンション事件同様、事前協議に要する時間をも考慮すべき(行政側の正当化要素として)という考え方もある。●方針:後者でOK
●判例:品川区マンション事件(最判昭和60年7月16日)行手法33条制定の契機
行政代執行法
第一条 行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。
第二条 法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。)により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為(他人が代つてなすことのできる行為に限る。)について義務者がこれを履行しない場合、他の手段によつてその履行を確保することが困難であり、かつその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができる。
第三条 前条の規定による処分(代執行)をなすには、相当の履行期限を定め、その期限までに履行がなされないときは、代執行をなすべき旨を、予め文書で戒告しなければならない。
② 義務者が、前項の戒告を受けて、指定の期限までにその義務を履行しないときは、当該行政庁は、代執行令書をもつて、代執行をなすべき時期、代執行のために派遣する執行責任者の氏名及び代執行に要する費用の概算による見積額を義務者に通知する。
③ 非常の場合又は危険切迫の場合において、当該行為の急速な実施について緊急の必要があり、前二項に規定する手続をとる暇がないときは、その手続を経ないで代執行をすることができる。
第四条 代執行のために現場に派遣される執行責任者は、その者が執行責任者たる本人であることを示すべき証票を携帯し、要求があるときは、何時でもこれを呈示しなければならない。
第五条 代執行に要した費用の徴収については、実際に要した費用の額及びその納期日を定め、義務者に対し、文書をもつてその納付を命じなければならない。
第六条 代執行に要した費用は、国税滞納処分の例により、これを徴収することができる。
② 代執行に要した費用については、行政庁は、国税及び地方税に次ぐ順位の先取特権を有する。
③ 代執行に要した費用を徴収したときは、その徴収金は、事務費の所属に従い、国庫又は地方公共団体の経済の収入となる。
行政代執行法
●定義:2条
●注意:終了すると訴えの利益が認められなくなる。そこで、前提となる戒告・通知段階で争う必要性がある。
●参考:「法律の委任に基く…条例」(行政代執行法2条括弧書き)の「委任」は、地方自治法14条1項による一般的な委任で足りる(委任条例ではなく、自主条例でも足りる。)と解される。よって、自主条例に基づく代執行も可能。
●参考:予め義務を課さない即時強制は、条例により規定を置くことが可能と解されている(行政代執行法1条参照)。
行訴法8条
(処分の取消しの訴えと審査請求との関係)
第八条 処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。
2 前項ただし書の場合においても、次の各号の一に該当するときは、裁決を経ないで、処分の取消しの訴えを提起することができる。
一 審査請求があつた日から三箇月を経過しても裁決がないとき。
二 処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき。
三 その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき。
3 第一項本文の場合において、当該処分につき審査請求がされているときは、裁判所は、その審査請求に対する裁決があるまで(審査請求があつた日から三箇月を経過しても裁決がないときは、その期間を経過するまで)、訴訟手続を中止することができる。
行政事件訴訟法
(この法律に定めがない事項)
第七条 行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、民事訴訟の例による。
公定力
●定義:違法な行政行為であっても、無効な場合を除き、正当な権限を有する機関によ取り消されるまでは、その効力を否定されない。
●理由:①行政上の法律関係の安定(実質論)、②取消訴訟の排他的管轄(行訴法3条2項・2項、8条以下)(形式論)
●参考:租税と国賠→可●検討
取消訴訟
取消訴訟の訴訟要件
●要件
・処分性(行訴法3条2項)
・原告適格(9条1項)
・(狭義の)訴えの利益(9条1項)●認識:9条1項括弧書きに該当する場合には「9条1項括弧書き」と。その他は、単に「9条1項」で良い。
・被告適格(11条)
・管轄(12条)●理解:重要性LOW
・出訴期間(14条)
・不服申立前置(8条1項ただし書)
●参考:訴訟物(及び本案勝訴要件(明文なし))は、処分の違法性(処分時)(判例・通説)。それについて司法が事後審査する。
(抗告訴訟)
第三条 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
2 この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
3 この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求その他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
4~7(略)
「行政庁の処分」(行訴法3条2項)
●注意:条文まで必ず書く。
●定義:①公権力の主体たる国又は公共団体の行為のうち、②直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているもの。
●展開:それに③実効的な権利救済(紛争の成熟性)の観点も加味して判断する。●補足:建築ではなく、転売するので、後続行為がない場合も(現時点で成熟)。●肯定否定両方ある。いずれにしても現在はMUST。●補足:行政指導であっても、③も加味した上で処分性(広義)は認められうる(病院開設中止勧告事件)。
●補足:①のポイントは、一方的か否か。
●注意:例えば、公表の処分性について、「公表されると〇〇銀行から取引停止処分を受ける」等との記載は不適切。一般的な効果に引き直して、論述しなければならない。
●考慮要素(例):
①
・(一方的か否か):国税・地方税の滞納処分(自力執行力あり)に関する規定の準用。
②
・問題の行為と対概念にあたる行為が処分である。
・根拠法規上、各種手続き(意見陳述・不服申立等)が認められている(「処分」(行審法1条2項)=「処分」(行訴法3条2項)なので。)。⇔反論:単なる情報収集(裁判例の傾向)
・行手法の真正に対する処分・不利益処分に関する定めが適用除外(行手法2章・3章は処分であることを前提としているので。)●理解:両方向ありえる。
・罰則等
・行訴法を適用すべきか。例:出訴期間制限(行訴法14条1項)を適用し早期に安定させるべき法律関係か。第三者効(行訴法32条1項)が必要か。
●補足:公表は、信用棄損等の損害を生じさせる法的効果あり。制裁。⇔反論:単なる情報提供・事実行為。制裁ではない。(裁判例の傾向)。
③
・実効的な早期の権利救済が可能か。他の手段(実質的当事者訴訟(行訴法4条後段)等)により。或いは、他の行為を捉えることにより。なお、公表が「できる」ではなく「する」の場合はリスク高いため肯定方向。●補足:公表は一旦されると回復困難ゆえ差止めが必要、という視点も。
(●参考:通知の場合、後の処分における訴訟で違法性を争うことは難しい。処分自体とは関係ないので。●私見:そのような議論の必要性はない。誰もその段階で通知など争わないはず。許容性を言う前に、そもそも必要性がない。)
③判例
・土地区画整理事業計画(最高裁平成20年9月10日大法廷判決):肯定。「換地処分等がされた段階…事業全体に著しい混乱…事情判決(行訴法31条1項)がされる可能性…権利侵害に対する救済が十分果たされるとはいい難い」●青写真判決(後続行為論・争訟未成熟論)(最大判昭和41年2月23日)を変更。●認識:「最後の機会」的な理由
・用途地域の指定(最高裁昭和57年4月22日第一小法廷判決):否定。「あたかも新たに…制約を課する法令が制定された場合におけると同様」●認識:批判が強い(建築確認申請の拒否処分で争うことは迂遠な形式論として)。
・市街化調整区域における都市計画法上の開発許可に係る同意(最高裁平成7年3月23日第一小法廷判決):全く決定的ではないが、「同意」との文言は、否定的要素ではある。
●前提:用途地域:都市計画法に基づき、市町村が定めるもの。その種類ごとに各用途の建築物の建築可否が列挙されている(建築基準法別表第二)。
●確認:公権力性・外部性・直接性(●認識:法令等ではないか?、ということ)・法効果性・成熟性で整理。●認識:ポイントは法効果性と成熟性。
処分性(法効果性についての3類型)
●類型:1.病院開設中止勧告型、2.条例制定行為型、3.申請権型
1.病院開設中止勧告型(例:戒告も。cf.国民皆保険)
①対象となる行為の効果(スタートライン)
②その後に備える行為の効果
③①及び②の関係(「相当程度の確実さ」をもって保険医療機関としての指定を受けられなくなる。国民皆保険制度の下、実際上病院の開設自体を断念せざるを得ない。等。①で足りるなら不要。行政計画は①+②的。①だけでは不特定者への制限に過ぎないか否か。①の後に②に行く必然性があるか否か等を確認。)
④紛争の成熟性(例:人・物を準備してからでは遅い等。)。後の争い方を具体的に書く(勝敗自体は直接的には無関係。)。
●参考:土地区画整理事業の事業計画の決定(処分性あり。最判H20.9.10)は、都市計画決定と基づく都市計画事業認可(土地収用されるべき地位につながる)においては、後者に相当する。後者の段階で争わせれば足りる。●認識
●認識:②の行為自体がそもそも存在しない場合もある。輸入禁制品該当性通知事件(最高裁昭和59年12月12日大法廷判決)。それは3類型ですらない典型なのだが、それを明確に分析・判示した判例と認識。なお、「簡易迅速に還付を受ける…手続を利用することができなくなる」だけでも①に該当(最高裁平成17年4月14日第一小法廷判決)。
2.条例制定行為型(例:入所し保育を受ける期待をしうる地位を剥奪される。)
●前提:その行為のみに着目すれば足りる(cf.上記1③)●「本件改正条例は、本件各保育所の廃止のみを内容とするもの」(判例)
●原則:効果が一般的(対象明示なし(不特定))・抽象的(具体的デメリットなし)であるため、法規範に処分性なし。
●要件:しかし、(●認識:行為の目的も考慮して良い。)効果が個別的・具体的である場合、
●例外:処分性が認められる(通常の処分性の話として論じれば必要十分。)。
●展開:当事者訴訟・民事訴訟において敗訴しても、第三者効(行訴法32条)がないため、保育所の存続の是非につき行政庁は対応困難。取消訴訟による合理性あり。
●判例:最高裁平成21年11月26日第一小法廷判決
●補足:傾向として、保育所(選択権あり)・小学校(選択権なし)。
●参考:ある団体が、①行政機関、かつ②下級行政機関である場合、原則として、その内部的行為に処分性は認められない。●認識:外部性の話。条例制定型の話は法効果性の話。
3.申請権型
●事例:個人情報の一元管理等のため、原則として出生届→戸籍→住民基本台帳→住民票への記載(例外たる職権記載は限定的。)。出生届の提出・受理なし。住民票作成の申出を拒否する応答をした。
●問題:処分性
●理由:出生の場合、出生届を基に住民票に記載されることから(法8条、令12条。●確認)、申出に対する応答義務(法令上の申請権)はなく、職権発動(法14条2項)を促す事実行為に過ぎない。●確認:cf.⇔転入届(住基法22条)
●展開:もっとも、当該記載方法が「社会通念に照らし著しく困難であり又は相当性を欠くなどの特段の事情がある」場合には、職権調査による住民票記載義務が生じうる。
●あ:申請権に基づくものではなく、処分性なし(非申請型義務付け訴訟へ)。特段の事情(「やむを得ない合理的な理由」・「看過し難い不利益」)もない。
●補足:侵害される明確な権利(例:選挙権)が存在する場合、それを適示する。
●判例(最判平成21年4月17日②)
●発展:1・2のMix型もあり(例:平成20年都市計画青写真)。
2項道路の一括指定(建築基準法42条2項)
●問題:建築基準法42条2項の道路指定(一括指定)は「行政処分」か。
●定義:略
●理由:「…等の具体的な私権の制限を受けることになるのであるから」
●結論:一括指定による2項道路の指定も、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる」
●判例:最高裁平成14年1月17日第一小法廷判決
(原告適格)
第九条 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。
2 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。
「法律上の利益を有する者」(行訴法9条1項「本文」●確認)
●定義:①当該処分により、自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者
●基準:②法律上保護された利益といえるか否かは、当該処分を定めた行政法規が、不特定多数社の具体的利益を専ら一般的公益に吸収解消させるにとどめず、③それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護する趣旨を含むと解されるか否かによって判断する。
●展開:そして、…は、本件…処分の相手方以外の者であるため、同条2項により検討をする。
●補足:2項の構造(①文言、②「趣旨及び目的」を「考慮」するに際して「参酌」し、③「内容及び性質」を「考慮」するに際して「勘案」する。②③は間接的。)
原告適格(処理手順)
●前提:訴訟要件なので、抽象的保護範囲を確定すれば足りる。実際に害されるかについて、具体的結論を出してはいけない(それは本案の問題。)。
1.どの利益を問題とするか?●認識:不利益要件
2.行政法規の趣旨・目的(保護されるか?)●認識:保護範囲要件
・根拠法規(「法●条●項」等と適示)、関係法令(行訴法9条2項後段)認定(なぜ関係法令かも明示)●認識:地元調整等(法律に規定なし)を求める通達上の利益は、原告適格を基礎付けない。●認識:いわゆる迷惑施設の騒音(住民レベル)と事業目的遂行上の支障(団体レベル)とは異なる。一緒くたにしない。●理解:手続参加、指示権限等の実効性確保措置等
・具体例:「法1条は、法全体の解釈の方向性を示すことから」、「●法は、(法により引用されており)要件を定めることから」等
・注意:委任命令は関係法令ではない(根拠法律と一体となっているもの)。法律が条例による上乗せ規制を認めている場合等は関連法令。●検討:横出しも?●検討:要件効果の具体化法令なら一体?●法律に「…しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。」とし、それを受けて当該許可の手続・要件等を定めた条例は、委任条例ではない(司法平成30年)。●認識:委任はしていない。そもそもが知事の権限。
・視点:目的規定、各条文の具体性(帰属主体の明確化・(主観的価値ではない)客観的(文化的・歴史的)価値、客観的要素・条件等)、手続参加、申請書類(第三者につき記載)、条件(附款)(第三者について)
・認識:法に基づく計画等があれば、それも考慮して良いだろう。検討する。
→根拠法令の趣旨目的に照らし保護されているなら。【争点①】「公益に過ぎず」
●「以上の法規内容に照らし、法●条(根拠法規)は、●の●な…を具体的利益として保護する趣旨を含むと解される。」
3.利益の内容・性質・害される態様・程度●認識:個別保護要件(理由)
●「そして、かかる利益は、(下記考慮要素に言及)…ほど…である。」
①権利・利益の重大性(例:生命・身体の安全、不動産)【争点②】「重大ではない」「事実上の利益」
②侵害の反復・継続
③要因との近接性
④回復困難
4.「重大な支障が生じる場合には」【争点③】●認識:個別保護要件(結論)
よって、法●条(根拠法規)は、●について直接的かつ重大な被害を受ける者について、かかる利益を個別的に保護する趣旨を含むと解される。よって、かかる者は、「法律上の利益を有する者」にあたる。(個別的・具体的な利益(●規範。最後はこれで締める。)を保護する)
●補足:公益目的があるから、個別的利益保護目的がないとは限らない。後者が重大・回復困難等の場合、そちらを重視すればOK。当然ながら。
⇒あてはめ
●判例:小田急事件(最判平成17年12月7日(大))
(なお、小田急事件(最判平成18年11月2日①)は、都市計画と裁量審査に関する判断をした。)
(原告適格)
第九条 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。
2 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。
(狭義の)訴えの利益(行訴法9条1項(括弧書き))
●事案:処分完了、期日到来、ぐらい。
●問題:訴えの利益(行訴法9条1項)・「回復すべき法律上の利益」(行訴法9条1項括弧書き)
●結論:当該処分を取り消す実際上の必要性
●理由:権利・利益の保護に実益ない訴訟を回避
●要件:①処分が取消訴訟により除去すべき法的効果を有しているか(必要性)、②処分の取消しにより回復される法的利益が存在するか(可能性)
●判例(最高裁平成27年3月3日第三小法廷判決):特段の事情がない限り、(行政規則であり、法規(命令)ではないが)当該処分基準により、量定の加重がされる(しなければ裁量権の逸脱・濫用)。公表されると、基づく公平な処分について予測・期待が生じる(行政規則の外部化)。法規命令に近づくゆえ、信頼保護・平等原則との関係が問題となる。
●私見:行訴法9条1項括弧書きは、処分の主たる効果消滅後も付随的な影響が残存している場合
競願関係
●前提:競願関係の認定
●問題:予備免許拒否処分の取消しを求める異議申し立てに対する棄却決定の取消し(訴えの利益)
●理由:競願関係においては、拒否処分と他の競願者に対する免許付与とは「表裏の関係」(Key Word)にある。拒否処分が取消されると、再審査の結果次第で免許付与ありうる。
●結論:よって、訴えの利益あり。
●問題:他の競願者(従前から免許あり)に対する予備免許期間満了(訴えの利益)
●理由:予備免許期間満了後の更新は、形式は再免許ではあるが、実質的には免許期間の更新にすぎない。
●結論:よって、訴えの利益あり。●認識:「再免許」(電波法13条1項ただし書)の解釈問題(免許期間が短期間、再免許は簡易。ゆえ条件改定のみ。)であり、あまり。
●確認:競業者(例:公衆浴場、一般廃棄物収集運搬業等)については、2項だろう(文言上、競願関係とは区別されるはず。)。
●判例(東京12チャンネル事件(最判昭和43年12月24日③)):争い方として、他方への予備免許処分の取消し(当事者適格の問題(※))もある。本件では、当初訴求するも、後に取り下げた模様。ゆえ争点にならず。判例の論理からは、どちらでも良い。むしろ後者が直截的ともいえる。●注意(※):行訴法9条1項の問題(Key word「表裏の関係」)。2項ではない。
●補足:裁量の有無・限定→先着順(判例。条文の反対解釈)。●確認:上記判旨(「ありうる」)と矛盾するのでは?●方針:問題次第でOK
建築確認(建築基準法6条)
●問題:建物が完成した場合
●理由:それを受けなければ工事をすることができないという法的効果のみ。かつ(●理解:以下判例)①建築確認の存在は検査済証の交付許否や違反是正命令発付の法的障害にはならない。②建築確認の取消しによっても、検査済証の交付許否や違反是正命令をすべき法的拘束力は生じない。
(●検討:「①検査済み証は建築確認が存在しなくとも交付される(建築基準法7条5項)、②建築確認の取消しがされても、行政裁量により必ずしも措置命令(建築基準法9条1項)は発動されない。」)
●結論:訴えの利益は認められない。
●展開:よって、…の取消訴訟の訴えは却下され、…なので時間的余裕がなく、「緊急の必要」がある。等と執行停止等の必要性につながる場合がある。●認識:差止めも。
●補足:原則として、裁量の余地はなく(●記憶)、確認行為は速やかに。例外として、①相手方の同意がある場合、及び②留保が法の趣旨・目的に照らし社会通念上合理的である場合。⇒品川へ。
●判例:最高裁昭和59年10月26日第二小法廷判決
土地改良事業
●前提:土地改良法上、土地改良事業の施行認可処分⇒換地処分等の一連の手続・処分
●基準:①先行処分の取消しにより、後行処分の効力に影響するか(一連の手続の前提を欠くなら影響する)⇒②不可能か。
●判例:最高裁平成4年1月24日第二小法廷判決:上記②については、「行政事件訴訟法31条の適用に関して考慮されるべき事柄」とした(法律上の利益は肯定)。
(取消しの理由の制限)
第十条 取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない。
2 処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない。
原処分主義(行訴法10条2項)
●事例:処分(停職6か月)・裁決(減給10%6か月)両方の取消訴訟を併合提起。後者は第一審で棄却・確定。前者は1審・2審ともに却下。その理由は、処分が修正裁決により消滅したため、とされた。
●問題:修正裁決の法的性質。●検討:10条2項の解釈ではない?
●趣旨:行訴法10条2項(趣旨:審理の重複や判決の抵触等の問題回避)●注意:訴訟要件ではなく、主張制限(通説・実務)。
●理由:修正裁決は、原処分の存在を前提とした上で、原処分の効果・内容を一定の限度で変更する効果を生じさせるに過ぎず、原処分は当初から修正裁決による修正通りの法的効果を伴う処分として存在していたとみなされる。●補足:処分が消滅し、新たな処分がされたと解するのではなく。ということ。
●結論:取消の訴えの利益は失われない。
●判例:「裁判所はこれと異なる判断をすることができない。」⇒裁決を取り消すことは無意味。
●理解(●検討):裁決の取消しのみが認められ、修正前or修正後の二者択一となるのではなく、そもそも処分の存在自体を消滅させる必要がある。
●補足:個別法が裁決主義を採用していれば別論。
●具体例(出入国管理及び難民認定法):強制退去手続の①入国審査官の認定、②特別審理官の判定、③地方入国管理局長の裁決、④主任審査官の退去強制令書発付、⑤執行(収容・送還)の流れにおいて、(従来の裁判例・実務同様、①が一般的な「処分」、そして②が一般的な「裁決」と考えた上で)法律上短期間・迅速に処理される①②③を一体として捉えれば、③の裁決についての取消訴訟を提起。それに対し、原処分主義の原則(行訴法10条2項)を重視すれば、①についての取消訴訟を提起。
主張制限(行訴法10条1項)
●問題:本案審理段階の問題(「自己の法律上の利益に関係のない違法」(行訴法10条1項))cf.行訴法9条1項
●趣旨:原告の法律上の利益を保護するという取消訴訟の目的(主観訴訟)
●結論:原告適格を基礎付ける法規以外の違反に過ぎない場合
●方針:原告適格が認められる条文を探し、それ以外の違法を主張しているかを見ればOK。
●補足:帰結は請求棄却。なお、処分の名宛人の場合、問題なし(公益違反主張も可)。
●認識:騒音被害から保護される法律上の利益(原告適格)が認められたからと言って、それと直接関係のない事項の違法主張は不可。あまり。
不服申立前置(行訴法8条1項ただし書)
●性質:例外
●原則:自由選択主義(行訴法8条1項本文)
被告適格(行訴法11条(特に1項(・2項))
(被告適格等)
第十一条 処分又は裁決をした行政庁(処分又は裁決があつた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁。以下同じ。)が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、次の各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める者を被告として提起しなければならない。
一 処分の取消しの訴え 当該処分をした行政庁の所属する国又は公共団体
二 裁決の取消しの訴え 当該裁決をした行政庁の所属する国又は公共団体
2 処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属しない場合には、取消訴訟は、当該行政庁を被告として提起しなければならない。
3 前二項の規定により被告とすべき国若しくは公共団体又は行政庁がない場合には、取消訴訟は、当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体を被告として提起しなければならない。
4 第一項又は前項の規定により国又は公共団体を被告として取消訴訟を提起する場合には、訴状には、民事訴訟の例により記載すべき事項のほか、次の各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める行政庁を記載するものとする。
一 処分の取消しの訴え 当該処分をした行政庁
二 裁決の取消しの訴え 当該裁決をした行政庁
5 第一項又は第三項の規定により国又は公共団体を被告として取消訴訟が提起された場合には、被告は、遅滞なく、裁判所に対し、前項各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める行政庁を明らかにしなければならない。
6 処分又は裁決をした行政庁は、当該処分又は裁決に係る第一項の規定による国又は公共団体を被告とする訴訟について、裁判上の一切の行為をする権限を有する。
●条文:「国又は公共団体」(行訴法11条1項1号・2号)
●注意:「行政庁」ではない。
管轄(行訴法12条)
(管轄)
第十二条 取消訴訟は、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所又は処分若しくは裁決をした行政庁の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する。
2 土地の収用、鉱業権の設定その他不動産又は特定の場所に係る処分又は裁決についての取消訴訟は、その不動産又は場所の所在地の裁判所にも、提起することができる。
3 取消訴訟は、当該処分又は裁決に関し事案の処理に当たつた下級行政機関の所在地の裁判所にも、提起することができる。
4 国又は独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人若しくは別表に掲げる法人を被告とする取消訴訟は、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所(次項において「特定管轄裁判所」という。)にも、提起することができる。
5 前項の規定により特定管轄裁判所に同項の取消訴訟が提起された場合であつて、他の裁判所に事実上及び法律上同一の原因に基づいてされた処分又は裁決に係る抗告訴訟が係属している場合においては、当該特定管轄裁判所は、当事者の住所又は所在地、尋問を受けるべき証人の住所、争点又は証拠の共通性その他の事情を考慮して、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部について、当該他の裁判所又は第一項から第三項までに定める裁判所に移送することができる。
●N/A
出訴期間(行訴法14条)
(出訴期間)
第十四条 取消訴訟は、処分又は裁決があつたことを知つた日から六箇月を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
2 取消訴訟は、処分又は裁決の日から一年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
3 処分又は裁決につき審査請求をすることができる場合又は行政庁が誤つて審査請求をすることができる旨を教示した場合において、審査請求があつたときは、処分又は裁決に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、前二項の規定にかかわらず、これに対する裁決があつたことを知つた日から六箇月を経過したとき又は当該裁決の日から一年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
●趣旨:行政法関係の早期安定
執行停止(行訴法25条)
(執行停止)
第二十五条 処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。
2 処分の取消しの訴えの提起があつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止(以下「執行停止」という。)をすることができる。ただし、処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によつて目的を達することができる場合には、することができない。
3 裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。
4 執行停止は、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、することができない。
5 第二項の決定は、疎明に基づいてする。
6 第二項の決定は、口頭弁論を経ないですることができる。ただし、あらかじめ、当事者の意見をきかなければならない。
7 第二項の申立てに対する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
8 第二項の決定に対する即時抗告は、その決定の執行を停止する効力を有しない。
●原則:執行不停止(行訴法25条1項)⇒ゆえに停止が必要(書く)
●類型(峻別する):
①処分の効力の停止(行訴法25条2項ただし書):最も重い「②③では不十分なので」、または「…という処分に執行行為・後続行為が予定されておらず」等と書く(非常に重要)。
②処分の執行の停止
③手続の続行の停止
●具体例:強制送還の執行停止、及びその前の収容の執行停止等(●確認)
●要件
①手続的要件:
・取消訴訟の適法な係属(行訴法25条2項)
・執行停止の申立て
②実体的要件:
・積極的要件「重大な損害を避けるため緊急の必要がある」(行訴法25条2項)cf.3項に基づき判断
⇒社会通念上、行政目的を犠牲にしてもなお救済しなければならない程度の損害を生ずる。
・消極的要件「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがある」、「本案について理由がないとみえる」 (行訴法25条4項)
●効果
①将来効、②第三者効(行訴法32条2項・1項)、③拘束力(行訴法33条4項・1項)
●注意:執行停止決定による処分やり直しはない。理由:行訴法33条4項は、同条2項を準用していない。⇒義務付けとの関係では申立の利益なし。
●参考:内閣総理大臣の意義(行訴法27条)●認識:勿論あまり。昭和46年の地決以来実例ナシ。
●認識:「申立ての利益」も問題となりえるが。あまり。
●検討:「考慮」・「勘案」(3項)
●参照:行訴法37条の2第2項、37条の4第2項●認識:同じ。
●余談:強制送還(名宛人の不利益大)については認められるが、施設収容(解除による行政上の支障あり)については認められないことが多いらしい。
●補足:裁決についても行訴法25条2項が準用される(同29条)。
●補足:不作為の違法確認訴訟のみについての仮の救済手段は法定されていない。
その他の抗告訴訟
(取消訴訟に関する規定の準用)
第三十八条 第十一条から第十三条まで、第十六条から第十九条まで、第二十一条から第二十三条まで、第二十四条、第三十三条及び第三十五条の規定は、取消訴訟以外の抗告訴訟について準用する。
2 第十条第二項の規定は、処分の無効等確認の訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決に係る抗告訴訟とを提起することができる場合に、第二十条の規定は、処分の無効等確認の訴えをその処分についての審査請求を棄却した裁決に係る抗告訴訟に併合して提起する場合に準用する。
3 第二十三条の二、第二十五条から第二十九条まで及び第三十二条第二項の規定は、無効等確認の訴えについて準用する。
4 第八条及び第十条第二項の規定は、不作為の違法確認の訴えに準用する。
(抗告訴訟)
第三条 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
(略)
4 この法律において「無効等確認の訴え」とは、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟をいう。
(無効等確認の訴えの原告適格)
第三十六条 無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないものに限り、提起することができる。
●無効等確認訴訟の訴訟要件(あまり)
・処分性(「裁決」(行訴法3条4項)
・原告適格(行訴法36条)●B:訴えの利益を含む。
・補充性(行訴法36条)
・被告適格(行訴法38条1項、11条)
・管轄(行訴法38条1項、12条)
・参考:第三者効に関する規定(行訴法32条1項)は準用されず(実体上の法律関係を形成しないことから、準用余地なし、と説明されている。)。●認識:あまり(無視)
・参考:個別法により審査請求前置主義が採用されていても、審査請求前置不要(行訴法38条が8条を準用せず)。
・注意:出訴期間内なら取消訴訟、外なら無効等確認訴訟(原告の意思によるのではない。)
●原告適格(深入り不要)
・理由:後続処分の予防のために原告適格を認めるべき場合がある(例:課税処分後に滞納処分を予防するため)。●検討:滞納処分の差止めでは?
・結論:そこで、「…おそれのある者」(この直後に「・」が入るべきだった)については、「…に限り」という消極的要件は適用はないと解される(●認識:で良い。)。
・判例(最高裁S51.4.27):二元説
●前提:「法律上の利益」についても、相応に触れた後の話として。●検討:という認識で正しいか。
●補充性
(「現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない」)
●理由:実効的な権利救済のため
●結論:(当該処分の無効を前提とする当事者訴訟(例:権利取得裁決の無効を理由とした土地所有権確認訴訟)・民事訴訟(例:懲戒免職処分の無効を理由とした公務員地位確認訴訟)との比較上)無効等確認訴訟による方が、より直截的かつ適切に救済目的を達することができる場合であれば、可。
●補足:提訴期間が経過している場合、無効確認訴訟の他、当事者訴訟・民事訴訟も考えられる。その場合に出て来る論点。
●参考:行訴法38条1項、33条により、処分のやり直しがある等
●判例(最判昭和62年4月17日②):換地処分無効確認v.s.所有権確認
(前者は、多数の権利者が相互に関連するため、私人間の個別訴訟は不適当。後者は、照応の原則に基づき(従前の土地所有権等の権利保全ではなく)有利な換地を求めているため不可。)⇒原告適格肯定
●無効事由(本案勝訴要件)
●問題:判断基準
●原則:公定力(論証)
●要件:そこで、瑕疵が重大かつ明白(瑕疵が外形的・客観的に明らか)な場合に限り、
●結論:処分は違法となる。
●修正:もっとも、被処分者保護の必要性が高い場合には、明白性の要件は不要。
●要件:具体的には、被処分者に不利益を甘受させることが著しく不当と言えるか(帰責性があるか)、により判断
●あ:①瑕疵があるか(違法か)、②重大か
●判例:課税処分(最高裁昭和48年4月26日第一小法廷判決)
●補足:無効等確認の訴えは、取消訴訟の出訴期間経過の場合に活用される。
(抗告訴訟)
第三条 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
(略)
5 この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。
(不作為の違法確認の訴えの原告適格)
第三十七条 不作為の違法確認の訴えは、処分又は裁決についての申請をした者に限り、提起することができる。
●訴訟要件
・処分性(行訴法3条5項)●認識:前条文優先で良いだろう(37ではなく)。なお、この要件はあまり。処分性あるのが通常。
・原告適格(①「法令に基づく申請」(3条5項)、②「申請をした者」(行訴法37条))
・訴えの利益(●確認済み:明文なく。9条準用もされていない。が、必要と解されている。●方針:一言ありでOK。)
・被告適格(行訴法38条1項、11条)
・管轄(行訴法38条1項、12条)
・不服申立前置(行訴法38条4項、8条)
●注意:出訴期間の規定は準用されていない(不作為継続によりいつまでも可能)。
●認められても、何らかの応答のみ(行訴法38条1項、11条1項●?)不十分⇒義務付けへ
●参考:行手法6条の標準処理期間は(①それが合理的なものであれば)重要な要素となる。ただし、②経過について、③正当化事由がないかも検討する。●認識:3点検討
●本案勝訴要件:「相当の期間」が経過してもされるべき処分がされないこと。
●「違法」(行訴法3条5項)
・「相当の期間」の経過⇒処分に通常必要となる期間⇒その経過があれば、特段の事情がない限り。
●蛇足:そんなかからないはず、という話
●認識:当該「特段の事情」の検討の中で、(国賠ではないが)品川の話をする。●認識:そこでも「特段の事情」との文言があるが、別もの。
(抗告訴訟)
第三条 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
(略)
6 この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。
一 行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(次号に掲げる場合を除く。)。
二 (略)
(義務付けの訴えの要件等)
第三十七条の二 第三条第六項第一号に掲げる場合において、義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。
2 裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。
3 第一項の義務付けの訴えは、行政庁が一定の処分をすべき旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。
4 前項に規定する法律上の利益の有無の判断については、第九条第二項の規定を準用する。
5 義務付けの訴えが第一項及び第三項に規定する要件に該当する場合において、その義務付けの訴えに係る処分につき、行政庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、行政庁がその処分をすべき旨を命ずる判決をする。
●義務付け訴訟(非申請型・直接型):申請型より厳しく判断
●訴訟要件
・「重大な損害を生ずるおそれ」(行訴法37条の2第1項)cf.同2項●視点:環境破壊:不可逆・長時間必要等
・「他に適当な方法がない」(補充性)(行訴法37条の2第1項))
・処分性(特定性)(行訴法3条6項1号)●方針:37条の2第1項にも「一定の処分」との文言があるが、引用しない。元が3条なので。差止も同様。
・原告適格(「法律上の利益」(「行訴法37条の2第3項、同4項・9条2項」)
・訴えの利益(行訴法37条の2第3項)●認識:9条1項の準用をしていないが独自の条文として。
・被告適格(行訴法38条1項、11条)
・管轄(行訴法38条1項、12条)
●補足:被告適格・管轄は、ケース毎に項・号まで。
●認識:個別法に基づく権限不行使の場面等で。規制権限発動型の他、職権受益型(住民票記載義務付け(当然申請なし))もある。
●補足:出訴期間も審査請求前置もない。条文準用されていない。
●特定性(「一定の」「処分」(行訴法3条6項1号))
●理由:処分庁がとるべき具体的措置内容まで個別的・具体的に特定することによる過大な負担
●結論:(根拠法令の趣旨や社会通念に照らして)裁判所の判断が可能な程度
●参考:あてはめ不要⇒言い切れば良い。
●損害の重大性(行訴法37条の2第1項)
・同第2項に基づき判断 cf.25条2項、37条の4第2項
●趣旨:申請権がない者に申請権を与えるかのごときゆえ(一つの説明)●認識:あまり
●補足:超重要ゆえに丁寧にあてはめ。
●注意:金銭か否かを意識
●検討:法律上の利益を害されるなら肯定。と考えるなら、原告適格の判断と重なるか。●注意:応用なので気にせず。
●補充性(判断基準)
●理由:私人に対する民事訴訟の提起が可能なだけでは救済として不十分。
●結論:行政に関する法律上、義務付け訴訟に代わる他の救済手段が法定されていない場合
●注意:落とすと☓だが、一言「ない」でも可、という場合が多い。
●具体例:個別法(税法)上、税額更正請求制度があるので、正確な税額での納税処分は不要(補充性なし)。
●行訴法37条の2第5項:本案勝訴要件
●注意:「明らか」(裁量の余地がない)についても忘れない。例:条文上の義務違反が明らか。
●注意:30条ではなく、こちらで。
●補足:拘束力(行訴法38条1項、33条1項)をもって義務付ける。
(抗告訴訟)
第三条 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
(略)
6 この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。
一 (略)
二 行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。
第三十七条の三
第三条第六項第二号に掲げる場合において、義務付けの訴えは、次の各号に掲げる要件のいずれかに該当するときに限り、提起することができる。
一 当該法令に基づく申請又は審査請求に対し相当の期間内に何らの処分又は裁決がされないこと。
二 当該法令に基づく申請又は審査請求を却下し又は棄却する旨の処分又は裁決がされた場合において、当該処分又は裁決が取り消されるべきものであり、又は無効若しくは不存在であること。
2 前項の義務付けの訴えは、同項各号に規定する法令に基づく申請又は審査請求をした者に限り、提起することができる。
3 第一項の義務付けの訴えを提起するときは、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める訴えをその義務付けの訴えに併合して提起しなければならない。この場合において、当該各号に定める訴えに係る訴訟の管轄について他の法律に特別の定めがあるときは、当該義務付けの訴えに係る訴訟の管轄は、第三十八条第一項において準用する第十二条の規定にかかわらず、その定めに従う。
一 第一項第一号に掲げる要件に該当する場合 同号に規定する処分又は裁決に係る不作為の違法確認の訴え
二 第一項第二号に掲げる要件に該当する場合 同号に規定する処分又は裁決に係る取消訴訟又は無効等確認の訴え
4 前項の規定により併合して提起された義務付けの訴え及び同項各号に定める訴えに係る弁論及び裁判は、分離しないでしなければならない。
5 義務付けの訴えが第一項から第三項までに規定する要件に該当する場合において、同項各号に定める訴えに係る請求に理由があると認められ、かつ、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決につき、行政庁がその処分若しくは裁決をすべきであることがその処分若しくは裁決の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分若しくは裁決をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決をすべき旨を命ずる判決をする。
6 第四項の規定にかかわらず、裁判所は、審理の状況その他の事情を考慮して、第三項各号に定める訴えについてのみ終局判決をすることがより迅速な争訟の解決に資すると認めるときは、当該訴えについてのみ終局判決をすることができる。この場合において、裁判所は、当該訴えについてのみ終局判決をしたときは、当事者の意見を聴いて、当該訴えに係る訴訟手続が完結するまでの間、義務付けの訴えに係る訴訟手続を中止することができる。
7 第一項の義務付けの訴えのうち、行政庁が一定の裁決をすべき旨を命ずることを求めるものは、処分についての審査請求がされた場合において、当該処分に係る処分の取消しの訴え又は無効等確認の訴えを提起することができないときに限り、提起することができる。
●義務付け訴訟(申請型)
●訴訟要件
・処分性(特定性)(行訴法3条6項2号)
・場面:不作為(行訴法37条の3第1項1号) or 取消・無効等(同2号)
・原告適格:法令に基づく申請又は審査請求をした者(法37条の3第2項)
・併合提起:不作為の違法確認の訴え(法37条の3第3項1号) or 取消・無効等確認の訴え(同2号)●重要
・被告適格(38条1項、11条)
・管轄(38条1項、12条)
・訴えの利益(●広義として原告適格で?)
●行訴法37条の3第5項
・本案勝訴要件
●具体例:廃掃法において、一般廃棄物処理業は、本来的には市町村が廃棄物処理計画を定め実施する。よって、民間は、市町村による処理が困難である状況において、当該計画に適合する必要がある(「特許」的なので許認可等につき効果裁量が広い。)。それに対し、産業廃棄物処理業の場合、事業者による処理が原則であり、地方公共団体は補助的(ゆえ効果去りようが狭い。)。以上より、後者については、5項の要件充足し易い。●検討:不作為の違法自体の問題ではないか。不作為は違法だが、義務付けまでは、というレベルがあるということだろう。●参考:特別管理産業廃棄物(廃掃法2条5項)(爆発性・毒性・感染性等あり)について特別な規制もある。
●検討:同6項(行政の自主性尊重?)、7項(原処分主義?。cf.10条2項)●併合審理であるがゆえの条項(cf.37条の4)
(抗告訴訟)
第三条 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
(略)
7 この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。
(差止めの訴えの要件)
第三十七条の四 差止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができる。ただし、その損害を避けるため他に適当な方法があるときは、この限りでない。
2 裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分又は裁決の内容及び性質をも勘案するものとする。
3 差止めの訴えは、行政庁が一定の処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。
4 前項に規定する法律上の利益の有無の判断については、第九条第二項の規定を準用する。
5 差止めの訴えが第一項及び第三項に規定する要件に該当する場合において、その差止めの訴えに係る処分又は裁決につき、行政庁がその処分若しくは裁決をすべきでないことがその処分若しくは裁決の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分若しくは裁決をすることがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずる判決をする。
●条文:「差止め訴訟(行訴法3条7項、37条の4)」●他も同様に。確認。
●訴訟要件
・処分性・特定性(「一定の処分」(行訴法3条7項))●37条の4第1項?
・処分の蓋然性(「されようとしている」(行訴法3条7項)
・「重大な損害を生ずるおそれ」(37条の4第1項本文)cf.第2項
・補充性(「他に適当な方法がない」(行訴法37条の4第1項ただし書))●調査:37条の2とは規定形式が異なるか。逆の形式が納得的か。立証責任上。
・原告適格(法律上の利益(行訴法37条の4第3項・4項、9条2項))●B:訴えの利益も。
・被告適格(行訴法38条1項、11条)
・管轄(行訴法38条1項、12条)
●被告適格・管轄は、ケース毎に項・号まで。
●特定性(「一定の」「処分」(行訴法3条7項))
●参考:義務付けと同様。
●処分の蓋然性(「されようとしている場合」(行訴法3条7項))
●結論:客観的に見て相当程度の可能性
●具体例:聴聞、又は弁明の機会の付与の通知。その前でもありうる。
●注意:3条7項の条文を落とさない。●認識:条文確認済み
●損害の重大性(「重大な損害を生ずるおそれ」(行訴法37条の4第1項本文))
・同第2項に基づき判断 cf.25条2項、37条の4第2項
●補足:超重要ゆえに丁寧にあてはめ。●検討:「考慮」・「勘案」
●結論:①回復困難(金銭賠償では不十分)、かつ②処分「後」の取消訴訟・執行停止では救済困難(●認識:②は制度趣旨そのもの)。●②の具体例:執行停止に時間がかかる。公表され信用低下する。等。
●判例:最判平成24年2月9日
●根拠:差止訴訟の制度趣旨
●基本(他でも):「社会通念上、行政目的を犠牲にしてもなお、救済しなければならない程度の損害」
●参考:事前の取消訴訟、的。
●参考:許可取消しがされる場合でも、例えば工事に未着手であれば損害は小さい、とも言いうる。
●補充性(「他に適当な方法があるとき」(は☓)の判断基準)
●結論:行政法上、代替する訴訟や救済手続きが特に法定されている場合。●例:前提処分の取消しにより後続処分ができない場合等
●理由:民事訴訟(・当事者訴訟)の提起だけでは救済として不十分。
●注意:落とすと☓だが、一言「ない」でも可、という場合が多い。●認識:直接型義務付け(37条の2第1項)とは異なり、消極的要件であることから尚更。
●具体例:勧告⇒公表と続く場合、勧告の取消訴訟が提起できるのであれば補充性を欠く。したがって、仮の差止めも不可。仮に差止めが認められるとしても、仮の差止めの要件は、取消訴訟を前提とした執行停止よりも厳格。よって、いずれにしても取消訴訟を提起すべき。
●行訴法37条の4第5項:本案勝訴要件
●注意:「明らか」(裁量の余地がない)についても忘れない。例:条文上の義務違反が明らか。
●注意:30条ではなく、こちらで。なお、訴えの性質上、判断基準時は口頭弁論終結時。
(仮の義務付け及び仮の差止め)
第三十七条の五 義務付けの訴えの提起があつた場合において、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずること(以下この条において「仮の義務付け」という。)ができる。
2 差止めの訴えの提起があつた場合において、その差止めの訴えに係る処分又は裁決がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずること(以下この条において「仮の差止め」という。)ができる。
3 仮の義務付け又は仮の差止めは、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは、することができない。
4 第二十五条第五項から第八項まで、第二十六条から第二十八条まで及び第三十三条第一項の規定は、仮の義務付け又は仮の差止めに関する事項について準用する。
5 前項において準用する第二十五条第七項の即時抗告についての裁判又は前項において準用する第二十六条第一項の決定により仮の義務付けの決定が取り消されたときは、当該行政庁は、当該仮の義務付けの決定に基づいてした処分又は裁決を取り消さなければならない。
●「申立て」(行訴法37条の5第1項)
●申立要件
●手続要件
・義務付け訴訟の係属(同項)
・申立て
●実体的要件
(1)積極的要件(同項):①「償いことのできない損害を避けるため」「緊急の必要」、②「本案について理由があるとみえる」(●確認済み:新処分をするので、②は執行停止より厳しい。●認識:①も同様。)
(2)消極的要件(同条3項):「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき」は☓
●補足:行訴法33条2項は、執行停止には準用されていない(同条4項)。ゆえ必要。
●「償うことのできない損害」
①金銭賠償が不能か、又は②金銭賠償のみの救済では社会通念上著しく不相当な損害(東京地決H18.1.25)。
●「緊急の必要」
損害の発生が切迫しており、社会通念上、これをさけなければならないとき(東京地決H18.1.25)
●「申立て」(行訴法37条の5第2項)●確認済み:要件は義務付けとほぼ同じ。
●申立要件
・手続要件
・差止訴訟の係属(同項)
・申立て
・実体的要件
(1)積極的要件(同項):①「償いことのできない損害を避けるため」「緊急の必要」、②「本案について理由があるとみえる」
(2)消極的要件(同条3項):「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき」は☓
●認識:義務付けと異なり、差止めの本質上、仮も必要不可欠(セット)。
●「償うことのできない損害」
①後の金銭賠償が不能か、又は②金銭賠償のみの救済では社会通念上著しく不相当な損害(最高裁H18.8.10)●要確認
●「緊急の必要」
(については、(仮の義務付けとは異なり)裁判例なし?⇒B:同じでOK)
損害の発生が切迫しており、社会通念上、これをさけなければならないとき(東京地決H18.1.25)
(当事者訴訟)
第四条 この法律において「当事者訴訟」とは、当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの及び公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟をいう。
(民衆訴訟)
第五条 この法律において「民衆訴訟」とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう。
(機関訴訟)
第六条 この法律において「機関訴訟」とは、国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟をいう。
●その他の訴訟類型
1.当事者訴訟(行訴法4条)
(1)前段:形式的当事者訴訟by法令
(2)後段:実質的当事者訴訟(⇒処分性なき行政作用からの救済として、確認訴訟を活用する。)
●具体例:在外国民選挙権行使制限違憲訴訟(最大判平成17年9月14日)・君が代訴訟(義務不存在確認)(最判平成24年2月9日①)
2.争点訴訟(民訴の一争点で)
3.客観訴訟
(1)民衆訴訟(行訴法5条):住民訴訟(地自法242条の2):4号請求(同1項4号)。同242条1項
(2)機関訴訟(行訴法6条)
●当事者訴訟
・義務・地位の確認が多い。具体例:行政庁からの要求措置に従う義務がないことの確認
・処分性がない、という確認をしてから。
・方法選択の適否が重要(cf.民訴のような給付訴訟との比較なし)
●具体例:君が代訴訟(差止&当事者)(差止については、「毎年度2回以上の各式典を契機として…懲戒処分が反復継続的かつ累積加重的にされていく」ことによる処遇上の不利益は止められるから。具体例:人事評価)
●差止訴訟との比較(具体例:行政指導の従わないため、許可取消しリスクがある状況において):差止訴訟で行けるなら方法選択として不適切。また、実質的当事者訴訟の場合、行政指導に従わないこと以外の理由での許可取消しを止められない。
●当事者訴訟における仮の救済
●参考:行訴法44条⇒抗告訴訟では不可。
(仮処分命令の必要性等)
第二十三条 係争物に関する仮処分命令は、その現状の変更により、債権者が権利を実行することができなくなるおそれがあるとき、又は権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。
2 仮の地位を定める仮処分命令は、争いがある権利関係について債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とするときに発することができる。
3 第二十条第二項の規定は、仮処分命令について準用する。
4 第二項の仮処分命令は、口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、これを発することができない。ただし、その期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。
●住民訴訟(地方自治法242条の2)
・4号請求(同1項4号)
・同242条1項
・監査請求前置の趣旨(濫訴防止)から、原告適格は、住民(地方自治法242条の2第1項柱書)かつ監査請求を行った者(242条5項は請求・請求人毎の通知・公表等の対応を予定)のみ。
●参考:条例違反者に罰金・科料可能(地方自治法14条3項)。
第十節 住民による監査請求及び訴訟(住民監査請求) 第二百四十二条 普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある(当該行為がなされることが相当の確実さをもつて予測される場合を含む。)と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」という。)があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によつて当該普通地方公共団体の被つた損害を補塡するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。 2 前項の規定による請求は、当該行為のあつた日又は終わつた日から一年を経過したときは、これをすることができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。 3 第一項の規定による請求があつたときは、監査委員は、直ちに当該請求の要旨を当該普通地方公共団体の議会及び長に通知しなければならない。 4 第一項の規定による請求があつた場合において、当該行為が違法であると思料するに足りる相当な理由があり、当該行為により当該普通地方公共団体に生ずる回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、当該行為を停止することによつて人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがないと認めるときは、監査委員は、当該普通地方公共団体の長その他の執行機関又は職員に対し、理由を付して次項の手続が終了するまでの間当該行為を停止すべきことを勧告することができる。この場合において、監査委員は、当該勧告の内容を第一項の規定による請求人(以下この条において「請求人」という。)に通知するとともに、これを公表しなければならない。 5 第一項の規定による請求があつた場合には、監査委員は、監査を行い、当該請求に理由がないと認めるときは、理由を付してその旨を書面により請求人に通知するとともに、これを公表し、当該請求に理由があると認めるときは、当該普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関又は職員に対し期間を示して必要な措置を講ずべきことを勧告するとともに、当該勧告の内容を請求人に通知し、かつ、これを公表しなければならない。 6 前項の規定による監査委員の監査及び勧告は、第一項の規定による請求があつた日から六十日以内に行わなければならない。 7 監査委員は、第五項の規定による監査を行うに当たつては、請求人に証拠の提出及び陳述の機会を与えなければならない。 8 監査委員は、前項の規定による陳述の聴取を行う場合又は関係のある当該普通地方公共団体の長その他の執行機関若しくは職員の陳述の聴取を行う場合において、必要があると認めるときは、関係のある当該普通地方公共団体の長その他の執行機関若しくは職員又は請求人を立ち会わせることができる。 9 第五項の規定による監査委員の勧告があつたときは、当該勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員は、当該勧告に示された期間内に必要な措置を講ずるとともに、その旨を監査委員に通知しなければならない。この場合において、監査委員は、当該通知に係る事項を請求人に通知するとともに、これを公表しなければならない。 10 普通地方公共団体の議会は、第一項の規定による請求があつた後に、当該請求に係る行為又は怠る事実に関する損害賠償又は不当利得返還の請求権その他の権利の放棄に関する議決をしようとするときは、あらかじめ監査委員の意見を聴かなければならない。 11 第四項の規定による勧告、第五項の規定による監査及び勧告並びに前項の規定による意見についての決定は、監査委員の合議によるものとする。
(住民訴訟) 第二百四十二条の二 普通地方公共団体の住民は、前条第一項の規定による請求をした場合において、同条第五項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第九項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第五項の規定による監査若しくは勧告を同条第六項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第九項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第一項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもつて次に掲げる請求をすることができる。 一 当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求 二 行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求 三 当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求 四 当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求。ただし、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方が第二百四十三条の二の二第三項の規定による賠償の命令の対象となる者である場合には、当該賠償の命令をすることを求める請求 2 前項の規定による訴訟は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める期間内に提起しなければならない。 一 監査委員の監査の結果又は勧告に不服がある場合 当該監査の結果又は当該勧告の内容の通知があつた日から三十日以内 二 監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員の措置に不服がある場合 当該措置に係る監査委員の通知があつた日から三十日以内 三 監査委員が請求をした日から六十日を経過しても監査又は勧告を行わない場合 当該六十日を経過した日から三十日以内 四 監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員が措置を講じない場合 当該勧告に示された期間を経過した日から三十日以内 3 前項の期間は、不変期間とする。 4 第一項の規定による訴訟が係属しているときは、当該普通地方公共団体の他の住民は、別訴をもつて同一の請求をすることができない。 5 第一項の規定による訴訟は、当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。 6 第一項第一号の規定による請求に基づく差止めは、当該行為を差し止めることによつて人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがあるときは、することができない。 7 第一項第四号の規定による訴訟が提起された場合には、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実の相手方に対して、当該普通地方公共団体の執行機関又は職員は、遅滞なく、その訴訟の告知をしなければならない。 8 前項の訴訟告知があつたときは、第一項第四号の規定による訴訟が終了した日から六月を経過するまでの間は、当該訴訟に係る損害賠償又は不当利得返還の請求権の時効は、完成しない。 9 民法第百五十三条第二項の規定は、前項の規定による時効の完成猶予について準用する。 10 第一項に規定する違法な行為又は怠る事実については、民事保全法(平成元年法律第九十一号)に規定する仮処分をすることができない。 11 第二項から前項までに定めるもののほか、第一項の規定による訴訟については、行政事件訴訟法第四十三条の規定の適用があるものとする。 12 第一項の規定による訴訟を提起した者が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において、弁護士又は弁護士法人に報酬を支払うべきときは、当該普通地方公共団体に対し、その報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができる。(訴訟の提起) 第二百四十二条の三 前条第一項第四号本文の規定による訴訟について、損害賠償又は不当利得返還の請求を命ずる判決が確定した場合においては、普通地方公共団体の長は、当該判決が確定した日から六十日以内の日を期限として、当該請求に係る損害賠償金又は不当利得の返還金の支払を請求しなければならない。 2 前項に規定する場合において、当該判決が確定した日から六十日以内に当該請求に係る損害賠償金又は不当利得による返還金が支払われないときは、当該普通地方公共団体は、当該損害賠償又は不当利得返還の請求を目的とする訴訟を提起しなければならない。 3 前項の訴訟の提起については、第九十六条第一項第十二号の規定にかかわらず、当該普通地方公共団体の議会の議決を要しない。 4 前条第一項第四号本文の規定による訴訟の裁判が同条第七項の訴訟告知を受けた者に対してもその効力を有するときは、当該訴訟の裁判は、当該普通地方公共団体と当該訴訟告知を受けた者との間においてもその効力を有する。 5 前条第一項第四号本文の規定による訴訟について、普通地方公共団体の執行機関又は職員に損害賠償又は不当利得返還の請求を命ずる判決が確定した場合において、当該普通地方公共団体がその長に対し当該損害賠償又は不当利得返還の請求を目的とする訴訟を提起するときは、当該訴訟については、代表監査委員が当該普通地方公共団体を代表する。
国家賠償法
昭和二十二年法律第百二十五号 国家賠償法
第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
② 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。
●問題:責任の性質
●結論:代位責任説(通説・判例)不法行為責任は、一次的には公務員個人に帰属するが、それを国又は公共団体が代位する。
●理由:①国賠法1条1項が、公務員の主観的要件(故意・過失)を賠償責任の要件としている。
②同2項が、公務員に対する求償権を定めている。
③被害者救済の実効性確保(政策的理由)
●問題:公務員個人への賠償請求
●結論:不可
●理由:①「国又は公共団体が」
②公務員を委縮させず、公務の適切な執行確保
③(①から)被害者救済目的達成
●補足:公権力の行使を委ねられている者は、その限りで「公務員」に該当する。
●要件
①「国又は公共団体」
②「公務員」
③「公権力の行使」
④「職務を行うについて」
⑤故意・過失
⑥違法性(故意・過失も(一元化)●B:刑法的(責任的要素が薄い)
⑦損害の発生
⑧因果関係「によって」
●認識:事実の評価・認定でしか差が付かない。ゆえにあまり出ない。
●問題:加害公務員の特定(「公務員」):代位責任説からは特定が必要。
●要件:①一連の行為のうちいずれかについては国(・公共団体)が賠償責任を負い、かつ②そのいずれもが国(又は同一の公共団体)の公務員の職務上の行為にあたる場合には、
●結論:責任成立
●問題:「公権力の行使」
●結論:非権力的な行政活動であっても、純然たる私経済作用と公の営造物の設置管理作用以外の作用(公的的な行政作用)は、広く該当。
●理由:国賠法1条は、公行政に関する国家賠償責任の一般法
●問題:「違法性」
●論証:私人の場合と異なり、行政作用は、法例や一般原則による行為規範が存在する。
①したがって、公務員の侵害行為の態様につき、違法性を認定(行為不法説(最判S61.2.27))
②即ち、公務員が、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしたか否かによって判断(職務行為基準説(最判H5(●15?).3.11)●真においては、本基準のみ(理由なし)。
●結論:過失の判断が取り込まれ、違法一元的判断がなされる。
●判例:必ずしも上記①⇒②の別ではない。
●発展:不作為(権限不行使、申請放置等):権限を定めた法の趣旨・目的、権限の性質等に照らし、その不行使が著しく合理性を欠く場合に。
●問題:「故意又は過失」
●結論:①予見可能性のある損害を回避すべき結果回避義務違反」という客観的要件
●理由:判断基準の明確性⇒構成
●展開:②違法性と実質的に重なる。⇒即ち「過失あり」と認定(必ず一応やる)●真においては、この程度。
●裁判例:裁判例一件に依拠したケース(過失あり、と)
●検討:①を書いて、②へ、でOK
●問題:「職務を行うについて」
●理由:国賠法1条は、広く国民の権益を保護する趣旨
●結論:(公務員の主観とは無関係に)客観的に職務行為の外形を備える行為は該当。
昭和二十二年法律第百二十五号 国家賠償法
第二条 道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。 ② 前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。
●問題:責任の性質
●趣旨:危険責任の法理
●結論:無過失責任(不可抗力はsafe)
●参考:民法適用可(非権力的作用なので)●検討
●要件
①公の営造物
②設置管理の瑕疵
③損害の発生
④因果関係
●「公の営造物」
●定義:国又は公共団体が直接公の用に供している有体物(公物)
●補足:動産も含む
●注意:「道路」「河川」(明文)以外の話。
●「設置又は管理に瑕疵」
●定義:(公の営造物が)通常有すべき安全性を欠くこと。
●基準:当該営造物の構造・用法・場所・利用状況等、諸般の事情を考慮し、個別的・具体的に判断。●認識:文言としては書かないが、予見可能性・回避義務違反を考慮。
●補足:「管理」は事実上のものでも可
●参考:河川は、自然発生的な公共用物であり、洪水等の危険を内包している。そこで、その安全性確保は治水事業によるが、それには財政的・技術的制約等があり、道路の一時封鎖のような簡易手段もない。よって、特段の事由なき限り、河川の改修・整備の過程に対応した過渡的な安全性があれば足りる。
(具体的には、同種・同規模の河川の管理の一般水準及び社会通念に照らして是認しうる安全性の有無が基準。)●認識:具体的基準は、状況次第で書けば良い。●認識:点字ブロックも似た発想と言いうる。
●参考:「本来の用法に従った使用を前提とした上で、何らかの危険発生の可能性があるか否か」による(テニス審判台事件判決)。
●問題:機能的瑕疵(供用関連瑕疵)
●結論:営造物が供用目的に沿って利用されることとの関連において危害を生ぜしめる危険性がある場合をも含む。
●結論:営造物の利用者に対してのみならず、利用者以外の第三者に対する危害をも含む。
●判例:大阪国際空港事件判決
昭和二十二年法律第百二十五号 国家賠償法
第三条 前二条の規定によつて国又は公共団体が損害を賠償する責に任ずる場合において、公務員の選任若しくは監督又は公の営造物の設置若しくは管理に当る者と公務員の俸給、給与その他の費用又は公の営造物の設置若しくは管理の費用を負担する者とが異なるときは、費用を負担する者もまた、その損害を賠償する責に任ずる。
② 前項の場合において、損害を賠償した者は、内部関係でその損害を賠償する責任ある者に対して求償権を有する。
●費用負担者(3条1項)
●趣旨:被害者救済のため、賠償責任者覚知の困難を除去することにある。
●要件:法律上の負担義務者と、①同等又はそれに近い費用負担、②実質的に事業を共同して執行、③危険を効果的に防止しうる者も。
●判例:最高裁昭和50年11月28日第三小法廷判決
昭和二十二年法律第百二十五号 国家賠償法
第四条 国又は公共団体の損害賠償の責任については、前三条の規定によるの外、民法の規定による。
●問題:「民法」に失火責任法は含まれるか。
●結論:含まれる(重過失が必要)。
●理由:①民法の特別法、②排除する合理的理由なし。
●補足:過失相殺(国賠法4条、民法722条2項)
昭和二十二年法律第百二十五号 国家賠償法
第五条 国又は公共団体の損害賠償の責任について民法以外の他の法律に別段の定があるときは、その定めるところによる。
第六条 この法律は、外国人が被害者である場合には、相互の保証があるときに限り、これを適用する。
附 則 抄 ① この法律は、公布の日から、これを施行する。
●その他の条文
・求償(1条2項、2条2項、3条3項)
・特別法(5条)
・相互の保障(6条)
日本の行政法は「全く知らない」というのもマズイかと考えまして、試みに…
「『全く知らない』訳ではない」ということだけは、かろうじて理解できました(笑)。