法律事務所(外部委託)
日本の企業法務部門は、どのように法律事務所と付き合っているのですか?
私の場合、質・量の両面から、「五大『法律事務所委託事項』」を念頭に置いています。
どこかで聞いたような気しますが、それはさておき、法律事務所に委託する場面が大きく5つあると理解しました。
1つ例を挙げると?
1.法的監査(”Due Diligence”)です。
少なくとも量的観点から、そんなことを自分でやっている暇はおまへんで、とある方が仰っていました。
主に「量」の観点からの判断だと理解しましたが、他にも「量」的観点からの委託はあるのでしょうか?
2.訴訟です。
最近は、(1)企業法務部門内に弁護士もいますし、また(仮にその弁護士が「事務所で3,4年訴訟をやっていました」と主張しているだけで、その内実は「パラ・リーガル同様に書類整理等していただけ」等だったとしても)(2)「本人訴訟」として企業法務部門のみで完結させることも可能、ではあるとしても、ですね。
それでは、「質」の観点からは、どのような例があるのでしょうか?
3.外国法ですね。
外国法については、社内に専門家を抱える程の余裕はないですからね。
(なお、例えば米国LL.Mだけ取得し、現地における実務経験が一日もない方は、実質的には受託に耐えうる「法律家」ではない、と理解するのが合理的でしょうね。)
他にも「質」の観点からの委託業務があるのですか?
4.法律意見書(Legal Opinion)ですね。
例えば、M&A・Financeの分野において、相手方から”Structuring”の適法性や”Internal Approval”(取締役会決議等)を得ていること等の確認書面を求められることがありますが、仮に「神」レベルの法律家が企業法務部門内に在籍しているとしても(笑)、その方による確認では、意味がないですね。第三者性・外部性が必須なのです。
それでは、5つ目は?
5.新規の法律問題ですね。
この点は、「質」・「量」双方の観点からではありますが、社会・技術等の進展に伴い発生する新しい法律問題については、(1)できるだけ多面的な考察をすべきであり(独り善がりになるべきではなく)、多くの企業と付き合いのある法律事務所の保有情報等も踏まえた多面的な考察に大きな意義がありますし、また(2)行政・立法段階での議論や業界・他社の動向(法的側面)を全て企業法務部門でフォローする点につき、少なくとも経済合理性がありませんからね。
「第6」の委託事項もありそうですから、自分で考えてみます。