「近似法」
外国法の内容不明の場合、「近似法」を適用する説があると聞いたのですが…
例えば、甲国・乙国が、元来1つの国家であったのが、いわゆる分裂国家の状態にあり、甲国については、日本と国交もあること等から、その法内容は十分調査可能であるのに対し、乙国法については、日本と国交がないこと等から、その法内容が不明な場合が考えられます。
その場合に、日本における人事訴訟等において、通則法により乙国民の本国法としての乙国法を適用することとなったときには、風俗・習慣等の点で近似する甲国法を適用する、ということですね。
準拠法を決める必要性があり、沿革的に法が近似しているのであれば、「近似法」として乙国法を適用することも合理的に思われますね。
しかし、甲国・乙国の分裂の経緯、或いは当該人事訴訟等において問題となっている法律関係次第では、むしろ不合理になる場合もあるのではないでしょうか。
確かに、甲国・乙国の分裂の原因・経緯が、風俗・習慣の相違等にある場合、むしろ近似法の適用は避けるべきでしょう。
その他の観点でも、例えば乙国が甲国を国家として承認しておらず、かつ未承認国家の法は私法関係においても適用しない方針を採用していた場合、仮に日本が未承認国家の法の指定を(国家間の問題ではなく、私人間の問題だからと)適用するとしても、乙国法を適用することは私人間の問題を超えるようにも思われます。
いずれにしても、少なくとも訴訟当事者の観点から、「君の本国法(乙国法)が不明だから、隣の国の法律(甲国法)を適用するね。」と言われても…、という感覚はありますね。
少なくとも私は、近時法は妥当ではないと考えています。
ではどうするのか?、については、律子さんにおいて引き続き検討しておいて下さい(笑)。