刑法(総論)~国際私法の範囲外

「…刑事法等の公法の抵触問題と私法のそれとはその性質が大いにちがうものであるから、…国際刑事法は国際私法の範囲から除外するのが妥当である。」
(江川英文『国際私法(改訂)』(有斐閣、1957)17頁)

目次

留意点・知識

●総論でも各論を(逆も)
●保護法益・罪質から、解釈する。
●共犯は原則個人単位(刑訴法313条1項参照)。例外的に、共同実行行為に着目し、一括して論じる方が書き易い場合もある。●方針:Case by Case
●実行の着手がなければ、せいぜい予備罪。
●行為の一体性:①行為態様、②時間的・場所的接着性、③主観面(動機・犯意の連続性)から判断。なお、③が否定されても一体的に処理するのが原自行為。
●「一個の行為」(54条1項前段):(法的評価をはなれ構成要件的観点を捨象した)自然的観察のもとで、(行為者の動態が)社会的見解上1個のものと評価されるもの(判例)
●検討順序(一般的):①間接正犯(単独犯)→②共謀共同正犯→③狭義の共犯
●罪数:住居等侵入がからめば、特にかすがい現象に注意。一応。

不真正不作為犯(実行行為性)(AA)

●問題:作為の形で規定(文言)
●定義:実行行為(特定の構成要件に該当する法益侵害の現実的危険性を有する行為)
●理由:不作為によっても当該危険性の発生・維持は可能。しかし、あらゆる不作為を実行行為にあたるとすると処罰範囲が過度に拡大。
●要件:そこで、(●重要)作為との構成要件的同価値性がある場合、即ち(●通説)、現実的危険が存在する状況において、①法的(●忘れない作為義務②作為可能性・容易性がある場合に不作為の実行行為性が認められる。
●あてはめ(①):形式:民法820条・契約・事務管理・条理(適法な先行行為に基づき発生した危険についても義務発生余地あり)。実質:事実上の支配(引受け等)、排他的支配の設定等。
●結論:不作為犯成立
●認識:危険を発生させた場合(先行行為)と、生じた危険を低減等させる場合(法的地位等)と、いずれにしても危険を認定する。
●注意:上記「形式」は必要だが、それだけでは足りない。
●補足:因果関係については、作為は存在しないことから、仮に作為があれば十中八九結果の発生がなかった、と認められれば足りると解される。又は、行為時の事情として、結果回避可能性がなければ、因果関係がないとする。なお、法が不可能を強いられない、ことから、結果回避可能性がなければ実行行為性否定説も。●方針:行為時点では行為無価値を重視すべき。結果回避可能性は後で、が妥当。
●補足:保護責任者遺棄致死罪(●219条)との区別。
●判例:殺人・詐欺・放火のみ認めた。

作為義務(体系的地位)(AB)

●理由:違法性の問題と考えると、不作為が広く構成要件に該当し、その違法類型としての意義を没却する。
●結論:構成要件の問題と考える。
●帰結:具体的には、類型化された作為義務を負う者(保障人)の不作為のみが構成要件に該当すると解される。
●認識:判例は、このような概念的ではない事案に即した個別的・具体的な作為義務を認定。よって、位置付けのみ重要で、あとは不要。

作為義務(錯誤)(A)

●理由:作為義務は構成要件要素
●結論:その錯誤は事実の錯誤
●理由:ただし、裁判官の評価を経て確定する規範的構成要件要素。
●要件:一定の作為を要求する基礎事実の素人的認識があれば
●理由:規範に直面しているといえる
●結論:故意肯定
●注意:責任段階で、法律の錯誤も検討する。
●判例:必ず未必の故意(認容)を認定している。①故意犯の中で保護責任者遺棄罪と殺人を区別するため、また②過失犯と個別するため。●認識:認識だけでは、①はできない。●検討:認容説では当然のこと。認識では足りない、ではなかったか。

間接正犯(実行行為性)(AA)

●問題:自ら実行せず他人を利用
●定義:実行行為
●帰結:とすれば、他人を利用してもかかる危険性があれば、実行行為性は認められる。
●要件:そこで、①他人を利用して、特定の犯罪事実を自ら実現する意思(正犯意思(●狭義の共犯と区別(故意ではない)))があり、かつ②被利用者の行為を道具のごとく一方的に支配・利用すると客観的に認められる場合
●結論:犯罪成立
●補足:罪質が道具性に影響する。窃盗は機械的に可能だが、強盗はそうはいかない。横領はやってしまいがちだが、殺人はハードル高い。等
●帰結:着手時期は利用者標準説(道具、なので。危険性があるため)。途中知情は未遂となる。ただし、未遂犯のない横領の場合、そもそも実行行為性否定とするのがシンプル。
●帰結:離隔犯(時間・場所)は被利用者標準説(危険性が高まるため)。●方針:個別化説でOK。

間接正犯(被利用者の故意行為)(A)

●論点:間接正犯(実行行為性)
●反対説:とすれば、故意ある場合には被利用者に規範的障害があり、道具性はないとも思われる。
●理由:しかし、利用者が実現しようとした犯罪については、なお道具性がある。(※)
●結論:よって、間接正犯肯定。
●補足:故意ある幇助道具(幇助意思のみ)(B)難「単なる機械的事務処理者」となる。被利用者は幇助犯(共謀共同正犯もありえる)。(B)「利用者が実現しようとした犯罪事実については事情を知らず」となる。

不能犯(A)

●問題:実行行為あり?(「不能犯」と書かず)
●定義:実行行為
●理由:そして、構成要件は、社会通念を基礎とした一般人に対する行為規範であり、評価対象たる行為は主観と客観の統合体。
●結論:そこで、実行行為性については、①行為時に一般人から見て危険性を有するかにつき、②行為時に一般人が認識しえた事情、及び行為者が認識していた客観的事情を基礎に、事後的・客観的に判断すべきと解される。●理解:具体的危険説
●判例:客観的危険説(最判昭和25年8月31日)と言われるが、具体的危険説(広島高判昭和36年7月10日)とも言われる。●判断:最高裁は基準が不明確ではないか。
●参考:「致死量」等は評価。書かない。また、危険性を高める事情のみを考慮。

早すぎた構成要件の実現(A)

●問題:因果関係が不明(第一行為により死亡していた可能性あり)の場合に実益。●認識:そのままであれば、傷害致死と殺人未遂、だろう。
●理由:実行行為とは…。よって、行為者の犯行計画を考慮しつつ、第一行為開始時点でかかる危険性が認められれば、その時点で一連の行為を実行行為としてその着手を観念できる。
●要件:そこで、(1)第一行為が第二行為を確実かつ容易に行うために必要不可欠であり、(2)第一行為成功の場合、その後の計画遂行上障害となる特段の事情がなく、(3)第一行為と第二行為との時間的場所的近接性があれば、
●結論:両行為の密接性から、第一行為の開始時点で結果発生の客観的危険性は明らか。実行の着手が認められる。●認識:第一行為も実行行為の一部
●判例(最決平成16年3月22日):
●展開:実行に着手し、目的を遂げた以上、殺人の故意にも欠けない。
●注意:単に眠らせる等、殺意等がない場合には、この問題ではない。
●補足:因果関係の錯誤が問題となる。●認識:危険の現実化の範囲内で一致していればOK

因果関係(危険の現実化)(A)

●注意:①実行行為の危険性、②介在事情の評価(因果関係論独自のポイント。重要・必須)、③結果発生原因の具体的な特定。●認識:介在事情ないケースは、論述すら不要で結論のみ認定でOK。
●自説:危険の現実化説(基準:「条件関係の存在を前提として、実行行為の危険が結果へ現実化したか否か。」予見しえたか否かは問わず。)
●結論:具体的には、①実行行為の危険性、並びに②介在事情の異常性、及び③結果への寄与度を考慮して、判断する。
●参考:条件関係(1)行為は実行行為、(2)結果は具体的な当該結果、(3)仮定的な条件を付加しない。
●参考:行為後の介在事情は、危険性・異常性・寄与度を考慮し、危険の現実化の妨げにならないか検討する。●認識:「異常性」については、実行行為に誘発されたものか、由来するものか等を検討。
●判例:
①介在事情の寄与度が大きいが、実行行為に起因するもの(例:スキューバ)
「確かに、…という介在事情の結果への寄与度は大きい。しかし、かかる介在事情は、実行行為に起因するものであり、異常性は低い。よって、…という結果は、…(実行行為)の結果が現実化したものと認められる。」
②介在事情の異常性は大きい(実行行為と無関係)が、実行行為自体の危険性が大きい(寄与度は小さい。ゆえ死因変更はない場合に限られる。)(例:南港)
「確かに、…という介在事情は実行行為に起因せず、異常性が高い。しかし、かかる介在事情が実行行為の危険性へ与えた影響は…であり、寄与度は小さい。よって、…という結果は、…(実行行為)の結果が現実化したものと認められる。」
③実行行為による危険状況が結果に結び付いている(実行行為の危険性が直接結果に実現、ではないし、実行行為・介在事情間にも直接的結び付きない場合だが。介在事情発生につき一定の蓋然性がある場合に限られる。)(例:トランク追突)●理解:①②で否定される場合、因果関係否定される可能性が高い。が、③は検討する。
「確かに、結果発生の直接的な原因は介在事情であり寄与度が大きく、またかかる介在事情と実行行為に直接的結び付きはなく異常性が高い。しかし、①行為時において、介在事情が生じる客観的事情があり、かつ②実行行為により生まれた危険状況下、かかる介在事情が生じれば、結果が発生する高度の蓋然性がある場合には、実行行為の危険性が現実化したものと認められる。あ:よって、…という結果は、…(実行行為)の結果が現実化したものと認められる。」
●注意:「異常性」は、相当因果関係説的な予見可能性ではなく、実行行為との関係性の高低。
●参考:不作為の因果関係は「十中八九」でも良い。行為時の事情として、結果回避可能性がなければ、因果関係がないとする。行為後の介在事情は、危険の現実化の話。

(故意)
第三十八条 罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない
2 重い罪に当たるべき行為をしたのに、行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった者は、その重い罪によって処断することはできない。
3 法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。ただし、情状により、その刑を減軽することができる。

意味の認識(AB)

●問題:規範的構成要件要素(裁判官の規範的な評価が必要)
●論点:故意責任の本質(規範に直面し、反対動機を形成(●ポイント。これが入っていればショート可能)しえたにも関わらず、敢て実行行為に及んだ点への法的非難)
●結論:とすれば、故意が認められるためには、反対動機形成可能な程度の事実認識が必要。
●帰結:規範的構成要件要素については、社会的事実関係について、一般人同様の意味の認識があれば、反対動機の形成が可能。
●補足:例えば、「わいせつではない」と考えていれば、違法性の意識の話へ。

故意(ヘルマンの概括的故意)(A)

●問題:「種」の認識はないが、「類」の認識はある。
●論点:故意責任の本質
●帰結:とすれば、故意責任を問うには、反対動機の形成が可能な程度の事実認識が必要、かつそれで十分。
●要件:そこで、厳格な法規制の対象たる「身体に有害で違法な薬物『類』」との認識があれば、実際に所持していた薬物を特に除外する旨の積極的な認識がない限り、
●理由:規範に直面しているといえ、
●結論:故意肯定。
●判例:最高裁H.2.2.9
●補足:意味の認識の問題。錯誤の以前の問題。
●検討:不要かも。

故意(具体的事実の錯誤)(A)

●前提:①相当因果関係、②未必の故意なし。と認定。
●問題:故意(「罪を犯す意思」(38条1項本文))が認められるか。
●論点:故意責任の本質
●理由:そして、規範は構成要件の形式で与えられている。
●結論(法定的符合説):よって、発生事実と認識事実とが同一構成要件内で符合していれば、故意責任を問いうる。

故意(個数)(A)

●前提:法定的符合説(構成要件は故意の個数を問題としていない)
●問題:2以上の客体に結果が生じた場合、いずれに対する故意犯が成立するかが不明。
●理由:科刑上一罪(観点的競合(54条1項前段))として処理すれば不合理ではない。
●結論:よって、結果が発生した客体の数だけ故意犯が成立。

故意(ウェーバーの概括的故意)(AB)

●問題:意図した結果を実現しつつ、未遂+過失は妥当ではない。
●前提:客観的相当因果関係あり。
●処理:第一行為→因果関係の錯誤→故意あり

故意(因果関係の錯誤)(AB)

●前提:客観的因果関係を認定
●論点:法定的符合説
●要件:とすれば、行為者の予見した因果経路が危険の現実化の範囲内である限り
●結論:故意は認められる。
●判例:危険の現実化説の下、因果関係の錯誤の判例は出ていない、らしい。●認識:上記で足りる(一応のウラあり)。
●参考:認識不要説(否定されると未遂になるから等と)もあるが、否定されることがまずないからOK。

故意(抽象的事実の錯誤((客観面(重い罪)・主観面(軽い罪)))(A)

●前提:重い罪の客観面を認定
●問題:重い罪には問えない一方、軽い罪の成否不明(38条2項)
●論点:錯誤(法定的符合説)
●帰結(原則):認識事実と発生事実とが異なる構成要件に渡る場合、原則として、発生事実の故意なし。
●要件:もっとも、構成要件間に保護法益・行為態様の点で実質的な重なり合いがあれば、
●理由:規範に直面していると言え、
●結論:故意が認められる。
●参考:軽い罪を犯す主観はあるため、厳密には錯誤の問題ではなく、主観に対応する客観的構成要件該当性の問題、という理解もあるが。

故意(抽象的事実の錯誤(客観面(軽い罪)・主観面(重い罪)))(A)

●前提:軽い罪の客観面を認定
●問題:38条2項は規定していない。
●論点:錯誤(法定的符合説)
●帰結(原則):認識事実と発生事実とが異なる構成要件に渡る場合、原則として、発生事実の故意なし。
●要件:もっとも、構成要件間に保護法益・行為態様の点で実質的な重なり合いがあれば、
●理由:規範に直面していると言え、
●結論:故意が認められる。
●判例:麻薬・覚せい剤(最高裁詳細61年6月9日)
●補足:純粋な錯誤の問題
●補足:不能犯との関係(客体の錯誤の場合に問題):人と思って撃ったが遺体だった場合、実行行為段階で、殺人未遂罪(203条・199条)。主観も踏まえた評価を経ており、錯誤にならない(なるなら死体損壊罪(190条)となるが。)。

過失犯(体系的地位)(A)

●注意:「事案の解決に必要な限度で完結に自らの考えを明らかに」すれば必要十分(下記対立も不要な模様)。具体的な注意義務の特定こそがポイントなので。
●理由:現代社会においては、危険を予見しうるものの社会的に有益な行為を認める必要性がある。
●結論:よって、構成要件的過失は、主観的予見可能性のみを以って認められることは妥当ではなく、行為の一部と位置付けるべきと解される。
●要件:一般人を基準とした予見可能性を前提に、結果回避義務違反(客観的過失)がある場合に限り、
●結論:構成要件的過失が認められると解される。●方針:結果回避可能性は義務違反の中で、なければ義務違反否定。不作為犯同様、因果関係で切る方法もあるが。過失なんで。構成要件段階でシッカリ。
●方針:「危険を有するが社会的に有益な行為について、主観的予見可能性ではなく」程度は書き、要件へ。
●端的:「注意を怠り」(211条2項):危険だが社会的に有用な行為を承認すべく、客観的な注意義務違反、即ち一般人を基準とした予見可能性を前提とした結果回避義務違反。
●フレーズ:「…は、…(予見可能性を基礎付ける事実関係)の場合、…すべき注意義務(結果回避義務)があるのに、漫然これを怠り、…した過失(違反行為)により(因果関係)、…の結果を発生させた。」
●方針:各行為者の過失を検討した後、過失の共同正犯についても検討。

予見可能性(対象)(A)

●問題:具体的認識の程度
●理由:この点、予見可能性は結果回避義務を導くものであることから、一般人を結果回避へ動機付ける程度の具体的予見可能性があれば必要十分。
●要件(有力説):そこで、実際発生した結果と予見内容とが構成要件の範囲内で符合していれば、
●結論:予見可能性は認められると解される。
●疑問:客観・主観同時検討?、法定的符合説?

予見可能性(因果経過)(A)

●論点:予見可能性の対象
●展開:具体的には、因果関係の基本的部分についての具体的予見可能性で足りる。

信頼の原則(A)

●要点:信頼が相当か?
●論点:構成要件的過失(新過失論)
●要件:そこで、当該行為が社会的に有用で、他人の適切な行動に対する信頼が存在し、その信頼が具体的状況の下、社会的に相当であれば、
●理由:結果回避義務が否定され、
●結論:過失(客観的注意義務違反)はないと解される。

監督過失(A)

●論点1:信頼の原則
●結論:適用あり。
●理由:そう解さないと、上司は、部下のほとんど想像の域にとどまるような不適切な行動も予定して安全監督体制を組まねばならず、事実上結果責任となる。
●論点2:因果関係の予測可能性
●補足:過失の共同正犯を否定した場合の問題

違法性

違法性の実質(A)

●注意:前提として確認する程度(要件が重要)
●理由:刑法の目的:法益保護、及び社会倫理秩序維持
●結論:とすれば(●検討)、違法性の実質は社会倫理規範違反の法益侵害・その危険
●帰結:そこで、その有無判断にさいしては、法益侵害の点に加え、行為態様の社会的相当性をも加味すべきと解される。
●論証:「違法性の本質は、社会倫理規範に反する法益侵害であることから、行為が社会的相当性があれば、違法性が阻却されると解される。」

危険の引受け(AB)

●問題:発生した結果自体については、明確な同意が無い。しかし、危険(当該結果に至らない程度の結果)の引受けはある。
●理由:行為者の具体的な行為態様が、当該行為に係るルールの枠内に収まっている限りにおいて、社会的相当性が認められる
●結論:違法性阻却

被害者の承諾(1)(AB)

●前提:構成要件該当性を認定
●論点:違法性の実質
●結論:明文ないことから35条でカバー。
●補足:35条の要件検討へ。

被害者の承諾(2)(AB)

●要件:①要件承諾可能な法益、②有効な承諾(真意に沿うか否か)、③行為時に存在(以上3点は客観的要件)、④外部表明(黙示可)、⑤それを行為者が認識、⑥
基づく行為が社会的に相当(動機、目的、手段、結果等を総合考慮)
●参考:⑤の認識がない場合、構成要件要件的故意(錯誤)の問題へ(同意殺人)。
●判例(最判昭和55年11月13日):傷害罪の場合の考慮要素「承諾を得た動機、目的、身体傷害の手段、方法、損傷の部位、程度など諸般の事情」を考慮
●補足:「動機」は、行為者の動機(行為無価値)。●認識:被害者側の動機は、考慮するとしても、「など諸般の事情」。

自救行為(AB)

●前提:侵害終了。正当防衛(36条1項)・緊急避難(37条1項本文)不成立。
●問題:法律上の手続を踏む時間等なし。
●理由:社会的相当性があれば、正当行為(35条)として、
●結論:可能
●理由:もっとも、自救行為の横行の防止は必要
●結論:そこで、必要性、緊急性(直後でなくとも可)、相当性(補充性・法益権衡)、自救意思(行為無価値)
●認識:急迫性がなく、誤想防衛が否定される場合、誤想自救行為を要検討。

義務の衝突・専断的治療行為・自救行為(B)

●問題:緊急避難と異なり、受忍不能。35条。
●理由:違法性の本質
●結論:社会的相当性。具体的には、同等以上の価値を有する義務を履行した場合には違法性阻却。

●問題:専断的治療行為
●理由:違法性の本質
●結論・要件:社会的相当性。具体的には、①治療目的、②医学上一般に承認された方法を用いて、③患者の自己決定権を重視し、その同意又は推定的承諾の下。●参考:資格関係なし。
●問題:推定的同意
●結論:被害者の承諾同様。だが、真意の推測が困難なら、社会通念上合理的な推測で足りる。事後否認せず。社会的相当と。●これすらないと専断的。

●問題:自救行為
●理由:違法性の本質
●結論:要件:①権利侵害、②緊急性、③必要性、④相当性(補充性・法益権衡等も)

(正当防衛)
第三十六条 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するためやむを得ずにした行為は、罰しない。
2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる

正当防衛(本質)(A)

●問題:「罰しない」(36条1項)の解釈
●論点:違法性の実質
●帰結:社会的相当性を有する行為は違法性阻却(●検討)
●帰結:正当防衛も法益侵害に対する「法の自己保全」として社会的相当性があり、
●結論:違法性は阻却される。
●補足:自招防衛・正当行為等の前提として。

急迫性(AB)

●定義:法益侵害の危険が現存し又は差し迫っていること。
●基準:文字通り客観的に判断(行為者の意思は考慮せず)
●比較:積極的加害意思あれば、防衛の意思を欠く。
●判例:「急迫」性を欠く(主観考慮可能としている)
●参考:窃盗の既遂時期と急迫性の有無とは必ずしも一致しない。

対物防衛(正当防衛説)(A)

●問題:「不正の侵害」(36条1項)は人によるものでは?
●理由:動物による侵害の場合、37条1項本文の厳格な要件によるのみでは、法益保護が不十分。物に対する反撃につき正当防衛を認めることが相当。また、「不正」(36条1項)とは、犯罪成立要件における違法性とは異なり、一般的法的観点における違法性と解されうる。
●結論:よって、動物による侵害も「不正」(36条1項)に該当すると解される。
●前提:器物損壊等(261条)の構成要件該当性を肯定。

防衛の意思(要否・内容)(A)

●問題:「防衛するため」(36条1項)
●論点:正当防衛の本質
●展開:この社会的相当性は、行為者の主観をも加味して判断。
●帰結:よって、その一環として、主観的正当化要素としての防衛の意思が必要と解される。
●理由:そして、正当防衛は、緊急状況において、反射的・本能的に行われることから、
●内容:その内容は、①急迫不正の侵害を認識しつつ、②それを避けようとする単純な心理状態と解される。

「やむを得ずにした」(相当性)(A)

●条文:「やむを得ずにした行為」
●理由:違法性の本質
●結論:必要性と相当性
●展開:「必要性」は、何らかの防衛行為に出る必要性で足りる(●重要。参考:緊急避難(補充性))
●補足:必要性については、「防衛するため」の判断とほぼ重なる。より重要なのは相当性。
●展開:「相当性」は、侵害行為と防衛行為の比較(行為態様(武器対等が原則)の最小限度性)。(緊急避難は明文で要求する)法益権衡も考慮。行為・結果の総合判断。●理解:表現としては、「…という結果を生じるような行為なので」等、行為についての表現とする。でOK。
●補足:補充性は要件ではない。緊急避難と異なる。

防衛行為の結果が誤った客体に生じた場合(A)

●前提:構成要件的行為あり(法定的符合説・●数故意犯説)
●理由:正当防衛行為が、結果として違法(誤想防衛等)となることは妥当でない。また、防衛の意思は避難の意思をも含むと解される。
●結論(通説):よって、防衛者につき、緊急避難(37条1項)を検討すべき。
●補足:要件検討後、場合により過剰防衛(37条1項ただし書)を検討。
●裁判例:誤想防衛(大阪高判H.14.9.4)も有力。

侵害行為に利用された第三者の物(AB)

●理由:第三者の物が用いられたことは、防衛者側の事情ではない。その物は、不正な侵害行為の一部(●重要)。
●結論:よって、正当防衛成立(36条1項)
●補足:第三者の物を使って反撃した場合(37条1項)

自招侵害(AB)

●前提:形式的要件の充足を認定。
●論点:違法性の実質
●結論:社会的相当性で判断(例:過失による自招なら相当性肯定等)
●要素:①先行行為が不正行為か、②時間的・場所的接着性・一体性、③侵害行為と先行行為との程度の比較
●補足:自招危難も同様。

過剰防衛(刑の任意的減免の根拠)(AB)

●理由:急迫不正の侵害に直面すると、恐怖(●・驚愕・興奮)・狼狽し、多少の行き過ぎは犯しがち。
●結論:よって、行為者を強く非難できない(責任減少)と解される。
●補足:①第2行為自体が正当防衛か(侵害の継続性(加害意欲の程度(主観)、及び攻撃再開の可能性(客観)を考慮))、②防衛行為の一体性(侵害終了なら量的過剰。なお、継続なら質的過剰(第2行為の相当性というシンプル問題)。)を検討する。量的過剰でも一体的に過剰防衛とするのは、責任避難の減少という趣旨から。よって、防衛の意思の継続性が最も大切な基準。補充的に時間的・場所的接着性を考慮。
●判例:最決平成20年6月25日①
●補足:量的過剰を認める方が、第2行為に犯罪が成立する方が量刑軽し、という逆転現象あり。ただ、有利な情状として考慮すれば足りる(最高裁)。例:傷害致死罪の過剰防衛v.s.傷害致死罪・正当防衛及び傷害罪

(緊急避難)
第三十七条 自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難避けるためやむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただしその程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる
2 前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。

緊急避難(本質)(A)

●問題:「罰しない」(37条本文)
●理由:①37条1項が要求する法益の権衡は、違法性の段階での検討に相応しい。また、②37条1項は「他人の」ための避難行為をも認めており、期待可能性を欠き責任阻却されるとの説明は困難。
●結論:そこで、緊急避難は違法性阻却事由であり、法の自己保全として、行為の社会的相当性を吟味すべきと解される。
●補足:自招危難の場合、要件あてはめの後、社会的相当性を検討。
(●参考:(1)過失行為にも避難の医師あり?(構成要件の問題)、(2)結果回避可能性と補充性は矛盾しない?(違法性の問題))小論点2つ。

●「現在の危難」:正当防衛と同様
●「避けるため」:正当防衛と同様
●「やむを得ずにした」:他に方法がないこと(補充性)(最判S24.5.18)
●「その程度を超えた行為」:「その行為により生じた害が避けようとした害を超えた場合」(大阪高判H.10.6.24)。

(心神喪失及び心神耗弱)
第三十九条 心神喪失者の行為は、罰しない
2 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する

原因において自由な行為(A)

●定義:「心神喪失」:事理弁識能力又は行動制御能力がない状態(大判)
●定義:「心神耗弱」:事理弁識能力又は行動制御能力が著しく減退した状態(判例なし?)

●問題:行為時には心神喪失し、責任能力が存在しない(39条1項)ため、必要的免除。
●価値判断:自己を殊更に心神喪失とした者も「罰しない」ことは妥当ではない。
●論点:故意責任の本質
●展開:他方、責任能力が要求されるのは、その下での意思決定について非難可能なため。
●結論:よって、結果行為時に責任無能力であっても、それが原因行為時の責任能力ある意思決定の実現結果であれば、非難可能であり責任を問うことができる。
●要件:具体的には、①原因行為と結果行為に因果関係があり、かつ②原因行為から結果行為まで故意が連続している場合には、39条1項の適用はなく、故意責任を問えると解される。
●補足:「行為と責任の『同時存在』の原則」を修正している。
●補足:心神耗弱の場合でも同様
●私見:この説では、責任能力(存在時点)の問題であり、実行行為性自体の問題ではない(実行行為性は社会通念に基づく。それでは不都合なので専門的・理論的に修正。)。

原因において自由な行為(故意)(AB)

●論点:原因において自由な行為
●結論:よって、必要ないと解される。
●補足:途中から心身喪失・耗弱になった場合(●検討)

(故意)
第三十八条 罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
2 重い罪に当たるべき行為をしたのに、行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった者は、その重い罪によって処断することはできない。
3 法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。ただし、情状により、その刑を減軽することができる。

誤想防衛(A)

●前提:侵害なし。36条1項は適用なし。
●問題:誤信があるため、責任故意はないか?
●論点:故意責任の本質
●帰結:反対動機の形成可能な程度の事実、即ち違法性を基礎付ける事実の認識が必要。
●結論:それがない以上、反対動機形成できず、責任故意なし。
●私見:(構成要件的ではない)事実の錯誤
●補足:他要件は全て充足している必要がある。
●補足:過剰事実について認識ない(過失の過剰防衛(侵害あり。過剰性認識なし。)の場合も同様。
●補足:誤想過剰防衛(二重)(侵害ありと誤信。過剰性認識なし。)の場合も同様。
●補足:錯誤に過失があれば過失犯。36条2項は、普通に適用して良い。

誤想過剰防衛(狭義)(1)(A)

●前提:侵害なし。36条1項は適用なし。
●問題:急迫不正の侵害の存在は誤信。しかし、過剰性の認識はある。
●理由:誤想防衛・行為の過剰性を認識している以上、行為の違法性を基礎付ける事実の認識ありと言える。
●結論:故意責任は阻却されない。

誤想過剰防衛(狭義)(2)(A)

●問題:36条2項準用の可否
●論点:過剰防衛(36条2項):刑の任意的減免の根拠(AB)
●帰結:この点、誤想過剰防衛の場合にも同じく妥当する(●主観面は同じ)。
●結論:よって、準用肯定
●調整:もっとも、過剰性の認識がない誤想防衛であっても、過失犯(過失傷害罪(209条1項)等)は成立するため、それよりも刑を軽くすることはすべきではない。
●結論:そこで、刑の免除までは認められず、任意的減軽に限定されると解される。

(故意)
第三十八条 罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
2 重い罪に当たるべき行為をしたのに、行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった者は、その重い罪によって処断することはできない。
3 法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。ただし、情状により、その刑を減軽することができる。

違法性の意識(制限故意説)(A)

●前提:責任故意は、違法性を基礎付ける事実の認識(構成要件的故意は、構成要件該当事実の認識)
●問題:故意の要件として必要か。
●論点:故意責任の本質
●帰結:規範に直面し、正しく理解しえたにも関わらず誤った理解をした場合も、規範に無関心な人格態度という点で同じく非難可能(●検討:過失では?根本性?行為ベースでは?)
●結論:違法性の意識の可能性が、故意の要件であると解される。
●補足:「法律を知らなかった」(38条3項本文)は、違法性の意識の可能性はあったが意識しなかった場合。
●検討:解釈論としての妥当性
●私見:違法性の意識自体は条文に出てこない。要件ではないので。

違法性の意識(可能性ない場合)(AB)

●論点:違法性の意識(制限故意説)
●要件(判例):違法性の意識を欠いたことにつき、相当の理由があれば、
●結論:故意阻却。
●事例:具体的には、行為の違法性につき検討する機会が他にないと考えられる場合には、相当の理由ありと解される(例:裁判所の確定判決、行政官庁の公式見解等)。
●確認:相当の理由があれば「情状」(同条ただし書)として考慮、では?

(未遂減免)
第四十三条 犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する

実行の着手時期(A)

●前提:未遂を論じる前提として、認定する必要がある。

●問題:結果不発生の場合に未遂となるか、予備にとどまるか、の問題。
●理由:未遂の処罰根拠(構成要件的結果発生の現実的危険を惹起する点にある)
●結論:かかる具体的危険を有する行為の開始時点で着手が認められる。
●補足:侵入先が、単なる住居(殺人等もあり)か、店舗・土蔵・倉庫(財物保管メイン)か、にもよる。

●展開:間接正犯
●理由:被利用者の行為は利用行為の因果経過に過ぎず。
●結論:利用者自身の行為開始時に危険惹起あり、着手あり。

●展開:不作為犯
●結論:(1)既に危険発生(危険認識時)、(2)不作為により危険発生(危険発生時)

中止未遂(法的性格)(A)

●問題:必要的減免(43条ただし書)の根拠
●趣旨:自発的に中止を決意し、真摯に結果発生防止行為に及んだことから、非難可能性が減少するためと解される。

中止未遂(「自己の意思により」)(A)

●論点:中止未遂(法的性格)
●結論:よって、「自己の意思により」とは、非難可能性が減少する場合、即ち行為者が自由な意思決定により中止行為をする場合をいうと解される。
●補足:行為者の主観面での犯行継続可能性(判例の理解に争いあるも客観は関係なしでOK)
●認識:主観的には、やろうと思えばできたが、ということ。

中止未遂(「中止した」)(実行行為の終了時期)(B)

●論点:中止未遂(法的性格)
●帰結:よって、実行行為終了前(着手未遂)は、実行放棄で足りる。
●帰結:それに対し、実行行為終了後(実行未遂)は、結果発生阻止のための真摯な努力を要すると解される。
●基準:そして、実行行為は行為者の外形的行為と意思とからなるため、実行行為の終了時期は、実行行為継続の客観的な必要性・可能性があり、かつそれを行為者が認識していたか否か、により判断されると解される。
●認識:共犯関係の解消(前、は勿論、後についても)とは別の話。後の場合、中止して、かつ解消する必要があるのが原則であり、因果性遮断がポイントとなる点において実質同内容。経緯としては、結果発生してしまった場合の議論として出てきた。らしい。

中止未遂(中止行為と結果との因果関係)(B)

●問題:中止関係との因果関係なく結果不発生
●論点:中止未遂(法的性格)
●結論:中止行為自体により責任は減するため、因果関係は不要と解される(判例)。
●補足:結果発生した場合(43条の適用なし)

中止未遂(予備)(AB)

●問題:「実行に着手」前なので、43条の適用はない。
●論点:中止未遂(法的性格)
●展開:予備の中止であっても、非難可能性は減少する。
●理由:また、予備の中止が認められなければ、強盗予備(237条、236条)の場合、予備に止まれば刑が免除されない一方、着手してから中止すれば免除されることとなり、刑の不均衡が生じる。
●結論:そこで、予備の中止にも43条ただし書が準用されると解される。●認識:学説の多数説
●歯止:もっとも、予備罪自体は成立している以上、予備罪の刑を更に減軽することは68条の趣旨に反しうる。
●結論:そこで、原則として、既遂犯の刑を基準とすべきと解される。
●歯止:ただ、そうすると、強盗予備(237条、236条)については、予備罪自体の刑よりも重くなるため、予備罪の刑を基準とする。●確認:免除のみ検討する、らしいが本当か。
(●検討:不均衡がない罪もあるので、「責任減少から準用」が良い、らしい。)
●参考:殺人(201条ただし書)・放火(113条ただし書)については、各条文に「情状により」との免除規定がある。●他は?
●判例:予備の中止は否定(S.C.S29.1.20G)。予備罪を挙動犯的に得理解し、直ちに既遂となると解される。cf.強盗予備は修正。

共犯

(共同正犯)
第六十条 二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

共犯(処罰根拠)(A)

●趣旨:正犯(共同正犯の場合には共犯者)の実行行為を通じ、間接的に法益侵害・その危険を惹起したこと(因果的共犯論(惹起説)の混合惹起説)。
●参考:この考え方から、教唆・幇助に際し、正犯の行為・結果の双方についての認識が必要とされる(後者は不要とする考え方もあるが)。
●参考:純粋惹起説(共犯行為独自の違法性に基づく)・修正惹起説(正犯行為の違法性のみに基づく)
●補足:教唆犯は正犯と同じ刑が科される。

共同正犯(本質)(A)

●問題:「共同して犯罪を実行」(60)
●趣旨:一部実行全部責任(「すべて正犯とする」(60条))の趣旨は、二人以上の者が、相互利用補充関係の下、(法益侵害・その危険惹起に因果性を及ぼし、●認識:因果性というKey Wordを入れるならここ。かな。)特定の構成要件を実現することに求められる。
●結論:そこで、「共同して犯罪を実行」とは、①共同実行の意思、及び②共同実行の事実を要すると解される。

●展開:そして、かかる特定の構成要件の実現として、犯罪の保護法益・行為態様等が実質的に重なり合う限度で、共同正犯の成立を認めうると解される。
●判例:最決昭和54年4月13日、最決平成17年7月4日
●理解:教唆犯・幇助犯でも同様の議論がされるのが一般らしい。●認識:法定的符合説同様の論証でOK。
●確認:部分的犯罪共同説(法定的符合説とは言わず?法定的符合説はあくまで同一構成要件内での話?原則論から書かない?)
●確認:なぜ、事実→意思、ではないのか?
●認識:教唆犯・間接正犯の話は抽象的事実の錯誤の応用
●補足:例えば、昏睡睡強盗と強盗とは、結果は強盗で変わらないが、手段が異なるので、完全な重なり合いはない。具体的事実について共謀の射程を認定し、その後、錯誤へ。

実行従属性(A)

●趣旨:共犯(処罰根拠)
●帰結:正犯が実行行為に及んで初めて可罰性が認められる(「犯罪を実行させた」(61条1項)・「正犯を」(62条1項)参照)。
●補足:あまり
●参考:ゆえに教唆の未遂(教唆したが正犯は着手せず)は否定(●確認:教唆犯の未遂、は、教唆自体が未遂?)
●参考:未遂の教唆(例の話)、未遂犯の教唆(教唆したが正犯が未遂?)

要素従属性(A)

●趣旨:共犯(処罰根拠)
●結論:よって、正犯行為につき、構成要件該当性・違法性が認められれば足りると解される。
●理由:他方、責任は、行為者に対する法的非難であり、行為者毎に個別的に判断される(重要)。また、犯罪を「実行」(61条1項)とされ、「成立」とはされていない。
●補足:あまり
●補足:「罪名従属性」(部分的犯罪共同説)も問題点。抽象的事実の錯誤の問題(法定的符合説)とは別問題。ただ、いずれの構成要件の実質的な重なり合いが基準であり、殊更に分けて論じなくてもOK。「…と…とは…の限度で故意が認められるため、…の限度で共同正犯となる。」等の論述で必要十分。

共犯(因果関係)(A)

●共同正犯:
・実行行為→(条件関係・危険の現実化)→結果

●幇助犯:
・幇助→(促進・容易)→実行行為→(条件関係・危険の現実化)→結果

●教唆犯:
・教唆→(条件関係・危険の現実化)→実行行為→(条件関係・危険の現実化)→結果

共同正犯(過失犯)(A)

●問題:いずれかの過失による結果だが、いずれの過失か不明な場合に実益。
(ただ、共同の注意義務がある場合、各自の監督過失を問えば足りる、との批判も。ただただ、刑訴法の観点から、直接的過失との択一的認定回避、及び公訴時効停止(刑訴法254条2項参照)のメリットあり、との反論も。●方針:無視)
●趣旨:共同正犯(本質)
●展開:実行行為(客観的注意義務違反)が観念でき、それを共同にすることは可能(共同実行の事実)。
●結論:もっとも、例外である過失犯の処罰(38条1項ただし書)を限定すべく、①共同の注意義務につき、②共同して違反。
●展開:具体的には、①高度の危険ある行為に際し、②結果防止に向け共同の注意義務を負い、③共同者が同一の法的地位に立つ場合をいう。
●結論:共同実行を共同にする心情があれば足りる(共同実行の意思)。
●結論:肯定
●補足(あまり):厳密には予見可能性→回避義務違反だが。
●判例:最決平成28年7月12日③(初めて「共同の業務上の注意義務に共同して違反」と述べた。)

共同正犯(結果的加重犯)(A)

●前提:傷害罪の共同正犯(60条、209条)成立
●問題:結果的加重犯の本質と関連し問題。
●趣旨:結果的加重犯が重く処罰されるのは、基本犯の行為に重い結果発生の高度の類型的危険性が含まれるため
●展開:とすれば、基本犯の行為と重い結果との間に相当因果関係さえあれば、重い結果につき責任を問うことも責任主義に反しない。
●結論:よって、その場合には、結果的加重犯の共同正犯が認められると解される。

共同正犯(片面的)(B)

●趣旨:共同正犯(本質)
●展開:共同実行の意思が認められず、共同正犯成立せず。
●補足:片面的教唆・幇助を検討

承継的共同正犯(強盗・恐喝・詐欺等)(A)

●問題:暴行自体には関与していない。
●趣旨:共同正犯(本質)
●展開:よって、後行者は、関与後の罪責のみ(原則)●理解:処罰根拠としての共犯の因果性を重視
●理由:しかし、後行者が、先行者の実行行為及び結果(例:犯行抑圧、畏怖、錯誤等)を、自己の犯罪行為の手段として積極的に利用する意思の下に利用した場合(●重要)には、相互利用補充関係が肯定できる。
●結論:よって、例外的に後行者も関与前の行為につき罪責を負うと解される。●理解:殺害後に奪取意思が生じても強盗殺人にならず。「乗じ」系の178条類似規定なし。因果的共犯論を徹底し否定、も学説では有力。
●例示:強盗罪(詐欺・恐喝も)の場合、後行者が、先行者の財物奪取意思に基づいて行われた暴行・脅迫、及びそれにより作出された被害者の反抗抑圧状態を、自己の犯罪行為の手段として積極的に利用する意思(●これがなければ強盗の機会なし?)の下に財物奪取した場合

承継的共同正犯(強盗殺人)(A)

●理由:殺人行為を共同実行したとは評価できない(十分)。
●結論:強盗罪の範囲で共同正犯

●参考
●事例:暴行の結果としての傷害結果が、先行者によるものか、後行者によるものか、因果関係不明の場合
●注意:先行者が傷害罪となることは明確。後行者についての話。その点、明示的に論述すること。
●問題:207条は承継的共同正犯が否定された場合にも適用されるか(AB)
●結論:肯定(因果関係不明である点に変わりない。共犯関係ある場合にはなおさら趣旨妥当。「…知ることができないとき」にあたる。)●B
●結論:否定(結果を帰責する者がいない場合の規定に過ぎない。)
●判例:最高裁判例なし

共謀共同正犯(A)

●注意:事前共謀・(もしあれば)現場共謀、両方認定する。承継的共同正犯で補充される場合もある。
●問題:実行行為を担わない者(典型:①共謀あり、②一人は実行行為。cf.現場共謀(後述))
●前提:価値判断
●趣旨:共同正犯(本質)
●理由:よって、相互利用補充関係にある以上、①共謀、②共謀者の一部による基づく実行行為、及び③正犯意思があれば、
●結論:実行行為を分担しなくとも、正犯となると解される(包括的正犯説)。
●補足:①共謀:できるだけ具体的に事実・行為特定すると後のズレ処理が楽。③正犯意思:犯罪の性質、動機、共犯者間の関係性、関与形態(役割・行為)、前後状況(取り分等)
●処理:①共謀の射程(具体的事案での比較)(客観)→②錯誤論(法定的符合説)(主観)。●理解:①は共犯の解消・離脱と同じ問題。因果性がなくなるOR積極的遮断かの違いだけ。●方針:①は無視でOK(②に当然包含)。
●展開:共謀の射程は、犯行の日時・場所・行為態様・侵害法益・被害者・主観的意図(動機・目的等)等について、重大な食い違いがあるかを確認。付随的に、実行行為者の行動制約状況の有無や主導的役割を果たした者は?、等の要素も考慮。
●補足:一言。現場共謀であっても認定する。
●補足:Longはないが、Middleの場合、①人的関係、②役割、③報酬、④主観、⑤動機等を書く。あ中でOK
●認識:「現場共謀」の場合、普通に共同正犯で良い。が、共謀の認定をシッカリ。実質的には、「共同実行の意思」の認定(共同実行の事実は、不作為等により認定可能。現場にいるのだから。)。
●補足:正犯意思なければ教唆(判例)
●補足:共謀には法定符合説的な発想なし。自由保障機能から。故意とは異なる。

共同正犯(過剰防衛)(A)

事例:共同正犯(60条、199条)。反撃あり。一方(積極的加害意思あり)・他方(なし・過剰防衛行為)。一方に36条2項適用?

●前提:他方には過剰防衛が成立する。

●問題:まず、一方自身に過剰防衛が成立するか
●理由:この点、積極的加害意思がある場合、防衛の意思がないので、一方は防衛の意思を欠く。また、防衛の意思は主観的正当化要素であり、行為者毎に個別的に検討すべきものであるから、他方の防衛の意思は一方には影響しない。
●結論:よって、過剰防衛の成立要件中、防衛の意思を欠き、一方自身には過剰防衛は成立しない。
●補足:一方の防衛の意思の欠如(積極的加害意思)は、主観的要素であり、行為者毎に個別的に検討すべきもの。他方には影響しない。他方には過剰防衛成立。

●問題:別途、他方の過剰防衛の効果が一方に対し及ばないか
●理由:この点、過剰防衛の刑の減免の根拠は、主観的要素にあり、行為者毎に個別的に検討すべきものであるので、他の共犯者に影響を与えない。
●結論:よって、他方の過剰防衛の効果は一方には及ばない。したがって、一方には36条2項は適用されない。

●判例:フィリピンパブ事件(最決平成4年6月5日②)も結論同旨。ただし、防衛の意思ではなく、急迫性の話とした(●認識:判例の傾向からは当然。)。

●補足:A(正当防衛肯定)・B(正当防衛否定)の場合も、各々の検討と影響の検討を区別。
・後者も阻却がスジ。逆も十分あり(違法阻却が連帯、ではない)。●検討:前提の扱いに合わせ、スジ通り。
・ただし、単独犯としては別途検討(共謀のみなら別論)。実行行為をしていれば、その部分について。

●補足:現場共謀:狭くなりがち。事前共謀:広くなりがち。とも考えられる。

他人予備(A)

●問題:「予備」
●趣旨:予備罪は、行為の早期当罰性の観点から、構成要件を時間面に限り修正したもの。
●結論:よって、他人予備は「予備」に含まれないと解される。
●補足:一言
●補足:予備と共犯・身分の前提論点

共同正犯(予備罪)(A)

●問題:「実行」(60条)
●理由:予備も構成要件化されており、実行行為を観念できる。
●結論:よって、予備行為も「実行」(60条)に含まれると解される。
●補足:「実行」(43条)とは異なる意味
●補足:予備罪の教唆犯(「実行」(61条1項))・幇助犯(「正犯」(62条1項))も肯定。同様の論理にて。

(教唆)
第六十一条 人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
2 教唆者教唆した者についても、前項と同様とする。

未遂の教唆(A)

●定義:教唆とは、他人を唆して犯罪行為を決意させること。●注意:教唆の故意も必要
●前提:教唆行為の客観面を認定

●問題:教唆の故意が認められるか。
●根拠:共犯の処罰根拠(因果的共犯論・混合惹起説)
●展開:とすれば、教唆時の主観としては、実行行為に出ることの認識で十分。
●結論:よって、未遂の教唆にも故意が認められると解される。

未遂の教唆(錯誤)(A)

●問題:予期に反し重い結果発生
●論点:未遂の教唆
●歯止:しかし、責任主義(38条2項)から、既遂犯の教唆の罪責は問えない。
●論点:法定的符合説
●結論:よって、未遂の教唆犯は成立。
●確認:未遂犯の教唆、と同じ範囲で成立、ということ?

(幇助)
第六十二条 正犯をほう した者は、従犯とする。
2 従犯教唆した者には、従犯の刑を科する。

(従犯減軽)
第六十三条 従犯の刑は、正犯の刑を減軽する。

従犯(不作為)(AB)

●定義:幇助とは、実行行為以外の行為により、正犯による犯罪実行を容易にする行為。●注意:幇助の故意も必要
●展開:そして、それは不作為によっても可能であることから、不作為による従犯も肯定されると解される。
●歯止:ただし、処罰範囲の拡大を防ぐべく、①作為義務、②作為の可能性・容易性を要件とする。
●補足:幇助については、本来的に不作為が予定されているため、上記①②は政策的な要件

幇助(片面的)(AB)

●定義:幇助
●展開:そして、それは正犯側の認識がなくとも可能。
●結論:よって、原則として肯定。
●歯止:ただし、精神的幇助の場合には、その性質上、正犯の認識を要するため、片面的幇助は否定。

幇助(因果性)(A)

●趣旨:共犯(処罰根拠)
●展開:正犯が実行に着手すれば、かかる危険性は認められる。
●帰結:幇助行為と正犯の実行行為との間に因果性があれば足りる。
●定義:幇助
●帰結:よって、実行行為を物理的・心理的に容易にすれば足りる(条件関係までは不要)と解される。
●認識:間接幇助もこの問題として検討すれば足りる。

(身分犯の共犯)
第六十五条 犯人の身分によって構成すべき犯罪行為に加功したときは、身分のない者であっても、共犯とする。
2 身分によって特に刑の軽重があるときは、身分のない者には通常の刑を科する。

共犯(身分)(A)

●定義:一定の犯罪行為に関する犯人の人的関係である特殊の地位又は状態(最判昭和27年9月19日)
●問題:連帯性(65条1項)と個別性(65条2項)
●理由:文言上、身分により「構成すべき犯罪」は真正身分犯、「特に刑の軽重あるとき」は不真正身分犯と解するのが自然。
●結論:よって、1項は前者につき、2項は後者につき、成立と科刑を規定したものと解される。
●判例:最判昭和31年5月24日等
●問題:身分者が非身分者に加巧:正犯共犯各々に身分に応じた犯罪・科刑を認める趣旨(参考:消極的身分は不要)。よって、65条2項肯定。
●注意:共同正犯・教唆・幇助が肯定されて、その後に処理される問題。本条により、身分なき者が身分ある者になるわけではない。

「共犯」(65条1項)(A)

●問題:実行行為の分担はありえず、共同正犯は含まれないのではないか。
●理由:身分のない者も身分ある者の行為を利用することにより法益侵害は可能
●結論:よって、「共犯」(65条1項)には共同正犯も含まれると解される。

身分犯(業務上横領)(A)

●問題:業務上の占有者は、真正身分か、不真正身分か。
●理由:横領罪は、占有者のみ処罰する点では真正身分犯(65条1項)である一方、業務上の場合に刑が加重されている点では不真正身分犯(65条2項)であるので、両観点からの複合的身分犯と言える。
●結論:非占有者には単純横領罪(65条1項・2項、252条1項)が成立し、その限度で共同正犯(60条)となる。●部分的犯罪共同説●検討:軽く書く?
●判例(最判昭和32年11月19日):単純横領(65条2項)が成立。処断刑は単純横領(252条1項)を基準。とする。
(判例の解釈としては。「業務上の占有者」という身分を措定した。が、単純占有者が業務上占有者の横領に関与した場合との比較上、結論の妥当性に問題があるため。と。)
●基本:業務上横領が出たら身分犯を検討。
●参考:司法平成27年(共謀後に業務上占有者の身分を失ったケース):実行行為は窃盗。業務上の占有者は二重身分。共謀者の認識は単純横領。単純横領(38条2項)。で。業務上横領ではなく、窃盗罪になる場合、窃盗罪(軽い)となる(10条)。それに対し、業務上横領罪の場合、横領罪(重い)となる。不均衡、という問題意識がある、らしい。

(故意)
第三十八条 罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
2 重い罪に当たるべき行為をしたのに、行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった者は、その重い罪によって処断することはできない。
3 法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。ただし、情状により、その刑を減軽することができる。

錯誤(客観面:教唆、主観面:間接正犯)(A)

●前提:間接正犯は不成立(道具性なし)●「臨機応変」な対応をしている(判例の表現、らしい)
●問題:教唆犯は成立するか。
●論点:法定的符合説
●理由:そして、間接正犯の故意は他人を道具として利用し自らの犯罪を実現する意思であるから、実質的な非難可能性の観点からは、他人を唆して間接的に犯罪を実現する教唆犯の故意の範囲では、間接正犯の故意は教唆犯の故意を包摂するといえる(重要)。
●展開:よって、故意が認められ、教唆版が成立する。
●補足:実行の着手時期(この論点の場合、要検討となる)につき、利用者標準説に依った場合には、間接正犯の未遂も成立し、観念的競合となる
●認識:保護法益・行為態様のうち、行為態様を重視して重なり合いを認めている?
●注意:当然ながら、保護法益・行為態様の重なりについて、あてはめる。

錯誤(客観面:間接正犯、主観面:教唆)(A)

●前提:間接正犯不成立(38条2項)
●問題:教唆犯は成立するか。
●理由:間接正犯の客観的な結果は、法益侵害の危険性の程度において(重要)教唆を上回るため、教唆の結果をも含むと評価しうる。
●結論:よって、教唆版が成立する(通説)。
●補足:実行従属性に反する(正犯なき共犯)?難しい。(●検討:「被」利用者標準説なら、間接正犯の意思で教唆と同様、らしい)
●認識:保護法益・行為態様のうち、保護法益(その侵害の危険)を重視して重なり合いを認めている?

途中知情(AB)

●前提:間接正犯の実行の着手あり
●論点:因果関係(行為後の特殊事情)
●結論:よって、未遂罪が成立(仮に因果関係が肯定されれば、因果関係の錯誤)
●補足:間接正犯の意思で教唆した場合との違いは?難しい。

解消(着手前)(A)

●前提:共謀共同正犯肯定
●趣旨:共同正犯(本質)
●帰結:共犯者間での物理的・心理的因果性(●重要:共犯の処罰根拠・因果的共犯論)を切断すれば、相互利用補充関係がなくなったと評価できる(●ここまで「着手後」と共通)。
●展開:具体的には、離脱者が、①離脱の意思を表明し、②他の共犯者が了承すれば、離脱ありと認められる。
●歯止:ただし、離脱者が首謀者であった場合、凶器等を供与していた場合等には、それらの影響を除去しなければ、離脱は認められない。
●判例:最決平成21年6月30日
●補足:事例判断となる。●認識:着手後もそうだが、特に前は。

解消(着手後)(A)

●前提:まず、当初共謀の範囲内であることを認定。次に、結果発生(中止犯とはならない点)を認定。●認識:着手後、結果発生前は。中止犯の問題となるが、実質は下記と同じだろう。
●趣旨:共同正犯(本質)
●展開:共犯者間での物理的・心理的因果性を切断すれば、相互利用補充関係がなくなったと評価できる(●ここまで「着手前」と共通)。
●特殊性:この点、実行着手後は、結果に向け因果が流れるため、着手前と比べ厳格に解する必要がある。
●具体化:具体的には、他の共犯者の実行行為を阻止する真摯な努力が必要。
●帰結:認められれば、仮に他の者の実行行為継続により結果発生しても、離脱後の行為は当初共謀の範囲外の新たな行為と考えられる。未遂犯。場合により、中止未遂。

留意点・知識

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ワヴィニー

日本の刑事法(刑法(総論))は「全く知らない」というのもマズイかと考えまして、試みに…

律子

「『全く知らない』訳ではない」ということだけは、かろうじて理解できました(笑)。

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