「三種の神器」

律子

旧司法試験時代にも、「三種の神器」があったと聞きました。

ワヴィニー

私も聞いたことがありますが、確か、「条文・判例・過去問」という話ではなかったかと。

律子

他にも、基本書・問題集・答案練習会等がありますが…

ワヴィニー

勿論、それらも学習の「道具」としては重要なのですが、「神器」というわけではないのでしょう。

というのも、基本書・問題集・答案練習会等は独立して存在する訳ではなく、基本的には「条文・判例・過去問」の全部又は一部が前提・基礎・対象等となっているからですね。

律子

条文・判例・過去問の中での序列はあるのでしょうか?

ワヴィニー

序列化は、表層的なものではなく、それらの本質に基づいてするのが妥当でしょう。

そこで、「条文・判例・過去問」の本質が何かを改めて考えてみれば、要するに、「(1)条文(立法)・(2)判例(司法)を素材として、(3)行政(法務省・司法試験委員会)が問題(出題後に過去問となる)を作成する経過及び結果の全体」を指していると理解しています。

律子

そうすると、憲法上、(1)立法・(2)司法・(3)行政の序列がどうなっているのかを検討する必要がありそうですね。

ワヴィニー

その点は、自分で考えて下さい。
憲法上、法の支配は勿論、いわゆる政治的美称説、司法権の優越、行政国家現象(福祉主義等)等の諸概念がありますから、そう簡単には序列を付けることはできないでしょう。

律子

個人的には、条文について判例が存在し、条文・判例を基に過去問が存在するのですから、序列としては、(前述の順列そのままに)(1)条文、(2)判例、(3)過去問だと思われます。実際にも、「条文からスタート」・「条文が基本」・「条文に戻れ」等と言われる実態にも合致しますし。

ワヴィニー

仮にそうだとすると、(1)条文・(2)判例を基にした(3)過去問さえ学習すれば基本的には十分であり、補充的に新しい判例を学習することにより、司法試験は合格することができそうですね。勿論、(3)を学習プロセスにおいて、必要最小限の範囲で、(1)条文・(2)判例を確認する必要はあります。ただ、典型例を挙げると、(1)条文については、その素読(そどく)、(2)については、調査官解説の読み込み、等までは不要でしょうね。

律子

「司法試験対策は過去問だけで足りる」等と言われる常識・実態にも合致します。

ちなみに、(新)司法試験における三種の神器は、「問題文・出題趣旨・採点実感」ということらしいです。

ワヴィニー

それでは、旧司法試験時代の「三種の神器」と比較し、異同につき検討してみて下さい。

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