「憲と民・刑」
司法試験の短答式試験科目は、「憲・民・刑」だと聞きました。
そうなのですね。ただ、「憲・民・刑」と仰った際の、ご自身の感覚・意識を検証しておいて下さい。
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憲法と、民法・刑法とは、全く異なる法ですから。「腹の底」から憲法・法律の違いを理解し実務に従事する立場にあるのであれば、並列的な感覚・意識になりがちな「憲・民・刑」との発語自体、回避した法が良いかも知れませんよ。
確かに。憲法は、「制限規範」として国家を縛るものであるのに対し、民法(物権法等)・刑法は、むしろ国民を縛るものですからね。
法体系上最重要な「人権」や「権利」の観点からは、そうですね。
ただ、憲法には、目的である「人権」の他に、その保障のための手段として、「統治」の条文があります。
私が申し上げているのは、先程律子さんが仰った点は(憲法の目的である以上)当然の前提として、手段である「統治」の観点からも、憲法と、民法・刑法との違いを明確に意識することで感覚・意識が深まりますよ、ということですね。
???
憲法は、その41条以下において、「統治」について規定し、その冒頭41条から、三権の一つである「国会」について規定しています。
現在の日本において、あらゆる法律は、国会を通じて制定・改正等されます。民法・刑法の改正も例外ではありません。
要するに、(明治憲法・日本国憲法の区別等の議論を一旦捨象すると)民法も刑法も、憲法における三権の一つである国会(立法)制度を通じ、制定される法律群の1つ(2つ)に過ぎない、ということです。勿論、法律群の中でも基本法として重要であるからこそ、日本でも司法試験(短答式試験)の科目になっているのでしょうが、そのことと、憲法との比較において本質的な違いあることとは全く別の話です。
今後、「憲・民・刑」と発語するに際しては、常に(1)(統治における三権分立等の制度により保障されるべき)国民の人権・権利の観点、及び(2)統治の観点から、憲法と民法・刑法との区別の感覚・意識を持てるようにします。
感覚・意識を行動とするため、私は、「憲と民・刑」と呼ぶようにしています。
少しだけ面倒なのですが、国際私法も民法・刑法と同じく法律ですから、憲法との対比を常に意識する必要があり。