「総論不用論」
「総論不用」とは、どういう意味でしょう?
そう思いませんか?
「法律関係の性質決定」・「連結点の確定」は重要に思われますが…
国際私法独自の観点から、各国際私法規定を解釈するという、普通の話に過ぎません。
(なお、私の母国では、国際私法典の条文数が1009条あります。したがって、各条文の適用範囲の区別は明確ですから、単位法律関係の性質決定が問題になることはほぼありません。連結点の解釈についても同様です。これらの点については、またいずれ。)
「不統一法国の法の指定」(それに関連し、「未承認国家・政府の法の指定、或いは「分裂国家に属する者の本国法」等)についてはいかがでしょうか?
我々は日本の国際私法の学習をしている訳ですから、まずは、日本との関係(地理的・歴史的)において、それらが実際に問題となりうる国又は地域(例:米国、インドネシア共和国、中国、台湾、大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国等)について、必要に応じ、また個別的具体的に検討すれば十分でしょう。
あとは、国際私法規定(通則法38条3項、41条1項・2項等)の解釈問題として、形式を整える必要は勿論あります。ただ、それは、(「総論」というよりも)それら条文の解釈・適用の実際問題です。
「反致」についてはいかがでしょうか?
否認論で良いでしょう。
(ただし、それは立法論ですから、現に条文(通則法41条)が存在している以上、その学習(解釈論)はしましょう。)
「先決問題」はいかがでしょうか?
そんな問題がありましたか?(笑)
「外国法の適用」等については、いかがでしょう?
国際法の問題、或いは憲法論です。
…「適応問題」は?
ケース・バイ・ケースの個別的具体的判断となっているのが現実であり、明確なルールは存在しないと理解しています。そのようなルールができれば別の話ですが、近い将来において、その見込みはないと承知しています。
その意味では、理論的に「総論」で検討する意義があるのかも知れませんが、理論の蓄積があまりにも少ないですね。
…「公序」は?
あくまで「例外」の話ですから、事案に即して、都度検討すれば十分でしょう。
(民法の公序条項(1条3項)の理論自体について、民法総則の学習において過度の時間を掛けることがないことと同様のイメージです。勿論、「国際」私法の特殊性に照らし、様々な言い分はあるでしょうが。)
総括しますと…
国際私法の「総論」について、その理論が「興味深いな」等と感じる・考える方々は相当数いらっしゃるでしょうし、私もその一人ではあるのですが、理論上、取り立てて学習する必要は(ほぼ)不要だと考えています。
その意味において、私は、「総論不要論」を提唱します。