米国法(読む・書く)(1)~一準拠法として
友人が、将来国際法務の分野で活躍するため、国際私法・英語と併せ、米国法を学びたいらしいのですが…
国際私法を学ぶ前提として、既に「七法」を学習しているのですから、その知見を活かすのが良いでしょうね。
現役の国際法務部員の場合、「契約英語」等に偏りがちなのですが、その点、むしろ学生の方の強みかも知れません。
ここでは、有名なNutshellシリーズ(※)につき、(1)主に「七法」に即し、かつ(2)国際私法の学習・企業法務(国際法務を含む)とも関連付けながら、そのタイトルのみ紹介しておきます。
(※)全くの個人的イメージですが、例えば、日本の法律系出版社による「基本書シリーズもの」と同様のテキストです。
目次
- 目次
- 1.憲法(”Constitutional Law”)
- 2.行政法(”Administrative Law”)
- 3.刑法(”Criminal Law”)
- 4.刑事訴訟法・証拠法(”Criminal Procedure”&”Evidence”)
- 6.民法(”Civil Law”)
- (1)代理法・パートナーシップ法(”Agency & Partnership”)
- (2)不動産法(”Real Property”)
- (3)担保法(”Secured Transactions”)
- (4)契約法(”Contracts”)
- (5)不法行為法(”Torts”)
- (6)親族法(”Family Law”)
- (7)相続法・信託法(”Wills & Trusts”)
- 6.商法・会社法(”Uniform Commercial Code”&”Corporations”)
- 7.民事訴訟法(”Civil Procedure”)
- まとめ
目次
1.憲法(”Constitutional Law”)
2.行政法(”Administrative Law”)
3.刑法(”Criminal Law”)
4.刑事訴訟法・証拠法(”Criminal Procedure”&”Evidence”)
6.民法(”Civil Law”)
(1)代理法・パートナーシップ法(”Agency & Partnership”)
(2)不動産法(”Real Property”)
(3)担保法(”Secured Transactions”)
(4)契約法(”Contracts”)
(5)不法行為法(”Torts”)
(6)親族法(”Family Law”)
(7)相続法・信託法(”Wills & Trusts”)
6.商法・会社法(”Uniform Commercial Code”&”Corporations”)
7.民事訴訟法(”Civil Procedure”)
1.憲法(”Constitutional Law”)
日本法を念頭においたものですが、「憲法(重要性)~国際私法等との関係」も確認しておいて下さい。
2.行政法(”Administrative Law”)
同じく、「行政法(重要性)~国際私法等との関係」も確認しておいて下さい。
3.刑法(”Criminal Law”)
刑法についても、国際私法との関係では、典型的な公法として、例えばその適用の論理・適用範囲等につき、「明確に異なった視点」を提供してくれます。
また、企業法務(国内・国際問わず)との関係では、近時の「経済刑法」に関する議論等、無関係ではありえません。
4.刑事訴訟法・証拠法(”Criminal Procedure”&”Evidence”)
同じ「刑事法」として、刑法と同様です。
とりわけ近時、金融法務の分野では、マネー・ロンダリングに係る各国当局による連携等、刑事訴訟法(捜査)に関わる分野も重要性を増しています。
「証拠法」が、刑事訴訟法・民事訴訟法双方に跨る法分野である点、及び米国司法試験における独立した科目である点、以前どこかで聞いたことがあります。
6.民法(”Civil Law”)
国際私法の学習を前向きに検討している者として、民法・商法・民事訴訟法の重要性については、ご説明には及びません(笑)。
米国司法試験科目(連邦法・NY州法)を参考にしつつ、分類しておきますね。
ただし、当然ながら日本とは法体系・内容は全くと言って良い程異なりますので、そもそも「民法(Civil Law)」という分類からして、あくまで「七法」をベースにイメージを持って頂くための一応の分類、とは認識しておいて下さい。
(1)代理法・パートナーシップ法(”Agency & Partnership”)
「LLC」等も、ファンドの組成・税法等の分野では重要なのですが、相当実務寄りの話となりますので、少なくとも現時点では無視しておいて結構です。
(2)不動産法(”Real Property”)
(3)担保法(”Secured Transactions”)
次に挙げる書籍は、他と比べて表紙のデザインが異なりますが、10年以上前の書籍です(簡易サーチした範囲では、少なくとも”Secured Transactions”というタイトルのものとしては、これが「最新版」のようではあります。)。
ただ、律子さんが実務において米国担保法(Secured Transactions)について調査する場合、「餅は餅屋」で現地(米国)の法律家に委託するしかないのですから、当該書籍の内容についても「最新」である必要はなく、「全体像・基礎理論・基礎知識」さえ理解できればOK、と感じませんか?
(4)契約法(”Contracts”)
(5)不法行為法(”Torts”)
(6)親族法(”Family Law”)
(7)相続法・信託法(”Wills & Trusts”)
信託法(Trusts)は、日本の司法試験科目にはありませんが、日本においても、高齢化社会の進展に伴い、近時、様々な書籍が出版されているところです。
6.商法・会社法(”Uniform Commercial Code”&”Corporations”)
1点目は、”Uniform Commercial Code”(UCC)、即ち「米国統一商法典」に関する書籍です。
7.民事訴訟法(”Civil Procedure”)
まとめ
具体的に、どのような使い方をすれば良いでしょうか?
日本法について学んでいることを前提に、折角ですので英語学習も兼ねるとすると、一般的な法律・英語学習と同じで良いでしょう。
「読む」観点では、例えば、(1)理解しつつ「通読」した上、(2)一度「音読」する。その上で、(3)日本法と比較しつつ「精読」する等です。その際、「書く」際に使える「表現を学ぶ」等もできるはずです。
なお、音読は「聞く・話す」のトレーニングにもなります。ただ、よりストレートに「聞く・話す」のトレーニングに使える素材については、別途ご紹介をしたいと考えています。
友人に奨める他、私も、日本法をマスターしてから前向きに検討してみます。
速やかに学習を今始めた方と、そうでない方と、例えば3年後には相当大きな差が付くでしょう。
日本法において「比較的学習が進んでいる一科目」についてだけでも、学習してみてはいかがでしょう。
本格的に学習するか否かは、その後で考えれば良いでしょう。
そもそも米国法に関しても、他の外国法同様、「餅は餅屋」(実務上必要があれば、現地の法律家に確認する必要あり)です。したがって、我々の学習の主眼は、「詳細な知識」獲得ではなく。逆に言えば、書籍自体は、判例変更・法改正等に関わらず、場合により10年前後は使用できるはずです。
まずは一歩進むことから始めてみましょう。