英語(一般)

律子

将来、自分のキャリアを国内法務に限定せず、国際法務でも活躍するため、国際私法と併せ、英語を学びたいのですが。

というのも、先日、法務部門の上司・部下が海外企業との国際電話会議に臨むのを傍目に見ていた際、上司(日本の弁護士。司法試験受験・司法修習・国内実務の初歩習得等のため、英語学習において依然として重要な20代の太宗をほぼ日本語のみに触れて過ごした。)から、部下(半年・1年等の留学経験があるのみ。社会常識すら危うい。)に対し、「会話は頼むね」と言っていたことを目の当たりにし、率直に言って、「ダサい『カルテル』」だなと感じまして…

ワヴィニー

(笑)

正しいご判断ですね。英語を学ばなければ、国際私法を学んだ意味もほぼありません。

国際私法につき各自が考えるところの「コスパ」を最大化するためには、国際法務(国際私法の理論・知識を使用する実務分野)に関与する必要があるはずであり、国際法務に関与するに際しては、「国際語」である英語が必要不可欠です。

「法律英語」については、別途解説します。まずは英語(一般)について、お話をしましょう。
法律の学習と並行して、今日からスタートすることは十分可能です。

テーマ

● 英語の「総合力」の養成(法律学習と並行して)

目次

1.ネイティブ
(1)幼児
(2)小・中・高
(3)大学(院)生・社会人
2.その他
(1)文法
(2)発音
3.まとめ

律子

英語(一般)に関しては、学習情報があり過ぎて…

ワヴィニー

結論的には、英語のネイティブ・スピーカー(「ネイティブ」)を想定し、「ネイティブと同じ事をする」(一部から始め、徐々に拡大する)というだけです。

「科学的な」・「効率的な」等、一見魅力的なタイトルの書籍も非常に多いですが、一旦は、律子さんと「生の英語」の間に存在するあらゆる「媒体」(メディア)を回避しましょう。…私も「メディア」で、かつ「ノン・ネイティブ」なのですが(笑)。

我々が日々新しい単語・言葉遣いに触れ、母国語を学んでいるのと同様、ネイティブも日々英語を学習しているのです。

1.ネイティブ

(1)幼少期

ワヴィニー

少し恥ずかしい気がしないでもないですが、まずは愚直に、ネイティブが生まれてから学んで来た足跡を辿りましょう。
勿論、脳の発達の臨界期等の観点から、一定の「限界」があることは承知していますが、それを「所与のもの」として何をやるか?、という我々ノン・ネイティブの1つの課題として。
(なお、その他の「限界」として、誕生時以降「周囲から自然と聞こえてくる英語の音声・会話等」の欠落もありますが、その可及的カバーとしては、常に英語を聞く、のみです。後述します。)

例えば”Oxford Picture Dictionary“は端的に日常生活上の語彙を学べるものですから、リビング等に置いておき、パラパラめくる等し、時には発音し、少なくとも日常的な単語については口をついて出て来るようにしましょう。

(2)小・中・高

ワヴィニー

この過程で学ぶのは、いわゆる「五教科」中、中学生レベルの「数学」(Math)・「理科」(Science)の基礎だけで必要十分です。
(なお、「(外国語としての)英語」は、そもそもネイティブの科目にはありませんね。なお、スペイン語・フランス語等については、当然ここでは触れません。また、「音楽」・「美術」等の教養・実技科目については、前述の”Oxford Picture Dictionary”でも一定程度カバーされる他、後述します。)

●「数学」・「理科」の基礎は必要な理由
国際社会で活躍するための「一般教養」の基礎の基礎として(基礎の基礎で十分な理由については、各自が胸に手を当てて考える!?)。なお、近時、データ・サイエンティスト等の「理系人材」の社会的ニーズが高まりつつあるようですが、それらの話題を含む最先端のサイエンス知識等については、後述。

●「国語」は不要
我々は、ノン・ネイティブとして、「英語」を学んでいる。その点、ネイティブが学校で学ぶ「国語」を学んでいる。
(差異は、むしろ「学校外でも必要な英語力」(会話力)等に存在する。その点のカバーについては後述。)

●「社会」も不要
現実に我々は大学(院)生・「社会」人等であり、かつ「法を学んで社会で活かそうとする人間」なのですから、例えば地理・歴史・政治・経済等については、「現在の自分事」として英語「で」学習すれば良い(後述)。

なお、律子さんにとっての「理科」が、「左程時間を割くことはできないが、少しずつでも継続は必要」というものなのであれば、例えば風呂等で書籍を読む等が適合的かも知れませんね。

(3)大学(院)生・社会人

ワヴィニー

BBC1択です。下記を一生継続して下さい。
(前述した「周囲から自然と聞こえてくる英語の音声・会話等」、「音楽」・「美術」等の教養・実技科目、「学校外でも必要な英語力」(会話力)、地理・歴史・政治・経済、最先端のサイエンスの知識等が、全てカバーできます。勿論スポーツ等まで。)

1.“BBC World Service”
起きてから寝るまで。例えばベッドで。
(リスニング力向上は勿論、活きた英語として、スピーキングに際しても参考になります。なお、スピーキングについては、例えばシャワーを浴びている間等、他に何もできない状況において、前述の”Oxford Picture Dictionary”の内容を想起するままに(文法等を考えずに)発音することもお奨めです。)

2.”BBC NEWS
興味のあるテーマにつき1日1記事を。電車の待ち時間等で十分ですね。
(リーディング力向上は勿論、ライティングに際しても参考になります。なお、ライティングについては、例えば日記をつける等がお奨めです。)

なお、日本では歴史的経緯等から「米語」(アメリカ英語)が主流ですが、世界的に見ると、同様に様々な歴史的経緯等から「英語」(イギリス英語)が優勢に思われます。かかる観点から、また無料であることからも、上記をフル活用することをお奨めします。
また、釈迦に説法とはなりますが、あくまで上記は「英語学習」としての「一択」ですので、多様な見解に触れるという意味では、例えば米国のCNN等、様々なメディアに触れる必要があることは当然のことです。

律子

「ネイティブと同じこと」と言われると大変そうでしたが、具体的なスコープは非常に明確ですね。

ただ、あくまでノン・ネイティブとして、「文法」等、諸々体系的に学びたい気持ちが消えないのですが…

2.その他(文法・発音)

ワヴィニー

職業病でしょうか?「文法」も「法」ですからね(笑)。
どうしても気になるようでしたら、下記2点を机上に置く等し、継続的に使用して下さい。
いずれも最新版を追い求める必要はなく、おそらく「一生もの」になります。

(1)文法

・ ”Practical English Usage”という書籍があり、「固い文法書」とは一線を画する「名著」だと考えています。
・ 文法に関して多くの「気付き」を得られることは勿論のこと、当該書籍で諸々調べること自体が英語学習となります。

(2)発音

・「英語の正しい発音の仕方」(1994年刊行の初版は39刷)という書籍がお奨めです。

ワヴィニー

「発音」について補足ですが、英語の発音には「運動」という要素があるので、そのための「筋肉」を鍛えて下さい。トレーニングを続ければ、いずれ実感されるとは思いますが、筋肉を鍛えれば、いずれは下記の好循環が始まります。

●発音の筋肉ができる→●音読が楽になる→●音読する機会が増える→●スピーキングが楽になる。
(端的に言えば、スピーキングについて、「恥ずかしい」等のmentalな障壁はさておき、physicalな障壁が消滅する、ということです。随分楽になります。)

なお、発音を学ぶ目的は、決して「美しい発音」(美しい自分)の獲得等ではなく、「聴き取り易い発音」(相手方への配慮)です。日本を含め、特定の国・地域の英語は非常に聴き取り難いことが多いようです。あまりに独特の発音は避けるべきでしょう。

3.まとめ

ワヴィニー

以上は、ほぼ「法律の勉強と並行して習慣化」することが可能です。是非今日からスタートして下さい。
(リビング・風呂・電車の待ち時間・机上に置く等と、長時間割く必要のない「場所・時」を例示して来たのはそのためです。)

なお、「ネイティブと同じ事をする」という主旨からは、法律学習の支障とならない範囲で、或いはより積極的な気晴らしとして、英語での読書・メール・チャット・動画鑑賞等もお奨めします。

律子

そういえば…自動通訳・翻訳のAIができるので、英語の学習は不要と言う意見もありますが…

ワヴィニー

英語を学習しないのは各自の「自由」ですが(笑)、例えば下記3点につき、自分なりの解決策を用意する必要はありますね。

1.律子さんが日本語で会話等する際、自分の中で過去の記憶・現在の環境・未来の展開等を想起・想像しつつ、会話等の相手方・状況等も勘案しながら、「ニュアンス」を変化させますよね?その点、AIが対応してくれますか?

2.律子さんが、重要なプレゼン・交渉等をしている際、故障・停電等によりAIが使えなくなったらどうしますか?

3.将来律子さんが更に立派になり、リーダーとして多くの人の前でスピーチ等をする場合、AIを使用するのと、自らの言葉・声で語り掛けるのと、いずれが「響く」可能性が高まるでしょうか?

律子

…私は英語の勉強をします。

ワヴィニー

最後になりましたが、最も大切なことをお伝えしておきます。

母国のこと(風土・歴史・社会等)について、外国で語れる人になって下さい。月並みですが、英語は「道具」に過ぎません。
(解かり易さのため、「ネイティブ」を素材に各種「道具」の紹介等をして来ましたが、ゆめゆめ「ネイティブになる」ことなど目指さないよう。矛盾でもありますし(笑)。)

真の国際人ほど「母国回帰」することが多いように思われます。勿論全員ではなく、またその契機・動機はネガ・ポジ様々だとは承知していますが、各自必要性を感じ、そうなることが多いようです。

またの機会に「法律英語」のお話ができればと考えています。今回は以上にしましょう。

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